葉室麟のレビュー一覧
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伊達騒動、加賀騒動と並んで「3大御家騒動」といわれる黒田騒動を扱った歴史時代劇。駄作のない葉室麟だけあってややこしい人間関係や背景を巧みにさばき、さらに和歌や聞香といった味付もさすがです。解説でも指摘されているように、本書では「丹下左膳」「大菩薩峠」「宮本武蔵」「名人伝」のオマージュの趣向も見せ、二度楽しめます。
そして時代劇ならではときめきフレーズも盛りだくさん。
例えば、一度惨敗した後、武蔵の二天流を相伝し、再戦した宿敵相手の腕を切り落とした直後に、同じ相手と戦って勝てるかと聞かれ「まずは五分ではありますまいか」というシーンや、藩主に不忠を疑われ蟄居させられて男手のなくなった家を女だけで留 -
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今まで著者の作品をより多く読んできた読者ほど、この小説には戸惑いを覚えずにはいられないだろう。
それまでの、己の信じる道を確固として生きる男を清冽に描くという作品とは、一線を画すかのようだから。
主人公は、「アンビシャスガール」と呼ばれた星りょう。後の名は、新宿中村屋を創業発展させた相馬黒光。
彼女と出会い関わりあう人々を通して、星りょうという人物を浮かび上がらせる手法が採られている。
明治の文学者たちが次々と登場する。しかも恋愛絡みで。
国木田独歩、北村透谷、島崎藤村、樋口一葉らと、彼ら彼女らの相手となる人物たち。
さらに、勝海舟まで。
どこからがフィクションで、どこまでが史実なのか、惑うば -
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第165回直木賞受賞作家の口から、「葉室麟」という名前が出てきました。
ーー澤田瞳子は明治から昭和を生きた女性画家河鍋暁翠(きょうすい)を追った時代小説「星落ちて、なお」で直木賞を射止めた。5度目の候補での受賞に「まだぽかんとしております」としながら、親交が深かった先輩作家、故葉室麟さんも同じ5度の挑戦で受賞したことに触れ、「うれしく、ご報告できるかな」と喜んだ。ーー
解説では、本書はシリーズものの3作目だということです。とはいえ、黒島藩という舞台が同じでも時代も人物も異なっているにもかかわらず、「過去に過ちを犯した人物」が主人公だという点でシリーズものとなっているようです。
本書では、茶の -
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面白かった
時代小説の名を借りた純愛エンターテイメント?
ヒロインの思わせぶりな態度に振り回される男たち(笑)
ストーリとしては
6年前に故郷を追われ、江戸で暮らす元武士二人。
一人は武士の身分を捨て、飛脚問屋に婿入りした喜平次
一人は道場のに閑古鳥が鳴いている弥市
そんな二人のもとに、初恋の女、萩乃が密命を帯びて江戸に訪れます。
結果、二人は萩乃の護衛をすることに。
藩内抗争ものと思いきや、萩乃に思いを寄せていた二人の恋の行末は?
といった展開。当然、萩乃は妻女になっているし、喜平次にも家庭があります。
どろどろの不倫+三角関係の雰囲気です(笑)
さらに、萩乃が天然?のようにふらふらし -
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良かった
「義か情か、武士の妻の選ぶ道」
武士の生き様、矜持、夫婦愛を感じる物語。
しかし、これ、現代劇で語られるとかなりドン引きのストーリだと思います(笑)
主人公の澪は、寡黙な夫の蔵太とともに暮らしていますが、ある時、一度だけ契りを交わした幼馴染の笙平が現れます。
実は笙平は藩内構想に巻き込まれ、逃亡中
そんな笙平を匿う澪
澪は笙平と蔵太の間で心が揺れます。
しかし蔵太は澪を信じ、その逃亡劇をサポートします。
澪、笙平、蔵太は逃れることができるのか?
3人の関係はどうなる?
という展開です。
何よりも蔵太が素晴らしい。
武士としての矜持、芯の太さ、ぶれない考えがしっかりと伝わってきま -
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面白かった。けど、ちょっと物足りない
仏性を見出そうとした仏師の物語。
ストーリとしては
師匠の娘おゆきを妻とした清三郎は、自ら修業のため、妻を博多に残し、京に上がります。
しかし、戻ってみると、師匠は賊に殺され、おゆきは辱められて行方不明に。
自らの3年を悔やむ清三郎
ここから、おゆきを取り戻す旅が始まります
おゆきは豪商の伊藤小左衛門の世話になっているとのこと。
すると小左衛門の屋敷のおかかえ仏師として、小左衛門のもとへ
ここで、小左衛門、息子の甚十郎の真の暖かさをしります。
しかし、おゆきは清三郎のもとには戻らず...
さらに小左衛門たちは抜け荷の咎で磔に、おゆきも姫島に流罪になってし -
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緊急事態宣言の中、令和二年のGWに読んだ歴史小説です。何も活動のできなかったGWでしたので、読書だけが楽しみでした。
この本は有名な本能寺の変を題材にしていますが、7人の武将の立場から見た形でストーリーが展開しています。新しい歴史小説の形で楽しいです、事件現場の空から中継を見ている感じです。
以下は気になったポイントです。
・源頼朝の鎌倉幕府も、足利尊氏の室町幕府も、どちらも憎悪と野心をたぎらせた親族と家臣達が互いに憎しみ合いながら敵と戦っていた。だからこそ彼らは幕府を開けた(p67)
・肩衝(かたつき)とは肩の部分が尖った茶入れで、楢柴は初花肩衝、新田肩衝と並び「天下三肩衝」と称され -
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ちょっといまいち
平安時代の刀伊入寇を下敷きにした物語
刀伊入寇という史実は恥ずかしながら初めて聞きました。
元寇よりもずいぶん前にそんな事件があったんですね
大陸の異民族である悪役「刀伊」に対して、主人公「藤原隆家」がどんな戦いを繰り広げるか?
「村上海賊の娘」のような物語かと思いきや、その辺のくだりは後半の最後のほうだけ、それもわりとあっけなく終わってしまいます。
前半は伝奇ふくめた平安の政権争い。
といったところで、ちょっと想定と違いました。
清少納言や紫式部、安倍晴明なども出てきますが、正直とってつけた感じ(笑)
とはいうものの、ページ数が少ないながらも、刀伊の悪役っぷりに対して -
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面白かった
戦国時代での茶の道を主題とした物語
千利休、古田織部と異なり、「泰平の茶」を目指した小堀遠州の物語です。
やはり、どこまでが史実でどこからがフィクションなのかわかりませんが、遠州が目指そうとしていたものが伝わる物語でした。
ストーリとしては
戦後乱世の時代、武人でもあり茶人でもある小堀遠州の生涯を語るもので、茶道具にまつわる章立ての、短編連作となっています。
各章で、遠州のもとに訪れる様々な人との会話から、自らの過去の出来事を振り返る形で、石田三成、伊達政宗、藤堂高虎などとのエピソードを語っていく形です。
茶道具に秘められた想い、一つ一つのエピソードがしっかり語られ、その中で、遠 -
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面白かった
織田信長の二女、冬姫の数奇な生涯を語る物語
どこまでが史実でどこまでが創作なのか、自分の知識不足のため、相変わらずよくわかりませんが(笑)、エンターテイメントとして楽しめました。
ストーリとしては
織田信長の二女の冬姫は蒲生氏郷の妻になり、戦国時代の中
、その覇権を競うため、「おんないくさ」を仕掛けあうというもの。
「武家の女は槍や刀ではなく、心の刃を研いでいくさをせねばならないのです」
と育てられ、さまざまな女たちが闘うことになります
信長の妹お市の方をはじめ、淀君、鍋の方、五徳、ガラシャ、築山などなど
心の刃とは言いますが、実際には諜報戦ともいえます。
冬は「もず」と「又