葉室麟のレビュー一覧
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ネタバレ2021年、7冊目です。
織田信長の娘、冬姫の生涯を描いたものです。
信長の娘にして、名将蒲生氏郷の妻である冬姫の一生を描いています。彼女が生きた時代は、戦国時代の真っただ中から、徳川の世になるまでです。非常にたくさんの歴史上の人物との関わりが描かれています。
大胆な設定ですが、冬姫の母は、信長の正室である帰蝶の娘とされています。
それゆえ、他の娘たちとは別格で、父信長に目を掛けられます。
物語は、「女のいくさ」といわれる女性たちの戦いが描かれています。
戦国時代の男の戦に関わる表現描写はほとんどありません。
父信長の目指した世の在り様を実現しようとする夫氏郷を支えていきつつ、
自分なりの -
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信長の子供のネーミングセンスってどうしてここまでだったんだろうなといつも思います。例えば
長男・信忠(幼名:奇妙丸)
次男・信雄(幼名:茶筅丸)
三男・信孝(幼名:三七)
四男・秀勝(幼名:於次丸)
五男・勝長(幼名:御坊丸)
六男・信秀(幼名:大洞)
七男・信高(幼名:小洞)
八男・信吉(幼名:酌)
九男・信貞(幼名:人)
十男・信好(幼名:良好)
十一男・長次(幼名:縁)
次女・見星院(幼名:五徳)
六女・総見院(幼名:振)
幼名で考えるとこれで子供たちを読んでいたのかと思うと笑えて仕方がありません。だって織田信長ですよ!
「冬姫」
冬姫とは信長の次女で後の相応院と呼ばれる方です。 -
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中編『津軽双花』と短編『鳳凰記』『虎狼なり』『鷹、翔ける』を収録。
世に言う石田三成と家康との対決とされる関ヶ原の戦いは、実は毛利と徳川の戦いだったとするのが、『虎狼なり』。
三成と家康を戦わせ、毛利に漁夫の利を与えんとの、安国寺恵瓊の謀。それを見抜いた三成が、西軍を勝たせてはならないと、北政所を通じ小早川秀秋に東軍に寝返りさせた!
『鳳凰記』も、コペルニクス的転回の小説。
相違える存在の北政所と淀君=茶々の両者だが、帝を守るために協力して大坂の陣を引き起こしたのだと。方広寺の銘文も家康を唆すため、淀君が仕掛けたのだとする。茶々に「豊臣家を守る戦いではない。帝をお守りする戦い」だとまで言わせる -
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著者の小説は、漢詩や和歌を巧みに取り混ぜ、清冽な作品をより格調高く仕上げている。
この小説も和歌を随所に用い、香道が加わることによって、さらに香(かぐわ)しい読み応えのある作品になっている。
そして登場人物に
「あなたは光を失いましたが、人の心の香りを聞くことはできるはずです。いずれ、あなたにとって大切な香りを聞くこともあるでしょう」と、語らせる。
「仏様の教えに耳を傾けるのと同様に、香りを法の声として聴くのが香なのです」とも。
香を人生における何者かに据えるような記述が続く。
当該の文献を参考にしているとはいえ、著者の博識には敬意を表する。
和歌や香道を織り交ぜながら、誇りを失わずに生き抜 -
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久しぶりに読む葉室作品。今作は絵師に焦点を当てた五編。
表題作は尾形光琳の弟・乾山(けんざん)。初めて知った人物だが、家族が偉大だと辛いところがあるだろうと思いながら読んだ。
しかし話は意外にも赤穂浪士の討ち入りと絡んでくる。最大の後ろ楯であった二条家から出入りまで禁じられるという窮地に…。
表題作なのに短いのが勿体ない。乾山の紆余曲折、兄・光琳の隠し子とその母との関わりなど、読みところが多い割にサラッと流されていた。
第二話は狩野永徳が如何にして絵師として天下を取ったのか、第三話ではその狩野派に勝負を挑んだ長谷川等伯の闘いと何故その後長谷川派は消えていったのかを描く。
こういう、武将たち -
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『蜩ノ記』の16年後の羽根藩が舞台。
戸田秋谷の息子順右衛門は藩の中老となっている。娘薫は、秋谷の監視役でありながら彼の覚悟に接し、最期を見守ることになった庄三郎と平穏な日々を送っている。
しかし、新藩主となった吉通を巡って、藩の実験を奪わんとする一門衆の暗躍が胎動し、それに抗する戦いが開始される。
ある人物に、「戸田秋谷という御仁は生きていたときだけでなく、死んでからも何事かひとに語りかけてくるひとのような気がする」と言わしめる。
その言葉のように、順右衛門たちの行動は秋谷の教えが指針となり、見事な逆転劇を果たす。
今作の主人公的役割を担うのは、13歳の赤座颯太。それに彼と同じ年頃の少年たち -
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上意討ちにあった一門衆筆頭の別宅に、密命を帯びて送り込まれた女医師の伊都子が主人公。
そこでは、奥方や嫁たちとその子供、女中たちが暮らしている。互いに何やら剣呑な雰囲気があり、やがて、この屋敷に来た男が次々と死んでゆく。
誰の仕業なのか、その裏に何があるのか。密室ミステリー仕立てにしながら、著者は武家ゆえの運命に抗う女性たちの哀しみを描く。
「世間では武門の者はいついかなるときでも死を決しているべきだと申しますが、わたくしは、それは殿方に限ったことだと思っています。女子は子を守り、家を守って生き抜くのが務めです。殿方は死んでしまえば努めは終わりますが、女子はいかなる艱難にも負けずに生き抜かねば