【感想・ネタバレ】実朝の首のレビュー

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実朝の首(葉室麟/角川文庫)
鶴岡八幡宮で公暁に暗殺された源実朝。
「吾妻鏡」には、実朝の首が見つかったという記述はなく、棺の中に入れられたのは髪だったということが記されています。本書は「蜩の記」で直木賞を受賞した葉室麟さんが、実朝の首を巡って朝廷、鎌倉幕府、武士たちの闘いを描く娯楽時代伝奇小説の傑作です。面白く一気読みしました。
人物描写が秀逸。特に「鎌倉殿の13人」が好きな方は必読と思います。

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2023年11月11日

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源実朝は頼家の息子、公暁に鶴岡八幡宮の大銀杏の前で暗殺された。文献にはその後実朝の首は行方不明になったこと、葬儀には遺髪が入れられたこと、それしか分かっていない。

それを鎌倉幕府の中の勢力争い、公暁に実朝の暗殺をけしかけた者、時の後鳥羽上皇の京都での台頭、尼将軍北条政子、さまざまな人物が登場することで、あたかも書かれていることが真実であるように思えてしまう素晴らしい歴史絵巻が繰り広げられる。筆者の力量、歴史を見る目に感動を覚えた。そして実朝暗殺の真の首謀者は誰かという衝撃の事実も語られ、歴史の真実はどうだったか、想像力は無限にかき立てられる。

実朝暗殺から承久の乱にかけての歴史についても大変勉強になった。

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2020年09月12日

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『蜩ノ記』で著者に興味を持つ。鎌倉時代にはあまり興味がなかった。実朝の数奇な運命も知らずに読んだ。公家から武家の時代になったと思っていた鎌倉時代に、新たな視点を与えられた思いだ。実朝が鶴岡八幡宮で暗殺され、その首が何者かに持ち去られた史実を基にした物語に惹き込まれた。人物相関はややこしいが、鎌倉時代も面白いではないか。

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2019年01月06日

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建保七年(1219年)正月二十七日
源実朝の右大臣拝賀の儀
雪の降り積もる鶴岡八幡宮の石段と傍らの大銀杏

実朝暗殺の場面から物語は始まる
甥の公暁によって殺された実朝の首を巡る騒動


公暁から首を預かった弥源太。
(弥源太は公暁の乳母子で美少年♪)
弥源太は三浦館へ向かうはずだったが、そのまま持ち逃げする。
そこから三浦義村の家臣、武常晴と出会い、連れて行かれた先には和田合戦の生き残りたち和田党がいた。

この作品、成り行きで和田党の一員となった弥源太の成長物語…
という側面もあるのかな。
もちろん見どころは朝廷と鎌倉幕府、そして和田党の腹の探り合いですが。

自分的に面白くて印象的なのは、北条義時と三浦義村の小物っぷりです。
政子にバカにされ、底が浅いと思われ、臆病で。
そういう描写が出てくる度に、思わずクスッと笑ってしまう。


先日最終回を迎えた「13人の鎌倉殿」を毎週楽しみにしている中、
くるたんさん、TOMさんのレビューで本書を知り、読みたい!と思っていました。
実朝暗殺もう一つのストーリーとして空想が広がり、とても楽しい読書時間でした。

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2022年12月22日

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源実朝暗殺後に実朝の首が持ち去られた。実朝の首の行方をめぐる物語である。実朝の首は何故か義村と対立していた相模国西部の波多野氏の所領で埋葬されたとの伝承がある。その伝承に沿った物語である。

泉親衡の乱や和田合戦で北条氏から謀反人とされ、歴史から消された人々が活躍する。これは清々しい。『実朝の首』では北条政子に比べると北条義時は底が浅い。義時や三浦義村は陰謀家としても二流である。鎌倉幕府は尼将軍政子でもっていた。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源実朝のBL展開が話題になった。北条泰時を相手とすることは主人公側の補正要素が強くなるが、和田朝盛とすることは成程と感じる。

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2022年11月14日

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実朝暗殺から承久の乱までのわずか2年間を
鎌倉幕府と朝廷、さらに和田合戦での生き残り達との三つ巴を見事に描き切った作品です。

こういった清らかでありながら何処か冷酷さも感じられるような読後感が葉室麟作品ならではの楽しみ方なのかもしれません。

大河ドラマでどう描かれるのか楽しみになりました。

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2022年11月02日

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今、『鎌倉殿の13人』をみているので、なんとなく手に取った本。
公暁に暗殺された実朝の首はなぜ、別のところに葬られているのか。
読んでいくうちに面白くて、どんどんやめられなくなったが、登場人物が多いので、それが大変かも。
時々、回想シーンのなかに出てくる実朝が、さびしげでならない

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2022年02月10日

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承久の乱で処刑された公卿はWikiだと一条信能、葉室光親、源有雅、葉室宗行、高倉範茂ら(作家葉室鱗はいかなる思いが交錯したか)
※答え→別に(´・ω・`)
ネタバレ的感想
上皇に唆され源頼茂は実朝暗殺に公暁を使い、首をはねる。
物語を巧みにリードするのが朝比奈三郎義秀という伝説の武人に与する和田朝盛とその仲間たち。公暁が持ち去り見つからぬ首をめぐり、和田合戦のリベンジ目論む一統が弔問使の怪しい伊賀局(上皇の愛人亀菊)交野八郎(上皇が使う元盗人)そして幕府北条義時の三つ巴で派手に展開。
承久の乱ですべての伏線が回収される会館を味わえる作品です。
読むべし

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2020年01月26日

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あまりよく知らない鎌倉時代の話ということで最後の展開が分からず、一気に読み切った。
登場人物の描写が上手く、個性がよく伝わった。最後がちょっと端折った感じで、あれだけ浮世離れした後鳥羽上皇の最後があっけなく感じたのがちょっと残念。

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2019年12月20日

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 鶴岡八幡宮での実朝暗殺の事件は歴史の変節の象徴としてよく語られる。歴史の授業でも扱われてきた。この小説はその事件を発端として始まる。
 実朝の首はその後、公暁により持ち去られ、さらにそれをかつての実朝恩顧の者たちに奪われる。幕府執権側はこの事実を秘密裏に処理し、実朝の葬儀を恙なくおこなうことを目指す。それが鎌倉幕府の安定、北条執権体制の維持に不可欠と考えていたのである。
 この小説では実朝が殺害された後、一時首が見つからなかったという史書の伝にがモチーフになっている。もちろんこれは創作であり、ストーリー展開には多くの創意がみえる。
 小説の終末近くでそれまで遺骸の一部としてしか登場していなかった実朝が、実はストーリーを基盤で動かしていた人物であることが明かされる。このあたりの展開は巧みだと思う。

 

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2018年06月17日

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鎌倉時代…各々家系の縦横軸を跨ぐ骨肉の争い、そして主導権を握る女傑陣。張り巡らされた点と点を線で結びたくなる面白過ぎる一作♪。

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2017年01月23日

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ネタバレ

今まで読んだ葉室麟の小説は2種類あり、史実をベースに歴史の流れの中で敵味方となり切り結ぶ運命の中にありながらも己の忠義にしたがって謀略を突くし、そして戦う男(女)を描いた作品、かたやその流れの傍らで描かれる人々のドラマ。後者が「川あかり」「蜩の記」とすれば、今作は前者に当たる。
殺害された実朝の首が紛失したことにより、鎌倉の将軍家の後釜を巡って、世継ぎ、朝廷、など様々な史実の人物の利害が重なり反発しあって三つ巴の戦いが起きる。史実に疎いので前半は矢継ぎ早に登場する人物に戸惑ったが、後半俄然物語が面白くなり一気に読み終わった。史実に詳しければ、はるかに面白く読めただろうに!残念。

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2015年01月15日

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『秋月記』以来。いや引き込まれるわ。

この時代に疎いというのが一番なんだけれども。鶴岡八幡宮での銀杏から始まり、これまでとは違う、作者独自の視点が面白かった。

実朝の真意など、分かるはずもないけれど、そうあってほしいと思わせてくれてた。

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2013年08月28日

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直木賞受賞作品。甥の公暁に鎌倉八幡で斬られた実朝としか認識していなかったけど、和歌の造詣が深く、生きることに絶望していて、斬られるとわかっていて潔く斬られた実朝と、権力のため、源氏を根絶やしにしようとしていた北条政子の陰謀。面白かった。

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2012年05月28日

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竹宮恵子さんの吾妻鏡を思い出しつつ読みました。実朝の真意はどこにあったのかいろいろ考えさせられる場面に出会うことが出来ました。

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2012年03月22日

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展開が早くて面白い。時たま頭がついていかなくなるけど。
鎌倉時代のこの時期の武将、歴史上の人物オールスターキャスト?
人物名が途中でごっちゃになるけど、それは僕のせいです。
鎌倉幕府に興味ある方はぜひ。

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2012年02月27日

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いきなり雪の鶴岡八幡宮のシーンから始まる歴史ミステリー。前半は実朝の首、後半は三寅をめぐる三つ巴の“争奪戦”がスリリング。特に三浦氏の郎党・武常晴ら“七人の侍”の活躍が痛快。暗殺の真相についても一捻りあって面白かった。ちょっと説明的に過ぎるところがあるけれど、考証のしっかりした内容で読み応えはあった

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2022年11月13日

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文庫が出た時あたりに読んでみたが、人物関係がよくわからず、途中で断念。
大河ドラマで大体分かったところで読んでみたら、全員とはいえないが大体わかった。
今の時代も女性が政治をした方が戦争は起こらないんじゃないかと思う。

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2022年09月18日

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鎌倉幕府内部のドロドロとした内部抗争と京都との鍔迫り合いは、謎の多いからこそミステリー要素もあり、また鎌倉幕府の独特のうら暗さも相まって、歴史小説の中でもヒリヒリして面白い。
それは源頼朝のイメージから脈々と受け継がれている様に感じる。
実朝の首の行方がはっきりしないというのも、まさに最高のミステリー。

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2021年09月17日

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ネタバレ

殺害後、実朝の首は奪われ、どこかへ消えてしまう。実朝暗殺の首謀者は、誰なのか。誰が、何のために首を奪っていったのか。謎は多い。

鎌倉時代も人物たちが濃く、分かっていないことも多い。興味深い。

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2019年07月21日

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源実朝が好きなので、「葉室先生、実朝の話書いてくれてるんだ!」と大喜びで飛びついたのだけれど、読み始めてみれば、なんということか、タイトル通り「実朝の首」だった。
さすがに登場人物たちに魅力があって、(実在したとはいえ)物語上の人物なのに、血の通いを感じられる。
けれど、それはそうだけれど、なんとなくやっつけ感があって、置いてきぼりを食ってしまった。
実朝が好きだからって、丁重丁寧に扱ってくれるものだと期待しすぎていたせいもあるのだけれど。
もっと長くなってもよかったのになぁ…

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2017年11月29日

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鎌倉幕府第3代将軍実朝の暗殺事件を題材に、エンタメ要素多めで描かれた歴史小説。当該時代についての知識が浅薄のため、時代や事件の背景を調べ調べ読書進める。不勉強は恥ずかしい限りだが、それはそれで楽しみを増やしてくれた。
題材や構想は良かったが、調理が追いつかず荒削りなのが惜しまれる。

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2016年06月20日

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 鎌倉時代が舞台って割と珍しいですよね。圧倒的な知識の足りなさで苦戦しつつ、おそらく非常に綿密に作られているのだろうなぁと思いつつ、うーん……のめりこみにくい; 話の盛り上げどころにちょいちょい入ってくる解説の所為で読む勢いが殺がれるし、感情移入もしにくくて残念でした。ヤマ場もいつの間にか通り過ぎて終わってしまった感が……きっちり歴史を勉強してから出直してこいってことですかそうですか?

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2013年10月24日

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葉室は、歴史小説好きに人気が高いと聞く。
北条ものには、そんなに食傷していないし、確かに面白くて最後まで読ませる。しかし、やや散らかった講談物の印象が否めないし、和田の役割、政子の役割造形も類型的で、他の先達の作品とあまり変わらない印象だ。実朝の首を象徴に京と鎌倉の関係を描いた、というところなのだが、スケールがあまり大きいとは感じられない。

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2018年10月14日

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「御首の在所を知らず」甥の公暁に暗殺された実朝の首をめぐる朝廷と幕府、北条氏と源氏の対立と人間模様。
歴史に対する丹念な調査と真摯な姿勢は感じさせるが、次作の「銀漢の賦」「いのちなりけり」の爽快感や「秋月記」「橘花抄」「散り椿」「蜩ノ記」に続く葉室文学とも言える坦々とした世界観と余韻までは感じさせない。

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2012年08月22日

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全1巻。
今年の直木賞取った作家さんの初期作品。

藤沢周平ぽいとささやかれる著者だけど、
今作は隆慶一郎ぽかった。
歴史の死角を突いた伝奇もの。

歴史の独自な解釈や、
どろどろした政争、
力強い豪傑達と妖しげな刺客達、
そして人としての成長と気持ちの良い仲間達。

胸躍り、涙する展開なんだけど、
少しだけキャラの掘り下げが浅い。
灰汁の強い登場人物達を使い切れなかった印象。
特に幻術的な妖しさを持つ敵役とか。
この程度だったらそんな設定無かった方が良いのに。

あと、やっぱり最後蛇足な感じ。
多いな。そういうの。この人。

テーマも舞台も設定も好き。
おしい。

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2012年05月15日

Posted by ブクログ

期待して読んだ葉室さん、見事に肩透かしです。
歴史・時代小説の質の高さを決めるものの一つとして、「主人公の生き様」が描けていることが挙げられると思うのですが、この小説には「生き様」と言えるものが殆どありません。次から次に事件が起こるばかりで、なんだか単純な娯楽歴史時代小説のようです。
もし、私が始めて取った作品がこれだったら、二度と葉室さんの本には手を出さなかったろうと思います。もっとも司馬遼太郎でさえ「城をとる話」のような、あるいは白石一郎の「鳴門血風記」のような作品も有るので、時々はこうした外れ作品があるものなのでしょう(あくまで私にとってですが・・・)
葉室さんには是非、単純に娯楽に流されない、高質な歴史・時代小説を書いて欲しいと思います。

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2016年07月31日

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