葉室麟のレビュー一覧
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不義密通をして破門を受けた女絵師の物語.女絵師が描く悲しみと愛情に満ちた絵を私も見たいと思った.そしていつの世も人は愛なくしては生きられない生き物なのかも.葉室さんらしい凛とした良い作品でした.
以下あらすじ(巻末より)
女絵師・春香は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けた。三年前、春香は妻子ある狩野門の絵師・杉岡外記との不義密通が公になり、師の衣笠春崖から破門されていた。外記は三年後に迎えにくると約束し、江戸に戻った。「博多八景」を描く春香の人生と、八景にまつわる女性たちの人生が交錯する。清冽に待ち続ける春香の佇まいが感動を呼ぶ! -
Posted by ブクログ
どうしてこんな主題にしたんだろう?
主人公の兄弟、兄の広瀬淡窓は幕末直前に私塾の中とはいえ身分制度を廃した先覚者とされているし、弟の博多屋久兵衛は干拓事業や藩の財政立て直しに「民衆のため」という信念を持って当たった人物として描かれています。なのに物語の主題は西国郡代の私塾・咸宜園へのちょっかいとその対応なのです。何か小さい。しかもそれにドロドロとした色恋沙汰まで絡ませて。
これが例えば弟・久兵衛の信念を主題に置いて、その伏線として兄の学識を置き、圭一郎と千世のゴタゴタを無くして千世一本に絞ってしまえば、随分すっきりとしかもスケールの大きな話になったように思います。 -
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全1巻。
九州の儒学者、広瀬淡窓の物語。
ああ。
ぽい。
今作を読む前に「冬姫」を読んだけど、
あっちは全然だった。
こっちはらしい。
大きなメリハリがある訳じゃないけど、
まさに表題の通り、
しっとり、じわじわ染みてくるような話。
生きていくことの哀しさが底に漂い続ける
藤沢周平っぽい葉室凛。
ちょい役だと思ってたやつが重要なキーマンだったり、
大塩平八郎と対比するアクセントだったりと、
構成もよくできてるなあと思った。
まあ、地味だけど。
自分はみちのく出身なので、
藤沢先生の暗く湿った感じは理解できるんだけど、
カラッと眩しい九州の人間が、
どうして藤沢先生と同じようなニオイをさせ -
Posted by ブクログ
全1巻。
「シーボルト事件」で有名なシーボルトが、
後年、息子を連れて日本に帰ってきた時の、
息子視点での物語。
息子がストーリーテーラーな立ち位置。
これは結構すごいかも。
主人公とも言うべき位置に、
ロシア人革命家を配置。
動乱の気配が漂ってきた日本に、
外国人革命家が種をまく。
幕末を、外国人目線で見るだけでも珍しいけど、
それだけなら他にも似たようなテーマの作品はある。
でも今作はさらに、
維新が革命だったという事を
改めて読者に気づかせる。
これは結構目から鱗だった。
勝海舟や小栗忠順、清河八郎、高杉晋作といった
幕末のビックネームが
ロシア人革命家に何かしらの影響を受け、
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Posted by ブクログ
関ヶ原の戦いの後、九州・柳川藩の藩主、立花宗茂を主人公にした物語。
作中にしばしば「立花の義」と言う言葉が出てきます。ところが宗茂の行動からは余り強く「義」というイメージが涌きません。行動で示せないところを言葉で補おうとしている様に見えます。
大きな流れでいえば、秀吉に取り立てられた宗茂は関ヶ原までは西軍に付くのですが、最終的には大坂の陣で東軍武将として働くのですから。それならば、東軍についても最後まで豊臣を存続させようとして加藤清正の方が、もっと「義」のように見えます。
もっと小さなエピソードを積み重ねる様に「義」を描いて欲しかったなあ。そうすれば説得力が出たと思えるのですが。
それよりも