葉室麟のレビュー一覧

  • 潮鳴り

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     蜩の記に続き、羽根藩シリーズ第2弾であるが、全くの別物。しかし、蜩の記の後に読むと、気持ちが高揚する箇所も多かった。

    蜩の記よりエンターテイメント色が強く、小説として楽しんだ。

    底まで堕ちた人々が、もう一度花を咲かせようと、人を想いながら信念を貫き、生きる姿が美しかった。

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    2025年05月17日
  • 蝶のゆくへ

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    ネタバレ

    本書は、葉室麟最晩年の作品であり、「新宿中村屋」創業の星りょうの目を通して描かれる幕末明治の文芸家たちの群像劇となっている。
    北村透谷、島崎藤村、国木田独歩、若松賤子、佐々城信子、三宅花圃、樋口一葉、斎藤緑雨、勝海舟、クララ・ホイットニー、瀬沼夏葉、萩原碌山、中村彝、高村光太郎、ラス・ビハリ・ボースなどとの関わりが描かれている。
    それにしても、星りょう(相馬黒光)の交友関係がすごすぎる。作者もその点に注目し、執筆したに違いない。
    当時の女性は、男にかしずき男を立てるのが女性の理想とされていた時代。そんな中、自分に正直に蝶のように舞うことがいかに困難だったか、その規範に外れた女性たちがどういう扱

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    2025年05月04日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    葉室麟、本当に惜しい作家を亡くしました。
    「蜩ノ記」「川あかり」「山月庵茶日記」「草雲雀」などの傑作や「潮騒はるか」「鬼神の如く」「銀漢の賦」「橘花抄」「冬姫」などの秀作に連なり、私の傑作葉室コレクションがまたひとつ増えました。
    この小説を読み進めながら、作者がどうやって登場人物たちのもつれた糸をほぐし、破綻なく物語に収束をつけるのか、試しに想像してみるも私の頭では不可能でした。
    それを難なくやってしまう筆者の構想力と文章力に脱帽です。見方を変えれば、本書は上質謎解きミステリーとしても十分楽しめます。
    これから読む人のために、謎解きの鍵となるヒントを。
    “くもり日の影としなれる我なれば
    目にこ

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    2025年04月08日
  • 山月庵茶会記

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    黒島藩シリーズの3作目とのことだが、既刊の『陽炎の門』『紫匂う』の2作品とは人物・時代とも関連性はない。
    著者には他にも扇野藩シリーズや羽根藩シリーズもあるが、何れも同様な構成になっている。
    藩の政争に敗れ黒島藩を去った元勘定奉行が、妻の死の真相を知るために、茶人となって帰ってくる。様々な波紋が沸き起こり虚々実々の戦いが繰り広げられる。
    最後、容疑者を集め「犯人はお前だ」とのクライマックスがあり、本格ミステリーを彷彿させる。
    様々な作品で、漢詩や和歌の深く豊かな素養を開陳する著者が、本書では茶席の描写や茶の心をストーリーに融合させ、物語の世界を豊饒にしている。

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    2025年03月07日
  • 蒼天見ゆ

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    最後の敵討ちとして有名な秋月藩の臼井家のものがたりどある。父の亘理の生き様から息子の六郎の敵討ちとその後を描いている。
    同じモチーフである吉村昭の『敵討』も十年以上前に読んだが、葉室氏のストーリーは、幕末から明治草創期の偉人が登場して、小説として面白くしている。
    武士のメンタリティーを考える上で、貴重な作品である。
    また、題名の意味がこの小説の潮流として大きく流れている。

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    2025年02月07日
  • 秋月記

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    福岡藩と支藩である秋月藩の興亡がものがたりのベースとなっている。本社と支社、親会社と子会社など、現在の会社組織に見事に当てはまる。
    サラリーマンである自分自身の立場をオーバーラップさせながら読むことができた。
    主人公の幼少期のトラウマと生き方が常に表裏一体でものがたりを一本の線で通している。
    葉室作品らしいあっという間に読んでしまうストーリーである。

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    2025年02月02日
  • 影ぞ恋しき 下

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    雨宮蔵人シリーズ三部作下巻でもあり、葉室作品最後の作品でもあるとのこと。
    武士道とは?夫婦とは?親子とは?を考えさせられる作品である。最後の切れ味の良さも葉室作品の特徴である。
    葉室さんは何故こんなにも早く亡くなったのか?寂しい限りである。

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    2025年01月24日
  • 影ぞ恋しき 上

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    小城鍋島藩浪人である雨宮蔵人シリーズの三部作の最終作である。葉室麟さんが生きていれば更に続くのか?わかりませんが、話の流れは第一作である『いのちなりにけり』、第二作である『花や散るらん』を読んだ方がわかりやすいと思うが、そうでなくても良いかも知れない。これから読む下巻が楽しみである。

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    2025年01月13日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』を見たおかげで、平安時代最盛期の人物像は理解できた。
    その上で刀伊入寇を読んだので、馴染みの無い時代にもかかわらず、スムーズに読むことができた。
    現在、福岡市に住んでいるが大陸との最重要地帯であり、地政学的にも異文化交流地点である。
    刀伊入寇と藤原隆家の存在が、歴史上大きなポイントであった事と九州武士の危機意識の高さを感じた。

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    2025年01月01日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    忠義とは、誠とは何かが描かれている。
    「わが主君に謀反の疑いあり」と、黒田藩家老の栗山大膳は主君の黒田忠之を幕府に訴える。それは幕府が黒田家の大名家取り潰しを画策していることを悟った栗山大膳が敢えて訴え出たもの。黒田家を守るために。
    逆臣と思われ、命さえ狙われることになっても、見た目には裏切りに見えても、その忠義を貫き通す。
    栗山大膳の生き方が本当に天晴れ。

    天草四郎が出てくるのも面白い。イエス・キリストへの言及もあり、イエスの生き方と、栗山大膳の生き方を共に「宿命と戦って」生きている、と登場人物に語らせているのもまた印象的だった。

    やはり葉室麟さんはいいです!

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    2024年12月31日
  • 花や散るらん

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    佐賀小城藩出身の雨宮蔵人シリーズの二作目である。無骨で腕は一流の雨宮蔵人と凛として清廉で美しい咲弥夫妻の愛と生き様が存分に描かれている。
    ストーリーに忠臣蔵が複雑に絡み合い、朝廷と幕府のポリティカルな様相を呈しながら、徳川綱吉、柳沢吉保、吉良上野介、大石内蔵助など、歴史上の人物がかなり身近に入り込んで来て、ものがたりを面白くさせる。

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    2024年12月09日
  • 決戦!大坂城

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    舞台は、冬の陣、夏の陣の大坂城。7人の作家が7人の武将を描くシリーズ。同じ人物でも書き手によって、まるで異なる人物のように感じるのも小説の面白さだ。太閤さんこと秀吉贔屓の関西人だからか冲方丁氏の「黄金児」は、家康をも翻弄させ対等に渡り合った秀頼が魅力的に描かれていてよかった。伊藤潤氏の「男が立たぬ」も、男が立たぬと筋を通した男たち、特に福島正則の弟・正守のカッコ良さが際立った作品だった。

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    2024年12月08日
  • いのちなりけり

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    佐賀小城藩の雨宮蔵人が主人公の小説の一作目である。葉室作品は、九州に関わる作品が多い。
    佐賀小城藩と水戸藩の関係、葉隠の精神を散りばめながら、作品を構成されている。
    登場人物、物語りの構成があちこち飛ぶのでしっかり読まないと途中置いてけぼりになる可能性がある。

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    2024年11月30日
  • 実朝の首

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    暗殺された源実朝の首を通して、鎌倉幕府の魑魅魍魎の政治的戦いから、朝廷との戦いを描かれている。鎌倉時代の草創期の叛逆者が登場し、北条政子の女帝振りを際立たせており、北条義時ぐ脇役に回っている。歴史的史実に乏しい時代のため、葉室作品の真骨頂である読後感の爽快さを感じる初期の作品である。

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    2024年11月19日
  • 決戦!関ヶ原2

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    久しぶりに決戦シリーズを読みました

    黒田長政の【ダミアン長政】
    島左近の【過ぎたるもの】
    仙石久勝の【戦さ神】
    小川祐忠の【名だけを残して】
    本多忠勝の【蜻蛉切】
    小早川秀秋の【秀秋の戯】
    大谷吉継の【燃ゆる病葉】

    個人的には
    名だけを残して
    秀秋の戯
    燃ゆる病葉
    が好きでした

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    2024年11月16日
  • 散り椿

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    葉室麟さんの小説には、冬咲く椿の花がよく似合います。 それも真っ白い椿が。寒さに耐えて咲き、潔く散る‥、この話もそんな清しい心持ちにさせてくれるお話です。

    藩を追われた剣の達人、瓜生新兵衛。無実の罪で自害した父親を持つ坂下 藤吾。藩からも一目置かれる、かつて剣術道場の四天王と称された榊原采女。その三人が篠という亡き女性を通して繋がっていきます。
    複雑なお家事情の政争に巻き込まれ、命を狙われ、良き人々を殺され、汚名を汚され、それでも誠実な生き方を貫こうとする者たちのドラマが、このお話の真髄へと導いてくれます。

    藩の不正や賄賂を暴けば、簡単に追放されたり、斬り殺されてしまう時代は、形は違っても

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    2024年11月08日
  • 影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録

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    新選組の小説などで脇役を演じて来ていた篠原泰之進が主人公の小説である。
    新選組から分派した高台寺党の御陵衛士の懐刀として伊東甲子太郎に信順する。
    泰之進の思考や生き方が題名である影踏み鬼として、何度も著される。
    新選組の卑劣な組織との対比が、高台寺党の洗練さを浮き出させる。
    最後は、葉室作品らしい感動を誘うクライマックスである。
    クライマックスは、葉室作品をまた読みたくなる麻薬である。

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    2024年10月27日
  • 秋霜

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    「春蕾」の続編。羽根藩シリーズ4作目。

     ラストに救われた。
    人は自分の真の値打ちを知らないで生きてる人が多い。

     人が人の縁によって変わっていく有様を丁寧に描ききっていると思う。

     小平太と楓の幸せを想像するだけで心温くなるそんなラストだった。

     生き様は背中に現れると思う。
    どう生きるかは何を思い、何を大切にするかで決まる。

     そして、それを支えるのは生き様を見せてくれた人との出会いだろう。

     生涯変わらぬ尊敬をいだける出会いは何ものにも代え難い。

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    2024年10月25日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    宮本武蔵、天草四郎、柳生十兵衛など、歴史のヒーローを脇役として散りばめながら、黒田家の重臣栗山大膳を主人公に裏の裏をかきながら、歴史上の重鎮をあしらっていく様は爽快である。
    葉室作品の小説としての面白さは随一であると考える。

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    2024年10月21日
  • 決戦!忠臣蔵

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    お気に入りの「決戦」シリーズだ。
    奇しくも続けて忠臣蔵関連の作品を読んだ。

    忠臣蔵はどちらかと言うとこのシリーズの中では、題材が限られている部類かと思った。でも一連の短編を読み終えると
    味わい深く切り口の多様さを感じた。
    どの書き手も思わず唸ってしまう味わいである。

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    2024年10月12日