あらすじ
相手の合意を得たうえで、ふたり以上の恋人やパートナーを持つ――そのような関係性をポリアモリーという。不倫や浮気とは何が異なる? 嫉妬の感情は生まれないのか? 子育てはどのように行うのか? 社会のなかで抱える困難とは? 日本に暮らす当事者100人以上に取材・調査してその実態を伝える、国内初の複数愛ルポルタージュ。
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Posted by ブクログ
p94
●ポリーは異常性格者なのか?
ポリーに対しては、「人の心がわからない人間」「性的欲求のための口実にしている」「セックス依存」「生きがいがないから恋愛に依存する」といったステレオタイプの非観がぶつけられることが多い。もちろん「それで何が悪い」と除けることもできるが、ノンモノガミストとモノガミストとの比較研究をまとめた調査をたどると、そもそもこれらの見方は、実際のポリー像とかけ離れていることがわかる。
ノンモノガミストとモノガミストとの比較研究の結果では、両者の間で「差が見られなかった」項目が多かった。
ー中略ー
だが同時に、ノンモノガミストとモノガミストとの間に差が見られる項目もいくつかある。
例えば、グループ内の関係満足度や幸福度においては、ノンモノガミストの方が高いという調査もある。
こうした研究結果を見ると、ノンモノガミストの多くは、ほとんどの点でモノガミストと 差がない一方で、自らの関係性そのものにはより高い満足度を示しつつ、他方で社会からの 偏見には苦しんでいることになる。
Posted by ブクログ
アセクシュアルな私はモラハラ夫が私に「嫌な言動をしてしまうのはレスによるストレスが原因」と言われて、「彼女でも作れば」と本気で言って怒らせた。ある意味自分もポリーなのか…と本書を読んで思った。
Posted by ブクログ
ポリアモリー・ノンモノガミーを実践する人の実態を記した一冊。
日本社会において複数愛を実践する人がほとんど不可視化されているという問題意識の中で、多くの当事者にインタビューしてその実相が書かれている。
新たに知ることが多々あり、とても興味深かった。
・モノ規範の中で、当事者が抱える自責やスティグマ、罪悪感について。ポリアモリーであるがゆえの苦しみではなく、ポリアモリーを不可し化し、異端として扱う社会システムゆえの苦しみが多い。
・ポリカップルの離別要因は、複数愛者でも単数愛者でも変わらない性的問題、金銭問題など。しかし破局すると周囲からは「当然」と思われる。
・性的なものとして見る社会と、関係性をめぐる問いとして考える当事者の食い違い
・必ずしも性愛だけを追及するわけではなく、アセクシャルでポリアモラスということがある。
・ポリアモリー傾向があっても実践しているかどうかは人それぞれ。
・「嫉妬を乗り越えたらコンパージョン」というわけではない。これも人それぞれ。
・重婚禁止は何のため?行政がミスしない限り犯せない罪が何のために存在するのか。→一夫一妻制という道義的建前を明確にするための宣言的な意味。
・ポリファミリーの実態。肯定的にとらえる理由がたくさん。情緒的、金銭的豊かさなど。
・ポリアモリーは世界に1000万以上 日本における実態調査はほとんどない。
・ポリガミーは共同体の維持、家父長制的な社会構造において重視され、女性の意思決定は重視されてこなかった。男性が女性を所有し、依存関係の生産。ポリアモリーはそうした文脈とは違う背景から出現してきた。自由と共有を尊重する西海岸文化。フェミニズム。クィアカルチャーなどの歴史からも影響を受けてきた。
Posted by ブクログ
用語の理解だけでも価値がある。これだけ用語にバリエーションがあるという事が、様々な関係指向や関係様式を持つ人達の多様性を指し示している。日本に実在する
定量調査のパートが調査定義や母集団がわからず、少なくともこの本の情報だけでは、数値を適切に解釈することができなかったのでもったいない事とより知りたいと思わされた。
Posted by ブクログ
平易な文章で書かれており、読みやすいです。
参考文献がどの程度信頼されているものなのか、不勉強なのでわかりませんでした。ポリー側に「普通(一夫一婦制)」を強要するのではなく、うまく折り合いをつけて共生すべきだとは思います
Posted by ブクログ
もともと、興味のあったポリアモリー。複数愛、というか惚れっぽい?(のは違うんだろうか)わたしは、ポリアモリーが当たり前だったら生きやすいだろうなと思っていたけど、それは逆のモノガミストからしたら理解を得るのは難しいよなとしみじみ思った。それも含めて受け入れたいけど、好きになる気持ちが止められなくていつも苦しい思いをしている。