荻上チキのレビュー一覧
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この本に書かれている、大東亜戦争中の「いじめ」は、
これまで読んできた多くの本、、、代表は「はだしのゲン」だろうか?
を通じて嫌というほど読んできた。
なのでその記憶をよみがえらせる作業、という感が強かった。
え、ここまで酷いの?いじめ自殺もあれば、殺しもあるの?という思いはあったが、、
それより驚いたのは、
昨今、「戦前はいじめはなかった」などとのたまう人が少なからずいる、ということ。
そう、明治政府からの日本はすばらしかった、と、あの時代に戻したい連中が
そういうのだろう。
そのことの方が驚き。
いかにモノを知らないか。
あるいは知っててわざと知らんぷりをしているのか。
人間そんなきれ -
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「いじめ」という呼び方には、日頃から反対している。
力であれ言葉であれ、人が人を傷つける行為は、まごうことなき犯罪だ。加害者は自分の所業を猛省し、心の底から被害者に詫びなければならない。
「いじめはなかった/少なかった」と(なぜか)言われる戦前・戦時中にも、実は凶悪な「いじめ」が蔓延っていた。
太平洋戦争が題材のドラマでは、上官や憲兵が「貴様はそれでも日本男児か!」と、鉄拳を喰らわすシーンをよく見かける。だが実際はその程度で済まず、更には軍隊以外でも「いじめ」のフィールドが広がっていた…。
「いじめ」という呼び方がいかに相応しくないか。本書を読んで、そう実感してくれる人が増えることを願ってい -
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毎日新聞の栗原俊雄さんと荻上チキさんとの共著の本書。大日本帝国時代のいじめについて書かれている。学校、疎開、銃後生活-婦人会・隣組、徴兵、軍隊生活、勤労動員、植民地差別と引き揚げ、抑留、戦後という章立てだ。何よりもいじめが一番酷いのは言わずもがな軍隊生活であるが、読みながら自分の子供時代を思い出していた。
僕は1960年生まれなので戦争が終わってたった15年しかたっていないかったのだ。確か幼稚園か小学校1年生ぐらいの時、近所の悪ガキに拉致されたことがあった。僕だけでなく5-6人が捕まっていた。「お前らは捕虜や!ここの穴を掘れ!」と命令され、どこかの家の花壇を靴で掘らされた。僕は隙を見て逃げ出 -
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学校や疎開先をはじめとした日々の生活に/徴兵制度のもとで組織された軍隊内部に存在したいじめの記録。
国のために、社会のために、「生産的でなければならない」という呪いが、少しの違いを際立たせ対立を煽り、とめどない暴力を生み出す。
植民地や抑留地でのいじめの実状がとても印象的だった。加害者にも被害者にも身体と心の傷を残し、戦後にはその加害関係が逆転し、親から子供へと憎悪は受け継がれてゆく。被占領者がさらにその弱者に対して家父長的な価値観や暴力を強化してしまう。
ポツダム宣言を受諾しても、人々の戦争は終わらない。むしろ長い時間を経て心に暗い影を落とすこともあると知る。 -
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活動に尊敬の念を抱いているチキさんのエッセイ第三弾。
今回のヨシタケさんとのコラボも最高だ。
チキさんの活動や発言、思いなどの根幹に、弱くて、卑怯だった過去の自分への反省とか、後悔があるのだ、と感じた。
それはもちろん、チキさんだけが特別じゃなくて、人はどこか、弱くて卑怯な自分というものを持っているのだと思う。
それを、忘れたり、誤魔化したりせずに、正直に、まっすぐに見つめているところがすごいな。
人はだれでも、自分だけのめがねを掛けて、取れないまま一生を終える。
できることは、自分のめがねに、他者のめがねを重ねて掛けることしかないのかもしれない。
それでも、チキさんとヨシタケさん、ふ -
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(2013/3/13)
digなどでお馴染みの荻上チキ氏の新書。
若者向けに「社会」を考えさせようとしている。
ポジ出し、とは、ポジティブに社会を考えてよくしていこう、というような意味。
「心でっかち」という言葉が面白かった。
もちろん「頭でっかち」との対照語。
頭でっかちがやたら論理が先に立つのに対し、心でっかちは、「皆がやさしくなればいじめはなくなる」、とか、
皆が問題に気づけば前に進む、とか、気合根性系?の、現実離れした考え方。
どこかの会社で聞いたような、、。
決めつけず冷静に物事をとらえ、うまくいく方向を考えていければいいのだがなかなか難しい。
「スマートデモクラシー」というこ -
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p94
●ポリーは異常性格者なのか?
ポリーに対しては、「人の心がわからない人間」「性的欲求のための口実にしている」「セックス依存」「生きがいがないから恋愛に依存する」といったステレオタイプの非観がぶつけられることが多い。もちろん「それで何が悪い」と除けることもできるが、ノンモノガミストとモノガミストとの比較研究をまとめた調査をたどると、そもそもこれらの見方は、実際のポリー像とかけ離れていることがわかる。
ノンモノガミストとモノガミストとの比較研究の結果では、両者の間で「差が見られなかった」項目が多かった。
ー中略ー
だが同時に、ノンモノガミストとモノガミストとの間に差が見られる項目も -
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ネタバレ『はじめに』には権利について書かれてる。
『権利を持っているというのは大きく分けて次の二つのことができることを意味します。
1 自分で何かを自由に行っていいこと
2 他人に何かしてもらうよう要求できること』
「ぎゃくたいってなあに?」は権利についてだけだったけど、この本はそれで何ができるかまで書かれている。
子どもたちの日常のこまごまとしたことについてを権利を絡めてアドバイスしてくれる本。
「ぎゃくたいってなあに?」と同じく『そもそも大人たちが権利を知らない』とこの本にも書いてあるけど、まさしくそれ。
大人は知らない。
子どもだけが知っていても「生意気なガキだな」で一蹴されることもある。