葉室麟のレビュー一覧

  • 銀漢の賦

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    武士の友情とはかくあるべし。
    武士の友情が描かれているが、実際にはあまりこのような清々しいものはなかったのかもしれない。でもこんな武士がいればよかったなぁと思う。


    玲瓏にして、清冽なる時代小説 見参!

    寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。
    幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。
    二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。
    第十四回松本清張賞受賞作。
    解説・島内景二(国文学者・文芸評論家)

    「葉室麟の時代小説は、現代日本の暗雲を吹き飛ばす一陣の涼風であ

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    2025年09月30日
  • 影ぞ恋しき 下

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    綱吉時代に敷かれた悪政を、徳川家宣と弟越智右近は儒教を中心とした教えによる、貨幣改鋳の改善、長崎貿易の制限などを目指す正徳の治を行おうとしていた。表舞台は、家宣。裏舞台を右近が担うことになっている。右近は、隠密を使い意に反する勢力や秘密を知り過ぎた者たちを粛清していこうとしていた。その対象に、雨宮蔵人や冬木清四郎も入っている。
    結局、綱吉時代の側用人柳沢吉保と家宣側の新井白石や間部詮房などの政争に巻き込まれる形である。さらには、勘定奉行の荻原重秀までが登場してくる。
    最終決戦の地として選ばれたのが、楠木正成が落命した湊川であった。
    越智右近は、雨宮蔵人と一騎打ちをするが、互角の戦いの中、隠密磯

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    2025年09月20日
  • 秋霜

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    春雷に続けて読んだ
    多聞隼人が秋霜でも大きな影響を及ぼすとは
    人の心は周りの愛情で変わっていく
    この作品であらためて気付かされた

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    2025年09月04日
  • 潮騒はるか

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    解説を読んでこの作品は「風かおる」の続編であることを知った
    最後まで読んで「潮騒はるか」の意味がわかったような気がした
    正しいかはわからないが

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    2025年08月16日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    歴史小説を描く多くの作家が重複して歴史的事実を角度を変えて描いている
    この作品の黒田藩の騒動も森鴎外が描いていると解説を読んで知った
    人生どのように生きるべきか
    蒼天見ゆでも考えさせられたが、この作品でも作者に課題を出されたような気がする

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    2025年08月14日
  • 星火瞬く

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    葉室さんによる長崎関連作品の1つかな。
    あのシーボルトの息子を語り手にして、父の再来日に同行し、横浜や東京での様子を描いている。
    実在の人物や出来事を多用しているところは珍しいですが、作品中で彼らが交わす言葉や行動の細部は完全に葉室さんの創作と思われ、個性的な人物像を創り上げている点が非常に興味深く読む事ができました。

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    2025年08月10日
  • 春雷

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    ネタバレ

    鬼隼人の生き様。人になんと言われようが己の信念を貫く。相手にわかってもらおうとも思わない。非常に潔くて悲しい。後々百姓が隼人に感謝してる描写は出てくるけど生きている間に正当に評価されて欲しかったのが正直なところ。
    批判するだけで何も動こうとしないことへの怒りには耳が痛かった。嘆くだけでは現状はよくならず、具体的に行動してこそ意味がある。
    最後、名君ではなく暗君にはもっとすかっとしたかった。失脚だけでは生ぬるい

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    2025年08月09日
  • おもかげ橋

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    藤沢周平の後継者。と言うよりも、もはや、葉室麟らしい作品。
    映像化(もうなっているのでしょうか?)しても楽しそうな作品になると感じまする。

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    2025年08月09日
  • 陽炎の門

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    解説に人生の積み残しとあった
    人生において後悔がない人はいるだろうか
    この物語はそれを考えさせてもらえた

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    2025年08月05日
  • 山月庵茶会記

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    主人公 柏木靱負
    フリガナが振ってある
    かしわぎゆきえ
    何故「ゆきえ」なのだろう
    最初は実話に基づき作者が物語を描いたのかと思ったが
    茶の湯を通じて人の心を含め多くのことを学ばせてもらった

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    2025年07月27日
  • 蒼天見ゆ

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    この小説の表題「蒼天を見ゆ」
    読後の方が心に沁みた
    私は蒼天を見ようとしているのだろうか
    足元ばかりを見てきた人生のような気がする
    蒼天を見ることを、あらためて考えてみたい

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    2025年07月25日
  • 潮鳴り

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    「蜩ノ記」に続く羽根藩シリーズだが話が繋がっている訳ではなかった…たぶん。かつて酒席での失敗で海辺の小屋暮らしにまで落ちぶれた伊吹櫂蔵が弟、新五郎の無念を晴らしていく。新五郎が借銀の責を負い切腹した裏には明礬商いを独占する豪商播磨屋の思惑を守らんが為の闇が潜んでいた。櫂蔵は新五郎と同じく新田開発奉行並としてこの闇を晴らしていく。しかし全てがハッピーエンドという事ではない。新五郎の死を知り、一度は命を絶とうとした櫂蔵を助け、彼を支え続けたお芳は櫂蔵と櫂蔵の継母の染子の名誉を守る為に自ら死んでしまう。お芳を死に追いつめ新五郎を切腹に追いやった黒幕、井形清左衛門は、切腹ではなく蟄居となる。こういうと

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    2025年07月20日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    推理サスペンスのようでとても読みやすく、政治、恋愛、友情、義理人情と色んな要素が詰め込まれていました。読み進めるにつれて過去と現在が繋がりました。

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    2025年06月30日
  • 秋霜

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     他人に惑わされず、互いを思いあいながら己の生き方を大事にしている欅屋敷の人々の優しさと強さを感じる。

     登場する人々が、違和感を感じるほど素直であったり信念を貫き通す強い人であったりして戸惑う場面もあったが、著者が描きたかった日本人の慈悲深さ、美しさの表れであると思うと納得できる。


     ところどころ、学問の話も出てきて、臥雲の孟子に関する講義が良かった。

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    2025年06月12日
  • 春雷

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    体裁や人目を気にして生きるのではなく
    自分の信念・生き方を変えることなく突き進んでいく
    人は変えられずとも、自ら変わることはできるし、その種を蒔くことはできる。

    鬼隼人らに、良くも悪くも違和感が拭えぬまま読み進めていた自分も、世で言う善悪、その人の言動のみに目を向けて判断する善悪に惑わされていることを自覚した。

    自分はどう生きたいのか
    羽根藩シリーズを読むたび、様々な角度から問いかけられている気がする。

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    2025年05月17日
  • 潮鳴り

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     蜩の記に続き、羽根藩シリーズ第2弾であるが、全くの別物。しかし、蜩の記の後に読むと、気持ちが高揚する箇所も多かった。

    蜩の記よりエンターテイメント色が強く、小説として楽しんだ。

    底まで堕ちた人々が、もう一度花を咲かせようと、人を想いながら信念を貫き、生きる姿が美しかった。

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    2025年05月17日
  • 蝶のゆくへ

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    ネタバレ

    本書は、葉室麟最晩年の作品であり、「新宿中村屋」創業の星りょうの目を通して描かれる幕末明治の文芸家たちの群像劇となっている。
    北村透谷、島崎藤村、国木田独歩、若松賤子、佐々城信子、三宅花圃、樋口一葉、斎藤緑雨、勝海舟、クララ・ホイットニー、瀬沼夏葉、萩原碌山、中村彝、高村光太郎、ラス・ビハリ・ボースなどとの関わりが描かれている。
    それにしても、星りょう(相馬黒光)の交友関係がすごすぎる。作者もその点に注目し、執筆したに違いない。
    当時の女性は、男にかしずき男を立てるのが女性の理想とされていた時代。そんな中、自分に正直に蝶のように舞うことがいかに困難だったか、その規範に外れた女性たちがどういう扱

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    2025年05月04日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    葉室麟、本当に惜しい作家を亡くしました。
    「蜩ノ記」「川あかり」「山月庵茶日記」「草雲雀」などの傑作や「潮騒はるか」「鬼神の如く」「銀漢の賦」「橘花抄」「冬姫」などの秀作に連なり、私の傑作葉室コレクションがまたひとつ増えました。
    この小説を読み進めながら、作者がどうやって登場人物たちのもつれた糸をほぐし、破綻なく物語に収束をつけるのか、試しに想像してみるも私の頭では不可能でした。
    それを難なくやってしまう筆者の構想力と文章力に脱帽です。見方を変えれば、本書は上質謎解きミステリーとしても十分楽しめます。
    これから読む人のために、謎解きの鍵となるヒントを。
    “くもり日の影としなれる我なれば
    目にこ

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    2025年04月08日
  • 山月庵茶会記

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    黒島藩シリーズの3作目とのことだが、既刊の『陽炎の門』『紫匂う』の2作品とは人物・時代とも関連性はない。
    著者には他にも扇野藩シリーズや羽根藩シリーズもあるが、何れも同様な構成になっている。
    藩の政争に敗れ黒島藩を去った元勘定奉行が、妻の死の真相を知るために、茶人となって帰ってくる。様々な波紋が沸き起こり虚々実々の戦いが繰り広げられる。
    最後、容疑者を集め「犯人はお前だ」とのクライマックスがあり、本格ミステリーを彷彿させる。
    様々な作品で、漢詩や和歌の深く豊かな素養を開陳する著者が、本書では茶席の描写や茶の心をストーリーに融合させ、物語の世界を豊饒にしている。

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    2025年03月07日
  • 蒼天見ゆ

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    最後の敵討ちとして有名な秋月藩の臼井家のものがたりどある。父の亘理の生き様から息子の六郎の敵討ちとその後を描いている。
    同じモチーフである吉村昭の『敵討』も十年以上前に読んだが、葉室氏のストーリーは、幕末から明治草創期の偉人が登場して、小説として面白くしている。
    武士のメンタリティーを考える上で、貴重な作品である。
    また、題名の意味がこの小説の潮流として大きく流れている。

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    2025年02月07日