葉室麟のレビュー一覧

  • 風渡る

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    ネタバレ

    黒田官兵衛の小説。「神の罰より主君の罰を恐れよ 主君の罰より臣下、百姓の罰を恐るべし」
    考えさせられる言葉です。因みに、続篇が『風の軍師』です。

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    2014年01月30日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    筑前黒田藩・立花家を中心に香と茶と和歌、そして花…の世界。ご乱心のお家騒動に巻き込まれながら、己の信念の生きざまを貫く男たち。凛とした一途な咲きざまを見せる女たち。ラストの足早感は否めないがハラハラする展開と、男女問わずの各キャストの"気"に圧倒される。個人的には泰雲と天馬の尖り具合が後味強い♪

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    2014年01月15日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    両親を亡くした卯乃は黒田藩の重鎮,立花重根の元に引き取られる.
    父の自害の原因が養父の重根にあると聞き,卯乃は失明してしまう.己を道を貫く男たち,それを信じ一途に生きる女たち.感動の時代小説.
    カッコイイ登場人物が目白押し.個人的には重根が一番.やっぱ愛でしょ.

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    2013年11月20日
  • 乾山晩愁

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    戦国末期から元禄にかけて活躍した絵師を描いた短編集。
    狩野派と長谷川等伯、狩野派内の派閥闘争などが描かれており興味深い。
    そして5つの作品がうっすらとつながっている。

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    2013年10月07日
  • 恋しぐれ

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    与謝蕪村、本人や門人の淡い恋が語られる。いい年をした大人だって恋をするんだよと言われている気がする。その人なりに歳を重ねた恋の仕方があると。

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    2013年09月04日
  • 実朝の首

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    『秋月記』以来。いや引き込まれるわ。

    この時代に疎いというのが一番なんだけれども。鶴岡八幡宮での銀杏から始まり、これまでとは違う、作者独自の視点が面白かった。

    実朝の真意など、分かるはずもないけれど、そうあってほしいと思わせてくれてた。

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    2013年08月28日
  • いのちなりけり

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    ネタバレ

    故あって婚礼の夜に咲弥から出された難題、「人生の和歌を」を見つけるために、生きていく雨宮蔵人。
    腕が立つ上に藩の秘密を知ってしまい、様々な困難にあっていく。
    そして17年の月日ののちに、みつけた一句
     春ごとに 花のさかりはありなめど あひ見むことは いのちなりけり
    佐賀鍋島藩といえば、葉隠である。
    葉隠といえば、「死ぬこととみつけたり」である。
    しかし、この一人の鍋島藩士がたどり着いた答えは、「いのちなりけり」。
    爽やかな小説だった。

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    2013年08月13日
  • 秋月記

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    九州の小藩秋月藩が舞台。本藩福岡藩との確執を背景として描く。 主人公間小四郎。命を賭して秋月藩を守るために自分を押し殺し、全てを投げ打つ覚悟を決める。志を同じくする仲間との触れ合いそして離散。人生の縮図を見事に描ききっている。最後の引き際もお見事!

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    2013年07月20日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    母を亡くし、今また父を失った卯乃。親戚には引き取り手がなく 立花重根に引き取られた。
    成長していく中で、父の自害の「真相」とやらを知らされ、目が見えなくなってしまう。本当の真相を求める中で自らの出生の秘密を知る。自分を愛おしんでくれる人達を自分も愛おしく思っていくことで前に進むことができるのだろう。
    しなやかにたくましく生きている卯乃は素敵です

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    2013年06月03日
  • いのちなりけり

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    歳月の重みと生きていくことの切なさ、そし て命への慈しみが感じられる和歌とともに 綴った良質な歴史時代小説。史実である大日 本史を巡る光圀と綱吉の確執。その渦に否応 なしに巻き込まれる二人のうら若き夫婦。無 学だが自らの考えと行き方の間に少しも揺ら ぎがない蔵人とぶれない自分らしい生き方を する咲弥。静謐な恋、矜持そして覚悟をしっ とりと描く。 雨の降る日、濃いめの珈琲の お供にお勧めでーす。

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    2013年05月11日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    己の道を信じ、幽閉、最終的には暗殺をも従容と受け入れる重根。そんな人物像を現代小説の中で描くと嘘っぽさばかりが目立つのですが、そうした鮮烈な生き方を描けるのが時代小説の醍醐味です。
    最近どちらかと言えば苦手にしていた葉室さん。どうも女性視点での男女の愛情を中心に描かれることが多く、それが悪いというという訳では無いのですが、私の好みからは外れて行きます。この作品も中心にはヒロイン・卯乃と重根・峯均兄弟の愛情があるのですが、同時に男性の生き様にも多くのページが割かれ、そのあたりが気に入りました。
    もっとも剣鬼・天馬の造形や剣術シーンは少々やり過ぎですが。。

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    2016年06月19日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    全1巻。
    加賀騒動、伊達騒動とならび、
    三大お家騒動と呼ばれる黒田騒動。
    の、次の世代。
    第二の黒田騒動と呼ばれる事件を背景に、
    剣と恋を描いた物語。

    けっこうよかった。
    著者特有の、
    すこしイヤミ臭いくらいの堅苦しさが大分影を潜め、
    往年の時代ものを読んでいるような
    割とベタな雰囲気。
    後書きにも書かれてるけど、
    藤沢周平を彷彿とさせる。
    リアルタイムでこういうの書ける人は貴重だと思う。

    著者が多様する和歌を使った心情表現も
    いい頃合いで邪魔にならず、
    宮本武蔵vs佐々木小次郎な気分の
    クライマックスはすごく迫力がある。

    著者の新作に、
    (個人的には)最近あまり当たりが無かったので、
    なおさらぐっときた。

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    2013年05月02日
  • 花や散るらん

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    「いのちなりけり」の続編。前作で「天地に仕え、命に仕える」侍が、自分の心の歌を探し求め「春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり」と16年かかって本当の夫婦になった蔵人と咲弥。
    静かな暮らしが、また幕府と朝廷のせめぎあいに巻き込まれていく。とても真っ直ぐで美しい夫婦。「朝廷と幕府」「雅と武」を対比させながら、赤穂浪士の討ち入りに新たな見方を綴る。
    今回は「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」という歌を二つの意味に使う。咲弥が京から大奥へ来た女たちの朝廷を思う気持ちは分かるけれど、危ういことをすれば東国になじんだ女たちが散ることになると大奥に釘を刺す。後では夫・蔵人に京が懐かしいが江戸で散ることになるかもしれないとこの歌で助けを求める。
    ただ、葉室麟の小説は史実にこだわると今一つ伸びやかさや滔々とした世界感が失われるような気がする。

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    2013年01月26日
  • 秋月記

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    期待通りに心が洗われました。捨て石になるという考え方は絶えて久しい気がしますが、とっても日本的で心を鷲掴みにされます。蜩ノ記といい、涙なし葉室作品を読むことは難しいようです。憧れるけれど侍に生まれなくて良かったと思う卑怯者な私。

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    2013年01月12日
  • 乾山晩愁

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    葉室麟デビュー作。第29回歴史文学賞。
    権力者の傍らに近侍して生き方そのものが修羅である画家達を描く。
    尾形光琳の弟「尾形乾山」「狩野永徳」「長谷川等伯」「狩野探幽の弟子・清原雪信」「英一蝶」の短編連作5編。
    画家の修羅を描きながら、詩・俳句・書画に対するその素養の高さ、文章の確かさと目のつけどころ。しかも、司馬遼太郎ばりの徹底した調査。司馬遼太郎が歴史・人物の史実を丹念に追ったのに対し、葉室麟の視点は背景・文化も繫ぐ。

    葉室麟には「秋月記」で出会い山本周五郎「樅の木は残った」を連想し「川あかり」で大ファンになったが、「刀伊入寇」「星火瞬く」「風渡る」で少しがっかりし、「橘花抄」でその清冽な坦々とした世界感に感動し、「銀漢の賦」「いのちなりけり」でうれしくなり 、直木賞「蜩ノ記」では違う境地に入り、「柚子の花咲く」「千鳥舞う」「霖雨」では葉室世界観を感じ、「実朝の首」の後、14作目でやっとデビュー作にたどりついた。 

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    2012年08月30日
  • いのちなりけり

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    ネタバレ

    これまたすごくよかった〜!「秋月記」に続き、葉室麟の「もののふ」ものを読みましたが、非情に面白かった!今回は、故あって新婚数ヶ月の妻と17年も離ればなれになってしまう武士が、妻に一首の和歌を届けるために、ただひたすらに生きて行くお話。とはいえ、腕がたつ上に、藩の重要な秘密を知ってしまっているから、いろいろと困難に巻き込まれるのだけれども。葉室麟のもののふ系の主人公は皆、忠義もので、剣の腕が立ち、無骨で一本気なのだけれども、この主人公雨宮蔵人もご多分に漏れず。本当に一気に読んでしまった。葉室麟をすべて読んでしまうかも。ハマった。

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    2012年06月23日
  • 実朝の首

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    直木賞受賞作品。甥の公暁に鎌倉八幡で斬られた実朝としか認識していなかったけど、和歌の造詣が深く、生きることに絶望していて、斬られるとわかっていて潔く斬られた実朝と、権力のため、源氏を根絶やしにしようとしていた北条政子の陰謀。面白かった。

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    2012年05月28日
  • 乾山晩愁

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    面白かった!!!
    安土桃山~元禄まで、日本画の中心を担った絵師達…とその近くにいた絵師達のお話し。

    鮮やかな才能の迸りあり、
    御用絵師になるためどう時流を読むかの権力闘争あり、
    女絵師の切ない恋の物語あり、
    大奥のドロドロと深い男女の情愛あり、
    最後に読者をにやりとさせるちょっとしたひねり構造ありで、
    かなり満足のできる小説でした。

    最初は久々のキチッとした時代小説形式(と言うか名前の変わり方)にちょっと戸惑いましたが、
    読み出すと硬い中に深さのある心理描写と、
    人間模様の美しさに引き込まれます。
    とくに狩野永徳の絵に関するシンプルなのにありありと目に浮かぶ様な描写は凄かった。
    文章とストーリー全体が日本画っぽいと言うのは、分かりにくいでしょうが多分読んだ人は頷いて頂けるかと。

    ところで私の実家は三代か四代続く表具師です。(私が継がないので絶えてしまいますが…)
    いま60代のウチの父が子供の頃には、
    まだ辛うじて『流しの絵師』という職業が存在したそうです。
    ある日突然訪ねてきて、仕事場でいく枚かの絵を絹に描き、
    謝礼とご飯を貰って帰ってゆく。
    そんな人がいたそうです。
    文化が変化していくのは楽しい事ですが、
    そんな方達ともちょっとあってみたかったなぁ…と思います。

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    2011年02月04日
  • 乾山晩愁

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    室町から元禄にかけて実在した絵師達を取り上げた短編集。表題作を読むと表紙の「花籠図」がまた違って見えてきます。文化と歴史上のできごとをうまく重ねた物語は人間としての絵師を親しみやすく感じさせ、光琳と赤穂浪士の関係についての新たな考察も興味深く読みました。一冊通して読んだときの、ぐるりと巡る構成も面白い。またそれぞれの短編に「絵師とは、芸術とは」を表す力強い一文が入っていて、何回か繰り返し噛み締めて読みました。あとがきの「(光と影だけでなく)光の周りの、光を支えている存在」、そこに目を留める著者の温かさが伝わってくるような一冊でした。

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    2010年01月10日
  • 乾山晩愁

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    実力派の歴史短篇です。
    やや説明にくどさを感じますが、しっかりした構成と人物造形で読ませます。絵師の物語とはいえ、絵がそのものより、権力抗争や恋が主題に描かれています。
    葉室さんは「乾山晩愁」がデビュー作だそうですが、後に行くほど硬さが取れた感じで読みやすくなっていきます。
    読みながら、何となく作品の感じが似てるなと、白石一郎さんを思い出しました。。白石さんは古川薫氏、滝口康彦氏と九州三人衆と呼ばれ、中央文壇に巻き込まれず、九州の地から歴史・時代小説を発表し続けた人(白石一文・白石文郎さんの父親)。葉室さんも九州だそうで、どこかに繋がりが有るのかもしれません。

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    2016年08月05日