感情タグBEST3
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小倉藩で享和から文化年間にかけて実際に起こった「白黒騒動」を題材にした時代小説。
であるとともに、感動の恋愛小説ともいえる。
かつて、彼女の危機を救った時、「わたしが吉乃様をお守りいたしますから、このことは生涯かけて変わりませんぞ」と、印南新六は誓う。
吉乃は、いまでは他人の妻となっているが、その言葉通り、新六は命をかけて彼女を守り通す。その行動について彼は「ひととしての思いでござる」と言い切る。
現代小説なら噴飯物に思えるこれらの言動も、時代小説の世界を借りると、登場人物の凜とした佇まいに清冽さが胸に迫る。
新六の最期の場面を小説の冒頭に据えた手法は?
彼の一貫性を強調する意味合いであろうか。
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葉室麟著「風花帖」
武士として命を捨てる事が使命とされながら、自分の大切な人のために命をかけ、武士である前に人間として生きる主人公の姿がとても爽やかに感じられる。
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史実である藩の内乱をベースにしているらしいけれど、とにかく双方の企みがレベルが低くかつ卑怯過ぎる。
新六は葉室作品らしくどこまでも一途で清廉な性格で、芯の通った行動を貫くものの、藩の上役たちの酷さに救いがないので少々興醒めしてしまった。
常に静かな感動を与えてくれる葉室作品にしては少し残念な印象かな。
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登場人物の名前を覚えるのが大変だが、それを踏まえても流れるように読める本。一晩で読みました。一途な想いの描き方が綺麗。冒頭に悲しい結末を先に書いているので、どうしてそうなってしまったのかを解き明かしながら読んでいくことになるのだが、冒頭に知らせてあるだけに、悲しいとか残念とかいう気持ちが起きず、美しく終わる印象。
この死生観や美しさが理解できるのって、日本人だけなんだろうなぁ。
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小倉藩の白黒騒動を下敷きにした物語。
主人公印南新六の想いに胸打たれます。
小倉藩勘定方の印南新六が生涯をかけて守ると誓った女性・吉乃。
しかしながら、ある事件を契機に、吉乃は他家に嫁いでしまいます。
その後、「白黒騒動」と呼ばれる御家騒動が起こる中、新六や吉乃の夫源太郎も派閥の争いに巻き込まれていきます。
吉乃とその家族を守るため、新六は刺客となって命を懸けることに。
見返りも求めず、全身全霊で吉乃を守るという新六の想いには胸打たれます。
そこまで、思うことができるのか?
そのように生きることができるのか?
そして、最後、吉乃がようやく気付いた新六の想い。そしてそれに応えた言葉。
二人の想いが重なります。
気持ち良い読後感
お勧め!
Posted by ブクログ
“印南新六の献身”という副題をつけたい。と思ってしまう本書。
好きな女性・吉乃の為に、身を捧げるかのように生きる新六の姿は確かに清く、純粋さを感じます。
ただ、あまりの献身ぶりに、個人的には吉乃の夫・源太郎が呟いた「印南殿のようには生きられない」という台詞に共感してしまいました。