葉室麟のレビュー一覧

  • さわらびの譜

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    ネタバレ

    爽やかに。でも、泣く‼︎

    扇野藩シリーズ。弓士のお話。姉妹のお話。

    石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも

    この春はたれにか見せむなき人のかたみにつめる峰のさわらび

    和歌の登場も楽しみのひとつ。
    早蕨の歌。

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    2018年08月18日
  • 無双の花

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     立花宗茂を主人公とする歴史小説である。宗茂は大友家家臣としての戦場での活躍を豊臣秀吉に見出され、大名に取り立てられた。文禄の役では日本の撤退戦において味方の窮地を救う大活躍をするなど戦功には華々しいものがあり、何よりも忠義を重んじる武将としての名声が高かったのである。
     ところが秀吉が死ぬとその地位は揺らぎ、関ヶ原でも西軍についたため、命運は尽きようとしていた。小説では正妻〓(門構えに言)千代の献身的な愛情も描かれる、子をなさぬ仲ながら常に宗茂の心に寄り添う存在として支えたのである。また、立花が信義に生きる家であることを確認しあう仲であった。
     牢人となった宗茂は家康に認めてもらうために江戸

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    2018年06月17日
  • 実朝の首

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     鶴岡八幡宮での実朝暗殺の事件は歴史の変節の象徴としてよく語られる。歴史の授業でも扱われてきた。この小説はその事件を発端として始まる。
     実朝の首はその後、公暁により持ち去られ、さらにそれをかつての実朝恩顧の者たちに奪われる。幕府執権側はこの事実を秘密裏に処理し、実朝の葬儀を恙なくおこなうことを目指す。それが鎌倉幕府の安定、北条執権体制の維持に不可欠と考えていたのである。
     この小説では実朝が殺害された後、一時首が見つからなかったという史書の伝にがモチーフになっている。もちろんこれは創作であり、ストーリー展開には多くの創意がみえる。
     小説の終末近くでそれまで遺骸の一部としてしか登場していなか

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    2018年06月17日
  • 蒼天見ゆ

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    まるきりフィクションかと思って手に取ったが、実話をもとにして、作家の想像力を膨らませた歴史小説だそうだ。
    日本最後の仇討をしたという臼井六郎が主人公。
    しかし、著者は書中で、山岡鉄舟にこう言わせる。
    「わしらが目にしているのは、最後の仇討ではない。最後の武士の生き様だ」
    年下の者が年上の者の仇を討つという、かつては当たり前だった生き方が維新後数十年で失われてしまい、人を殺すことが禁じられた明治初期。
    それでも、親の仇を果たさんとする六郎に、鉄舟は諭す。
    「私怨ではなく天に代わって邪を討つのだ」と。
    そして、艱難辛苦の果て、遂に思いを果たす六郎。
    著者はさらに、幕末から明治初期にかけての事件を描

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    2018年06月10日
  • 星火瞬く

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     大河ドラマの影響もあって幕末に注目が集まっているようだが、この小説の中にも攘夷浪人が登場する激動の時代を描いている。
     ただユニークなことに語り訳はかのシーボルトの息子であり、オランダ人の目を通して語られる幕末の風景ということになる。真の主人公は革命家を自認するバクーニンというロシア人である。革命のためには少々の犠牲は仕方ないとする。人間的に嫌悪感を感じたシーボルトはその生きざまに触れるうちに次第に彼の考えを理解するようになっていくという話である。
     ストーリーの中には勝海舟や高杉晋作といった名だたる人物が登場し、バクーニンの振る舞いに大きな影響を受けていく。実在した人物を核にしていることは

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    2018年06月05日
  • 冬姫

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    ネタバレ

    織田信長の次女「冬姫」の生涯(半生)を描く長編。連作短編の体となっており、冬姫幼少、伴侶となる蒲生氏郷との出会いから徳川政権時代までの数奇な物語を時系列に並べる。

    怪奇小説や剣劇エンターテイメントの要素も見せつつ、葉室解釈による(といってもあくまでノンフィクションとしてである)信長秀吉家康時代の史実小説の要素もあって、俺のように日本史にそれほど通じてなくても楽しく読める工夫が凝らされていて読み心地は良い。司馬遼太郎と山田風太郎のテイストを見せつつ、根底に流れる倫理観はやっぱ葉室燐らしく清楚で凛とさせている。

    女の戦いは心の刃を研いで行うもの…。これが女の戦いなら、やはり戦いなぞというものは

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    2018年05月03日
  • 決戦!関ヶ原

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    歴史小説は好きでこれは面白いと思って読んだが期待通りであった。7人の上手い書き手による人物ごとの短編である。それぞれが書き込まれているので、短編集にありがちな薄さ物足らなさはなかった。
    書き手の取り上げ方によって史実の見方を変えている所も興味深い。一番は「怪僧恵瓊」だった。
    このシリーズは追っかけたい。

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    2018年05月03日
  • 決戦!関ヶ原

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    関ヶ原の戦いを7人の武将の視点から、7人の小説家が描いたオムニバス短編。一つの事件でも、異なる立場から見たら別々の物語になる。ということを感じさせてくれる。

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    2018年03月11日
  • 墨龍賦

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    海北友松の絵が好きで手に取った本。
    信長、秀吉と歴史的に面白い時代に生きていた人物なので、時代背景だけでも楽しめます。

    葉室麟の作品は初めて読みましたが、かなり良かったと思います。

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    2018年03月08日
  • 恋しぐれ

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    蕪村の俳句などを題材にした、全編恋の短編集。
    華やかさはないが、心に沁みる情愛にあふれています。
    たぶん年を重ねた人には響く物語なのかもしれません。恋の儚さに思いを馳せるでしょう。
    ゆっくり味わって読むことをお勧めします。

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    2018年03月01日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    生まれて20年福岡にいながら、同著の「月神」で維新の歴史に福岡藩士が登場しない理由を知り、今回は三大お家騒動のひとつである黒田騒動を知る。藩主忠之に疎まれた大膳が命を賭して幕府と戦わなかったら、お家お取り潰しになって黒田の52万石も無くなっていたのだと分かった。
    しかし、宮本武蔵と夢想権之助との剣術対決もあり、ワクワクしながら読むことができた。
    ところで、神君家康より賜った関ヶ原感状は実在するのであろうか、一度拝見してみたい。

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    2026年01月17日
  • 紫匂う

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    萩蔵太の妻澪は、過去に契りを交わした笙平に未練があり、浅慮な行動をする人だと思いながら読み進むと、政争に巻き込まれるにつれ蔵太との夫婦愛が段々に強くなっていく。これまでの政争ものの葉室作品と異なり、夫婦・家族愛に溢れる作品であった。

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    2026年01月17日
  • はだれ雪 下

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    浅野内匠頭の最期の言葉は、家臣や領民のことではなく妻の身の上の心配だったのは、武士の対面ではなく人を愛おしむ心の方が優ることを作者は言いたかったのであろう。
    消え残るはだれ雪のように、美しくはないが泥まみれでも生を全うする勘解由とその妻紗英の二人を称賛したい。

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    2026年01月17日
  • 散り椿

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    亡き妻・篠が残した言葉に従い帰藩する新兵衛。藩主代替わりを切っ掛けとする藩内政争で周りの要人や友が亡くなっていき、新兵衛もその抗争に巻き込まれていく。
    篠の意図や亡くなった方々が何故死に至ったのかが、読み進む従い明らかになっていき、表題の散り椿とは「残る椿があると思えるから散り椿は見事に散っていける」という作者の思いが強く分かる作品であった。
    ところで、花首から落ちて散るのが椿だと思っていたが、山茶花のように花弁ごとバラバラに散る散り椿があると知ったので京の地蔵院に観覧しに行ってみたいものだ。

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    2026年01月17日
  • はだれ雪 上

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    流罪となった元幕府目付の永井勘解由と若くして扇野藩の後家になった接待役の紗英とが、お互いに凛とした生き方に惹かれ合う。しかし、勘解由は、吉良上野介に刃傷沙汰を犯した浅野家の旧臣に会ったことから勘解由と紗英の両名に扇野藩から口封じの影が忍んでくる。そこに扇野藩重役からの指示により勘解由の監視役まとめを務める佐治弥九郎が自藩と勘解由・紗英の間に立って微妙な立場がアクセントになり面白みを出している。この結末は如何に、下巻が楽しみ。

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    2026年01月17日
  • 風花帖

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    読み終えて、しばらく余韻に浸れる久々の物語。剣の奥義とひたむきな純愛は…清冽さの中に秘めた凄烈さ、そして潔白な清廉さが結ぶ。

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    2018年01月27日
  • 墨龍賦

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    2018.1.7.雲龍図で有名な絵師、海北友松を主人公に描かれた物語。海北友松の息子に春日局が語るという設定。昨年、春、海北友松展が開かれ、改めてみた雲龍図に驚き、是非読みたいと思ってようやくかなった。
    絵師の物語とはいうものの、浅井長政の家臣、海北善右衛門綱親の三男として生まれ当時の習い(戦で明日の命も分からぬ武門では一族の中からひとりを仏門に入れることがしばしば行われた)から東福寺に預けられた友松は還俗して武士になるという夢を持っており、物語の大半は当時の武士との交流が描かれていた。展覧会で説明されていたように明智光秀の家臣であった斎藤内蔵助との交流が詳しく描かれており、雲龍図のモデルは明

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    2018年01月07日
  • 蒼天見ゆ

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    ネタバレ

    最後の仇討ちを行った人の話。
    仇討ち本懐、恩赦で罷免された後、世捨て人の様な生活の中でも晴れない心、「家族の所に生きて帰る奴が一番偉い、家族を泣きの涙で暮らさせちゃあ、男じゃない。どんなに手柄を挙げても人を殺すのは鬼。鬼のまま死ぬより、せめて人で生きて戻ってきたほうがいい。」

    父の教えである蒼天を追い求めた主人公がようやく見つけたのは故郷の空の青さだった。

    さすが!大好きな作家、泣けました。
    葉室麟さんの冥福を祈ります。

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    2018年01月05日
  • 銀漢の賦

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    心に染入る良い物語だった。
    藤沢周平原作の時代劇映画をを見ている様な清々しさを感じた。
    (藤沢周平さんの時代小説を読んでいないもので・・・)
    三人の男たちの友情にまつわる物語。
    名家老と呼ばれるまでの地位に上り詰めた小弥太こと松浦将監。
    郡方の日下部源五、そして数十年前に処刑された農民の十蔵。
    50才を過ぎ人生の終盤に差し掛かった彼らが、藩内で密かに進行している大きな事件に命を懸けて立ち向かう。
    人物の描写が秀逸で登場人物たちのそれぞれぞれ想いが切ないくらいに伝わってくる。
    幼少時代から語られるエピソードは詩情豊かで、人間というものの根本のところは幼少期に体験したことにより形作られると感じさせ

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    2017年12月20日
  • 冬姫

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    ネタバレ

    評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な“女いくさ”を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。

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    2017年12月08日