葉室麟のレビュー一覧
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「いのちなりけり」の続編。前作で「天地に仕え、命に仕える」侍が、自分の心の歌を探し求め「春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり」と16年かかって本当の夫婦になった蔵人と咲弥。
静かな暮らしが、また幕府と朝廷のせめぎあいに巻き込まれていく。とても真っ直ぐで美しい夫婦。「朝廷と幕府」「雅と武」を対比させながら、赤穂浪士の討ち入りに新たな見方を綴る。
今回は「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」という歌を二つの意味に使う。咲弥が京から大奥へ来た女たちの朝廷を思う気持ちは分かるけれど、危ういことをすれば東国になじんだ女たちが散ることになると大奥に釘を刺す。後では夫・ -
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葉室麟デビュー作。第29回歴史文学賞。
権力者の傍らに近侍して生き方そのものが修羅である画家達を描く。
尾形光琳の弟「尾形乾山」「狩野永徳」「長谷川等伯」「狩野探幽の弟子・清原雪信」「英一蝶」の短編連作5編。
画家の修羅を描きながら、詩・俳句・書画に対するその素養の高さ、文章の確かさと目のつけどころ。しかも、司馬遼太郎ばりの徹底した調査。司馬遼太郎が歴史・人物の史実を丹念に追ったのに対し、葉室麟の視点は背景・文化も繫ぐ。
葉室麟には「秋月記」で出会い山本周五郎「樅の木は残った」を連想し「川あかり」で大ファンになったが、「刀伊入寇」「星火瞬く」「風渡る」で少しがっかりし、「橘花抄」でその清冽な -
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ネタバレこれまたすごくよかった〜!「秋月記」に続き、葉室麟の「もののふ」ものを読みましたが、非情に面白かった!今回は、故あって新婚数ヶ月の妻と17年も離ればなれになってしまう武士が、妻に一首の和歌を届けるために、ただひたすらに生きて行くお話。とはいえ、腕がたつ上に、藩の重要な秘密を知ってしまっているから、いろいろと困難に巻き込まれるのだけれども。葉室麟のもののふ系の主人公は皆、忠義もので、剣の腕が立ち、無骨で一本気なのだけれども、この主人公雨宮蔵人もご多分に漏れず。本当に一気に読んでしまった。葉室麟をすべて読んでしまうかも。ハマった。
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面白かった!!!
安土桃山~元禄まで、日本画の中心を担った絵師達…とその近くにいた絵師達のお話し。
鮮やかな才能の迸りあり、
御用絵師になるためどう時流を読むかの権力闘争あり、
女絵師の切ない恋の物語あり、
大奥のドロドロと深い男女の情愛あり、
最後に読者をにやりとさせるちょっとしたひねり構造ありで、
かなり満足のできる小説でした。
最初は久々のキチッとした時代小説形式(と言うか名前の変わり方)にちょっと戸惑いましたが、
読み出すと硬い中に深さのある心理描写と、
人間模様の美しさに引き込まれます。
とくに狩野永徳の絵に関するシンプルなのにありありと目に浮かぶ様な描写は凄かった。
文章とスト -
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実力派の歴史短篇です。
やや説明にくどさを感じますが、しっかりした構成と人物造形で読ませます。絵師の物語とはいえ、絵がそのものより、権力抗争や恋が主題に描かれています。
葉室さんは「乾山晩愁」がデビュー作だそうですが、後に行くほど硬さが取れた感じで読みやすくなっていきます。
読みながら、何となく作品の感じが似てるなと、白石一郎さんを思い出しました。。白石さんは古川薫氏、滝口康彦氏と九州三人衆と呼ばれ、中央文壇に巻き込まれず、九州の地から歴史・時代小説を発表し続けた人(白石一文・白石文郎さんの父親)。葉室さんも九州だそうで、どこかに繋がりが有るのかもしれません。 -
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NHKの教育ドラマ見てるような感じで淡々とすすんで淡々と終わった。
だんだん時代劇などできいたナレーションが思い浮かんだ。
激動の時代をあえて主役じゃない場所から描いた歴史的事実を傍らから見つめた物語。
1981年秋という幕末の激動期に歴史上の役者たちが本当に同時期日本国内、横浜に実在した史実をもとに彼らの間に起こった会話や事件などを描いた作品。
本当におきてたら浪漫。
シーボルトの息子という子供でこの時代の語り主としてはほぼ中立でまっさらにちかい状態の人物が主人公という珍しい視点のかいあって温度は低めで誰の思想にも偏らずジャッジしない。
蜩ノ記の印象で読むと肩透かしをくらうが、独特な静け -
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豊後日田で私塾咸宜園を主催する広瀬淡窓。
家業を継いだ弟久兵衛。
粛々と画期的な教育方針を打ち出す淡窓、次男でありながらも家業を継ぎ商人として邁進する久兵衛。
その二人へ重箱の隅をつつくような嫌がらせをする郡代。
そんな最中、天保の大飢饉や大塩平八郎の乱が起き、様々な権力闘争の弊害が生じる。
時代のうなりの中でも、慎ましくも着実に清貧に堅実に生きてゆく。美徳な一冊でした。
しかし、どの時代でも圧政者がいて、民が苦しむ、一揆が起きる、革命が起きる、歴史は何度となく同じことを繰り返すのだが。
SNS時代で成功した革命はジャスミン革命くらいだったろうか。令和の世にもそのような日が来るのだ