【感想・ネタバレ】影ぞ恋しき 上のレビュー

あらすじ

夫婦の絆、親子の情愛。
葉室麟渾身の長編小説。

吉良上野介の孫娘・香也を養女に した雨宮蔵人と咲弥夫婦のもとに信州諏訪から密使の冬木清四郎が。
かの地に配流された上野介の息子・ 義周が香也に一目会いたいというのだ。
諏訪に出向いた一家は、死期迫る義周に清四郎と香也の婚儀を迫られ、承諾してしまう。
時は綱吉治世の末期。一家は再び天下の政争に巻き込まれることに。


※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

時は、江戸5代将軍綱吉の治世。側用人柳沢吉保が権勢を振るっていた。
赤穂浪士討ち入り後、彼らに切腹の沙汰を下した一方、吉良上野介から家督を継ぎ、討ち入り時も奮戦し、傷を負った吉良左兵衛は、諏訪に送られ、治療も虚しく死期を悟り、上野介の血を引く、雨宮蔵人と咲弥の娘(義理)の香也に一目会いたいと願う。
蔵人は、香也を伴い諏訪に向かう。蔵人と香也は、左兵衛から吉良家の再興を託される。また、香也を家臣である冬木清四郎と婚約し、2人で再興をして欲しいと願う。その後、左兵衛は、亡くなるが、清四郎は吉良家の仇討ちを果たすため、江戸に向かう。同じ頃、蔵人は、江戸に向かう先の関白近衛基煕の護衛に同行することになった。基煕は、天皇譲位と桂昌院一周忌にあわせ、赤穂浪士の子供たちの大赦を幕府に持ちかけようとしていた。
一方、柳沢吉保は吉良家の監視に女忍のののうを使ったり、本流ではないが柳生一門の柳生内蔵助を使い、近衛基煕の下行を阻止するため手を尽くす。
実は、将軍家は継嗣問題として、甲府藩主徳川家宣(西ノ丸)が継嗣に決まっていた。家宣には、間部詮房や新井白石など有能な家臣がおり、綱吉の後、家宣が将軍宣下を受ければ、柳沢吉保は立場が危うくなるのは明白で、少しでも立場を保つことを考えていた。
中院通茂に依頼を受けた、咲弥は、大石内蔵助の妻りくと息子大三郎を鞍馬の自宅で匿ってくれと依頼をうける。しかし、蔵人は江戸におり、そこに柳生内蔵助が襲ってくるが、ののうの千代や清四郎の助けを受け、蔵人もギリギリで助けに来る。蔵人の活躍、清巌(蔵人の従兄弟)の助けで、内蔵助達を追い払うが、家を焼かれてしまう。
一方で、仇討ちが誰なのかを明かさなかった清四郎であるが、さまざまな手を使い大奥に入り、綱吉を暗殺する。さらには、柳沢吉保をも襲うが、本懐は果たせず、今度は柳沢吉保の家臣柳生内蔵助に追われる身に。
しかし、清四郎は、吉保の正室町やののうの望月千代に助けられ、京都島原まで来ることができた。
そこには、蔵人がおり、柳生内蔵助と一体一で狭い茶室での勝負をかける。
柳生内蔵助を倒した、蔵人だが急所は外していたが、一緒にきていた京都所司代松平信庸に留めを刺され事切れる。内蔵助が、色々知り過ぎていたため、吉保から京都所司代に殺せと命令されていたのだ。
内蔵助は、清四郎を、追いかけ鞍馬へ向かう。


史実の中に、主人公達、架空の人物を組み込んで物語を展開させる作者の技術に感心します。
また、紀貫之や中院通茂などの美しい和歌が出てきたりするのが素晴らしいです。
さらに、京都島原の由来や綱吉の死の謎など知らなかった事も知れて、勉強になりました。
早いうちに下巻も読みたいと思います。

1
2025年09月07日

Posted by ブクログ

やっぱり間違いない面白さですね。新しいキャラクターも登場。千代と藤左衛門。この二人、いいですねぇ! 下巻でも期待しています。 歴史に絡めながら、これだけ多くの人々が絡むストーリーを作っていく葉室先生の手腕に今回も感嘆しています。 次で雨宮蔵人シリーズも最後かと思うと、ちと、いや、かなり悲しいです。

0
2021年09月22日

Posted by ブクログ

小城鍋島藩浪人である雨宮蔵人シリーズの三部作の最終作である。葉室麟さんが生きていれば更に続くのか?わかりませんが、話の流れは第一作である『いのちなりにけり』、第二作である『花や散るらん』を読んだ方がわかりやすいと思うが、そうでなくても良いかも知れない。これから読む下巻が楽しみである。

0
2025年01月13日

Posted by ブクログ

葉室作品の中では比較的珍しいシリーズものなので、蔵人と咲弥夫婦だけでなく周りにも魅力的な人がたくさんいて、彼らの心情や関係性の変化もまた面白い。
時代ものの定番である悪役も、田沼意次と並ぶ悪役界の超大物 柳沢吉保だけに、一筋縄では行かない陰謀を繰り出してきます。
柳生、ののう、磯貝藤左衛門と隠密系の面々がかなり重要な役割を果たすところは葉室作品の中でも異質な面白みもあり、これは下巻も目が離せない。

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2023年11月08日

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