葉室麟のレビュー一覧

  • 橘花抄(新潮文庫)

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    ネタバレ

    卯乃にとって、恩がある人に嫁ぐことが大切。でも恩人の弟にこころ惹かれる。
    それに対して周りの人が協力的に動いていく。なんとも出来すぎ感は否めませんが、卯乃が可愛い性格だからか嫌味には感じられませんでした。
    最後の決闘のシーンは、確かに宮本武蔵を彷彿とさせました。

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    2016年01月17日
  • 春風伝

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    高杉晋作のイメージといえば、狂気、色気、イケメン俳優、ミステリアス、、、程度であった私。なんとなくカッコ良さそう、みたいな。葉室さんの高杉とかアツイ!読みたいと思い、この本を手に取りました。笑
    恥ずかしながら、高須さんが27歳でなくなるまでにこんなに頑張ったなんて知らなくて、イメージを壊さない爽やか✖️モテ✖️狂気が描かれていて引き込まれました。
    太平天国の乱を参考にして、西郷や竜馬も登場し、張り合ったり刺激しあったり協力しあったりして長州が日本を守る、と意気込む使命感に痺れました。
    うのと八雲がイマイチ不思議。実在したのでしょうか??
    着流しのまま船に飛び乗り強敵に夜襲をかける、美しく儚げな

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    2015年11月29日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    なぜなのかさっぱりわからないのだけれど、葉室先生の作品にしては、あまりにも人物に魅力を感じなかった。
    流石に、関ケ原の策謀の裏にキリシタンの存在を持ってくる所といい、視点やストーリーは半端なく面白い。
    ぐいぐい先を読ませる所も健在だ。
    だが、特にキリシタン側の人々が、随分と「自分の論理」だけで自分勝手に動いているようで、なんだか腑に落ちなかった。
    読み終えて、思わず「葉室先生って如水たち好きじゃないのかな?」と首を傾げたくらいだ(出身地を確認してますます混乱したのだが)。
    「風渡る」の続編だというのに、肝心の1作目を読んでいなかったせいもあるのかもしれない。
    まずはそちらに目を通して、考え直し

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    2015年10月14日
  • 恋しぐれ

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    久々の葉室作品、恋物語は初読み。蕪村当人と弟子たち・友人を絡め、一人一人の恋情、心模様。侘・寂の美世界に散りばめられる、切なさと楔の俳句。やっぱり渋い♪。

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    2015年09月20日
  • 無双の花

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    ネタバレ

    葉室麟の初読は、義将立花宗茂の生涯。 戦乱の終わりから、泰平の世への時代の過渡期に、義を通し所領没収から旧領へ復帰出来たのは、処世術ならぬ、徹底したリアリズム『立花の義を立てる。』その生き様と対照的に描かれる『徳川家の義』。 天下泰平への大義の為には、謀をも厭わないと説いた家康、本多正信の信念もまた潔く感じられる。 “莞爾と笑う。” ニヒルな雰囲気を随所に匂わす宗茂。もてたんだろうなぁw 人物の魅力的な描写が葉室氏の魅力のひとつなんでしょうね。

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    2015年08月05日
  • 星火瞬く

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    ネタバレ

    「オランダ宿の娘」の後日譚…というわけでもないのか?
    日本地図を持ち出そうとして国外退去させられたシーボルトが幕末に再来日。その来日同行した息子アレクサンダーの目線で動乱の日本を描いた小説。

    登場人物が豪華、勝海舟に小栗忠順、清河八郎、高杉晋作、外国勢もバクーニン(革命家)にスネルブラザーズ(武器商人)、駐日公使や、画家のハイネまで。同時代にうごめいてい彼らと、ヨーロッパ列強が歯牙にかけようとする幕末日本と、そうはさせまじともがく日本の摩擦によって起こる事件。

    日本人ではなく、大人でもない。ある種無力な安全地帯にいる主人公の目線が、これらの人間模様や事件を捉える体で、葉室麟の筆が史実を小説

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    2015年07月28日
  • おもかげ橋

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    「武士とは命懸けで人を信じるもの」と帯にあります。
    葉室さんの作品であり、当然ながら情緒あふれる時代小説を期待したのですが。。。
    エンターテインメント系です。
    ある意味、判りやすい。何せ主人公たちが、自分の想いを口に出して説明してくれるのですから。でも、なんだかやっている事と口にされる想いの間にギャップがあるように思えます。
    男二人と一人の女性の物語。でも、このヒロインがやたらと思わせぶりでどうも好きになれず
    確かにエンターテインメントとしては十分に楽しめるのですが。

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    2016年05月15日
  • おもかげ橋

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    全1巻。
    藩を追われた男2人が、初恋の人を守るため、
    旧藩の陰謀に再び巻き込まれるって話。

    うーん。
    著者お得意の藩政ものかと思いきや、
    なんだかよくわからない女心に振り回される感じ。
    読者も。

    とにかくヒロインがムカつく。
    ムカつくままなんとなく良い話っぽくまとめられて、
    最期まで腑に落ちなかった。
    こういう女だいっきい!って感想のみが残り、
    モヤモヤする読後感。

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    2015年06月29日
  • 風渡る

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    しみじみとした町人の情感や清廉なる生き方を貫く武士など、人間味あふれる歴史物を描く作家にとって戦国時代の軍師は、この作家にとって描くべき対象だったのだろうかとさえ思う。キリシタンということを歴史の中のポイントとするなら、ややこしい戦国時代の大名や武士の戦い、策略、覇権といったことを追っていくことはなかったのではないか。

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    2015年02月23日
  • 花や散るらん

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    「いのちなりけり」の主人公、蔵人と咲哉が、忠臣蔵に関わっていく物語。一般の忠臣蔵とは一味違った物語で面白かった。

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    2015年02月08日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    ネタバレ

    出版時の帯が「戦う光源氏」だったんだとか。ヒドい煽り文句だなぁと、これは余談。

    安部晴明が出てきて、正体不明の武器を使う集団が出てきて、「俺はもっと強い敵と戦いたい」という主人公が出てきたら・・・夢枕獏の小説と勘違いしてしまうやん。まぁ濡れ場は昭和のジュブナイルなみにサラっとしてるけど。

    実は俺、平安貴族文化、特に道長・頼通時代の円熟したあたりが肌に合わない。藤原道長、紫式部が狂言回しってのも嬉しいなぁ。「この世をばわが世とぞ思ふ望月の・・・」って歌が大嫌いで、源氏物語もなんだかピロートークの寄せ集めみたいで好きになれない俺には、この2つをネタにしてくれたものオモロかった。

    前半は葉室麟

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    2015年02月02日
  • 霖雨

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    広瀬淡窓と久兵衛、私塾を営む兄と実業に生きる弟、降りかかる難題に懸命に対処するふたりの生き様が潔い。ときに保身に奔らんとする誘惑にかられたり、側に置いた使用人に思いを寄せた女性の面影を追ってしまったりと、兄弟の心の葛藤が人間臭さを醸し出しているのも面白い。

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    2015年01月25日
  • 千鳥舞う

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    不義密通をして破門を受けた女絵師の物語.女絵師が描く悲しみと愛情に満ちた絵を私も見たいと思った.そしていつの世も人は愛なくしては生きられない生き物なのかも.葉室さんらしい凛とした良い作品でした.
    以下あらすじ(巻末より)
    女絵師・春香は博多織を江戸ではやらせた豪商・亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けた。三年前、春香は妻子ある狩野門の絵師・杉岡外記との不義密通が公になり、師の衣笠春崖から破門されていた。外記は三年後に迎えにくると約束し、江戸に戻った。「博多八景」を描く春香の人生と、八景にまつわる女性たちの人生が交錯する。清冽に待ち続ける春香の佇まいが感動を呼ぶ!

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    2015年01月22日
  • 千鳥舞う

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    全1巻。
    哀しい恋をしている女絵師が、
    様々な哀しさと出会う話。

    結構いい。
    葉室先生が女を書くと外れる印象を持っていたけど、
    これはよい。

    女絵師が依頼された「博多八景」。
    その一景を一章として、
    一章ごとに完結する哀しいエピソードが積み重ねられていく、
    群像劇のような構成。
    地味な話だけど中だるみ無く最後まで読ませる。
    クライマックスは結構グッと来た。

    「待つ女」なんて湿ったテーマだし、
    活かしきれていないキャラがいて少し気になったけど、
    奇麗な物語だった。
    女性が読んでも良いかも。

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    2015年01月15日
  • 霖雨

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    どうしてこんな主題にしたんだろう?
    主人公の兄弟、兄の広瀬淡窓は幕末直前に私塾の中とはいえ身分制度を廃した先覚者とされているし、弟の博多屋久兵衛は干拓事業や藩の財政立て直しに「民衆のため」という信念を持って当たった人物として描かれています。なのに物語の主題は西国郡代の私塾・咸宜園へのちょっかいとその対応なのです。何か小さい。しかもそれにドロドロとした色恋沙汰まで絡ませて。
    これが例えば弟・久兵衛の信念を主題に置いて、その伏線として兄の学識を置き、圭一郎と千世のゴタゴタを無くして千世一本に絞ってしまえば、随分すっきりとしかもスケールの大きな話になったように思います。

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    2016年05月29日
  • 霖雨

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    全1巻。
    九州の儒学者、広瀬淡窓の物語。

    ああ。
    ぽい。
    今作を読む前に「冬姫」を読んだけど、
    あっちは全然だった。
    こっちはらしい。

    大きなメリハリがある訳じゃないけど、
    まさに表題の通り、
    しっとり、じわじわ染みてくるような話。
    生きていくことの哀しさが底に漂い続ける
    藤沢周平っぽい葉室凛。
    ちょい役だと思ってたやつが重要なキーマンだったり、
    大塩平八郎と対比するアクセントだったりと、
    構成もよくできてるなあと思った。
    まあ、地味だけど。

    自分はみちのく出身なので、
    藤沢先生の暗く湿った感じは理解できるんだけど、
    カラッと眩しい九州の人間が、
    どうして藤沢先生と同じようなニオイをさせ

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    2014年11月26日
  • 随筆集 柚子は九年で

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    直木賞受賞以前から注目していた葉室麟の随筆集。
    作家としてのデビューが遅く、何度応募すれども賞に該当せず、「柚子は九年で花が咲く」の言葉に例え、10年目にやっと直木賞を受賞できたことを淡々と記している。
    著者の人柄がにじみ出るエッセイ集。
    巻末の短編小説も、著者の師事する藤沢周平の趣きがある佳作。

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    2014年11月21日
  • 無双の花

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    立花宗茂の半生期を描いた作品だ。
    戦国時代後半に活躍した大友家の家臣から豊臣秀吉によって吸収柳川に大名として取り立てられた豊臣大名の一員だ。

    基本は「義」だ。どう自分の生きざまを貫くのかが正室の誾千代との掛け合いでつわたるようになっている。

    何か一つを信じて貫く生き様が清々しい。

    それにしても史実とは随分と違う構成になっている。
    誾千代との仲や浪人中のエピソードなど人間、宗茂が成長する要因として描かれている。いい印象になるようになっているね。

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    2014年10月31日
  • 星火瞬く

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    ネタバレ

    シーボルトの息子が主人公だなんて。。。。意外すぎて、フィクションかとおもいきや、実在する人物ではあるみたい。ストーリーは日本の有名人勝海舟や高杉晋作なんかも出てくるし、臨場感があって引き込まれる。
    バクーニンを調べたら、やっぱり存在してるし。。。笑
    でも載ってた写真はイメージとは違う感じでした笑
    でも葉室さんの作品では、武士が主人公の方が好きかな。大和魂というか、日本人の感情の繊細で奥ゆかしいところを描き出すのがとても上手だと思うからです。

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    2014年10月25日
  • 秋月記

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    ネタバレ

    政治の悪役が、見方を変えると悪役では無かったり。
    自分がその立場になってみて、初めて理解できたり。
    単純ではないんだな。

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    2014年10月18日