葉室麟のレビュー一覧
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ほぼフィクションに実在の人物を登場させて描いたものなのかと思っていたら、「日本最後の仇討ち」は実話だそう。
それにしても、六郎の父、臼井亘理が惨殺されたのが、大政奉還の翌年、鳥羽伏見の戦いの年だと言うことが、何とも言えず残念でならない。もう、国の進む道は決まっていたと言うのに。
亘理が惨殺される前のある夜、中島衝平と語り合っている場面がある。
「世間は鸚鵡(おうむ)の集まりでござる。声の大なる者が言ったことをおのれも繰り返して唱えれば、いっぱしの見識があるようにひとが見てくれると思い、そのような自分に酔うのでござる」「なるほど、時勢に酔っている者は多いかもしれませんな」
何だか今の世の中も変わらないなあ、と苦笑いしてしまった。声の大きい人と、そこに付和雷同しているだけで自分達は優れていると思い込んでいる、まさに酔っている人達。よく見かける構図だ。 -
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224頁の表題作と他に3編あり、全て関ヶ原の戦い前後の話し。表題作はちょっと長いとは言え、物足りない感じ。石田三成の娘(辰姫)が津軽に輿入れ。それに対し、福島家を子連れで離縁された家康の姪(満天姫)を家康の養女として津軽に輿入れ。本来は辰姫が側室となるべきだが、プライド高い満天姫が夫が心から望まないと正室にならないと同衾も拒む。二人の面会もあり緊縛した雰囲気が作品に漂うが、二人の姫の抑制された言動で穏やかに進む。激しいお家騒動で満天姫の前夫との息子も巻き込まれ自害に追いやられるなど暗い話しが続く。
他の短編も石田三成、淀君·秀頼や明智光秀に関わる権謀術数などあり、スッキリ感があまり無い。 -
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重く暗い話が最後まで続く。
藩の改革に強権を使って邁進する中老の父が、重臣たちの奸計に嵌って切腹させられる。恨みに思った息子が復讐を誓って藩に戻ってくる。父と息子は離反していたが、これには秘密があった。また、切腹に伴い妹が遠縁に預けられるが、預け先の主人も中老に薫陶を受けていたが、重臣たちの悪巧みで妹と結婚させられ、重臣たちの意を受け表向きの改革を求められるが反発する。改革をめぐって、藩御用達の商人達も参戦する。
幾つもの闘いと敵になったり味方になったり、最後は幕府に訴えられて絶対絶命のピンチ。改心した兄が最後のキーとなる。
複雑に絡み合い過ぎて、先が気になりあっという間に読み進めてしまう。ただ、悲劇的に結末を迎えるので、重い読み味。 -
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面白かった
10作からなる短編連作の物語
博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀の物語
比翼屏風(びよくびょうぶ)
濡衣夜雨(ぬれぎぬやう)
長橋春潮(ながはししゅんちょう)
箱崎晴嵐(はこざきせいらん)
奈多落雁(なたらくがん)
名島夕照(なじませきしょう)
香椎暮雪(かしいぼせつ)
横岳晩鐘(よこたけばんしょう)
博多帰帆(はかたきはん)
挙哀女図(こあいじょず)
からなる物語
主人公、女絵師の春香(里緒)は豪商亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けます。
しかし、3年前、里緒は杉岡外記との不義密通により、破門。外記も3年後に迎え来ると、江戸へ。
離ればなれになりながらも外記を思う里緒。
そんな中、博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀、
おつきの文の過去、母親や父親との思い、遊女や歌舞伎役者の兄弟との出会い、男や女の悲しみ・苦しみなどなどが、各章で語られていきます。
そうした様々な人の想いが絵の中に込められていきます。
そして、外記と里緒は再び出会うことができるのか?
エンディングで語られる台詞が心打ちます
死なせてはならない心とは
「ひとを愛おしむ心じゃ。ひとはひとに愛おしまれてこそ生きる力が湧くものじゃ。」
お勧め -
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面白かった
ミステリー仕立ての物語。
暗いテーマながらも、主人公たちの軽い掛け合いでそれをカバーしています。
「潮騒はるか」の前編です。
誠之助、千沙、菜摘が長崎に移り住む前の物語。
ストーリとしては、
鍼灸医の菜摘のもとに10数年ぶりに現れた養父佐十郎。
佐十郎は妻敵討ちの旅にから戻ってくるも、戻ってきたのは、妻敵討ちをそそのかした人物との果し合いのため。
しかしながら、佐十郎は病に侵され、余命いくばくもない状態。
そんな中、果し合いなどできるのか?
菜摘の弟の誠之助
菜摘を姉のように慕う、男装をしている千沙
3人は、果し合いの相手を探るとともに、それをやめさせようと東奔西走します。
佐十郎が身を寄せている多佳との関係は?
そして出てくる黒幕の楊梅(やまもも)
そもそもの事件の真相は?
楊梅とは誰なのか?
果し合いの相手は?
とミステリー要素満載の物語です。
さらにさらに、菜摘の夫の亮が探偵役となってさらりと解決していきます。ミステリありがちな設定(笑)
そんなミステリー要素の物語ながらも、ここで語られる内容は、どろどろっとした人間の黒い感情。
出世争い、嫉妬、悪意、復讐
この結末は必定だったのかもしれません。
「なにかひとつよい風さえ吹けば..」
といったセリフが、刺さります。
しかし、そんな重い話なのに、誠之助、千沙、菜摘は軽すぎないか(笑) -
Posted by ブクログ
徳川家康の姪である満天(まて)姫は、津軽家四万七千石の津軽信牧(のぶひら)に嫁ぐことになった。信牧の正室は石田三成の娘であり高台院(秀吉の正室北政所)の養女である辰姫。2人の姫は敵味方の立場に置かれながら、心を通わせる。津軽家を舞台とした時代小説に触れるのは珍しいので読んでみたが、初めて知る歴史的な事実も多かった。徳川政権が発足して間もない頃に、大名が家を残すためにいかに気を配り神経質になっていたかがうかがえる。
あとがきによると、作家諸田玲子氏が著作「梅もどき」で、脇役の一人として関ヶ原の戦いで大阪城を出て高台院に庇護されるまでの少女時代の辰姫を描いている。