葉室麟のレビュー一覧

  • 花や散るらん

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    水戸光圀の隠居と赤穂浪士事件の裏側に潜む一つの思惑。朝廷、幕府の暗闘に絡む大奥の権力闘争。「いのちなりけり」よりミステリー要素が強めの作品。

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    2013年05月26日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    黒田官兵衛の話だが、官兵衛が登場するのは全体の半分くらい。
    関ヶ原以外見せどころがないのも残念。
    どっちかというとガラシャと織田秀信主体のキリシタンの題目にした方が合っている感じ。

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    2013年05月02日
  • いのちなりけり

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    良質の大衆小説。
    ただ巻末解説者が吠えるほどの出来ではないんでは?
    別に直木賞を崇め奉る訳ではないが、少々輪郭が弱い感がある。
    良い娯楽小説というのは骨太で分かり易い(決して単純という意味ではない)ストーリーに加えて、その輪郭の鮮明さを併せ持っているものと思うのだが、この作品は特に後者が弱いかな?
    その結果、ストーリー展開が少々脇甘になってる気がする。
    とまぁ少々辛口になりましたが、面白いので一服したい時には悪くないと思う。

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    2013年04月14日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    直木賞作家、葉室麟の初めて読む小説。来年の大河ドラマの主人公でもあり、期待して読んだのだが、少し違うという感じ。何か深みがないのだ。黒田官兵衛の後半生を描いており、魅力があるのは、中国から大返しの辺りだと思うのだが、何故その辺を描かないのかと不思議に思っていたら、解説を読んで漸く理解できた。この小説は続編なのである。最初の小説を読まないと、この小説の魅力はよくわからないのである。こういう失敗は今まで2度している。続編ならば、はっきり続編と分かるタイトルにしてほしいものだ。

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    2013年04月01日
  • 花や散るらん

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     京の郊外に居を構え静かに暮らしていた雨宮蔵人と咲弥だったが、将軍綱吉の生母桂昌院の叙任のため、上京してきた吉良上野介と関わり、幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまう。そして二人は良き相棒である片腕の僧、清厳とともに江戸におもむき、赤穂・浅野家の吉良邸討ち入りを目の当たりにする事となるのだが。

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    2013年01月04日
  • 秋月記

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    見知った土地で起きた昔の出来事を知ることができたのがとても良かった。誰がどう腹の中で考えて動いているかと言うものはなかなか分からないもの、でも命を賭しても今の政治を変えようと思う気持ちで動く人々は、諦めが蔓延した今とは違ってキラキラしてるな。
    子どもの頃からの仲間たちが時代に翻弄され大人になり立場の違いからギクシャクしながらも変わらぬ友情で・・・っていうところは好きだけれど、そして確かにわくわくしたけどその一番の盛り上がりのシーンがあんまりにもありきたり過ぎて、とはいえそこが盛り上がりがあっただけに物語の終息が、小四郎一人の話だけになってしまったのが何とも物足りなく。
    小四郎の最後の頃のほかの

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    2012年12月12日
  • 秋月記

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    全体を覆う暗いトーンは当方好みであるが、その起因が何となく作家の消化不良にあるような気もしなくはない。
    清濁併せ呑むまでの必然性が上手く提示されていないと思われるが、この作家の限界なのかどうかは次作以降により詳らかになろう。
    (この作品後、直木賞を受賞しているあたり、賞を獲ることが全てではないが、期待は持てるというもの。)

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    2012年12月02日
  • 風渡る

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    黒田官兵衛を主人公にした長編には、司馬遼太郎の「播磨灘物語」があるが、葉室氏のこの作品は、虚構の主人公ジョアンを絡ませ、キリシタンにして智謀の軍師、黒田官兵衛の活躍を違った視点から描いており、興味深く読んだ。読み始めは、取り付きにくかったが、読み進むにつれ物語に引き込まれていった。「本能寺の変」の黒幕には、諸説あるが、葉室氏は、官兵衛黒幕説を採る。そして、さらにその後ろに、半兵衛を介した秀吉を見据えている。戦国末期から、信長、光秀、秀吉、そして家康へとたどる歴史には、様々な形で、キリスト教および宣教師が、時代の流れに関わっていることが読み取れる。

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    2012年09月24日
  • 実朝の首

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    「御首の在所を知らず」甥の公暁に暗殺された実朝の首をめぐる朝廷と幕府、北条氏と源氏の対立と人間模様。
    歴史に対する丹念な調査と真摯な姿勢は感じさせるが、次作の「銀漢の賦」「いのちなりけり」の爽快感や「秋月記」「橘花抄」「散り椿」「蜩ノ記」に続く葉室文学とも言える坦々とした世界観と余韻までは感じさせない。

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    2012年08月22日
  • 柚子の花咲く

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    主人公である恭平は、ちょっと流され易いところがあるのかな、と思いました。
    いや、要所要所では事件を解決(というのも違いますが)しようという奮闘の気配はありますが、結構いろんなことをいろんな人に助けて貰っていますよね……。
    せめて恋愛くらいは自分で奪い取るくらいの気概があってもよかったのではなかろうか!
    周囲がお膳立てしてくれてなければ、絶対に一生独身か、あるいは宛がわれた女性と結婚していたのだろうなあ、というのが伺えました。
    何にせよ、主人公にスポットをあてている感じがして、もうすこし他の人の人柄だとか死にいたるまでの経緯とかがあったら面白かったのだろうになあ、と思いました。
    時代モノミステリ

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    2012年07月21日
  • 風渡る

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    手を出すべきか、最初は一寸迷ったのです。
    安土・桃山時代を舞台とした小説は司馬遼太郎さんが多く手がけ、私はそのほとんど読んでいます。司馬さんの人物造形は秀逸で、時代背景の中で生き生きと行動し、いかにも「見て来た様な」リアリティを感じてしまうのです。ですから、他の人が同じ主人公で作品を描くと、読みながら何故か「ウソだろう」なんて気持ちになってしまうのです。
    この本はと言うと。。。  さほど違和感を感じませんでした。
    ただ、逆になんだか主人公の人物像がぼんやりしている気がします。基本的にはキリシタンとしての官兵衛を描こうとしているのですが、どうも信仰心が曖昧と言うか。。。
    中で出てくる歴史の新解釈

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    2016年07月23日
  • 風渡る

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    全1巻。
    黒田勘兵衛とキリシタンの通訳の2人生き方を通して、
    戦国時代をキリシタンの視点から見るお話。

    きちんと書くタイプの著者だし、
    史実ベースなので、
    背景説明などが多く、堅い。
    ぐあっとした盛り上がりはあんま無く、
    手に汗握る展開も無い。
    けっこう淡々と事実を重ねていく印象。
    終わり方もホワッとしてる。

    ただ、信長の神観や、目指した国の形、
    竹中半兵衛の造形などは
    個人的に目新しく、おっと思った。


    大枠はきちんとまとまり、
    きちんと目新しいんだけど、
    盛り上がりとメリハリに欠ける。
    黒田勘兵衛の歴史ミステリーなのか
    キリシタンから見た戦国史なのか、
    少しボンヤリした印象の物語。

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    2012年05月18日
  • 実朝の首

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    全1巻。
    今年の直木賞取った作家さんの初期作品。

    藤沢周平ぽいとささやかれる著者だけど、
    今作は隆慶一郎ぽかった。
    歴史の死角を突いた伝奇もの。

    歴史の独自な解釈や、
    どろどろした政争、
    力強い豪傑達と妖しげな刺客達、
    そして人としての成長と気持ちの良い仲間達。

    胸躍り、涙する展開なんだけど、
    少しだけキャラの掘り下げが浅い。
    灰汁の強い登場人物達を使い切れなかった印象。
    特に幻術的な妖しさを持つ敵役とか。
    この程度だったらそんな設定無かった方が良いのに。

    あと、やっぱり最後蛇足な感じ。
    多いな。そういうの。この人。

    テーマも舞台も設定も好き。
    おしい。

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    2012年05月15日
  • 柚子の花咲く

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    瀬戸内海に面した小藩の郷学(藩設立の農民の子まで学習できる塾)の教授をしていた梶与五郎が隣藩で殺害される。死後与五郎の悪評がたち、これに不信を抱いた元塾生の孫六と恭平が真相解明に乗り出す。まず孫六が隣藩迄出向いて少し解っていくが孫六は殺害されてしまう。恭平はそのあとを引継ぎ、命を狙われながら度々隣藩を訪れて事件を解明していく。解明後与五郎の後を引継ぎ塾で少年少女を教える立場になる。
    恭平にスポットを当てているせいか、与五郎、孫六の最後に至る経緯がサラっとしすぎており物足りなさを感じる。

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    2012年03月11日
  • 乾山晩愁

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    乾山晩愁/永徳翔昇天/等伯慕影/雪信花匂/一蝶幻景/

    尾形乾山ほか戦国から江戸に生きた絵師達の話。創造することで生きた人達だけど、愛や欲などの人間くさいところも描かれる。文章での創造と通じるところもあるのだろうか。

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    2012年02月29日
  • 秋月記

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    世評の高い本ですが、どうでしょう。
    もちろん、悪い本ではありません。でも、少々肩透かしを食った感じがあります。期待が高すぎたからかも知れません。

    帯に「感動と静謐に満ちた傑作」と縄田一男さんは書いてます。
    しかし次から次に起こる事件は、どちらかと言えば静謐と言うより煩いほどです。登場人物の設定にも違和感を感じます。悪家老に見えた織部、策士の三弥、悪女の七與、そして伏影と呼ばれる隠密集団、余りに多くの脇役たちが現れ、結果として書き込みが不足し、捻った挙句の予定調和という気がします。

    どうしても藤沢さんの「蝉しぐれ」との比較になってしまいます。「蝉しぐれ」で藤沢さんが描いたのは、藩の騒動を背景

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    2016年07月23日
  • いのちなりけり

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    ちょっと期待し過ぎたようです。
    純愛小説です。どこか「蝉しぐれ」を髣髴させますが、「蝉しぐれ」の純愛が主人公の成長物語のサイドストーリーだったのに対し、この作品はこれがメインです。しかも短歌などを絡め、雅な仕立てでなかなかです。
    しかし、それを打ち消すようなサイドストーリーが多すぎます。
     ・常に襲われる立場とはいえ、主人公が人を斬り過ぎる
     ・登場人物が多すぎて、しかも関係が複雑過ぎる
     ・周りの登場人物の権力抗争が生臭過ぎ
    解説の縄田さんは絶賛です。その中に、比較として藤沢周平と五味康祐の名前が出て来ます。
    私は藤沢周平が大好きで、五味さんの作品は詳しくないのですが、この本はたぶん五味さん

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    2016年07月30日
  • 柚子の花咲く

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    この作者さんの初めて読んだ時代小説。今と違って身分違いの恋有り、父と子の家を巡る相克有りで最後は師を慕う子ども達の思いが通じて良かった。

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    2010年10月22日
  • 柚子の花咲く

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    主人公に積極性が、もう少し欲しかった。
    (何をするにも、恋に関してもお膳立てされてる気がする)
    そうしないと遅咲きにならないから、しようがないのかな?

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    2010年10月05日
  • 柚子の花咲く

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    このところ作品を良く目にする機会が多く
    気になっていた作家さん。初読です。
    もっと号泣するくらいに泣けるのかと思っていた
    んですがそれは叶わず。でも、大袈裟な表現では
    ないながらも、しっかりと、そして誠実な文章で
    読み易く、分かり易く、時代小説が苦手な方でも
    すんなり入っていける作風。

    友とは、師弟とは、教えるという事、学ぶという事、
    そして愛するという事...当たり前に大切な事が
    当たり前に書かれています。単純な行動原理に
    基づいて考え、動く主人公の「恭平」は決して
    派手な存在ではなく、我々と同じ等身大の人間と
    して描かれているところが、何かを与えてくれる。

    もしかしたらまた一人好きな時

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    2010年06月30日