葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「心の底にあるものを見せつけるのが、悪魔なのかもしれませんね」
いとの娘が不干斎に言った言葉。
自分の心の中にある
蓋をしていた黒いもの
その蓋を開けるきっかけを
悪魔がつくる
あとは気がついたら
自分で開けてしまって
もう後戻りができない。
誰にでもそんな経験が
あるような気がする。
今の時代、
そのきっかけをつくる悪魔が
あらゆるところに存在している
それも、
天使の顔をして。
蓋を頑なに閉じる術を身につけておかないと、大変なことになる。
そんなことを最後の最後で
考えさせられた言葉だった。
黒田官兵衛の物語としては
吉川英治の『黒田如水』の方が
読み応えはあったかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「いのちなりけり」の続編。前作で水戸黄門と揉めた主人公が、今度は吉良上野介とやりあう。なんだかもう有名時代劇の舞台に次々とチャチャ入れてるような感じである。そのうち大岡越前とか遠山の金さんとか井伊直助とか仕事人とか八重の桜とかあらゆるもんに絡んできそうな勢いである…ないだろうけど。
実は俺、所謂世間に知られている筋書きの忠臣蔵って好きじゃない。時代がそうだろうし設定がそうだろうからしゃーないのだけど、吉良も浅野も大石も「陰険な事で争って爽快だ痛快だお涙ちょうだいだってのはないやろ」って醒めてみてしまうのである。
忠臣蔵を題材に取った名作時代小説があまたあるにも関わらずどうにも苦手意識が先に -
Posted by ブクログ
ネタバレ若い頃は誰でも夢と希望と青臭い正義感から沸き起こる衝動に身を任せて行動するものである。その頃の目で見れば、世の中がなんと汚れていて怠慢で不遜で卑怯で…とにかく反抗する対象にしか見えないことか。自分の若かりし頃にもあった、その世の中を変えていこうとする気概を思い出せば少々苦いものが体中にこみあげてくる。
しかし、今の若者からみたら俺なんかもそういう世の中のキチャないもので汚染されきった人間なんだろう。人とはいつのまにやらそういうもんに染まっていく。いつまでもパンクや反抗やアナキストなんざやってられない現実の壁に何度もぶち当たっていくのが社会なんだからしゃーない。
「山は山であることに迷わぬ。