葉室麟のレビュー一覧

  • 孤篷のひと

    Posted by ブクログ

    江戸時代初期の大名茶人、作庭家小堀遠州が、晩年に巡りあってきた千利休、古田織部、石田三成、後水之尾天皇、沢庵、藤堂高虎、伊達政宗らとのエピソードを回想した、葉室麟の心暖まる筆致での時代小説。

    0
    2024年01月11日
  • 春雷

    Posted by ブクログ

    豊後の羽根藩では、財政窮乏、藩の借銀が膨大な額となり返済に苦しんでいた。名君との聞こえもある藩主兼清のもとに、備後浪人の多聞隼人が召し抱えられ、鬼隼人と称されて、苛烈な改革を断行していった。
    悪とは何か。正義とは。
    おのれの正しさを言い立て、他人を謗り、正すのが正義なのか。それは何も作ろうとはしない。何かをなそうとする者の足を引っ張って快とするものだ。この世に何も作りだそうとはしない。
    今の政治家に聞かせてあげたい。

    0
    2024年01月02日
  • 蒼天見ゆ

    Posted by ブクログ

    幕末、秋月藩執政の臼井亘理は、尊攘派により、理不尽に、妻とともに寝込みを襲われて、斬殺されてしまう。息子の臼井六郎は、山岡鉄舟のもとへ弟子入りし、明治の御代に、ついに仇撃ちを果たす。
    最後の武士として。

    いかなる苦労があろうとも、いつか頭の上には、青い空が広がるから、それを忘れるな。
    蒼天を見よ。よい言葉である。

    0
    2023年12月27日
  • 春風伝

    Posted by ブクログ

    外国と渡り合う為には、国力を上げる事が急務であると、誰もが思っていたみたいですが、同じ志を持ちながら何故戦わなければならないのか?
    明治維新の話は、読めば読むほど分からなくなります。

    攘夷を掲げて戦う人たちも、それぞれ目指しているものが違っていたりしたんだなと、混沌とした時代を感じました。

    それぞれが、それぞれの正義や考え方で、動き回っているという印象でした。
    高杉晋作もその中の一人。

    0
    2023年12月17日
  • 陽炎の門

    Posted by ブクログ

    この作品は、江戸時代を舞台にしているけど、本当の人としての「義」を貫いた武士を描いていて、清々しい。江戸時代は、徳川幕府の政策のために、「愚かな主にでも忠節を尽くすのが武士道」などという馬鹿げた思想が、蔓延っていたので、この作品のような「義」を通す話は、気持ち良い。

    0
    2023年10月05日
  • 銀漢の賦

    Posted by ブクログ

    えらく渋く、小藩の武士として生きる男の友愛に恋慕に忠臣を質し、描いてくれる。若い純粋で熱き志も、その実現に向かううちに妨害あり挫折あり。事をなすには地位がいるし、悪役をも厭わぬ心持ちがいる。本懐を遂げるには綺麗ごとでは済まぬと己に言い聞かせているうち、昔日に忌み嫌っていた姿を自分の中に見る。かつても今もこの先も、永遠に繰り返されるであろうジレンマ。進む道を違えるうちに齟齬が生じて疎遠となった竹馬の友だが、人生の締めくくりと一念発起したならばしっかりと支えてくれた。やはり幸せな終わりが有り難く、ほっとした。

    0
    2023年08月31日
  • 潮騒はるか

    Posted by ブクログ

    『風かおる』の続編だったとは知らずに手に取ってしまった作品。

    時代小説にして身重の佐奈の逃避行に隠された真実を追う、ミステリーさながらのストーリー。

    菜摘とその弟である誠之助、また彼を慕う千沙を中心に様々な人物とのやりとりは、ハラハラドキドキさせられる展開です。

    順番は逆になってしまいますが『風かおる』も読んでみたい作品です。

    0
    2023年08月27日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

    Posted by ブクログ

    歴史小説の題材としてど真ん中の戦国時代を舞台としているが、キリシタンがキーワードの短編小説。
    合戦の描写はなく、それぞれの立場の心の動きや思いを描き、なんとも物悲しい余韻に包まれる。

    0
    2023年08月24日
  • 神剣 人斬り彦斎

    Posted by ブクログ

    彦斎に対して、本文中で「肥後もっこす」という言い方がされていた。本人は、「そんな立派なものではない」と謙遜していたけれど、まさに、「肥後もっこす」だろう。信念を貫き通すところが良いな。

    0
    2023年08月06日
  • 緋の天空

    Posted by ブクログ

    天皇の娘以外、臣下の娘でありながら、初めて皇后となった光明子の話。
    元明、聖武の時代を光明子の視点から描いたもの。
    永井路子さんの美貌の女帝が元明天皇(氷高皇女)視点なので、そのちょうど反対側といったところ。

    この本の長屋王は野心が強すぎる印象だけど、それぞれの歴史の点と点の間が小説として繋がって面白く読めた。
    この時代は、蘇我の血を受け継ぐ娘達、持統天皇からの元正、元明と藤原一族との皇位をめぐる駆け引きの執念を描いた永井路子さんの本の方がしっくりくる。

    弓削清人、光明子が子供の頃からお互い知っていたという設定も面白い。

    聖武天皇と光明皇后はある意味では、長屋王の祟りに苦しめられてその半

    0
    2023年07月15日
  • 春雷

    Posted by ブクログ

    前作までと違い今作の主人公は最初どのような考えを持って生きているのかよく分からなかった。
    しかし最後になぜそうなったのかが分かり、その苛烈な生き様の目的を知ることが出来る。
    悪人とは何か、善人とはどういう人物なのか。

    0
    2023年07月05日
  • 蒼天見ゆ

    Posted by ブクログ

    うーん、自分が読んできた葉室麟のなかでは、今一つの感がある作品。幕末の秋月藩の執政臼井亘理は、小藩が生き残るために西洋式兵術の導入を進める。そして、大政奉還後の京において、大久保利蔵や公家らと渡り合って、秋月藩への圧力を跳ね返す。しかし、藩主の不興をかい、任を解かれ国許に帰されたところを、不満分子により寝込みを襲われ妻と共に惨殺される。ここまでは、葉室麟らしい展開なのだが、これ以降は、息子の六郎が敵討ちを決意し、政府の役人になっていた首謀者を付け狙う。その過程で山岡鉄舟や勝海舟、星亨などと知己を得るのだが、敵役も卑怯なやつで罠を仕掛けてきたりする。どうも作り話しめいていて、武士の時代の最後の敵

    0
    2023年06月30日
  • 孤篷のひと

    Posted by ブクログ

    戦国の時代を大名として茶人として生きた小堀遠州の半生を描いた物語、千利休や古田織部、伊達政宗等歴史上の人物が遠州の目を通して書かれいる。特に埋火の章は人の思いや儚さが書かれている。

    0
    2023年06月21日
  • 恋しぐれ

    Posted by ブクログ

    蕪村の残した句から、こんなにたくさんの奥深い物語を書く葉室さんって凄い人だ…と感動した。
    静かに小川が流れるように進むお話しに心が和みました。

    西條奈加さんの ごんたくれ は、
    蘆雪と箏白目線の物語で、
    こちらは月渓の目線で、どちらも同じ時期に読めて良かった。
    再読の時も、ごんたくれ→恋しぐれ で読もう。

    0
    2023年05月16日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

    Posted by ブクログ

    藤原隆家の小説。

    雑誌には掲載されたが、単行本になる際にカットされた箇所があるらしい。どこだろう。そこに編集者や筆者の意図があり、作品が表現したいことが変わっていくと思う。

    0
    2023年05月03日
  • 紫匂う

    Posted by ブクログ

    当初は主人公が自身の心を把握出来ずに戸惑い行動していたのが歯がゆく思っていたけれど、最後には立派な態度で凛々しかった。
    幼なじみに思うところがあるが、夫の静謐な佇まいが『蜩ノ記』を思い出させる。
    武人らしく泰然自若とした様が武士の鑑だなぁと思った。

    0
    2023年04月29日
  • この君なくば

    Posted by ブクログ

    どんなことがあろうとひとりの男を想う姿、武士の妻としての姿、これから新しい時代を生きていこうとする姿、立場が変われどそこで十二分に存在意義を発揮する姿、どれも女の強さ、美しさが描かれていた。それは主人公栞だけではなく五十鈴の存在感も際立たせた
    事実に基づいて描かれているだけに重みはあったが冷めた時間も多かった。かなりの部分を淡々と読み続けた
    あくまでも私の感想です(歴史苦手)

    0
    2023年03月29日
  • 津軽双花

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    津軽家に嫁いだ家康の姪と石田三成の娘。政略結婚の結果、家康と三成の演者がともに同じ「夫」のもとで過ごす。仇同士のように見えた二人が、世の静謐を守るために私憤を捨てて手を携えて戦う。『鳳凰記』もまた茶々と寧々、女の関ヶ原。葉室麟には史実をもとにしたものと、そうでないものがるが。、史実を元にしたものは当然おことながら、窮屈な気がする。

    0
    2023年03月14日
  • 霖雨

    Posted by ブクログ

    時代小説は自分では手に取らないジャンル、人から貸してもらったので読んでみた

    豊後日田(現在の大分県?)で、
    私塾咸宜園(かんぎえん)を主宰する広瀬淡窓と、家業を継いだ弟の久兵衛が
    様々な困難を乗り越えていく様を淡々と描く
    タイトルや各章に「雨」が含まれていて、その雨の表現が秀逸

    響いた本文中の文言
    *********
    「生きるのに値打ちがあるのだ、と教えてくれるのが学問ではありますまいか。
    おのれが生きることが無駄ではないと知れば、おのずから楽しめるというものです」

    鋭きも鈍きもともに捨てがたし、錐と槌とに使いわけなば
    頭の鋭い秀才も、一見鈍く見える努力型も、ひとは皆、使い道しだいであり

    0
    2023年02月26日
  • オランダ宿の娘

    Posted by ブクログ

    シーボルト事件含めた物語。
    本編では、日本地図流出のみならず、江戸城見取り図流出まで疑惑を広げています。

    主人公は江戸に参府したオランダ人向けの宿泊施設・長崎屋の姉妹のるんと美鶴。彼女たちの周りで起こる様々な事件。万能薬にまつわって、回船問屋の番頭が不審死。サルと連れた怪しい武士。さらに、長崎で変死した丈吉。
    だれが、番頭を殺したのか?
    丈吉の死の真相は?
    そして、シーボルト登場
    描かれるシーボルト事件。
    事件の真相が明らかになるとき起こった江戸の大火事。
    その大火事の真相
    といった展開です。

    ミステリっぽい展開で楽しめました。

    0
    2023年02月26日