荻上チキのレビュー一覧
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ちょうど昨日の産経新聞の阿比留瑠比の極限御免という記事で「朝日は自社の慰安婦問題直視を」という記事が載っていました。本書は新聞同士の言及を検索によってカウントしていて産経の朝日への言及数は中央5紙の相互言及の中で飛ぶ抜けていて、それを「産経はかまってちゃん」「産経をスルーする朝日」と表現しています。まさに新聞はまったくキャラの違う人間同士のリアリティショー。お互いに反目は止めてフェイクニュースに立ち向かうのである、という主張もありますが、本書は「みんな違ってそれでいい」という金子みすずモードかな?つまりメディアにフェイクの反対のトゥルースがある、という思い込みが危険で、みんなそれぞれに「偏って
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偏っていることは悪いことという思い込みや前提があるわけですが、逆に偏ってないということがありうるのか、そう問われると確かに自分自身も自信がないことに気付かされました。自分は偏ってない、自分はフラットな判断ができていると思う人ほど、この本を読んでみることをお薦めします。
新聞は読み比べる必要があるというのは以前から耳にします。実際読み比べてみると同じ事件がまるで別物のように感じることがしばしばあります。読み比べる以前に一面で取り上げられるトップニュースが全く違うことが多くて愕然とします。トップニュースが違うと、今、世の中で何が起きているのか認識が全然変わってしまうからです。
この本は、 -
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最近日本会議を中心とする保守の活動が活発になり新聞界ではいわゆる左右を代表する新聞同士の戦いをの様相を見せている。では実際に5大新聞が取り扱う記事にはどのような違いがあるのか。それを新聞記事のリサーチにより数値で表し違いを明確にした本である。
荻上チキ氏はデータを駆使した社会分析が得意であり実際この本でも多くのデータを取り扱っている。どちらか一方の立場でカウンターとなって批判を展開するのではなく、冷静な第三者としての視点で分析を進めるので、どちらの側からも納得のいく結果になっていると思うのであるが、いかがであろうか。
ちなみに私は朝日新聞擁護、産経新聞に対しては批判的な立場で読ませていただいた -
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奇しくも熊本地震が起こった時に読んでいたのがこの本。
東日本大震災が発生したときに巻き起こった流言・デマの類いをTwitterを中心に分析、類型別にまとめた本です。
関東大震災や阪神大震災のときに起こった流言・デマも参考にし、混乱時に出やすいものを提示していますが、今回の熊本地震でもやはり同様の流言飛語が出回っていました。
人間は成長しないというか、混乱時には不安な心理などからそうなってしまうものなのでしょうね。
この本は、情報リテラシーの相対的向上を狙ったもので、一人でも多くの方がこの本を手に取り、「この情報は流言かな?」と考えられる環境が整えばと思います。 -
Posted by ブクログ
ラジオSession22でパーソナリティとしての著者は知っていたが、著作を読むのは初めて。
とても冷静に論理的な視点から、社会問題への考え方、関わり方などを教えてくれる。ここまでバランスを保ちながら鋭い切り口の文章をかける人はなかなか居ないのではないか。
ラジオでは、パーソナリティに徹してそこまで自分の主張を全面に押し出さない印象であったが、かなり熱い人であることが判明した。
制度を議論するときには、社会全体の中にその制度がきちんと組み込まれているかという「構造要因」、その制度の設計が適切になされているかという「制度要因」、制度がうまく行くかどうかは景気にも大きく左右される「景気要因」、これら -
- カート
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試し読み
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出会い喫茶を介した個人売春(ワリキリ)の実態を著者のフィールドワークを通して明らかにした本。
実際に出会い喫茶に来た女性を毎年100人にインタビューをして、彼女たちの属性を調べる。こういった風俗は移り変わりも激しいので貴重な情報だ。インタビューをした女性の中から選んだひとりの女性に女性ならではの調査も依頼した情報も貴重だ。出会い喫茶に来た男性側の情報も集められている。男性と女性が互いに批判している様は悲しく滑稽だ。また、出会い喫茶というシステムを「発明」したという福田氏へのインタビューも印象的だ。
著者は、女性が個人売春を行う構図について、引力と斥力という言葉によって一面的な説明を避けるこ -
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この手の本としてはかなりのヒット。
本文にも書いてあるとおり Inspired by 「ヤバい経済学」で、公式統計がない風俗などの分野について、なんとかして統計データを作った上でクロス統計で分析を行う、というのを読みやすくまとめてある。人々はなんで風俗産業で働いているのか、とかね。
「ヤバい経済学」を読んだ時と、知的興奮という意味ではやっぱり非常に近いんだけど、出てくる分析がフィールドが日本だけあって、特に階層社会の現状については全く他人事ではない頭が痛い分析がバンバン飛び交うので、読後感はちょっと重い。「ヤバい経済学」も重い話題は多いんだけど、やっぱりアメリカの話題だから微妙な対岸の火事 -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいて非常に辛い内容。
ここまでの調査を行った著者に敬服する。
貧困や精神疾患などによって、ワリキリという名の売春をしなければならない女性たちがいる。この本はそんな女性たちへのインタビューをまとめたものである。
ただ、留意が必要なのは、ワリキリを行う女性たちは、必ずしも困窮している人ではないとも著者が記していることである。実際に、それ以外の女性のインタビューも本文中に登場する。
一方で、ワリキリに頼らざるをえない女性たちも相当数存在する。
そんな状況は過去のものだという言説は全くの間違いであることを本書は指摘する。
本書の中で印象的だったのは、女性たちのエピソードもさることながら、