あらすじ
かつて一刀流道場四天王の一人と謳われた瓜生新兵衛が帰郷。おりしも扇野藩では藩主代替りを巡り側用人と家老の対立が先鋭化。新兵衛の帰郷は藩内の秘密を白日のもとに晒そうとしていた――傑作長編時代小説!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主人公である新兵衛だけでなく、まわりの人々も皆後悔ややりきれなさ、孤独を抱えている中でも、それぞれが自らの意志を持って信念を貫き、生き抜く姿に胸を打たれた。
世の理不尽さや生きづらさがこの作品の一つの要となっており、現代と重ねながら読める。
Posted by ブクログ
葉室麟はいつも葉室麟。安定した王道の武家モノ。
きっと私はちょっと古い日本人に憧れているんだと思います。
葉室さんの武家モノにはそういった本当にいたのかこんな人?と思えるくらい純な人間が登場してくるので、いわばファンタジーとして読ませてもらってます。
心の中が浄化されました。今、私はとても良い人だと思います。
いつまで持つのかは不明ですが……。
Posted by ブクログ
瓜生新兵衛は、かつて上役の不正を訴えたが認められずに、藩を追われた。
妻の死に際に、新兵衛に対して故郷に戻ってして欲しい事があるとお願いする。正反対の願いであったが、新兵衛に生きて欲しいとの気持ちからの願いであった。
散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ。
まさに名作である。
Posted by ブクログ
「散り椿」という題名に惹かれて葉室さんの時代小説を初めて手に取った。 長く世間を渡るほど、世の中は綺麗ごとばかりではないと身をもって知ることになる。 ずいぶん昔にどこかへ置いてきしてしまった主人公の一本気な生き方が清々しい。 「散る椿」の意味を知ることになる結びに胸が詰まる。 再読本に入れる。
Posted by ブクログ
相手を想うが故に、哀しい方へ行ってしまう。以前拝読した雨宮蔵人シリーズでも和歌が良く出てましたが、この作品でも鍵となる和歌が出てきましたね。二つとも真実の意味の歌。藩内の陰謀と家族愛と恋愛と友情と。盛り沢山過ぎ。やっぱり葉室作品大好きです。
Posted by ブクログ
夫婦、仲間、家族のそれぞれの思いが強いほど誤解もあるもの。思いが複雑に絡み合うなかそれぞれの心情を丹念に描いた傑作。映画もいいがぜひ原作を。
『散る椿はな、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるのだ。』
Posted by ブクログ
現実にはありえない世界なのに、心が揺すぶられ生きる勇気が出てくる。小説の舞台は江戸時代なのに、妙に現実と符合する。主人公坂下藤吾の行動が半沢直樹を彷彿とさせる。
Posted by ブクログ
久しぶりに最初からぐいぐい引き込まれる文章とあらすじに出会い、1日で読んでしまいました。
登場人物のキャラクターもきちんと描かれていて、しかもみんな魅力的で(私は采女が好きでした)
お話もしっかり作り込まれていて、最後まであっという間に読んでしまいました。
でも、この間の瀬尾まいこさんの「幸福な食卓」といい
全てがハッピーエンドではない本は読んでいてちょっと辛いです。今回も采女も亡くなり、新兵衛もまた何処かへ行ってしまい、とても寂しい気持ちが残りました。
采女とお義母さんの和解させてあげて、できれば里美さんと采女を取り持ってあげて欲しかったなぁ。
この先、藤吾がメキメキ政治手腕を発揮して、お殿様の片腕となり、良い国を作ってくれることを願っています。
そのための散り椿、でもありますよね…
Posted by ブクログ
たまたま目について買ってみました!
舞台は江戸時代で、日本史好きの自分にとってはページをめくる手が止まりませんでした笑
様々な人間関係が複雑に絡みあって物語が進んでいきます。
ある場面では感情移入して涙を流しそうな時もありました笑
少し難しい漢字もあり、携帯で意味を調べながら読み進んでいきました。
是非お勧めしたい一冊です!
Posted by ブクログ
葉室作品は蜩の記に次いで二冊目
映画化の話題に乗って
一本芯の通った壮年の男性と、その人に関わる事で成長する若者
どうにもならない世の中だけれど、己の信じるものを求め、ひたむきに生きる事の素晴らしさと切なさ
語彙が少ない自分がもどかしい
Posted by ブクログ
推理サスペンスのようでとても読みやすく、政治、恋愛、友情、義理人情と色んな要素が詰め込まれていました。読み進めるにつれて過去と現在が繋がりました。
Posted by ブクログ
葉室麟、本当に惜しい作家を亡くしました。
「蜩ノ記」「川あかり」「山月庵茶日記」「草雲雀」などの傑作や「潮騒はるか」「鬼神の如く」「銀漢の賦」「橘花抄」「冬姫」などの秀作に連なり、私の傑作葉室コレクションがまたひとつ増えました。
この小説を読み進めながら、作者がどうやって登場人物たちのもつれた糸をほぐし、破綻なく物語に収束をつけるのか、試しに想像してみるも私の頭では不可能でした。
それを難なくやってしまう筆者の構想力と文章力に脱帽です。見方を変えれば、本書は上質謎解きミステリーとしても十分楽しめます。
これから読む人のために、謎解きの鍵となるヒントを。
“くもり日の影としなれる我なれば
目にこそ見えぬ身をばはなれず”
という残された和歌の解釈がポイントです。
では、葉室ワールドをじっくりご堪能ください。
Posted by ブクログ
葉室麟さんの小説には、冬咲く椿の花がよく似合います。 それも真っ白い椿が。寒さに耐えて咲き、潔く散る‥、この話もそんな清しい心持ちにさせてくれるお話です。
藩を追われた剣の達人、瓜生新兵衛。無実の罪で自害した父親を持つ坂下 藤吾。藩からも一目置かれる、かつて剣術道場の四天王と称された榊原采女。その三人が篠という亡き女性を通して繋がっていきます。
複雑なお家事情の政争に巻き込まれ、命を狙われ、良き人々を殺され、汚名を汚され、それでも誠実な生き方を貫こうとする者たちのドラマが、このお話の真髄へと導いてくれます。
藩の不正や賄賂を暴けば、簡単に追放されたり、斬り殺されてしまう時代は、形は違っても今の社会のヒエラルキーの中で動く私達と似ています。
そのどろどろした人間模様を、葉室麟さんは静かに、誠実に紡いでいく。選び抜かれた言葉で遠くを見据えて。それゆえ 読後感が清しいのだと思います。
この小説のなかの登場人物を、俳優さんなら「演じてみたい!」「自分はこの役をやりたい」と思う人も多いのではないでしょうか?
読者の私たちは、好みの俳優さんを想像して読み進めるのもいいかもしれません。
Posted by ブクログ
読み進めるうちに関係者の過去が明らかになってきて続きが気になる。一気に読んでしまった。小説を多産している方なので別のものも読みたい。
お名前を拝見しててっきり女性かと思っていたが男性とのこと。登場人物の心の機微を丁寧に描いており女性目線かと勝手に思い込んでいた。
面白かった。
Posted by ブクログ
瓜生新兵衛が、かつての上司の不正を訴えたが認められずに、藩を追われる。そして妻の篠とともに故郷を離れることとなる。それから18年後、亡き妻の願いを叶えるために新兵衛は故郷へ戻ってきた。
新兵衛と藤吾との育まれていく絆、平山道場の四天王と呼ばれた仲間たちとの友情、采女と篠との複雑な想い、新兵衛と篠との夫婦愛、様々な人間模様が誠実さを含めて描かれている。
『散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ』切ないながらも、武士として生きた天晴れな物語である。
Posted by ブクログ
中江有里解説 散り椿の意味するもの
目には見えない、手の届かない世界は確かにあるのだと思うだけで、生きる力が湧いてくる。散り椿はそんな小説だ
本書の登場人物は、誠実であろうとするゆえに生きづらさを抱え込む人が多い。誠実でありたい、と思っても世の中を渡るには、その誠実さが邪魔になることもある
Posted by ブクログ
とても美しい物語だった。
最初亡き妻の真意が分からず好きじゃなかったんだけれど、読み進めていくと段々と様々な事の裏側が見えてくる。
彼女の、そして彼らの一途な愛が痛いほど伝わってくる。
過去の事件の真相が徐々に分かってくるにつれて、彼らへの心情が二転三転していく。
誰が敵かと疑心暗鬼になったり、卑劣な手段に出る相手方にハラハラの展開もあって、始終面白く読めた。
Posted by ブクログ
Netflixで映画を見て、葉室麟作品を始めて読んだ。映画も良かったけどやはりこの原作の方がより深い味わいで良かった。葉室麟作品をこれから読んでいくことになるんだろうなという予感。
Posted by ブクログ
椿の花が落ちる時は花丸ごと落ちてしまうので武家には嫌われていたが、本編での椿は一片づつ落ちでゆく。
作中の人物も段々と亡くなっていく、本編の椿になぞられる様だ。
哀しい結末ながら、若い二人の新しい芽生えが救いか…。
Posted by ブクログ
良い物語だった。
新兵衛と采女の篠を介した関係や彼らの矜持だけでなく、中途半端な風見鶏だった藤吾の成長や、里見の優しさなど、人と人が関わることで互いに影響し合う機微の描き方は派手ではないものの静かな余韻を残します。
Posted by ブクログ
(わしは新兵衛のこと羨んでいるのでだろうか)
きっとそうなんだろう。戻ってきた新兵衛には、貧しい生活を送ろうとも心のうちに豊かさを抱き続けた者の確かさが感じられる。
それに比べて自分はどういきてきたか。
切れ者と人に畏れられるようになりはしたが、親しく言葉をかけてくれる者はいない。ただ遠くから畏敬の視線を送ってくるだけだ。
皆それぞれに生きてきた澱を身にまとい、複雑なものを抱えた中年の男になってしまった。もはやむかしのように素直に心中を明かすことなどできないはしないだろう。
篠とはついに再び会うことができなかった。新兵衛とともにどのような思いで生きてきたのか篠から直に聞きたかった。
それももう叶わない。自分に残されているのは、藩内での政争に勝ち抜くことだけだ。
物思いにふける采女の表情は、しだいに権力を争う重役の顔になっていた。
Posted by ブクログ
扇野藩に、昔、一刀流道場の四天王と謳われた男達がいた。
瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え、藩を追われ、愛妻・篠と二人で、故郷を後にした。
榊原采女は、側用人で、「いずれ家老にまで昇り詰めるのは、間違いがない 」とみられている。
父、平蔵は、不正が見つかり、何者かに、惨殺されていた。
坂下源之進は、使途不明金を糾問され、無実を訴えながら、自害。
息子の藤吾は、減石されたお家を元に戻す為、出世だけを目指し、日夜、励んでいる。
篠原三右衛門は、馬廻役で、娘の美鈴と、新兵衛の甥藤吾とは、許嫁の間柄。
瓜生新兵衛は、妻を亡くし、18年後に、ぶらりと、故郷に戻ってきた。
妻が、死際に、「故郷の椿を、自分の代わりに見てきて欲しい」と言った為だった。
そんな新兵衛が見たものは、藩主の代替わりに伴う、家老と側用人の対立であった。
藩主・親家の嫡男、政家が、跡を継いだら、親政をすると言う。
親家の庶兄、刑部家成と与している家老は、不正が暴かれるのを、阻止するため、政家の命を狙う。
家老の陰謀に立ち向かう、新兵衛と藤吾。
繰り広げられる事件を解決していくうちに、坂下源之進の自決の理由、榊原采女の父親を惨殺した犯人が暴き出される。
初めは、反発していた、甥の藤吾が、だんだん新兵衛に傾倒していく様子や、
采女が見せた、武士魂。
泣きどころ満載。
夫婦愛。家族愛。友情。侍である矜持。
どれも、描写が、素晴らしい。
流石、葉室麟と、言うしかない。
Posted by ブクログ
最初からぐいぐい引き込まれる物語で、一気に読み進めることができた。
ひとがひとを深く思う気持ちを強く感じられる作品で、それぞれのひとを思う気持ちに深く胸を打たれ、熱くなります。
「時代小説いいなぁ」って思える、素敵な作品です。
Posted by ブクログ
先に映画を観ていたのですんなりと読み進めることができた。人の世も心も、時が経てもそれほど変わるものではない。だが、変えていかねばならぬことはしっかりと変えていきたい。そんな風に思った。
Posted by ブクログ
最愛の妻をなくし、その最後の遺言の意味に気づいた時涙が止まらなくなりました。
大切な人を想う気持ちで生きている武士達の物語です。
時代劇を読んだことのない人にもおすすめです。
Posted by ブクログ
特に主人公を特定しない設定、ある藩の対立の物語だが謎が多い、
「散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていける」意味深な内容
四天王の思惑と役割、更には女たちの関り、改革派と守旧派の対立は、最後まで予断を許さぬ展開
散り椿
人生の最終コーナーをどのように生きていくかは普遍的な問題だと思います。それを自分の思いとは違っていても振り返ればあれでよかったと思うようなことができる人生は素敵だと思います。主人公やそれを取り巻く人たちにとって後悔のない人生を送りたいという気持ちが素直に心に響きます。映画化しやすい小説と思いますが、どんな風に映像化されるか興味がわきます。
読んでいて久しぶりに、
時代小説の面白さを実感しました。登場人物の相手への思い、武士としての、意地、
現代人であれば、そんな意地で、友や思い人を失うようなことはしないだろうにな、と思いながら、最後まで一気に読んでしまいました。
Posted by ブクログ
映画はドラマチックに作られていたが
原作は静かで、なのに腹の底に覚悟があるような、
そんな作品だった。
それぞれが懸命に生きていて
(もちろん悪役もいるけど)
自分もまっすぐに生きることをがんばろうと思えるような
読後感。
扇野藩シリーズも読もうっと。