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特定のメディアの偏りばかりが目につくとしたら、それは観察する者が何かの立場に強くコミットメントしているためだ――
人と人とのコミュニケーションに、偏りが存在しない状態はない。この世に「真実そのもの」が仮にあったとしても、それをまっさらに伝えることのできる「なかだち」は存在しない。文字であろうが映像であろうが音であろうが、伝えられる情報量は有限だ。
ニュースは出来事を要約して伝えなければならないし、仮に無限の伝達が技術的に可能であろうと、人の時間は有限である。すべての情報は断片的で、切り取られたものだ。何かの断片的で編集された情報を手にしたうえで、「真実を知った」と思い込むのは誤っている。
〈本書まえがきより〉
評論家・ラジオパーソナリティとして活躍する著者による、分断の時代のメディア論。
本書では、安保法制や軽減税率など過去の新聞記事を引用しながら、あるいは独自データを用いながら、各メディアの「クセ」が示される。
それを見て、「やれやれ」「やっぱり」と溜飲を下げるかもしれない。が、本書の目的は、むしろ、そうした“ふるまい”へのリハビリにある。
「バイアスのないメディアなど存在しない」という前提に立ち、その「クセ」を詳らかにすることで、分断する社会で溢れる情報とつきあう具体的スキルを提示する一冊だ。
Posted by ブクログ 2021年11月25日
発売当初、書店の平積みで見かけて気になっていたもの。そのまま何となく読む機会を逸してしまっていたのだけど、この度”みらいめがね”で荻上作品に触れて、これは読む価値ありだな、ってことで改めて入手。メディアに中立性を求めたくもなるけど、偏りがあることはもちろん自明。その記事内容とか、取り上げる話題を検証...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年01月26日
自分の読んでる新聞がだいぶ偏っててだんだん思想が染まってきたと自覚してたので、読んでみました。
データベースからの中立的な分析で、各紙の個性がよく見えてきました。
わかったのは、偏りのないメディアは存在しないということ、もちろん自分の中にもバイアスがあって、「真実」なんてないこと。偏りをなくしたいと...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年03月03日
ちょうど昨日の産経新聞の阿比留瑠比の極限御免という記事で「朝日は自社の慰安婦問題直視を」という記事が載っていました。本書は新聞同士の言及を検索によってカウントしていて産経の朝日への言及数は中央5紙の相互言及の中で飛ぶ抜けていて、それを「産経はかまってちゃん」「産経をスルーする朝日」と表現しています。...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年01月03日
偏っていることは悪いことという思い込みや前提があるわけですが、逆に偏ってないということがありうるのか、そう問われると確かに自分自身も自信がないことに気付かされました。自分は偏ってない、自分はフラットな判断ができていると思う人ほど、この本を読んでみることをお薦めします。
新聞は読み比べる必要があ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年12月25日
最近日本会議を中心とする保守の活動が活発になり新聞界ではいわゆる左右を代表する新聞同士の戦いをの様相を見せている。では実際に5大新聞が取り扱う記事にはどのような違いがあるのか。それを新聞記事のリサーチにより数値で表し違いを明確にした本である。
荻上チキ氏はデータを駆使した社会分析が得意であり実際この...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年10月09日
第一部「新聞はいかにして「偏る」のか」は、タイトル通りの内容。原発再稼働問題などのいくつかのテーマについて、各紙の記事を引用しながら、各紙のスタンスというか、右か左かのポジションを浮き彫りにしているのが面白かった。
また、同じ右や左でも、各紙の個性のようなものもあって、それもまた面白いです(特に産経...続きを読む
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