葉室麟のレビュー一覧

  • 実朝の首

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    暗殺された源実朝の首を通して、鎌倉幕府の魑魅魍魎の政治的戦いから、朝廷との戦いを描かれている。鎌倉時代の草創期の叛逆者が登場し、北条政子の女帝振りを際立たせており、北条義時ぐ脇役に回っている。歴史的史実に乏しい時代のため、葉室作品の真骨頂である読後感の爽快さを感じる初期の作品である。

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    2024年11月19日
  • 決戦!関ヶ原2

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    久しぶりに決戦シリーズを読みました

    黒田長政の【ダミアン長政】
    島左近の【過ぎたるもの】
    仙石久勝の【戦さ神】
    小川祐忠の【名だけを残して】
    本多忠勝の【蜻蛉切】
    小早川秀秋の【秀秋の戯】
    大谷吉継の【燃ゆる病葉】

    個人的には
    名だけを残して
    秀秋の戯
    燃ゆる病葉
    が好きでした

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    2024年11月16日
  • 散り椿

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    葉室麟さんの小説には、冬咲く椿の花がよく似合います。 それも真っ白い椿が。寒さに耐えて咲き、潔く散る‥、この話もそんな清しい心持ちにさせてくれるお話です。

    藩を追われた剣の達人、瓜生新兵衛。無実の罪で自害した父親を持つ坂下 藤吾。藩からも一目置かれる、かつて剣術道場の四天王と称された榊原采女。その三人が篠という亡き女性を通して繋がっていきます。
    複雑なお家事情の政争に巻き込まれ、命を狙われ、良き人々を殺され、汚名を汚され、それでも誠実な生き方を貫こうとする者たちのドラマが、このお話の真髄へと導いてくれます。

    藩の不正や賄賂を暴けば、簡単に追放されたり、斬り殺されてしまう時代は、形は違っても

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    2024年11月08日
  • 影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録

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    新選組の小説などで脇役を演じて来ていた篠原泰之進が主人公の小説である。
    新選組から分派した高台寺党の御陵衛士の懐刀として伊東甲子太郎に信順する。
    泰之進の思考や生き方が題名である影踏み鬼として、何度も著される。
    新選組の卑劣な組織との対比が、高台寺党の洗練さを浮き出させる。
    最後は、葉室作品らしい感動を誘うクライマックスである。
    クライマックスは、葉室作品をまた読みたくなる麻薬である。

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    2024年10月27日
  • 秋霜

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    「春蕾」の続編。羽根藩シリーズ4作目。

     ラストに救われた。
    人は自分の真の値打ちを知らないで生きてる人が多い。

     人が人の縁によって変わっていく有様を丁寧に描ききっていると思う。

     小平太と楓の幸せを想像するだけで心温くなるそんなラストだった。

     生き様は背中に現れると思う。
    どう生きるかは何を思い、何を大切にするかで決まる。

     そして、それを支えるのは生き様を見せてくれた人との出会いだろう。

     生涯変わらぬ尊敬をいだける出会いは何ものにも代え難い。

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    2024年10月25日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    宮本武蔵、天草四郎、柳生十兵衛など、歴史のヒーローを脇役として散りばめながら、黒田家の重臣栗山大膳を主人公に裏の裏をかきながら、歴史上の重鎮をあしらっていく様は爽快である。
    葉室作品の小説としての面白さは随一であると考える。

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    2024年10月21日
  • 決戦!忠臣蔵

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    お気に入りの「決戦」シリーズだ。
    奇しくも続けて忠臣蔵関連の作品を読んだ。

    忠臣蔵はどちらかと言うとこのシリーズの中では、題材が限られている部類かと思った。でも一連の短編を読み終えると
    味わい深く切り口の多様さを感じた。
    どの書き手も思わず唸ってしまう味わいである。

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    2024年10月12日
  • 風花帖

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    武骨な男が好きな女性の為に自分を捧げる姿は、読んでいるものを感情移入させる。
    このような男の生き方は出来ないが、小倉藩の白黒騒動を舞台に繰り広げられる人間の欲望を背景に、清廉な気持ちで事を成し遂げる姿は読者を小説に引き込ませる。
    葉室作品の真骨頂である。

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    2024年10月08日
  • 孤篷のひと

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    茶人、小堀遠州の生涯を、回想を上手く織り交ぜながら描いた作品。別に茶道にも日本史にもさして興味が無い自分でも、飽きること無く読み進められる不思議。伊達政宗が出てくるシーンだけはどうやっても脳内映像が渡辺謙になる病気が再発した。

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    2024年09月20日
  • 潮鳴り

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    襤褸増(ぼろぞう)などと揶揄されるほどどん底まで堕ちた伊吹櫂蔵が、人生をやり直す。
    落ちた花は二度と咲かないと言われた櫂蔵が弟の無念を晴らすため、藩の不正を暴く。
    葉室麟の作品らしい、気持ちの良い内容だった。

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    2024年09月18日
  • 孤篷のひと

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    当日の武士(権力)が茶道や庭園に大きな価値を見出してきたことは、歴史を学ぶ上でも興味深い。
    武士政権も権威が必要で、公家文化に倣う必要性があり、それが遠州のようなマルチタレント文化人が重用された背景でもあると思う。
    そのような思いが重なり、ある意味歴史の裏側で活躍した人物でもある小堀遠州のことを学びたく、本著を手に取る。

    史実を並べてみても、遠州が手がけた作庭等から、驚異的な活動量であることを知ることができ、ただ驚くばかり。
    相当に実務面でも能力が高かったのだろう。
    また、意外な人脈も新たな発見であり勉強になる。

    史実はどうかわからないが、当時のメンタリティについても触れられている点、参考

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    2024年09月08日
  • 冬姫

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    織田信長の次女冬姫の戦国時代の女の戦いを描いた小説。
    蒲生氏郷との夫婦間、お市の方、茶々との確執など、ストーリー面白くさせる。
    葉室小説によく登場する細川ガラシャとの関係など、戦国スターが散りばめられている。
    終盤は、少し尻切れ蜻蛉感はあるが、楽しく読むことが出来た。

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    2024年09月01日
  • 青嵐の坂

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    藩政改革を行う檜慶之助と檜主馬義兄弟の武士のお話。
    悪い家老と商人を撃破する。領民のため、命をかける。あー葉室作品だな〜と感じる1冊。武士は利では動かず、義にて動く。カッチョいいです。

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    2024年08月16日
  • 春雷

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    羽根藩シリーズ3作目
    1作目の蜩の記の秋谷と同じく、この作品の隼人も逃げることなく死ぬことを選ぶ。最後は同じだけれど秋谷は静の人、隼人は動の人に思える。覚悟をしてからは嫌われ恨まれることも厭わない激しい人生。隼人、大庄屋の七左衛門の己の信じるところを曲げずにむかえる死に様は壮絶です。
    隼人の「悪人」と「善人」の考え方からすると、私は善人だ。

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    2024年07月31日
  • 秋月記

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    義母からいただいたので、読みました。ジャンル的には余り読まない時代小説ですが、この本を通して人気があるというのも理解しました。生きている時代は違えど、人として武士として生き方として、とても参考になりました。

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    2024年07月28日
  • 風渡る

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    黒田官兵衛の小説は、司馬遼太郎の播磨灘物語が有名である。風渡るの小説では、黒田官兵衛とキリスト教との駆け引きで新しい世界を作っている。
    九州に初めて伝来したキリスト教が九州で根付き始めたのはキリシタン大名の存在が大きい。
    戦国時代のイエズス会のキリスト教と時の権力者との興亡を描く、視点を変えたストーリーである。

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    2024年06月26日
  • 約束

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    買った当初に途中まで読み、(著者の小説では滅多にないことだが)馴染めないままツンドクになってしまっていた。
    が、今回は一気呵成に読み終えた。
    やはり、読む適期というのは、作品あるいは読者それぞれにあるようだ。
    現代の高校生が、雷に打たれ、明治維新の直後にタイムスリップしたという、著者には珍しいファンタジー歴史小説。
    勝海舟、西郷隆盛、大久保利通、さらに桐野利秋らが、登場。
    高校生の4人は彼らと関わり合ううち、西南戦争が迫る。
    西郷隆盛の人間性に触れた彼らは、西郷の命を何とか救いたいと画策するが、歴史の壁は厚く・・・
    タイムスリップした高校生を狂言回し的に用い、幕末・明治維新の裏面史ともいえる事

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    2024年06月18日
  • 柚子の花咲く

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     いいお話だった。恩師が何者かに殺された。その真相を探りに行った友もまた。そして主人公の恭平がその真相を探るため、隣の藩に潜入する。
     師弟、友情、愛情、親子関係等の要素がちりばめられていて、時代小説ではあるけれど、現代にも通じることが描かれている。
     ラスト、青葉堂村塾の子ども達の姿が本当に純粋で健気で、「約束を守る」ということを体現している姿に感動。子ども達がそのような行動をとれたのも、恩師の与五郎の教えの賜物。

     与五郎の父は恭平の隣藩の家老で大きな力を持つ。その父親のまつりごとに対する姿勢に異を唱えることもあった与五郎は、一度素行が悪くなり勘当される。でも、再出発をするため、恭平の住

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    2024年06月08日
  • 花や散るらん

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    ネタバレ

    解説島内景二
    葉室に言わせれば、歴史には勝者も敗者もない。善人も悪人もいない。自分らしく切ることができたか、どうか、自分の心に恥じない死に方ができたか、それが問題なのだ。
    人間の心に抱かれた思想も、心に咲いた美しい花も、どちらもが永遠であり、時代を超えて、葉群の影に凛として咲き続ける。それが、葉室麟の信念である。

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    2024年06月02日
  • 不疑 葉室麟短編傑作選

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    著者が早逝して早や7年。
    しかし、いまだに初書籍化作品が読めるというのは、読者冥利に尽きる。
    しかも、短編傑作選という本書は登場人物がバラエティに富んでいて、時代小説の楽しみが味わえる。
    『鬼火』は、新撰組の沖田総司。
    『鬼の影』は、忠臣蔵の大石内蔵助。
    『ダミアン長政』は、黒田如水の息子黒田長政。
    『魔王の星』は、織田信長。
    『女人入眼』は、北条政子。
    表題作の『不疑』は、なんと前漢中国の雋不疑。
    時代も古代中国から戦国時代そして幕末へと、歴史を駆け巡るかのよう。
    著者の未書籍化作品は、まだあるのだろうか。

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    2024年05月14日