葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
葉室麟さんの小説には、冬咲く椿の花がよく似合います。 それも真っ白い椿が。寒さに耐えて咲き、潔く散る‥、この話もそんな清しい心持ちにさせてくれるお話です。
藩を追われた剣の達人、瓜生新兵衛。無実の罪で自害した父親を持つ坂下 藤吾。藩からも一目置かれる、かつて剣術道場の四天王と称された榊原采女。その三人が篠という亡き女性を通して繋がっていきます。
複雑なお家事情の政争に巻き込まれ、命を狙われ、良き人々を殺され、汚名を汚され、それでも誠実な生き方を貫こうとする者たちのドラマが、このお話の真髄へと導いてくれます。
藩の不正や賄賂を暴けば、簡単に追放されたり、斬り殺されてしまう時代は、形は違っても -
Posted by ブクログ
当日の武士(権力)が茶道や庭園に大きな価値を見出してきたことは、歴史を学ぶ上でも興味深い。
武士政権も権威が必要で、公家文化に倣う必要性があり、それが遠州のようなマルチタレント文化人が重用された背景でもあると思う。
そのような思いが重なり、ある意味歴史の裏側で活躍した人物でもある小堀遠州のことを学びたく、本著を手に取る。
史実を並べてみても、遠州が手がけた作庭等から、驚異的な活動量であることを知ることができ、ただ驚くばかり。
相当に実務面でも能力が高かったのだろう。
また、意外な人脈も新たな発見であり勉強になる。
史実はどうかわからないが、当時のメンタリティについても触れられている点、参考 -
Posted by ブクログ
買った当初に途中まで読み、(著者の小説では滅多にないことだが)馴染めないままツンドクになってしまっていた。
が、今回は一気呵成に読み終えた。
やはり、読む適期というのは、作品あるいは読者それぞれにあるようだ。
現代の高校生が、雷に打たれ、明治維新の直後にタイムスリップしたという、著者には珍しいファンタジー歴史小説。
勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、さらに桐野利秋らが、登場。
高校生の4人は彼らと関わり合ううち、西南戦争が迫る。
西郷隆盛の人間性に触れた彼らは、西郷の命を何とか救いたいと画策するが、歴史の壁は厚く・・・
タイムスリップした高校生を狂言回し的に用い、幕末・明治維新の裏面史ともいえる事 -
Posted by ブクログ
いいお話だった。恩師が何者かに殺された。その真相を探りに行った友もまた。そして主人公の恭平がその真相を探るため、隣の藩に潜入する。
師弟、友情、愛情、親子関係等の要素がちりばめられていて、時代小説ではあるけれど、現代にも通じることが描かれている。
ラスト、青葉堂村塾の子ども達の姿が本当に純粋で健気で、「約束を守る」ということを体現している姿に感動。子ども達がそのような行動をとれたのも、恩師の与五郎の教えの賜物。
与五郎の父は恭平の隣藩の家老で大きな力を持つ。その父親のまつりごとに対する姿勢に異を唱えることもあった与五郎は、一度素行が悪くなり勘当される。でも、再出発をするため、恭平の住