葉室麟のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
武士とはなんだろう。志とはなんだろう。
胸に秘めた譲れないものを最期まで貫き主人公は壮絶な死を選ぶ。
読み終わった後、寂しさが吹き抜けていく。
人は皆、グレーだ。善と悪の融合物だと思う。
ただ視点を何処に置くかで生き方は変わる。
どんなに取り繕うことが上手だったとしても、全ては己の心が知っている。隼人が仕えた主君はお粗末だった。
その場所でなさねばならねことを全力で果たしたのが隼人という武士なのだろう。
仁もある、知もある、武もある。なのに何故か大きな運命に翻弄される。
それが憂いとなり、ダンディズムを感じる。そんな主人公を描くのが、葉室麟さんは得意だと思う。
-
Posted by ブクログ
著者がが急逝したため、いくつかの未完の作品があり、本作もその一つ。
楠木正成が主人公であるが、安部龍太郎氏によれば、司馬遼太郎を師事する著者は、司馬の『竜馬がゆく』を意識して本書を著したらしい。
司馬が、幕末志士のなかの一人であった坂本竜龍馬を一大ヒーローに仕立てたように、戦前戦中の皇国史観で崇められたゆえに戦後はほぼ見向きもされなかった楠木正成に焦点を当てようとしたようだ。
もちろん、皇国史観としての楠木正成ではなく、史実と実証に基づき、その当時あちこちに跋扈していた「悪党」として。
題名の「星」は後醍醐天皇で、「龍」が楠木正成だとか。
足利尊氏の伸長や後醍醐天皇の策謀など風雲急を告げて、「 -
Posted by ブクログ
高杉晋作の物語。
どこまでが史実でどこが創作なのかわかりませんが、この時代を生きた高杉晋作の成し遂げたこと、その想いが伝わってくる物語でした。
ぶっちゃけ、高杉晋作には幕末の長州藩士、明治維新を牽引した人物というイメージしか持っていませんでした。
本書を読むことで、その破天荒?な人物像を知りました。
まさに激動の時代の風雲児だったんですね。
長州藩だけでなく、日本の行く末を見据えながら戦い続けた人物。
脱藩したり、投獄されたり、そんな人物が日本を変えていく、やはり、とがった人物が「リボリューション」を実現できるのかと思い至りました。
上海の活劇(?)や長州征伐での戦闘は引き込まれました。