女絵師・春香(しゅんこう)は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けた。三年前、春香は妻子ある狩野(かのう)門の絵師・杉岡外記(げき)との不義密通が公になり、師の衣笠春崖から破門されていた。外記は三年後に迎えにくると約束し、江戸に戻った。「博多八景」を描く春香の人生と、八景にまつわる女性たちの人生が交錯する。清冽に待ち続ける春香の佇まいが感動を呼ぶ!
Posted by ブクログ 2020年06月15日
この小説の主人公は女絵師の里緒ですが、彼女と現世で縁のあった人々との出会い、別れ、絶望、悲哀、共感、励まし合いなどが上手に描かれ、読んでいて生きる力をもらって様な気がします。
里緒が心に秘めた外記への思いは最初から最後まで続き、外記ははかなくこの世を去るのですが、外記の心からの思いは里緒に伝わり...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月27日
面白かった
10作からなる短編連作の物語
博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀の物語
比翼屏風(びよくびょうぶ)
濡衣夜雨(ぬれぎぬやう)
長橋春潮(ながはししゅんちょう)
箱崎晴嵐(はこざきせいらん)
奈多落雁(なたらくがん)
名島夕照(なじませきしょう)
香椎暮雪(かしいぼせつ)
横岳晩鐘(...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月22日
不義密通をして破門を受けた女絵師の物語.女絵師が描く悲しみと愛情に満ちた絵を私も見たいと思った.そしていつの世も人は愛なくしては生きられない生き物なのかも.葉室さんらしい凛とした良い作品でした.
以下あらすじ(巻末より)
女絵師・春香は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月15日
全1巻。
哀しい恋をしている女絵師が、
様々な哀しさと出会う話。
結構いい。
葉室先生が女を書くと外れる印象を持っていたけど、
これはよい。
女絵師が依頼された「博多八景」。
その一景を一章として、
一章ごとに完結する哀しいエピソードが積み重ねられていく、
群像劇のような構成。
地味な話だけど中...続きを読む