葉室麟のレビュー一覧

  • 花や散るらん

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    「いのちなりけり」の続編。前作で「天地に仕え、命に仕える」侍が、自分の心の歌を探し求め「春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり」と16年かかって本当の夫婦になった蔵人と咲弥。
    静かな暮らしが、また幕府と朝廷のせめぎあいに巻き込まれていく。とても真っ直ぐで美しい夫婦。「朝廷と幕府」「雅と武」を対比させながら、赤穂浪士の討ち入りに新たな見方を綴る。
    今回は「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」という歌を二つの意味に使う。咲弥が京から大奥へ来た女たちの朝廷を思う気持ちは分かるけれど、危ういことをすれば東国になじんだ女たちが散ることになると大奥に釘を刺す。後では夫・

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    2013年01月26日
  • 秋月記

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    期待通りに心が洗われました。捨て石になるという考え方は絶えて久しい気がしますが、とっても日本的で心を鷲掴みにされます。蜩ノ記といい、涙なし葉室作品を読むことは難しいようです。憧れるけれど侍に生まれなくて良かったと思う卑怯者な私。

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    2013年01月12日
  • 乾山晩愁

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    葉室麟デビュー作。第29回歴史文学賞。
    権力者の傍らに近侍して生き方そのものが修羅である画家達を描く。
    尾形光琳の弟「尾形乾山」「狩野永徳」「長谷川等伯」「狩野探幽の弟子・清原雪信」「英一蝶」の短編連作5編。
    画家の修羅を描きながら、詩・俳句・書画に対するその素養の高さ、文章の確かさと目のつけどころ。しかも、司馬遼太郎ばりの徹底した調査。司馬遼太郎が歴史・人物の史実を丹念に追ったのに対し、葉室麟の視点は背景・文化も繫ぐ。

    葉室麟には「秋月記」で出会い山本周五郎「樅の木は残った」を連想し「川あかり」で大ファンになったが、「刀伊入寇」「星火瞬く」「風渡る」で少しがっかりし、「橘花抄」でその清冽な

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    2012年08月30日
  • いのちなりけり

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    ネタバレ

    これまたすごくよかった〜!「秋月記」に続き、葉室麟の「もののふ」ものを読みましたが、非情に面白かった!今回は、故あって新婚数ヶ月の妻と17年も離ればなれになってしまう武士が、妻に一首の和歌を届けるために、ただひたすらに生きて行くお話。とはいえ、腕がたつ上に、藩の重要な秘密を知ってしまっているから、いろいろと困難に巻き込まれるのだけれども。葉室麟のもののふ系の主人公は皆、忠義もので、剣の腕が立ち、無骨で一本気なのだけれども、この主人公雨宮蔵人もご多分に漏れず。本当に一気に読んでしまった。葉室麟をすべて読んでしまうかも。ハマった。

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    2012年06月23日
  • 実朝の首

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    直木賞受賞作品。甥の公暁に鎌倉八幡で斬られた実朝としか認識していなかったけど、和歌の造詣が深く、生きることに絶望していて、斬られるとわかっていて潔く斬られた実朝と、権力のため、源氏を根絶やしにしようとしていた北条政子の陰謀。面白かった。

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    2012年05月28日
  • 乾山晩愁

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    面白かった!!!
    安土桃山~元禄まで、日本画の中心を担った絵師達…とその近くにいた絵師達のお話し。

    鮮やかな才能の迸りあり、
    御用絵師になるためどう時流を読むかの権力闘争あり、
    女絵師の切ない恋の物語あり、
    大奥のドロドロと深い男女の情愛あり、
    最後に読者をにやりとさせるちょっとしたひねり構造ありで、
    かなり満足のできる小説でした。

    最初は久々のキチッとした時代小説形式(と言うか名前の変わり方)にちょっと戸惑いましたが、
    読み出すと硬い中に深さのある心理描写と、
    人間模様の美しさに引き込まれます。
    とくに狩野永徳の絵に関するシンプルなのにありありと目に浮かぶ様な描写は凄かった。
    文章とスト

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    2011年02月04日
  • 乾山晩愁

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    室町から元禄にかけて実在した絵師達を取り上げた短編集。表題作を読むと表紙の「花籠図」がまた違って見えてきます。文化と歴史上のできごとをうまく重ねた物語は人間としての絵師を親しみやすく感じさせ、光琳と赤穂浪士の関係についての新たな考察も興味深く読みました。一冊通して読んだときの、ぐるりと巡る構成も面白い。またそれぞれの短編に「絵師とは、芸術とは」を表す力強い一文が入っていて、何回か繰り返し噛み締めて読みました。あとがきの「(光と影だけでなく)光の周りの、光を支えている存在」、そこに目を留める著者の温かさが伝わってくるような一冊でした。

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    2010年01月10日
  • 乾山晩愁

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    実力派の歴史短篇です。
    やや説明にくどさを感じますが、しっかりした構成と人物造形で読ませます。絵師の物語とはいえ、絵がそのものより、権力抗争や恋が主題に描かれています。
    葉室さんは「乾山晩愁」がデビュー作だそうですが、後に行くほど硬さが取れた感じで読みやすくなっていきます。
    読みながら、何となく作品の感じが似てるなと、白石一郎さんを思い出しました。。白石さんは古川薫氏、滝口康彦氏と九州三人衆と呼ばれ、中央文壇に巻き込まれず、九州の地から歴史・時代小説を発表し続けた人(白石一文・白石文郎さんの父親)。葉室さんも九州だそうで、どこかに繋がりが有るのかもしれません。

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    2016年08月05日
  • 星火瞬く

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    NHKの教育ドラマ見てるような感じで淡々とすすんで淡々と終わった。
    だんだん時代劇などできいたナレーションが思い浮かんだ。
    激動の時代をあえて主役じゃない場所から描いた歴史的事実を傍らから見つめた物語。

    1981年秋という幕末の激動期に歴史上の役者たちが本当に同時期日本国内、横浜に実在した史実をもとに彼らの間に起こった会話や事件などを描いた作品。
    本当におきてたら浪漫。
    シーボルトの息子という子供でこの時代の語り主としてはほぼ中立でまっさらにちかい状態の人物が主人公という珍しい視点のかいあって温度は低めで誰の思想にも偏らずジャッジしない。

    蜩ノ記の印象で読むと肩透かしをくらうが、独特な静け

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    2026年06月16日
  • 散り椿

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    上役の不正を告発し、藩を追われていた主人公が、妻からの遺言を守るために藩に戻ってくる話です。
    昔、同じ道場で切磋琢磨した4人の幼馴染みとの関係や、最後の決戦まで読む手を止めずに一気に読み切りました。
    少し立場のわかりづらさを感じてしまいましたが、それでも楽しく読むことができました。

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    2026年06月03日
  • 決戦!大坂城

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    冬、夏の大坂の陣をテーマにしたアンソロジーですが、主要人物の個性に独自の解釈を加えて史実の裏側を想像している幾つかの作品はそれなりに面白かったものの、それ以外はただ奇を衒った仕掛けを放り込んだだけで小説としての質は全く物足りず、前作と比べてかなり残念な一冊でした。

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    2026年05月22日
  • 月神

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    前半は幕末、尊王攘夷派の話。後半は維新後、監獄を作った男の話。後半はアイヌが絡む。このアイヌが印象的だった。

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    2026年05月22日
  • 日本人の肖像

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    葉室氏の作品では“無双の花”という、めっちゃ強い戦国武将の立花宗茂が主役の本を読んだ。本作は葉室氏と各歴史学者他との対談本。個人的には福田千鶴教授と語られた豊臣秀頼、淀君に関する内容が面白かった。葉室氏の作風(少し堅い感じ…)を思い出しつつ、他の作品(散り椿、はだれ雪)も読んでみようと思う

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    2026年05月11日
  • 螢草

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    主人公・菜々がスーパーウーマン過ぎる!
    主の子供たちを立派な跡継ぎに育てるため、大八車をひいて野菜を売り、父の仇、主を陥れた男に御前試合を申し込み、見事に目的を果たす。
    ちょっとやり過ぎなんじゃないの〜?と思ってしまうが、菜々の行動力に周囲が巻き込まれていくのが楽しい。

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    2026年04月20日
  • 星火瞬く

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    シーボルトの息子から見た幕末という視点は新鮮でした。小栗忠順と勝海舟の確執など新しい歴史の見方を教えらさてもらいました。

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    2026年03月21日
  • 名こそ惜しめよ 歴史小説アンソロジー

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    北条政子を軸に日の本のひとつの時代が歴史小説として五人の作家によって描かれる

    源平のとき、御所と鎌倉の確執、
    武士という生き方、女として生きる道……

    そして時は流れ去る

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    2026年02月16日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    河上彦斎の話

    四カ国連合艦隊との戦に敗れ、幕府の征討が始まり、まさしく四面楚歌の長州がなおも復活の兆しを見せているのは、高杉晋作と大村益次郎という戦の天才をふたり擁しているからにほかならない。
    (それに比べて、わが剣になすべきことはあるのか)
    彦斎の胸に肥後を出て以来、初めての疑念が生まれた。彦斎がいかに精妙な剣を振るおうとも、戦を決するのは将たる者の器量だと思えば、白刃を振るう自分が将棋の駒のひとつにしか思えなくなる。

    戦は性能が勝る武器を手にする者が勝つ。大村益次郎はそう考える。義も不義も考えず、ただ、理があるかないかだ

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    2026年02月13日
  • 影ぞ恋しき 上

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    三部作の第1作目の上巻と思って読んだ
    上巻を読み終え、影ぞ恋しきが完結編であることに気がついた
    どうしようか迷ったが、下巻を読もうと思う
    江戸時代の大事件のその後なのかな
    ということは三部作は大事件の前後かな?

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    2026年01月28日
  • 霖雨

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    豊後日田で私塾咸宜園を主催する広瀬淡窓。
    家業を継いだ弟久兵衛。

    粛々と画期的な教育方針を打ち出す淡窓、次男でありながらも家業を継ぎ商人として邁進する久兵衛。
    その二人へ重箱の隅をつつくような嫌がらせをする郡代。

    そんな最中、天保の大飢饉や大塩平八郎の乱が起き、様々な権力闘争の弊害が生じる。

    時代のうなりの中でも、慎ましくも着実に清貧に堅実に生きてゆく。美徳な一冊でした。

    しかし、どの時代でも圧政者がいて、民が苦しむ、一揆が起きる、革命が起きる、歴史は何度となく同じことを繰り返すのだが。

    SNS時代で成功した革命はジャスミン革命くらいだったろうか。令和の世にもそのような日が来るのだ

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    2026年01月05日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    采女がもう少し漢だったらなぁ
    名前に似て女々しいのが気になってしまい、感想となるとそこが際立って出てしまう。
    この時代の空気感は好きですが、陰謀にまかれて死んでしまう漢たちは毎回読んでて悲しい

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    2025年12月28日