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Posted by ブクログ
両親を亡くしたのち、筑前黒田藩の立花重根のもとに引き取られた卯乃、しかし重根が父の自害に関与したと聞き卯乃は懊悩のため失明してしまう。さらに立花一族に対し藩からの圧力が強まり…
小説を読んでいて、登場人物の生き方に対し心の底からカッコいい、と思ったりすることってなかなかないと思うのですが、
この小説に登場する人物たちは老若男女問わず、どの人たちもカッコよく、彼らの生き方を漢字で表すとしたら”清”という字や
どんな苦境の中にあっても強く自分を持ち続ける姿から”凛”という字が思い浮かびます。
お家騒動や恋愛事情、複雑な家族の来歴、刺客の存在と死、そんな様々なドロドロとしたものが描かれながらもこの作品を読んでいるとそうしたドロドロさは感じられません。それもひとえに登場人物たちの清らかさと凛とした強さのおかげだと思います。
チャンバラシーンの読みごたえも十分で、時代小説の醍醐味を存分に味わうことのできる小説だったと思います。
Posted by ブクログ
弟子に「強い」とはどういう事かと尋ねらた峯均(みねひら)は
それは負けぬという事だと答える。
「負けぬということはおのれを見失わぬこと。
勝ってもおのれを見失えば、それはおのれの心に負けたことになる」
弟子と師匠の話として聞けば深い、と思う。
ちょっと違うかもしれないけれど
負けた試合こそ自分が伸びる要素を含んでいる、と誰かが言っていたけれどまさにそうかもしれない。
葉室作品には和歌をそこここに散りばめた作品が多いけれど、本作では和歌よりも香の道に光を当てている。
私には身近ではない香の話だけれど何故か香の道は禅(これも身近ではないけれど)に通じ、それゆえに武士道の心にも通じているような気がした。
Posted by ブクログ
著者の小説は、漢詩や和歌を巧みに取り混ぜ、清冽な作品をより格調高く仕上げている。
この小説も和歌を随所に用い、香道が加わることによって、さらに香(かぐわ)しい読み応えのある作品になっている。
そして登場人物に
「あなたは光を失いましたが、人の心の香りを聞くことはできるはずです。いずれ、あなたにとって大切な香りを聞くこともあるでしょう」と、語らせる。
「仏様の教えに耳を傾けるのと同様に、香りを法の声として聴くのが香なのです」とも。
香を人生における何者かに据えるような記述が続く。
当該の文献を参考にしているとはいえ、著者の博識には敬意を表する。
和歌や香道を織り交ぜながら、誇りを失わずに生き抜く男と、どのような逆境にあろうとも精いっぱい懸命に生きる女性たちを描いているこの小説。
著者は、人生において何が大切かを、読者に問うているのだろう。
Posted by ブクログ
面白かった
筑前黒田藩での物語
これも、実際の黒田家のお家騒動を下敷きとした物語。
両親を亡くした卯乃は黒田藩の藩士・立花重根に引き取られます。しかし、父の自害に重根が関与していたことを聞き、失明してしまいます。
失明した卯乃は重根の弟・峯均のもとで母親のりくと暮らすことに。
ここで「香道」を学び、さまざまな香を聞くことで、心が静まっていきます
しかし卯乃の周りにさまざまな出来事が..
卯乃の出生の秘密も明らかになり、お家騒動に巻き込まれていきます。
そして、前藩主が亡くなると、粛清が始まります。
立花一族は、減封、閉門、配流されていきます。
そんな中、苦境を受け入れて暮らす立花一族。
重根、峯均を討とうと津田天馬の狂刃が..
ラスト、峯均と天馬の決闘シーンは息をのみます。
さらに卯乃やりくの強い心。
一途な卯乃の想い。
重根、峯均兄弟の生き様。
これまた熱い物が込み上げてくる物語です。
お勧め。
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