あらすじ
どこかに、強い敵はおらんものかな――。平安時代、栄華を極める一門に産まれた藤原隆家は、公卿に似合わぬ荒ぶる心を抱えていた。朝廷で演じられる激しい権力闘争のさなか、安倍晴明と出会った隆家は、国を脅かす強敵が現れることを予言される。やがて花山院と対立し、九州に下向した隆家が直面したのは、熾烈を極める異民族の襲来だった。荒くれ者公卿は、世の安寧を守り抜くことができるのか。血湧き肉躍る戦記ロマン!
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Posted by ブクログ
日本史Bで平安時代を習った記憶を頼りに読みました。所々に史実解説が加えられ、時代背景や和歌に込められた心情などがよく分かり興味深かったです。
鬼や呪詛、陰陽師、祈祷などなど半ばSF小説を読んでいるような気分でした。
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2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』を見たおかげで、平安時代最盛期の人物像は理解できた。
その上で刀伊入寇を読んだので、馴染みの無い時代にもかかわらず、スムーズに読むことができた。
現在、福岡市に住んでいるが大陸との最重要地帯であり、地政学的にも異文化交流地点である。
刀伊入寇と藤原隆家の存在が、歴史上大きなポイントであった事と九州武士の危機意識の高さを感じた。
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刀伊の入寇。日本への侵略危機といえば元寇が有名ですが、平安中期にも女真属が九州に攻めてくるという日本の有事がありました。
実際300人以上殺され、1000人以上拉致されるという悲惨な事件。それを追討したのが藤原道長の甥の藤原隆家。この小説は藤原隆家の生涯を書いた本なのですが、刀伊の入寇以外にも、花山天皇や藤原道長との確執の状況も描かれており、平安中期の世界観にどっぷり浸かれました。歴史的に藤原隆家はもっと英雄扱いされても良いと思うんだけどなぁ。
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平安期中期が舞台の時代小説。前半は藤原道長と伊周・隆家兄弟の権力争いに花山院などを絡めた話。後半が刀伊の入寇を隆家中心に撃退するメインの話。刀伊の正体が異民族(女真族)で入寇以前に一部が日本の中で暗躍していたというのが話の肝か。まあ暗躍できるぐらいなら朝廷を混乱させておいてその時に攻めればもっと効果的だとは思うが。
あと、清少納言とか紫式部等を含めよく知られたいろいろなエピソードが挿入され、それに合わせて物語が進むが、若干物語としては不要にも思える。隆家と刀伊との関係メインで話を進めた方がまとまりがあったと思う。
Posted by ブクログ
平安時代、太宰府に突如侵攻してきた女真族たち。彼らとの戦いとそれに至る因果を描く。
若干回りくどい文章なので途中で飽きる。また、結局何が言いたかったんだっけ?となるが、単なる歴史の事実に色恋の脚色を加えただけなのかも。
Posted by ブクログ
葉室さんがこんな平安貴族を主題にした作品をかいていたとは。
朝廷における貴族の権利争いの卑怯さは既に完成系を見せている一方で、武具が進化していないので戦闘はレベルが低い。このアンバランスが後の武家社会との違いないだろうな。
そんな中で敗者を美しく称える雅の心に日本らしさを定義したところはやはり葉室作品だった。
ただ、名前が似ているせいか、何故か読むのに時間がかかる一冊だったな。
Posted by ブクログ
北九州に現れた異国の襲撃を撃退した藤原隆家の英雄譚。前半は兄の伊周、叔父の道長、花山法皇などとのエピソードが実際の話に基づいて描かれている。後半は刀伊が攻めてきて迎え討つ。今年の大河ドラマは紫式部を中心とした平安時代中期なので、人間関係が割とスッと入ってきた。それにしても刀伊の入寇は大事件だ。隆家はもっとヒーロー扱いされていい。もっとも隆家はそんなこと望んでいないだろうが。