葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全1巻。
今年の直木賞取った作家さんの初期作品。
藤沢周平ぽいとささやかれる著者だけど、
今作は隆慶一郎ぽかった。
歴史の死角を突いた伝奇もの。
歴史の独自な解釈や、
どろどろした政争、
力強い豪傑達と妖しげな刺客達、
そして人としての成長と気持ちの良い仲間達。
胸躍り、涙する展開なんだけど、
少しだけキャラの掘り下げが浅い。
灰汁の強い登場人物達を使い切れなかった印象。
特に幻術的な妖しさを持つ敵役とか。
この程度だったらそんな設定無かった方が良いのに。
あと、やっぱり最後蛇足な感じ。
多いな。そういうの。この人。
テーマも舞台も設定も好き。
おしい。 -
Posted by ブクログ
世評の高い本ですが、どうでしょう。
もちろん、悪い本ではありません。でも、少々肩透かしを食った感じがあります。期待が高すぎたからかも知れません。
帯に「感動と静謐に満ちた傑作」と縄田一男さんは書いてます。
しかし次から次に起こる事件は、どちらかと言えば静謐と言うより煩いほどです。登場人物の設定にも違和感を感じます。悪家老に見えた織部、策士の三弥、悪女の七與、そして伏影と呼ばれる隠密集団、余りに多くの脇役たちが現れ、結果として書き込みが不足し、捻った挙句の予定調和という気がします。
どうしても藤沢さんの「蝉しぐれ」との比較になってしまいます。「蝉しぐれ」で藤沢さんが描いたのは、藩の騒動を背景 -
Posted by ブクログ
ちょっと期待し過ぎたようです。
純愛小説です。どこか「蝉しぐれ」を髣髴させますが、「蝉しぐれ」の純愛が主人公の成長物語のサイドストーリーだったのに対し、この作品はこれがメインです。しかも短歌などを絡め、雅な仕立てでなかなかです。
しかし、それを打ち消すようなサイドストーリーが多すぎます。
・常に襲われる立場とはいえ、主人公が人を斬り過ぎる
・登場人物が多すぎて、しかも関係が複雑過ぎる
・周りの登場人物の権力抗争が生臭過ぎ
解説の縄田さんは絶賛です。その中に、比較として藤沢周平と五味康祐の名前が出て来ます。
私は藤沢周平が大好きで、五味さんの作品は詳しくないのですが、この本はたぶん五味さん -
Posted by ブクログ
このところ作品を良く目にする機会が多く
気になっていた作家さん。初読です。
もっと号泣するくらいに泣けるのかと思っていた
んですがそれは叶わず。でも、大袈裟な表現では
ないながらも、しっかりと、そして誠実な文章で
読み易く、分かり易く、時代小説が苦手な方でも
すんなり入っていける作風。
友とは、師弟とは、教えるという事、学ぶという事、
そして愛するという事...当たり前に大切な事が
当たり前に書かれています。単純な行動原理に
基づいて考え、動く主人公の「恭平」は決して
派手な存在ではなく、我々と同じ等身大の人間と
して描かれているところが、何かを与えてくれる。
もしかしたらまた一人好きな時 -
Posted by ブクログ
期待して読んだ葉室さん、見事に肩透かしです。
歴史・時代小説の質の高さを決めるものの一つとして、「主人公の生き様」が描けていることが挙げられると思うのですが、この小説には「生き様」と言えるものが殆どありません。次から次に事件が起こるばかりで、なんだか単純な娯楽歴史時代小説のようです。
もし、私が始めて取った作品がこれだったら、二度と葉室さんの本には手を出さなかったろうと思います。もっとも司馬遼太郎でさえ「城をとる話」のような、あるいは白石一郎の「鳴門血風記」のような作品も有るので、時々はこうした外れ作品があるものなのでしょう(あくまで私にとってですが・・・)
葉室さんには是非、単純に娯楽に流さ -
購入済み
歴史的認識に差異がある
小説としては読みやすいかもしれない。昔の歴史ものは肩がこる者が多かったゆえに。しかし刀伊が渤海の後継者というのはいささか史実と異なると思う。そもそもこの黒幕は高麗なのだがその点が十分に描かれていないように思えた。