葉室麟のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレモヤモヤしてた気持ちをすっきりさせる読書として、ストイックに自分を鍛える登場人物が出てくる小説を読むってのがある。ダラダラしてたりウジウジしてたりする自分に対してカツを入れる処方薬みたいなもんなんだけど。
典型的なのはスペンサーシリーズ。ミステリー要素とかアクションも素晴らしいが、それらは全てカツ本(?)を引き立てる要素にすぎないというと言い過ぎか…
葉室麟の小説も、読後自分がすっきりしてるのが分かる。スペンサーシリーズとはまた違ったすっきりの仕方。スペンサーシリーズのそれよりももっと日本人にマッチしたストイックさと言えばいいか。無理なく心地よさが沁みてくる感じ。
本作もそういう葉室小説の要素はたっぷり詰まっていて、読めばすっきり心が洗われる。毎日のしんどさ苦労を頑張ってしのぎ、積み重ねることでじっくりじわじわと前に進む。雨の日を耐えて日々精進すれば、晴れの日が来る。そういう心意気を読んですっきりしないわけがない。
ただ、重要な登場人物である佳一郎・千世ってのが戴けない。彼らがいるから物語に波乱万丈さが加わることは十分わかっていても、どうもすっきりしない二人なので、こいつらさえいなければもっと清涼感あるのになぁ…とか思ってしまうのである。
ここまで言うたら、これはもう読者の勝手すぎるおせっかいになってしまうんだけども