葉室麟のレビュー一覧

  • 葉室麟 洛中洛外をゆく。

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    ネタバレ

    海北友松:山深い早春の景色を、優美に、雅やかに、そして本当にみずみずしく描いています。光と影が柔らかく溶け合う静寂の世界。それでいて寂しさや孤独はなく、暖かな上司に包まれている。なによりも明るく、温かな情趣に溢れていること、そこで僕は深い感銘を覚えました

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    2019年11月01日
  • 柚子の花咲く

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    恩師と友を続けて殺害され、その真相を探る主人公の恭平。
    師の意外な過去や背景が明らかになると共に、そこに藩の思惑が絡んできて・・・。

    ラストの青葉堂村塾の子供達が、健気で心打たれます。
    かけがえのない思い出と仲間ができる、素敵な村塾だと思いました。

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    2019年10月23日
  • 緋の天空

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    奈良時代の光明皇后を主人公に、長屋王の変をメインに据えた時の政争とひとびとの生きざまを描く。

    葉室作品らしいまっすぐさを、殆どの人物が備えて描かれています。貫きたいものがそれぞれにあり、その為に手を汚すこともある……というような。
    その中で光明皇后がつねに光たらんと生きる姿は、まさに葉室作品の女性像という感じです。
    妖術使いがいたり、ややエンタメに寄っている印象を受けましたが、それは中世以降の時代物には出てくる殺陣のシーン等が描けない時代で、どう盛り上げるかのバランスだったのでしょうか。

    それぞれの人物像の解釈の違い等で、もしかしたら好みは分かれるかもと思われますが、この作品において個人的

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    2019年10月11日
  • 決戦!関ヶ原2

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    とても好きなシリーズだ。
    でも回を重ねていくうちにクオリティーが下がっている気がする。それでも秀作に会えると次回も是非読みたいと思ってしまう。
    「名だけを残して」、「蜻蛉切」は秀作。

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    2019年10月08日
  • 風花帖

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    “印南新六の献身”という副題をつけたい。と思ってしまう本書。
    好きな女性・吉乃の為に、身を捧げるかのように生きる新六の姿は確かに清く、純粋さを感じます。
    ただ、あまりの献身ぶりに、個人的には吉乃の夫・源太郎が呟いた「印南殿のようには生きられない」という台詞に共感してしまいました。

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    2019年10月07日
  • 墨龍賦

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    ネタバレ

    この本を読む前に京都・建仁寺本坊方丈にある「雲竜図」その他を見てきた。
    かなりの迫力に圧倒された。
    この本を読んで、海北友松の作品の力強さの背景がよく理解できた。

    本書では、春日局、安国寺恵瓊、明智光秀、斎藤利三(明智光秀の家臣)、織田信長、豊臣秀吉、狩野永徳等々歴史上の著名人が次々と出てくる。最後は宮本武蔵まで登場したのには驚いた。
    Wikipediaで調べてみると、経歴・作品の詳細はあまりはっきりしないようだが、上記に名前を挙げた人物とは何らかの関係があったようだ。

    海北友松のような戦う武士というか不満や怒りのエネルギーに満ち満ちている人物は、葉室麟の作品としては、そぐわないような感じ

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    2019年10月01日
  • 暁天の星

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    20190926
    不平等条約改正のために、他国と渡り合った陸奥宗光を主人公とした話。葉室さんの遺作のひとつであり、未完。
    これから面白くなりそうなところで終わってしまうが、そこまででも面白い場面は多い。戦争も駆け引きの道具であったのか、と感心するが、府に落ちる。しかし、葉室さんが作家になったのが、50歳の頃とは知らなかった。

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    2019年09月29日
  • いのちなりけり

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    8月-18。3.0点。
    水戸光圀が歴史編纂した時代の物語。
    大男と、夫を亡くした女性の恋物語。夫婦となるが、妻の宿題に答えられず、且つ別々に暮らすことになった主人公。

    政治とか、説明文章が多く、本筋が進まない印象。
    面白いのに惜しい気がした。

    3部作。次作に期待。

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    2019年08月29日
  • 暁天の星

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    葉室麟の本は江戸時代物が多かったが、初の明治維新後の本で知らなかった外相:陸奥宗光を描いた本。陸奥は坂本龍馬の門下生で龍馬が死しても師と仰ぎ江戸末期に押し寄せた諸外国と結んだ不平等条約の改正に尽力したとの事でその時代はイマイチ把握していなかったので色々と学べた。
    当時の政治の表舞台には、渋沢栄一、通信大臣:榎本武揚、内部大臣:山縣有朋、大隈重信を追い落とした初代総理:伊藤博文らが鎮座している。井上馨は当時西洋かぶれで社交場として(鹿銘館)舞踏会を催し要人らは夫婦共々募って参加していた。陸奥も美貌を誇る妻:亮子を伴い参加するも伊藤博文は、岩倉具視の娘人妻極子に熱を上げる。この行為は伊藤自身が裏で

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    2019年08月09日
  • はだれ雪 下

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    8月-5。3.5点。
    いよいよ吉良邸への討ち入り。大石内蔵助が再訪する。
    主人公、妻の運命は。

    忠臣蔵のアナザーサイドという感じ。おもしろい。
    ラストもさすが。

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    2019年08月07日
  • はだれ雪 上

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    8月-4。3.5点。
    忠臣蔵が題材。浅野内匠頭の切腹時に、最後の言葉を聞いた旗本の主人公。将軍から咎められ、流罪となる。
    流罪先で主人公の世話を命じられた、後家。
    浅野内匠頭の最後の言葉とは。

    流石に上手い。読ませる。
    主人公と女人の関係が面白い。下巻も楽しみ。

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    2019年08月07日
  • 陽炎の門

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    ネタバレ

    前半孤立していた桐谷主水が、後半過去の事情が明らかになり、反撃をしていくところが見どころです。
    鬼畜な藩主に向かって「それがしは、不忠、不義の悪臣、桐谷主水でござる」と言い放つシーンはスキッとしました。

    早瀬与十郎の言動が不可解でしたが、ラストの手紙で彼の“複雑すぎる”心境がそうさせていたのだな、と納得しました。

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    2019年08月03日
  • 辛夷の花

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    7月-18。3.5点。
    武士の娘、嫁ぎ先から離縁され、出戻り。
    隣に独身の武士が引っ越してくる。何か密命を帯びた風の隣人。
    面白い。いつもの葉室節で最後はホロリとさせる。

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    2019年07月25日
  • 実朝の首

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    ネタバレ

    殺害後、実朝の首は奪われ、どこかへ消えてしまう。実朝暗殺の首謀者は、誰なのか。誰が、何のために首を奪っていったのか。謎は多い。

    鎌倉時代も人物たちが濃く、分かっていないことも多い。興味深い。

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    2019年07月21日
  • 千鳥舞う

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    不義に問われた女絵師・春香こと里緒。
    依頼された「博多八景」を描く過程で、里緒は八景それぞれに関係した人々の哀切を知ることになります。
    人を思うゆえに生じる哀しみが美しく綴られていて、秀逸な連作短編集です。
    春香と外記の描いた千鳥の絵を、是非見てみたいと思いました。

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    2019年07月14日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    肥後の人斬り・河上彦斎という人物が実在とは知らなかった。「人斬り抜刀斎」として、土佐の岡田以蔵、薩摩の中村半四郎、田中新兵衛と4大人斬りと言われたという。
    この人物の他3名との邂逅の場面が痛快!また新撰組の沖田総司との立ち合いも迫力満点の描写。同郷の由依との心の通い合いが微笑ましく、2人の情事の場面の書き方が奥床しく魅力的である。

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    2019年07月10日
  • 秋霜

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    7月-3。3.5点。
    羽根藩シリーズ第4弾。
    前作の続きっぽい。亡くなった多聞の元嫁、楓が住む楓屋敷。子ども達の面倒を見ている。
    一人の武士が訪れる。武士の目的は。

    さすがの葉室さん。一気読み、ラストは感涙。
    次作も期待。

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    2019年07月02日
  • おもかげ橋

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    萩乃さんは、男性にはモテるけど女子に嫌われるタイプですね。

    対して、“大福餅”・弥生さんは好感が持てます。弥市は幸せ者ですな。

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    2019年06月16日
  • 冬姫

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    織田信長の二女で蒲生氏郷に嫁いだ、冬姫の生きざまを描いた話。
    嫉妬や逆恨みなどからくる、“女いくさ”に毅然と立ち向かう冬姫の姿が清々しいです。
    伝奇モノっぽい感じを織り交ぜているので、フィクション色が強いですが、冬姫の従者・もずと、又蔵のコンビは好きでした。

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    2019年06月07日
  • 緋の天空

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    時代小説を古代から明治までのカテゴリって無理あるなあ

    さて、光明皇后主人公です
    この人はなんぼ美しく描いても許される気がする
    葉室先生が古代小説書くと思ってなかったが、作品のテーマは少し深秘の力を持つ光明皇后(役には立たない)が、十一面観音菩薩の慈愛みちた性格で、生きて居た時の主だった事件に微妙にかかわる内容ですが、メインはやな奴に描かれた長屋王とその息子故の光明子と運命から逃れられない悲劇ですか・・・少し陳腐ですが読みやすかった!
    タイトルに関してネタバレすると、ラスト2ページに現れた仲麻呂が死ぬ寸前に観た緋色の朝焼けの空・・・納得いかない(笑)

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    2019年05月03日