葉室麟のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
面白かった
ハッピーエンドで終わる勧善懲悪の鉄板ストーリ
ストーリとしては、
九州豊前の小竹藩の勘定奉行澤井家の長女志桜里と隣家に引っ越してきた「抜かずの半五郎」との物語。
志桜里は嫁ぐも子供ができず、実家に戻されたある日、隣家に半五郎が引っ越してきます。二人の心は惹かれあいながらも微妙な距離感。そんな中、藩主頼近と家老三家の間で主導権争いが激化していきます。
三家に対抗する頼近と澤井庄兵衛、半五郎は表から、裏から澤井家を助けていくことになります。
そして、いよいよ上意討ちとして、澤井家に三家が押し入ってきます。
澤井家はどうなるのか?
抜かずの半五郎は太刀を抜きます。
それぞれが信じるも -
Posted by ブクログ
小倉藩の白黒騒動を下敷きにした物語。
主人公印南新六の想いに胸打たれます。
小倉藩勘定方の印南新六が生涯をかけて守ると誓った女性・吉乃。
しかしながら、ある事件を契機に、吉乃は他家に嫁いでしまいます。
その後、「白黒騒動」と呼ばれる御家騒動が起こる中、新六や吉乃の夫源太郎も派閥の争いに巻き込まれていきます。
吉乃とその家族を守るため、新六は刺客となって命を懸けることに。
見返りも求めず、全身全霊で吉乃を守るという新六の想いには胸打たれます。
そこまで、思うことができるのか?
そのように生きることができるのか?
そして、最後、吉乃がようやく気付いた新六の想い。そしてそれに応えた言葉。
二人 -
Posted by ブクログ
本能寺を主題に沿えた、7作家によるアンソロジー。
実行者は明智光秀であるが、その動機あるいは黒幕については、いまだに諸説紛々。
本作では、葉室麟著『鷹、翔ける』は、明智光秀の家臣斎藤内蔵助こそ、変を起こした随一の者としている。
木下昌輝著『幽斎の悪采』では、細川藤孝の謀を示唆する。
天野純希著『宗室の器』は、宗室の独白で信長への思惑が語られる。
裁判などで分かるように、事実の裏にある真実や当事者の心理などを正確に明らかにすることは、現代の事件においてさえ困難を極める。まして、過去の歴史上の事件など。
だからこそ、あれやこれやと、作家の想像力を刺激するのだろう。読者にとっても、歴史小説を読む楽し -
Posted by ブクログ
「淡白なんだけど不思議な魅力の本」
葉室麟氏の作品群、一言でいうとわたしはこう思っている。
直木賞受賞作の『蜩の記』から初めて読み始めて11作品、
以来ずっと感じているところだ。
はっきり言って、淡々とした文章運び、メリハリが薄いストーリーのよう。
いくらライトノベル全盛と言っても、江戸時代をこういう風に描くのはどーかなあ。
歴史的時代背景に現代風な心根を持って書きすぎてるような。
じゃあ、なぜ読み継ぐのか、というと
友人がこのこの作家を好きで貸してくれるからなんて、
しまりのないことである。
でもこの作品は、めずらしく後半一気に読めた。
いわゆるアメリカ映画の結末を望むように -
Posted by ブクログ
面白かった
実在の人物、立花宗茂の半生を下敷きとした物語。
ストーリとしては、
秀吉によって筑後柳川十三万石の大名に取り立てられながらも、関ヶ原の戦いで西軍に加担したことにより、家臣とともに浪人の身に。
そこから、さまざまな苦労・苦難を乗り越え、ついに十数年後、領地に返り咲くという展開です。
Wikiによると関ヶ原の戦いで改易後、旧領を回復した武将は宗茂ただ一人とのこと。
本作のテーマは、自らの「義」を貫き通す姿。
立花の義は「決して裏切らない」ということ。
戦国から江戸の初期で、逆境に耐えながらもその義を貫き通す姿に引き込まれます。
また、それを支える家臣たち。
そして、本作では様々 -
Posted by ブクログ
時代恋愛小説
激動の幕末の時代を下地にした恋愛小説です。
「この君なくば」は「この君なくば一日もあらじ」の想い。
ストーリとしては、
勤皇佐幕で揺れ動く九州・日向の伍代藩で軽格の家に生まれた楠瀬譲。その恩師の娘・栞と惹かれ合います。藩主の密命で京の政情を探るべく京に赴任しますが、そんな中、譲に思いを寄せる気丈な娘・五十鈴が栞のもとへ。
この三角関係がどうなる?っていうのが一般的な恋愛小説の鉄板ですが、時代小説では、その清冽な思いがすがすがしい。
栞や五十鈴の想い、そして譲の志が幕末の勤皇佐幕で大混乱の中、浮かび上がります。
清廉で凛とした純愛の物語です。
特に、五十鈴の想い・振る舞いが全 -
Posted by ブクログ
葉室麟というと、もっとこう、骨太で固く・・言いかえるとちょっと地味なお話を書く時代小説の作家さんという印象が強かったんですが、こういうちょっと軽めのお話もあったんですね。そのあたり葉室さんをずっと好きな方とかだと酷評されたりするんでしょうか?そこまで御作を読んでない自分からしたら普段の読み応えのある重厚なお話もとても面白いですがたまにはこういうのも悪くないなあ、と。
ただまあ、長男・権平さんの「とても弱くて周りからバカにされてる」というのはどうなんでしょうね?結局のところ作中では無敗のとんでもない強さなわけで。ポンコツ感があんまりないよな。千草勘六の二人ももっとこう見せ場があっても・・・・いや -
Posted by ブクログ
ネタバレ藩主に謀反を起こした武家、男たちは当然上意討ち、残された妻女たち。理由あって軟禁されている屋敷に、送り込まれた女医者の伊都子。女だけの屋敷、対立する女たち、徐々に明らかになる秘密、、、
閉鎖空間で起こるミステリアスな展開は、気になってぐいぐい読めた。これ実写化されたらお初は誰かなあ。田中みな実さんとかどうだろう。蒼井優さんとかも良いな(妄想)それにしても哀しい半生だ。せめて、きぬや伊都子にはほんとうの自分がすこし見せられただろうか。
にしても、まともな男がいなかったな。こういうのも珍しいな。こんな性根の男らに嫁して人生翻弄された時代の女性はほんと苦しかろうなあ。椎野ははなから胡散臭かったが清吾