葉室麟のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
全1巻。
「シーボルト事件」で有名なシーボルトが、
後年、息子を連れて日本に帰ってきた時の、
息子視点での物語。
息子がストーリーテーラーな立ち位置。
これは結構すごいかも。
主人公とも言うべき位置に、
ロシア人革命家を配置。
動乱の気配が漂ってきた日本に、
外国人革命家が種をまく。
幕末を、外国人目線で見るだけでも珍しいけど、
それだけなら他にも似たようなテーマの作品はある。
でも今作はさらに、
維新が革命だったという事を
改めて読者に気づかせる。
これは結構目から鱗だった。
勝海舟や小栗忠順、清河八郎、高杉晋作といった
幕末のビックネームが
ロシア人革命家に何かしらの影響を受け、
-
Posted by ブクログ
関ヶ原の戦いの後、九州・柳川藩の藩主、立花宗茂を主人公にした物語。
作中にしばしば「立花の義」と言う言葉が出てきます。ところが宗茂の行動からは余り強く「義」というイメージが涌きません。行動で示せないところを言葉で補おうとしている様に見えます。
大きな流れでいえば、秀吉に取り立てられた宗茂は関ヶ原までは西軍に付くのですが、最終的には大坂の陣で東軍武将として働くのですから。それならば、東軍についても最後まで豊臣を存続させようとして加藤清正の方が、もっと「義」のように見えます。
もっと小さなエピソードを積み重ねる様に「義」を描いて欲しかったなあ。そうすれば説得力が出たと思えるのですが。
それよりも -
Posted by ブクログ
全1巻。
元寇の前、平安時代にあった外国からの襲撃と、それに立ち向かった藤原隆家の話。
この事件自体知らなかったし、
脇を固める登場人物が、藤原道長、清少納言、紫式部、安倍晴明とてんこ盛りということでワクワクしながら読んでみる。
が。
大物たくさん使った話にありがちの、
みんなちょい役じゃん!な感じでがっかり。
話自体も大物達を無理矢理絡めようとしたためか
とりとめのない印象で、
最後までさらーと通り過ぎていった感じ。
前半の伝奇っぽい物語を後半史実にまとめていく構成は
著者の新しい可能性を見せてもらって楽しみだけど、
それだけ。
この設定はもっと面白くできそうだったのに残念。