葉室麟のレビュー一覧
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羽根藩シリーズ第2弾。
続編ともいうべき『秋霜』を先に読んでしまった。
そのため、鬼隼人とも称される主人公の最期がわかったまま読み進めることになった。
それでも、主人公の覚悟を秘した行動に最後まで引き付けられた。
「世のためひとのために尽くした者は、それだけで満足するしかない。この世で、ひとに褒められ栄耀栄華を誇るのは、さようなものを欲してあがいた者だけだ。ひとに褒められるよりも尽くすことを選んだ者には、何も回ってこない・・・」
そんな思いと覚悟を持った者は、現代に果たしているだろうか。違和感なく描けるのが時代小説であり、だからこそ我々は時代小説に惹かれるのだろう。 -
購入済み
周辺人物の話が面白い
書きつくされたテーマであるだけに、主役の信長.光秀以外の周辺人物の話が面白い。
特に意外な視点から描かれた宮本昌孝の作品が気に入った。 -
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面白かった
筑前黒田藩での物語
これも、実際の黒田家のお家騒動を下敷きとした物語。
両親を亡くした卯乃は黒田藩の藩士・立花重根に引き取られます。しかし、父の自害に重根が関与していたことを聞き、失明してしまいます。
失明した卯乃は重根の弟・峯均のもとで母親のりくと暮らすことに。
ここで「香道」を学び、さまざまな香を聞くことで、心が静まっていきます
しかし卯乃の周りにさまざまな出来事が..
卯乃の出生の秘密も明らかになり、お家騒動に巻き込まれていきます。
そして、前藩主が亡くなると、粛清が始まります。
立花一族は、減封、閉門、配流されていきます。
そんな中、苦境を受け入れて暮らす立花一族。
重根、峯均を討とうと津田天馬の狂刃が..
ラスト、峯均と天馬の決闘シーンは息をのみます。
さらに卯乃やりくの強い心。
一途な卯乃の想い。
重根、峯均兄弟の生き様。
これまた熱い物が込み上げてくる物語です。
お勧め。 -
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面白かった!
どこまでが史実でどこからがフィクションなのかわからない物語(笑)
天領の肥後日田で、私塾咸宜園を主宰する広瀬淡窓と家業を継いだ弟・久兵衛の物語です。
二人に対して、塩谷郡代からの執拗な嫌がらせが続きます。
さらに、大塩平八郎の乱が絡む中、権力の横暴に耐え、清廉とした生き方を貫く兄弟の物語です。
あとがきにはその子孫の大田県知事の広瀬氏と葉室さんの対談が掲載されています。
ググってみると、咸宜園で教えていたことは、小説で描かれている内容がそのままだったりします。
さらに塩谷郡代も実在の人物。
そんな設定の中、ここがフィクションと思われますが、臼井佳一郎とその義姉・千世の咸宜園入門により、いろいろ波乱が起きていきます。そして、佳一郎が大坂で大塩平八郎の洗心洞に入門し、大塩平八郎の乱に関わってしまう展開に...
最後がちょっと肩すかし?でスッキリしないところが残念。
理不尽なことばかりが降りかかる二人ですが、あきらめることなく、凛として生きることの大切さを伝える物語でした。
お勧め! -
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ネタバレ作事奉行としての造園家・小堀遠州は知っていたが、利休~織部と続く茶道を受け継ぎ、「天下一」の茶人として名を成したというのは、恥ずかしながら知らなかった。
主人公が晩年に、茶席で過去を振り返りながら、何らかの影響や強烈な印象を受けた人物を語る形で描かれる。
それぞれの人物を語る各章の小見出しは、「茶道具」で名付けられている。
(例)「肩衝」では、肩を張った茶入れの壺「肩衝」に、石田三成の孤独な姿を重ね合わせている等。
各章毎に語られた人物とは、千利休、古田織部、沢庵、石田三成、徳川家康、伊達政宗、後水尾天皇、本阿弥光悦、金地院崇伝・・・
ただそれらの人々は戦乱の世を生き抜き、個性の強い人物ばかりで「天下を狙う茶」であったが、遠州の茶は太平の世を「生き延びる茶」を求めて行く。
(追記)驚いたのは小堀遠州の岳父である藤堂高虎。
戦国の世にあって、浅井長政、羽柴秀長、豊臣秀吉、徳川家康など8度も主君を変えていることから、歴史上風見鶏のような批判が多いが、文中で「おれは使えた主君には尽くし切り、一度も裏切ったことはない」という言葉が強烈であった。高虎は使えた主人が死んでやむなく、次の主人へと移ったのが事実である。
そうでなければ、晩年の家康が高虎に対して絶大な信頼を置く訳がない。 -
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内容紹介
下士上がりで執政に昇り詰めた桐谷主水。執政となり初登城した日から、忌まわしい事件が蒸し返され、人生は暗転する。己は友を見捨て出世した卑怯者なのか。三十半ばにして娶った妻・由布は、己の手で介錯した親友の娘だった。自らの手で介錯した親友の息子・喬之助が仇討ちに現れて窮地に至る主水。事件の鍵となる不可解な落書の真相とは――武士の挫折と再生を切々と訴える傑作。 (解説・大矢博子)
著者史上、最上の哀切と感動が押し寄せる、直木賞作家・葉室麟の傑作! 峻烈な筆で武士の矜持を描き出す渾身の時代長編。
下士上がりで執政に昇り詰めた桐谷主水。執政となり初登城した日から、忌まわしい事件が蒸し返され、人生は暗転する。己は友を見捨て出世した卑怯者なのか。三十半ばにして娶った妻・由布は、己の手で介錯した親友の娘だった。自らの手で介錯した親友の息子・喬之助が仇討ちに現れて窮地に至る主水。事件の鍵となる不可解な落書の真相とは――武士の挫折と再生を切々と訴える傑作。
令和元年7月12日~14日 -
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面白かった!
羽根藩シリーズ第3弾!
帯にある通り、「鬼」の生きざまを通して「正義」を問う物語。
羽根藩って藩主に恵まれないのね。それが共通点な気がしてきました(笑)
ストーリとしては、
豊後羽根藩の多門隼人は「覚悟」を秘し、藩主を名君となすため、「鬼」となって、苛烈な改革を断行しています。ついたあだ名は鬼隼人。鬼隼人に対する怨嗟渦巻く中、さらに厳しい黒菱沼干拓の命をうけることに。ひと癖もふた癖もある大庄屋の「人食い」七右衛門と学者の「大蛇」臥雲を召集し、その難工事に着手します。一方で、城中では、反隼人派のさまざまな謀略が..
そうした中、使命を果たすための隼人の行動には心打たれます。
本当の「悪人」とは何か?
そして「正義」とは何か?
鬼隼人の生き様だけでなく、七右衛門、臥雲の生き様を通して我々読者に問いてきます。
さらに隼人をそこまで突き動かす「モノ」とは..
秘めた思いとは..
そして覚悟..
とってもお勧め! -
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面白かった!
「蜩ノ記」に続く羽根藩シリーズ第2弾となっていますが、羽根藩が舞台と言う事以外は関係ありません!
池井戸潤のような企業小説の陰謀系の勧善懲悪ストーリ+時代小説の武士の生き様を加えたような印象(笑)
とはいえ、本質は主人公の再生の物語です。
ストーリとしては、
俊英と謳われた豊後羽根藩の伊吹櫂蔵は、役目をしくじりお役御免。漁師小屋で”襤褸蔵(ぼろぞう)”と呼ばれる無頼暮らしをしている中、家督を譲った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知ることになります。直後、なぜか藩から出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がることに。
弟の遺志をつごうとしますが、そこには様々な苦難が..
さらには、藩内にうごめく謀略・陰謀。どう立ち向かっていくか..
といった展開。
そして、櫂蔵を支える女お芳。そのお芳に厳しくあたる義母の染子のストーリも素晴らしい!
「ひとはおのれの思いにのみ生きるのではなく、ひとの思いをも生きるのだと」
「わが命は、自分をいとおしんでくらたひとのものでもあるのですね」
ぐっと胸が熱くなる言葉です。
とってもお勧め!! -
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2017年月刊文庫「文蔵」に6回連載された絶筆。
解説と、龍馬の姉が龍馬に代わって桂と西郷に会い、膠着していた薩長同盟交渉の端緒をひらくという「乙女が行く」を収録。
亡くなってからもたくさん単行本になっていたが、これが最後かな。13年間で60冊出して、これから近代日本をつくってきた人々の姿を本格的に描こうとし、日本の近代化とは何だったのかを問いたかったらしい。それにしても残念。まだまだ読みたかった。
不平等条約改正に心血を注いだ陸奥宗光の苦悩を描いている。
紀州藩の上士が脱藩して海援隊に入り、龍馬に心酔しいつもその自由な生き方を反芻していたのだが、条約改正のために欧米列強から対等と認められねばならないため、朝鮮、中国と帝国主義戦争を戦う必要があるという現実の分析と理想の相克に悩につつ、開戦準備をし、戦勝後の講和条約交渉の前で絶筆となった。無念だっただろうな。 -
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御朱印集めで寺社を巡るようになり、お寺や神社に関連する美術や宗教、歴史に携わった人たちの歴史に興味を持つようになりました。
恥ずかしながら、海北友松という絵師の名前は知りませんでした。
建仁寺の雲龍図を描いたという、その史実に興味を持ち本書を手に取りました。
僕は戦国武将では織田信長が好きですが、立場が違えば織田信長も敵と映る…当然といえば当然のことですが、新鮮な視点でした。
読み終わって思うのは、歴史の流れというマクロな視点と、海北友松の生き様を描くミクロな視点とが、とてもいい具合に絡み合っていて、戦国時代をトレースしながら海北友松の息遣いに触れることができ、ページをめくるにつれて興味を掻き立てられました。
最後に少し触れられていますが、海北友松と宮本武蔵に縁があったことに驚くとともに、最後の最後まで歴史の面白さに浸ることができました。 -
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与謝蕪村を含めその周囲の人々の恋模様を語った連作短編集。
俳句が散りばめられた構成で、それぞれの恋のわびしさ、切なさが感じられます。
全部で7編
「夜半亭有情」
蕪村が恋する「小糸」。
蕪村の家をたびたび訪ねる与八。
与八と小糸の関係は?
与八の正体は?
そこには、蕪村の若い時の恋の思いがありました。
「春しぐれ」
蕪村の娘「くの」の物語。
くのが離縁された経緯が語れています。
そこには哀しい物語がありました。
「隠れ鬼」
蕪村の弟子「大魯」の物語。
文左衛門として蔵奉行を務めていましたが、遊女の小萩と駆け落ちを企て失敗。藩を追放されます。その後、蕪村の弟子となり大魯と名乗りますが、あることから、自分の駆け落ちが仕組まれたこと知ります。
そこで、再び出会った小萩。小萩との会話から自分の生きざまを振り返ります。
「月渓の恋」
蕪村の弟子「月渓」の物語。
恋した「おはる」は女衒に売り飛ばされてしまいます。
太夫にまでなっていた「おはる」ですが、周りの力をかりて、身請けできることに。ようやく、二人は夫婦となりますが、そこには哀しい結末が。
「雛灯り」
蕪村の女中「おもと」の物語。
源太騒動にまつわる「おもと」の哀しい過去。
その騒動の真相と、おもとの思いが語られています。
「牡丹散る」
蕪村の弟子「応挙」の元に訪れた夫婦、七重の物語。
応挙の元に通う七重に恋するようになった応挙。
そんな中、国許に帰る必要がある七重の夫、新五郎。
国許から離縁を迫れれる七重。応挙と七重のいく末は?
「梅の影」
蕪村の弟子で、遊女の「お梅」の物語。
蕪村が亡くなった後、「お梅」と「小糸」が出会う事に。二人の蕪村を思う気持ちが伝わってきます。
ゆっくりと流れる時間の中で、さまざまな思いが伝わってくる物語でした。
じっくり読みたい物語。
お勧め。 -
Posted by ブクログ
エンターテインメントだから、と言って進めてくれた人がいました。たしかにそんな風なところもあり、史実にも基づいている平安時代の物語は、よくできていておもしろかったです。
主人公藤原隆家という貴族のことは知りませんでしたが、藤原道長と叔父甥の関係とわかれば、なるほどと思います。平安中期、あの『枕草子』の清少納言や『源氏物語』の紫式部なども登場するのが、なお親しみがわくというものです。
藤原氏というのは権力争いを身内一族でやっていたのですね。その世界は『源氏物語』から『平家物語』までおなじみですね。
しかし、この物語はそれだけではなく異民族の日本襲来という、今日的な課題がもされている点が珍しくも面白くもあり、普遍性を醸し出していますね。そして主人公は藤原隆家という貴族らしからぬ、むしろ武士台頭の前兆のような人物像です。
ただ勇ましい人物や闘争のみでなく。葉室麟らしい情緒もたっぷり、空想も自由自在。わたしはこの一冊が葉室麟さんの作品では一番好きになりました。