葉室麟のレビュー一覧
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ネタバレテンポ悪いなぁ。
剣豪小説と歴史ミステリーと純愛ドラマを文庫本300P弱に詰め込もうとするとどうしても視点がボヤける。
おまけに綱吉将軍と水戸光圀の対立、鍋島藩の合法的下剋上、公家と将軍家の因縁や和歌の世界に至るまで解説を重ね、その都度物語が一旦中断するのは心が折れる。
雨宮蔵人と咲弥の和歌を巡る純愛物語の部分をもっと前面に押し出した小説にしておけば良かったのにと。正直なところ葉室さんにしてはちょっと残念な作品だと思う。
ただし寄り道枝道の多い作品だけあって、水戸黄門方面の寄り道はなかなかのもん。助さん格さんも活躍するし、なんとうっかり八兵衛がうっかりするし、クライマックス寸前には「控え控 -
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ネタバレ別に意識したわけではないんだけど、旬な人物、黒田官兵衛が主人公の小説。
もう一人の主人公、半分架空の人物ジョアンと2つの目線から、天下統一が成されていく日本を描いた歴史小説。
今まで読んできた葉室作品よりも、時代の流れを描いてる風に読み取れ、まさに「歴史」小説。なんだか司馬遼太郎とか隆慶一郎とかを読んでるのに近い感覚だった。ただ、葉室さんにはその手法は似合わないのか、少々散漫な印象は免れなかったのは残念。
軍師:黒田官兵衛ではなく、キリシタン:黒田シメオンが織田信長や明智光秀や豊臣秀吉をどう見ていたのかが分かっていく部分は面白い。ここだけに特化した小説でも良かったような気がする。ジョアンと -
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全1巻。
与謝蕪村というか、
与謝蕪村周辺の文学サロンの恋模様を
連作短編集のかたちで描いた作品。
歌を効果的に使用する手法を得意とする著者にとって、
俳人・与謝蕪村周辺を描く今作は、
面目躍如な感がある。
が。
これは読む人や、
読むタイミングを選ぶ本だと思った。
特に盛り上がりもなく、
淡々と、淡く静かに描写しているだけなので、
ぐっと引きつける部分もなく、
特に歌の知識がない自分みたいな人間には
ただ上辺をなぞるような読み方しか出来なかった。
与謝蕪村が題材なため、
いつもより、より歌が前面に出てきており、
結果、文学チックな装いだし。
歌に興味が有る人、文学的な恋が好きな人
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Posted by ブクログ
ネタバレ司馬遼太郎の「播磨灘物語」の黒田官兵衛とはいささか様相が異なり、キリシタンとしての黒田官兵衛とジョアンという2世の宣教師が主人公。
戦国期のキリスト教の苦難の裏面史という面では良く書けているが、「本能寺の変」は竹中半兵衛の意志を継いだ黒田官兵衛が仕掛けた設定で、かつその後の関ヶ原の戦いも官兵衛の仕掛けによるとあっては、歴史小説としては、いささか無理があり、白けてしまう。
黒田官兵衛とジョアンとの関係にしても、ところどころでの接点はあるが、上手く噛み合っていない感じがする。
「乾山晩秋」「いのちなりけり」「花や散るらん」「銀漢の賦」「秋月記」「蜩ノ記」など史実から距離をおき、自由な構成で心情