葉室麟のレビュー一覧

  • 銀漢の賦

    Posted by ブクログ

    心に染入る良い物語だった。
    藤沢周平原作の時代劇映画をを見ている様な清々しさを感じた。
    (藤沢周平さんの時代小説を読んでいないもので・・・)
    三人の男たちの友情にまつわる物語。
    名家老と呼ばれるまでの地位に上り詰めた小弥太こと松浦将監。
    郡方の日下部源五、そして数十年前に処刑された農民の十蔵。
    50才を過ぎ人生の終盤に差し掛かった彼らが、藩内で密かに進行している大きな事件に命を懸けて立ち向かう。
    人物の描写が秀逸で登場人物たちのそれぞれぞれ想いが切ないくらいに伝わってくる。
    幼少時代から語られるエピソードは詩情豊かで、人間というものの根本のところは幼少期に体験したことにより形作られると感じさせ

    0
    2017年12月20日
  • 冬姫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な“女いくさ”を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。

    0
    2017年12月08日
  • 春雷

    Posted by ブクログ

    内容(「BOOK」データベースより)

    “鬼隼人”許すまじ―怨嗟渦巻く豊後・羽根藩。新参の多聞隼人が“覚悟”を秘し、藩主・三浦兼清を名君と成すため、苛烈な改革を断行していた。そんな中、一揆を招きかねない黒菱沼干拓の命を、家老就任を条件に隼人は受諾。大庄屋の“人食い”七右衛門、学者の“大蛇”臥雲を招集、難工事に着手する。だが城中では、反隼人派の策謀が…。著者畢生の羽根藩シリーズ第三弾!

    平成29年12月1日~6日

    0
    2017年12月06日
  • 決戦!関ヶ原

    Posted by ブクログ

    先に「決戦!関ケ原2」を読んでしまったので、こちらも。
    今回は徳川家康(伊東潤)、可児才蔵(吉川永青)、織田有楽斎(天野純希)、宇喜多秀家(上田秀人)、島津義弘(矢野隆)、小早川秀秋(沖方丁)、石田三成(葉室麟)。

    2を読んだ時も感じたが、この戦いほど様々な思惑が交錯した戦いもないように思える。裏切りや傍観や致したかなく、という気持ちで参戦する者、戦いが終わった途端に保身や論功行賞に走る者、純粋に戦うことを突き詰める者、自分自身でなく自分の国をどう守るかに徹する者…。

    この戦いでの勝者と敗者ははっきりとあるものの、その後の人生や評価、あるいは自分自身が顧みての勝者と敗者はそれぞれで、何が勝

    0
    2017年12月05日
  • 墨龍賦

    Posted by ブクログ

    海北友松の話。海北家の次男に産まれたため、寺に出されて、武士になりたい、でも絵も好きだということで明智家の斎藤内蔵助との関わりのことがずらずらと友松の一生として、春日局が語ると言うことで物語が流れる。狩野元徳との関わりが濃厚で、その才能が認められ、下絵画家としても関わるが、自分の生きる道は水墨画と言うことで表紙にもあるような龍、風景を墨の濃淡だけで描き、それを現代まで残す。今京都の国宝展に来ているような、雪舟の様な水墨画を残したその力強さを表すような、一生。画家シリーズをここ1年ぐらい読んだが、やはり一番は等伯。先日の宗達とはどっこいどっこい。やはりあまり画家の一生についての文献が内ので、筆者

    0
    2017年10月20日
  • 決戦!関ヶ原

    Posted by ブクログ

    ありえないとも言い切れない設定、前提が面白い連作だった。冲方丁目当てで読んだが、どれも読み応え十分だった。

    0
    2017年09月19日
  • 合戦の日本史

    Posted by ブクログ

    5名の小説家による歴史座談会。山本兼一さんが亡くなられたので、途中から4名になっています。信長・秀吉・家康・幕末がテーマの4回。
    やはり、同じ歴史上の出来事でも、それぞれが着目する点って違うんだな、と当たり前なんだけど新鮮に感じました。それだからこそ、数々の歴史小説を読む意味もあるというものです。まだまだ読書量も勉強も足りません。

    司馬遼太郎の影響について言及されているのも興味深い。ざっくりいうと、司馬遼太郎を超えて行け、ということですな。あの竜馬を超えるのは大変でしょうねぇ。
    三国志演義と三国史は別物。それに気づいたのっていつだろう?史書でなく小説・マンガから触れることが多いのが歴史だと思

    0
    2017年09月17日
  • 決戦!関ヶ原

    Posted by ブクログ

    それぞれの関ヶ原。勝つものがいれば、当然負けるものもいる。領土への野心のため。天下のため。家を守るため。戦う理由はひとそれぞれ。

    怪僧恵瓊の毛利に対する態度。家康と三成との結託。面白かったけど、人間的に好きになったのは小早川秀秋。徳川と豊臣との間で揺れながら米のことを考える姿がよい。幼少より秀秋のことを考える家臣がいたなら世間の評価はまた変わったものになったかもと思う。

    1
    2017年07月26日
  • 風のかたみ

    Posted by ブクログ

    武士の妻たちの生き様を女性医師の視点から綴る、葉室さんとしては珍しい本です。
    女どおしの確執が描かれていますが、ややあっさりめ。
    最後はとんだどんでん返しが。
    少し切なくなりました。

    0
    2017年06月30日
  • 緋の天空

    Posted by ブクログ

    女性を主人公にした歴史物って、力強くも繊細で勇気づけてくれる。大河の篤姫しかり、綾瀬はるか演じる八重しかり。
    ・・・とそんな気持ちで読み始めたら、、早速の挫折。
    あの、奈良時代の人間関係の複雑さ。血筋だけでも混乱するのに名前が難しい。登場人物の関係性がちんぷんかんぷんになり、話の展開がよくわからない。

    そんなんで、とうとう、読みながら家系図を作成。
    ・・・それが功を奏したのか、その後展開もわかりやすく、話が読める!(このやる気が学生時代にあれば・・・)
    藤原家と蘇我家の対立から、国を安定させたいと願う光明子の父、藤原不比等の政。
    光明子が生きた60年の間に天皇が4人も存在し、うち二人は夫と娘

    0
    2017年06月23日
  • 墨龍賦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    戦国時代の絵師・海北友松
    狩野派の麒麟児・永徳を始め、安国寺恵瓊、織田信長、尼子勝久、明智光秀、そして生涯の友となる斎藤蔵之助等、戦国の綺羅星のごとき武将達との交流と共に描く。
    武将の魂を持って絵と向き合う事になるその宿命。
    友松の目を通して戦国時代を映し出す。

    歴史上稀有なミステリー本能寺。
    光秀謀反の背景とは・・

    宮本武蔵、等伯、とも同時代。

    0
    2017年05月02日
  • 風のかたみ

    Posted by ブクログ

    初出 2015〜16年「一冊の本」

    葉室麟には珍しいミステリー仕立て

    町医者の娘で女医の伊都子は、大坂への遊学願いを認めるという条件で、女たちが監禁されている白鷺屋敷に住み込む。

    女たちは、ひと月前に藩主と対立して上意討ちにあった佐野家の妻女たちと女中たちで、自害しないように見張り、身籠っている者がいれば報告せよと伊都子は命じられる。

    女たちと暮らしているうち、外から来る男たちが次々に死んでゆき、伊都子は恐怖にかられていく。犯人が誰で、なぜ殺したのかと。

    武士の意地を通して命を捨てていった男たちに対して、命を守り、命を繋いでゆくのが武家の女の戦いなのだと覚悟が語られるが、それでも自分

    0
    2017年07月05日
  • 墨龍賦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     「武士に生まれながら絵師になった人物」と聞いて、絵師になりたくて武士の身分を捨てたのかと思っていたので、抱いていた印象と全然違って戸惑った。
     だが、読み進めていく内に、この龍のような絵は、内にそういう気性を秘めていなければ描けないんだろうな、と思えて納得した。
     明智光秀が信長を討った理由も、そんな見方があるのか、と新鮮だった。
     宮本武蔵が登場するのにもびっくり!

    0
    2017年04月12日
  • 墨龍賦

    Posted by ブクログ

    初出は2015〜16の月刊文庫「文蔵」

     日本史の資料集に松の墨絵が載っていた海北友松が、絢爛とした色彩に溢れる狩野永徳の門人で安土城の障壁画を描いていたとは知らなかった。

     海北氏は浅井長政の家臣で、友松は長男でないために京の東福寺に入って僧の修行を積んでいたが、絵の修行に励み、美濃出身の斉藤内蔵助と親しくなり、「蛟龍」と見た明智光秀の知己を得る。また同じ武家の出の修行僧と親しくなるが、彼はのちに安国寺恵瓊と呼ばれるて毛利氏の外交僧になる。
     海北氏が浅井氏と共に信長に滅ぼされ、友松は寺を出て狩野派の絵師として生きる。信長を仇と憎み、斎藤道三が「美濃国譲り状」を信長に与えたという話しが嘘

    0
    2017年02月20日
  • 風花帖

    Posted by ブクログ

    葉室麟著「風花帖」
    武士として命を捨てる事が使命とされながら、自分の大切な人のために命をかけ、武士である前に人間として生きる主人公の姿がとても爽やかに感じられる。

    0
    2017年01月25日
  • 実朝の首

    Posted by ブクログ

    鎌倉時代…各々家系の縦横軸を跨ぐ骨肉の争い、そして主導権を握る女傑陣。張り巡らされた点と点を線で結びたくなる面白過ぎる一作♪。

    0
    2017年01月23日
  • 紫匂う

    Posted by ブクログ

    天の目に見守られたジェットコースターロマンスも無事着地、、。紫草の花の性根…蔵太、小一郎、由喜が白過ぎる♪。

    0
    2017年01月12日
  • 紫匂う

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    知恵を働かせようとすれば、迷いは深まるばかりだ。しかし、己にとって最も大切だと思うものを心は寸分違わず知っている、と私は信じておる
    わからんこと、迷った事は、我が心に問ばいい。その通りだ、と澪は思った

    0
    2016年12月08日
  • 花や散るらん

    Posted by ブクログ

    『虚構と真実もまた不二である』と解説にある通り、史実とオリジナルを上手く織り交ぜ、忠臣蔵好きでもそうでなくても楽しめる。吉良と柳沢の野心や大奥の女達の妬み、蔵人達の情愛、武士の義など様々な角度から人間の心を描いた作品。一番好きな忠臣蔵、『元禄繚乱』と通ずるところがある。

    0
    2016年09月19日
  • この君なくば

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この君なくば一日もあらじ
    「この君なくば」は幕末の動乱に咲いた大輪の花のような強い愛を描いた作品である。舞台は九州、日向の伍代藩、主人公は私塾「此君堂」を開いた民間の学者、檜垣鉄斎の娘、栞。和歌をよく詠み、父亡き後の此君堂を1人で守っている。

    0
    2016年09月01日