葉室麟のレビュー一覧

  • いのちなりけり

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    ネタバレ

    テンポ悪いなぁ。
    剣豪小説と歴史ミステリーと純愛ドラマを文庫本300P弱に詰め込もうとするとどうしても視点がボヤける。
    おまけに綱吉将軍と水戸光圀の対立、鍋島藩の合法的下剋上、公家と将軍家の因縁や和歌の世界に至るまで解説を重ね、その都度物語が一旦中断するのは心が折れる。

    雨宮蔵人と咲弥の和歌を巡る純愛物語の部分をもっと前面に押し出した小説にしておけば良かったのにと。正直なところ葉室さんにしてはちょっと残念な作品だと思う。

    ただし寄り道枝道の多い作品だけあって、水戸黄門方面の寄り道はなかなかのもん。助さん格さんも活躍するし、なんとうっかり八兵衛がうっかりするし、クライマックス寸前には「控え控

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    2013年11月27日
  • 秋月記

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    人災、天災を撥ね飛ばす"泣き虫小四郎"の秋月藩奮闘記。幼少からの彼を囲む男たちもさながら、みつ、もよ、とせ、千紗、七與…いとの作った雪のような葛、みちの漢詩。清らかで一途な心をもつ…"秋月の女たち"に惚れ惚れする。

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    2013年11月23日
  • 乾山晩愁

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    乾山・永徳・等伯・雪信・一蝶。
    人や出来事のつながりを繋ぐのに感嘆。
    繊細な感応力のある筆者だと思うが、表現はいまいち大雑把。

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    2013年11月14日
  • 柚子の花咲く

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    葉室麟さんの時代小説は、時代風景がわかりやすく
    すんなりと、その時代に入って物語を経験する気がする
    そして、人のやさしさや孤独なさびしさなど
    胸が痛くなるような、深とした気持ちで読んでしまう
    ちょっと悲しいさびしい小説でした

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    2013年11月01日
  • 実朝の首

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     鎌倉時代が舞台って割と珍しいですよね。圧倒的な知識の足りなさで苦戦しつつ、おそらく非常に綿密に作られているのだろうなぁと思いつつ、うーん……のめりこみにくい; 話の盛り上げどころにちょいちょい入ってくる解説の所為で読む勢いが殺がれるし、感情移入もしにくくて残念でした。ヤマ場もいつの間にか通り過ぎて終わってしまった感が……きっちり歴史を勉強してから出直してこいってことですかそうですか?

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    2013年10月24日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    豊臣秀吉の軍師黒田官兵衛、秀吉から離れたその後。
    大名を含むキリシタンの人達が、この時代を生きる思いがちょっと驚きで新鮮だった。

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    2013年10月21日
  • 風渡る

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    ネタバレ

    別に意識したわけではないんだけど、旬な人物、黒田官兵衛が主人公の小説。
    もう一人の主人公、半分架空の人物ジョアンと2つの目線から、天下統一が成されていく日本を描いた歴史小説。

    今まで読んできた葉室作品よりも、時代の流れを描いてる風に読み取れ、まさに「歴史」小説。なんだか司馬遼太郎とか隆慶一郎とかを読んでるのに近い感覚だった。ただ、葉室さんにはその手法は似合わないのか、少々散漫な印象は免れなかったのは残念。

    軍師:黒田官兵衛ではなく、キリシタン:黒田シメオンが織田信長や明智光秀や豊臣秀吉をどう見ていたのかが分かっていく部分は面白い。ここだけに特化した小説でも良かったような気がする。ジョアンと

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    2013年10月05日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    妙に若者向けで写実性がない表紙の絵は気に入らなかったけど、お話の内容は「ほぅ~」って感じの官兵衛さん小説です。
    秀吉さんが壊れて朝鮮出兵をするあたりからお話は始まるんだけど、官兵衛さんが如水さんとしてキリスト教を信仰していた部分に物語の焦点が当てられていました。
    織田信長さんを本能寺の変で殺害した黒幕は官兵衛さんだったとかね。
    歴史はいろんな説があって当たりまえなので、こういう説を小説で楽しむのもオツなものだと思いました。

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    2013年09月21日
  • 柚子の花咲く

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    村塾の恩師が殺された。
    死にまつわる悪い噂を信じられない恭平は
    死の謎を追って、藩の抗争に巻き込まれていく。

    登場人物にすごい魅力を感じるわけではないのに
    一気に読めるのは何故だろう。。。
    人を想う気持ちとか、自分勝手な振る舞い、
    思うようにはならない事情とかが惹きつけるんだろうな。

    「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」

    武士ものならではの心温まる感じが良かった。

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    2013年09月10日
  • 恋しぐれ

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    全1巻。
    与謝蕪村というか、
    与謝蕪村周辺の文学サロンの恋模様を
    連作短編集のかたちで描いた作品。

    歌を効果的に使用する手法を得意とする著者にとって、
    俳人・与謝蕪村周辺を描く今作は、
    面目躍如な感がある。

    が。
    これは読む人や、
    読むタイミングを選ぶ本だと思った。

    特に盛り上がりもなく、
    淡々と、淡く静かに描写しているだけなので、
    ぐっと引きつける部分もなく、
    特に歌の知識がない自分みたいな人間には
    ただ上辺をなぞるような読み方しか出来なかった。

    与謝蕪村が題材なため、
    いつもより、より歌が前面に出てきており、
    結果、文学チックな装いだし。

    歌に興味が有る人、文学的な恋が好きな人

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    2014年09月03日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    キリシタン「黒田官兵衛」は、キリシタンを弾圧する秀吉を討つ謀略のために文禄の役で朝鮮に渡る。そして、伴天連の王国を造るべく関ヶ原の戦いで九州で挙兵。異国の風を受け、夢を追う男のキリシタン側から見た戦国。
    筋に少々無理があるが、関ヶ原で従来の豊臣恩顧、反石田、徳川側という単純な構図だけでなく、キリシタン勢力をどう取り込むかという着想はなるほど有り得る。

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    2013年08月28日
  • 風渡る

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    ネタバレ

    司馬遼太郎の「播磨灘物語」の黒田官兵衛とはいささか様相が異なり、キリシタンとしての黒田官兵衛とジョアンという2世の宣教師が主人公。

    戦国期のキリスト教の苦難の裏面史という面では良く書けているが、「本能寺の変」は竹中半兵衛の意志を継いだ黒田官兵衛が仕掛けた設定で、かつその後の関ヶ原の戦いも官兵衛の仕掛けによるとあっては、歴史小説としては、いささか無理があり、白けてしまう。
    黒田官兵衛とジョアンとの関係にしても、ところどころでの接点はあるが、上手く噛み合っていない感じがする。

    「乾山晩秋」「いのちなりけり」「花や散るらん」「銀漢の賦」「秋月記」「蜩ノ記」など史実から距離をおき、自由な構成で心情

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    2013年08月26日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    葉室さんは「蜩の記」を最初に読んだから本作は戸惑うばかりでした。トンデモ設定満載の異説関ヶ原なんですね。写実的で静かな時代小説を書く人だと思ってました。まぁ方向転換して正解ではないでしょうか。

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    2013年08月02日
  • いのちなりけり

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    清廉な印象のお話、好きな感じです。それにしても水戸光圀が、テレビの黄門様のイメージを超えていました(いや、このお話は光圀は主人公ではありませんが!)冲方丁の光圀本も読んで見たくなったり。

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    2013年07月25日
  • 秋月記

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    時代小説好きにはたまらないと思う。さらに、どちらかと言えば男性向けかなぁ。

    藩のために捨て石になり、憎まれ役を引き受け…そんな男の生き方。

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    2013年07月03日
  • 乾山晩愁

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    尾形光琳の弟、乾山を主人公にした1編からはじまって、歴代狩野派、長谷川等伯らの物語を勧め、井原西鶴なんかを狂言回しにして、最後に再び初めの作品の時代に戻る。

    その構成は良いし、文章も美しいし、あの歴史的事件を隠れたメインテーマにしてる当たりもすげえし、さすが葉室さんやわぁと感心する短編集なんだが

    いかんせん、なんとも地味。日本画に興味がない俺がアカンのかも知れんけど、もうちょっとこうエンターテイメント性が欲しいなぁ。

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    2013年06月30日
  • 実朝の首

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    葉室は、歴史小説好きに人気が高いと聞く。
    北条ものには、そんなに食傷していないし、確かに面白くて最後まで読ませる。しかし、やや散らかった講談物の印象が否めないし、和田の役割、政子の役割造形も類型的で、他の先達の作品とあまり変わらない印象だ。実朝の首を象徴に京と鎌倉の関係を描いた、というところなのだが、スケールがあまり大きいとは感じられない。

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    2018年10月14日
  • 風渡る

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    黒田官兵衛を主人公に、戦乱の世におけるクリスチャンとしての武将の生き様を描いた作品。史実に則った展開なのだろうが、乱世に生きる人々の葛藤と宗教が織りなす内なる揺らぎが全編にわたって響きドラマを盛り上げる

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    2013年06月09日
  • 風渡る

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     秀吉の懐刀・黒田官兵衛と、日本人修道士・ジョアン。2人は、未曾有の変革の時を、時代の風を受けて生き抜いた。居場所を求めて駆け抜けた2人。信長から、キリシタン禁止令の時期を、折々にかかわりあいながら生きてきた2人。お互いの心にあるものを察しながら、時代を体現した黒田官兵衛とジョアンの交歓を、さわやかに描く。

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    2013年06月02日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    官兵衛が活躍する中盤まではおもしろい。
    でも、官兵衛が亡くなった以降、謎が次から次へと明かされていく後半は、若干食傷気味。

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    2013年05月27日