葉室麟のレビュー一覧
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「いのちなりけり」の続編
今度は忠臣蔵に絡めてのストーリ展開です。
前作よりも知っている登場人物が多いせいか、少しは読みやすかった(笑)
テーマはやはり「いのち」「いきざま」そして「人間の情」
どのようにいのちの花を咲かせ、どの様に生き、散らせるか?
悪人のように思われる吉良上野介や神尾与右衛門も最後は見事に散っていく様がある意味美しい!
ストーリとしては、京の郊外にひっそりと暮らす蔵人と咲弥、そして娘の香也。幕府、朝廷、大奥の暗闘、思惑に巻き込まれていきます。
将軍綱吉の母桂昌院が生きているうちに、従一位を朝廷から授かるよう画策する柳沢保明と吉良上野介。
一方でそれを阻止しようとする大奥。
その流れの中、松の廊下での刃傷沙汰。浅野長矩が追いつめられた末の切りつけが描かれています。
そして、浅野家断絶、家臣たちの討ち入りという流れになるわけですが、ここに蔵人、咲弥、香也が巻き込まれていきます。
大奥に入る事になってしまった咲弥。
綱吉の目にとまり、柳沢家で伽を命じられてしまいそうになります。
蔵人と清厳の二人で咲弥を救い出そうとします。無事救い出すことが出来るのか?
また、香也の出生にも秘密が..
そんな香也も行方不明になり、吉良邸にいることが判明。
討ち入りの吉良邸から蔵人は香也を救い出すことが出来るのか?
最後の展開はかなり強引な感じですが(笑)、吉良上野介の散りぎわが潔いです!
最後の蔵人のセリフ
「いのちの花が散っているのだ」
お勧め! -
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面白かった!
もののふの純愛物語!
けど、読みにくくて、なかなかページが進まない!(笑)
登場人物が多く、入れ替わり立ち替わりで、登場人物の名前が読めず、さらに年とともに名前が変わっていくので、人間関係がつかみにくい。
しかし、その中でも、主人公 雨宮蔵人の生きざまは熱く感じることが出来ました。
ストーリとしては、水戸光圀が藤井紋太夫を殺害するシーンから始まります。
ググってみると、これは史実なんですね。その殺害の真相は不明とのこと。本書では、この事件に絡んで雨宮蔵人と咲弥の純愛の物語が語られていきます。
咲弥に好きな和歌を聞かれて、答えられなかった蔵人。
そこから、二人は夫婦ではありながらも、別々の道を歩みますが、光圀の事件から再び二人は再開することになります。
朝廷と幕府の争い、光圀と綱吉との関係、と当時のさまざまな思惑、陰謀に巻き込まれていきます。
そんな中、命を狙われている蔵人は命がけで咲弥の元へ。
二人は再び再開することが出来るのか?
そして、その中で語られる蔵人の生きざま。
最後のシーンは熱くなります。
お勧め! -
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時は平安中期。枕草子・源氏物語等、王朝文化華やかな時代に存在した“暴れん坊貴公子”・藤原隆家の物語です。
あの有名な「元寇」よりもっと前に、刀伊(女真族)と呼ばれる異国の民が、九州に襲来していたのですね。それを迎え撃つことになる隆家ですが、物語の前半は京での権力争い(隆家は権力に執着はないので、単に権力者に盾突く感じ)に明け暮れていたのですが、後半太宰府に来た後は「美しいものを守りたい」という心意気がとても清々しく、カッコイイのです。
枕草子に描かれているエピソード(くらげの骨・香炉峰の雪など)が自然に挿入されているのも、趣きがあって雅な気持ちになりました。 -
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清々しい気持ちになれる物語。
第十四回松本清張受賞作。
身分の違う三人の友情の物語です。
月ヶ瀬半の郡方の日下部源五、名家老と謳われ幕閣まで名声が届いている松浦将監、数十年前に処刑された農民の十蔵。
この三人の幼少のころからの付き合い、思い、志が熱く感じられる物語でした。
そして、本書のタイトル「銀漢」は三人の男たちの友情のシンボルとして扱われています。
ちなみに「銀漢」は天の川のことで、本書の表表紙に3人と一緒に描かれていますが、本書の中では、さらに別なメッセージとしても語られています。
ストーリとしては、幼いころから仲良く、支えあっていた3人。
大人になると、十蔵は農民一揆を指導する立場に。
一方、その一揆を鎮圧し、その勢いで、父親の仇を追い落とした将監。その功績が認められ、藩の実権を握るようになりますが、十蔵は処刑されることに。
十蔵の犠牲の上で築き上げられた「名家老」の名声。
十蔵を踏み台にしたことから、源五は将監と絶縁状態になります。しかし、源五は余命1年と言われた将監に再び力を貸すことになります。
その余命を藩の安泰を実現するために使おうとする将監は脱藩して、江戸に向かう事へ。その脱藩に手を貸す源五。
将監は無事脱藩して、江戸にたどり着き、藩を救う事ができるのか?
藩からの刺客に対峙する源五の剣の技が光ります。
将監の藩を思う志を十蔵の友情と源五の友情が支えます。
脱藩を計画している時に源五が語った言葉
「十蔵は、お主の友だったのだ」
そして、脱藩時の刺客との戦いの中で、将監が語った言葉。
「夕斎は失脚した時、ただ一人だけだった。しかし、わしには友がいた」
三人の熱き友情の物語でした。
お勧め! -
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続編の「花や散るらん 」の方を先に読んだので、蔵人と咲弥がずっと離れ離れで、しかも初めの頃は咲弥は蔵人に、かなり塩対応をしていたのは、意外でした。
藩、幕府、朝廷の思惑等、背景が複雑なので、“政争モノ”の色が強いですが、蔵人の咲弥に対する一途な思いがグッときますし、ラストで咲弥の前に満身創痍で蔵人が現われる場面を読んだときに、“ああ、これはラブストーリーだなぁ”としみじみ思いました。
葉室さんは、時々ハッとするほど美しい描写をされるのですが、本書で個人的に好きだったのは、醍醐寺の桜吹雪の中で、蔵人と清厳(右京)が語り合う場面です。美しい情景が目に浮かぶようでした・・。 -
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忠臣蔵はあらすじ的な出来事程の知識しかなかったが、フィクションといえど、時代背景や立場を踏まえて、より赤穂浪士の心情に触れられた気がする。なぜこんなに度々映像化されるのかぴんとこなかったけれど、大石内蔵助らの武士としての義の深さを知れば納得。
そこに相まって、流罪となった勘解由の武人としての矜持が素敵すぎる。紗英の気持ちもわかる。
武士といえど慕う者への心遣いが出来ねば、民にも心配りができない、、とは今でもそう。身近な人を想えば他人にも優しくなれるというもの。
葉室さん、まだまだ作品を残してほしかったな。
未読だけど、映画『散り椿』はどうだろうな。 -
購入済み
散り椿
人生の最終コーナーをどのように生きていくかは普遍的な問題だと思います。それを自分の思いとは違っていても振り返ればあれでよかったと思うようなことができる人生は素敵だと思います。主人公やそれを取り巻く人たちにとって後悔のない人生を送りたいという気持ちが素直に心に響きます。映画化しやすい小説と思いますが、どんな風に映像化されるか興味がわきます。
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購入済み
読んでいて久しぶりに、
時代小説の面白さを実感しました。登場人物の相手への思い、武士としての、意地、
現代人であれば、そんな意地で、友や思い人を失うようなことはしないだろうにな、と思いながら、最後まで一気に読んでしまいました。 -
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立花宗茂を主人公とする歴史小説である。宗茂は大友家家臣としての戦場での活躍を豊臣秀吉に見出され、大名に取り立てられた。文禄の役では日本の撤退戦において味方の窮地を救う大活躍をするなど戦功には華々しいものがあり、何よりも忠義を重んじる武将としての名声が高かったのである。
ところが秀吉が死ぬとその地位は揺らぎ、関ヶ原でも西軍についたため、命運は尽きようとしていた。小説では正妻〓(門構えに言)千代の献身的な愛情も描かれる、子をなさぬ仲ながら常に宗茂の心に寄り添う存在として支えたのである。また、立花が信義に生きる家であることを確認しあう仲であった。
牢人となった宗茂は家康に認めてもらうために江戸に向かう。そして微禄に与るのだが、その際にも通したのは武士として誇りと信義とであったというのだ。そしてついには旧領に復することになる。
戦国時代から江戸時代への生き残りは容易ではなかったことは様々な例から察せられるが、立花宗茂のような忠義一徹の武士がいかにして身を処したのかを物語にした作品であるといえる。もちろん史実ではない部分も多いと考えられる。激動の時代を生き残るためにどのような方法があるのか、その一つを示すものと考えればいいのだろう。 -
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鶴岡八幡宮での実朝暗殺の事件は歴史の変節の象徴としてよく語られる。歴史の授業でも扱われてきた。この小説はその事件を発端として始まる。
実朝の首はその後、公暁により持ち去られ、さらにそれをかつての実朝恩顧の者たちに奪われる。幕府執権側はこの事実を秘密裏に処理し、実朝の葬儀を恙なくおこなうことを目指す。それが鎌倉幕府の安定、北条執権体制の維持に不可欠と考えていたのである。
この小説では実朝が殺害された後、一時首が見つからなかったという史書の伝にがモチーフになっている。もちろんこれは創作であり、ストーリー展開には多くの創意がみえる。
小説の終末近くでそれまで遺骸の一部としてしか登場していなかった実朝が、実はストーリーを基盤で動かしていた人物であることが明かされる。このあたりの展開は巧みだと思う。