葉室麟のレビュー一覧

  • 橘花抄(新潮文庫)

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    現代にも通じる権力者交代に伴う粛清の嵐。藩のために憎まれ役であっても献身した結果が、あまりに酷い。
    父が自害した後、藩の重役である立花重根に引き取られた卯乃は、重根に慈しみながら育てらる一方で、藩主家の騒動と藩政の変換に巻き込まれていく。立花一族に襲いかかる数々の苦難。卯乃は周りの人々に助けられながら立ち向かっていく。
    重根の生き様は武士としてかくあるべきなのだろうが、やけに切ない。

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    2023年07月02日
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)

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    男の男に対する情愛の深さを突き詰めたら、ここまでいくのかという作品。主人公の三浦圭吾は、道場一の遣い手である樋口六郎兵衛の稽古の相手をさせられる一方で、危急の時も彼に救われる。そんななか、六郎兵衛は拐われた豪商の娘を助けるのだが、その手柄を圭吾に譲り、やがて圭吾はその娘を娶ることに。時は流れ圭吾は出世していくが、六郎兵衛とは疎遠になり、再びまみえたときには、、、
    葉室麟らしいちょっとした救いのあるエンディングではあるが、六郎兵衛の生き様はやるせなく切ない。

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    2023年07月02日
  • 星と龍

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    あー面白いと思ったら、未完、、、。
    確かに葉室さん亡くなる年に書かれたから仕方ないが、、、。続きが読みたい!!

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    2023年07月01日
  • あおなり道場始末

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    主人公たち三兄弟がとっても仲良しで読んでいて微笑ましい。
    昼行灯な長男にしっかり者の下2人が支えて…と思ってたら、ちゃんと長男も2人を守ってて関係性がすてきだった。
    後半色々な事実が分かってくるけど殺伐とした雰囲気にならずに読めたのは彼らの性格のおかげ。

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    2023年06月25日
  • おもかげ橋

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    いかにも葉室作品という、真っ直ぐ潔く生きる無名の男たちの物語。
    小藩の権力争いに巻き込まれて致仕せざるを得なくなり、江戸に出てきた幼なじみの2人は方や浪人、方や武士を捨てて商家に婿入りして暮らしていた。
    ところがそんな2人はまたしてもぶり返した旧藩の権力争いに巻き込まれる。。
    弥市と喜平次ほ最後までブレることがなかったけれど、ヒロインともいうべき荻乃の思わせぶりな態度は目に余る。それだけに弥生との対比が際立つんだけど、一貫して彼女を信用していなかった椎原亨は小物だけど一番人を見る目があったりして。

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    2023年06月14日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    この世をば 我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば
    藤原道長と藤原隆家の関係をもとに刀伊が太宰府に攻め入る話

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    2023年06月10日
  • 決戦!忠臣蔵

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    結局、真相は、藪の中。なぜ浅野内匠頭は、吉良上野介に斬りかかったのか。ここまで資料が何も出てこない事件も珍しい。

    諸田玲子の「与五郎の妻」が特に良かった。泣けた。

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    2023年06月04日
  • 紫匂う

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    葉室麟の時代物はとても良い。素直に登場人物に感情移入できて、物語を堪能できる。女性が主人公なのでどうかと思ったが、全くの杞憂だった。面白い本、心が洗われるような読書をしたい時は葉室麟に限る(ちょっと前なら藤沢周平)。オススメ。

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    2023年05月27日
  • 冬姫

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    信長の娘、冬の生き様。
    蒲生氏に嫁いだ冬という女性がいたことも知らなかったけれど、歴史上の有名武将もいっぱい登場するので流れは分かりやすかった。
    始めは呪いなどの話題も多く面白く読んでいたけれど、段々と人間関係のしがらみに苦しみながら「女いくさ」を戦い抜く強い女性に圧倒された。
    侍女のもずの苦悩と献身も見所だった。

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    2023年05月13日
  • 乾山晩愁

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    戦国から江戸元禄期に渡り後世に名を残した尾形乾山、狩野永徳、長谷川等伯、清原雪信、英一蝶といった絵師、陶工達を描いた5篇の短編集。主人公はそれぞれ異なり、独立した作品集ではあるが、時の権力者に深く関わる狩野派が絡んでおり連作短編集的な楽しみもある。
    天才的な絵師の創作活動を語るというよりも、創作する上での絵師が、人としていきる様々な欲望や希望、そして到達する達観を見事に描いている。

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    2023年05月13日
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)

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     武士社会のお話はあまり好んで読まないのだけど、読み始めたらすぐに引き込まれていった。血生臭い場面も多いのになぜか美しい。人の命をなんとも思っていない藩主や奉行たちが不気味だ。圭吾もそうなりつつあったのに、友と妻が救い出していく。
     美津は世間知らずのお嬢様な雰囲気だったが、良い奥方になっていき、六郎兵衛のことも理解していき良かった。
     あれほど多くの人を切ってしまった六郎兵衛には惨めな死に方しか用意されないのだろうかと諦めの気持ちで読んだが、どうやらその場面は見なくて済んだ。病で長くはないかもしれないが、どうか静かに過ごせていたらと願う。

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    2023年05月09日
  • 大獄 西郷青嵐賦

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    奄美時代までの西郷さんの伝記。葉室さんの本は初めて。
    一橋派と尊攘派の連携の様子など、分かりづらい部分も説得的に書かれている。西郷さんの海外観、運動の進め方などで、大久保と徐々に意識がずれていくのが、その後の展開を思わせる。
    総じてフラットな書きぶりで、西田さんや鹿賀さんの顔しか出てこない自分には読みやすい本だった。

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    2023年05月06日
  • 河のほとりで

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    『柚は九年で』に続く、急逝直前まで新聞や雑誌に記された随筆集第2弾。
    「書物の樹海へ」は、他の作家の時代小説の文庫に、著者が書いた解説を集めたもの。
    早乙女貢著「奇兵隊の叛乱」、山本兼一著「おれは清麿」、青山文平著「伊賀の残光」安部龍太郎著「レオン氏郷」などなど。
    どれも未読であり、是非にと読んでみたい気持ちを起こさせてくれる。
    「日々雑感」の「健康への出発」で、健康に自分で責任を持ち自分の年齢をもっと自覚しようと、記していた著者が、その半年後に急逝したとは・・・。

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    2023年05月04日
  • あおなり道場始末

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    しばらく読み進めて、葉室麟にしてはキリッとしないなと思いながら、作品に入り込めずにいたが、中盤以降はサスペンスもどきの目まぐるしい展開で、気がつけば読み終えていた。
    「あおなり」を弱々しいイメージで当たり前に受け入れていたが、青瓢箪とうらなりの造語であった。
    道場主であった父の死に不信を抱く三兄弟(兄、妹、弟)が、同業の道場破りをしながら、真相に迫っていく。何やかんや揉めながらも兄弟の絆がさらに深まっていく。ほんわかした読後感。

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    2023年04月30日
  • あおなり道場始末

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    葉室さんの時代小説は、心の琴線に触れるものばかりを読んできたので、少しのユーモアがとってもコミカルに感じてしまう。主人公のキャラが立っていて楽しく読ませていただいた。個人的に新しい葉室さんて出会えて笑みがこぼれちゃった。こんな時代小説も好きだな〜・・・。(o^^o)

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    2023年04月29日
  • 潮鳴り

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    著者は、出版社によって作品を書き分けているそうで、舞台とする藩についても、角川版には架空の扇野藩を、この祥伝社では、やはり架空の羽根藩を用いている。
    羽根藩シリーズと銘打たれるが、羽根藩が舞台というだけで、一部を除きそれぞれの作品に関連性はなく、登場人物にもつながりはない。
    第一弾の直木賞受賞作『蜩ノ記』は、死を意識した所から始まる「生の美学」であるのに対し、第二弾の本書は、「落ちた花は再び咲かすことはできるのか」をテーマにした再生の物語となっている。
    役目を失敗して、お役御免となった伊吹櫂蔵が主人公。
    彼が弟の切腹をきっかけに、それまでの無頼な暮らしを改め、弟の無念を晴らすべく、真相究明に立

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    2023年04月23日
  • 暁天の星

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    不平等条約の改正に挑んだ陸奥宗光を描いた未完の遺作。
    紆余曲折を経て、外務大臣に就任し、講和条約に入るというまさにクライマックス的なところで未完となり、その先が読めないのは本当に残念の極み。
    併録の『乙女がゆく』は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』へのオマージュだろうか。
    姉の乙女が竜馬を訪ね、男装で京都の寺田屋まで行き、竜馬の危機を救い、さらに竜馬のフリをして桂や西郷に面会するという、なんとも愉快な短編。
    著者の長女涼子氏のエッセイも収録されており、葉室ファンには見逃せない一冊。

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    2023年04月12日
  • 読書の森で寝転んで

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    ネタバレ

    中年以降に小説を書く仕事についた人間には、時間に対する特別な思いがある。作品を書くため、自分に許されている時間は一体どのくらい残されているのだろう、と考えてしまうからだ
    自分が生きていく意味と言うのは、自分たちの親や、その親、さらに何代も前の先祖たちが生きてきた歴史の中にあるはずだ。そこにどうたどり着いていくのかと言うことを、考えなければいけない

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    2023年04月09日
  • 蝶のゆくへ

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    若松賤子の小説を読んだ後、ここにも描かれていると知って読み始めた、初めての葉室麟さん。
    どうやら、これまでの作風とは異なっているらしいけれど、私はすっかり魅了された。
    若松賤子は「我にたためる翼あり」に登場していた。当時の女流作家が何人か出てくるけれど、一番鮮やかに浮かび上がるのは、樋口一葉。ここまで樋口一葉を描いた小説を知らないが、これぞと思わせるリアリティがあった。作者の明治文学への深い洞察が描かせたものに違いない。この時代の明治のインテリたちの動向がよくわかる。
    それぞれの短編には島崎藤村、北村透谷、有島武郎など、明治の文学者が現れるが、いわゆるスキャンダルを扱っていて、男たちには魅力を

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    2023年04月07日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    中江有里解説 散り椿の意味するもの
    目には見えない、手の届かない世界は確かにあるのだと思うだけで、生きる力が湧いてくる。散り椿はそんな小説だ
    本書の登場人物は、誠実であろうとするゆえに生きづらさを抱え込む人が多い。誠実でありたい、と思っても世の中を渡るには、その誠実さが邪魔になることもある

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    2023年03月19日