葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は、出版社によって作品を書き分けているそうで、舞台とする藩についても、角川版には架空の扇野藩を、この祥伝社では、やはり架空の羽根藩を用いている。
羽根藩シリーズと銘打たれるが、羽根藩が舞台というだけで、一部を除きそれぞれの作品に関連性はなく、登場人物にもつながりはない。
第一弾の直木賞受賞作『蜩ノ記』は、死を意識した所から始まる「生の美学」であるのに対し、第二弾の本書は、「落ちた花は再び咲かすことはできるのか」をテーマにした再生の物語となっている。
役目を失敗して、お役御免となった伊吹櫂蔵が主人公。
彼が弟の切腹をきっかけに、それまでの無頼な暮らしを改め、弟の無念を晴らすべく、真相究明に立 -
Posted by ブクログ
若松賤子の小説を読んだ後、ここにも描かれていると知って読み始めた、初めての葉室麟さん。
どうやら、これまでの作風とは異なっているらしいけれど、私はすっかり魅了された。
若松賤子は「我にたためる翼あり」に登場していた。当時の女流作家が何人か出てくるけれど、一番鮮やかに浮かび上がるのは、樋口一葉。ここまで樋口一葉を描いた小説を知らないが、これぞと思わせるリアリティがあった。作者の明治文学への深い洞察が描かせたものに違いない。この時代の明治のインテリたちの動向がよくわかる。
それぞれの短編には島崎藤村、北村透谷、有島武郎など、明治の文学者が現れるが、いわゆるスキャンダルを扱っていて、男たちには魅力を