【感想・ネタバレ】潮鳴りのレビュー

ユーザーレビュー

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Posted by ブクログ 2022年06月07日

先が読みやすい勧善懲悪のストーリーながら、人を思いやる気持ちの大切さに改めて気付かされる小説である。ともすれば自分本位となりがちな現代において、人を慈しむ慈愛の心こそが人の共感を呼び、連帯感を強くすることを再認識させられた。読後感も爽やかである。

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Posted by ブクログ 2021年06月20日

再起をはかる人々の物語。
地べたから始まっていることを考えれば、何事も諦観をもって前を向いて取り組める。

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Posted by ブクログ 2021年02月02日

「ひとはおのれの思いにのみ生きるのではなく、 ひとの思いをも生きる。」
 という最終章の一行が心に強く残ります。なにかを成すには命を捨てる覚悟が
ないと相手を動かすことはできない、自分も廻りも引き摺り廻して中吊に苦しめて
しまう。「覚悟」とはなにかを考えさせてくれる本。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月26日

「落ちた花を再び咲かせる」、まさに俺の一番好きなテーマ、人生再生の物語である。

襤褸蔵と漁師にバカにされるまで落ちた武士、櫂蔵
男に裏切られ、絶望の末娼婦となった、お芳
三井越後屋の大番頭から放浪の俳人となった咲庵
借金漬けでどうしようもなく経済破綻している羽根藩

登場人物も舞台も堕してしまった...続きを読むところからの再生を志し、あがいていくのである。その様をみて「他人ごとではない、俺だってあがいてみせるさ」と読者を勇気づける、そういう小説が楽しくないわけがない。

実は、この小説で一番魅力的だったのは、家は堕ちても、心根は堕ちず孤高を保った主人公の継母「染子」ではないだろうか。武家の妻としての矜持を抱え込むように持ち、その生きざまを貫き通す。駄目なものは駄目、しかし良いと思ったものや、見直すべき価値感があれば、自分の中で修正し認め受け入れ育んでいく。その凛とした生き様は、一服の清涼剤のごとく読んでいて気持ちよかった。

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Posted by ブクログ 2017年12月01日

内容(「BOOK」データベースより)

俊英と謳われた豊後羽根藩の伊吹櫂蔵は、役目をしくじりお役御免、いまや“襤褸蔵”と呼ばれる無頼暮らし。ある日、家督を譲った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。弟を救えなかった櫂蔵は、死の際まで己を苛む。直後、なぜか藩から出仕を促された櫂蔵は、弟の...続きを読む無念を晴らすべく城に上がるが…。“再起”を描く、『蜩ノ記』に続く羽根藩シリーズ第二弾!

平成29年11月27日~12月1日

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Posted by ブクログ 2016年05月21日

落ちた花でももう一度咲くことができる。
これまでに挫折を味わったことがある人であれば、少なからずこの小説の主人公である櫂蔵に自分を重ねてしまうんじゃないかな。
櫂蔵やその周りの人たちの芯の強さ、凛とした姿には心揺さぶるものがありました。

葉室麟先生の時代小説です。蜩ノ記と同様、読めばすぐに引き込ま...続きを読むれてしまいます。早く次の羽根藩シリーズを読みたい。
#読書 #読書記録 #読書倶楽部
#潮鳴り #葉室麟
#2016年47冊目

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Posted by ブクログ 2022年08月28日

落ちるところまで落ちた櫂蔵が、弟の自害を契機に、這い上がって行く。
身寄りなく、客をとって身を立てていたお芳との心の共鳴は、孤独と絶望を感じた者の間でしかわからない世界が広がっていた。
深みある読み応えのある作品だった。

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Posted by ブクログ 2022年08月04日

一度失敗を犯した者が再び花開くことが可能なのか、という命題がテーマになった作品。
無駄なプライドを捨てて、自分に正直に、かつ自分のことをきちんと見てくれる人の想いに報いるべく生きることの価値を一貫して綴られています。
やもすれば青臭い理想論になってしまうところですが、葉室氏の巧みな人物描写とストーリ...続きを読むー構成で、力強い感動的な読後感を味わうことができました。

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Posted by ブクログ 2021年08月21日

前作同様、藤沢周平の再来かと思わせるようなストーリー展開、雰囲気で楽しめる。最後は何か、清々しい気持ちになった。

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Posted by ブクログ 2021年06月18日

痛快な復讐劇で大変面白かった。
前作「蜩ノ記」のような心に染みるような感動作ではないが、先の展開を期待しながら清々しい気持ちで読み切れた。シリーズといいながら舞台となる羽根藩が同じだけでどれから読んでもokの続きものでした。

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Posted by ブクログ 2021年05月02日

「蜩ノ記」の羽根藩シリーズ第2作。続編と思いきや、他のレビュアーも書かれているとおり、「蜩ノ記」とは独立した物語です。とても読みやすく、作者の執筆のスピードも早かったのではないでしょうか。

一度落ちた花が、再び花開く話ですが、そこに至るまでに2つの犠牲があります。主人公の身近な人達の死です。主人公...続きを読むもほとんど死に近いところまでいくのですが、戻ってきます。そして、武士としての潔さの延長にある死を選ぶのでなく、生きぬいてことをなす、したたかさに裏打ちされた強さが描かれます。

主人公に影響を与えたはずの父親は描かれませんが、当初は冷たかったものの主人公の成長とともに賢母として顕現する継母が描かれます。賢母と愚息という構図は藩主とその母親にも現れ、悲劇を起こす元となり、終盤では救済をもたらします。悪い男性は描かれるが、悪い女性は描かれないなど、読後には人物像に偏りを感じもしますが、読んでいる最中にはそんなことは気になりません。時間も忘れて読むことになるでしょう。

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Posted by ブクログ 2020年12月09日

一途な女たちと一途でありたい男の物語。読んでいるうちに、頁をめくるスピードがどんどん速くなってくる。

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Posted by ブクログ 2020年11月08日

羽根藩シリーズ二作目。本当に良かった。藤沢周平の本を読んでいる時の幸福感に浸れる。もっと早く読んでおけば良かったとも思うが、残りのシリーズを読めるという楽しみもある。心が洗われるような話とはこのことか。

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Posted by ブクログ 2019年07月07日

面白かった!
「蜩ノ記」に続く羽根藩シリーズ第2弾となっていますが、羽根藩が舞台と言う事以外は関係ありません!
池井戸潤のような企業小説の陰謀系の勧善懲悪ストーリ+時代小説の武士の生き様を加えたような印象(笑)
とはいえ、本質は主人公の再生の物語です。

ストーリとしては、
俊英と謳われた豊後羽根藩...続きを読むの伊吹櫂蔵は、役目をしくじりお役御免。漁師小屋で”襤褸蔵(ぼろぞう)”と呼ばれる無頼暮らしをしている中、家督を譲った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知ることになります。直後、なぜか藩から出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がることに。
弟の遺志をつごうとしますが、そこには様々な苦難が..
さらには、藩内にうごめく謀略・陰謀。どう立ち向かっていくか..
といった展開。
そして、櫂蔵を支える女お芳。そのお芳に厳しくあたる義母の染子のストーリも素晴らしい!

「ひとはおのれの思いにのみ生きるのではなく、ひとの思いをも生きるのだと」
「わが命は、自分をいとおしんでくらたひとのものでもあるのですね」

ぐっと胸が熱くなる言葉です。

とってもお勧め!!

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Posted by ブクログ 2019年03月01日

『蜩の記』に続き、葉室作品二作目。羽根藩シリーズ、第二弾。時代もので初めてのシリーズ読み。去年の読書で一番の収穫は時代小説の面白さを知れたことでした^^ その一端を担ったのが葉室さんだした!前作も面白かったんですが、こちらも負けず劣らず…でした。男性キャラたちも勿論良いのですが、女性キャラ、特にお芳...続きを読むさん。一本筋が通っていて素敵な方でした…。次作『春雷』もストックしておりますw 第四弾『秋霜』もそろそろ文庫化しそうだし、楽しみだなぁ。星四つ。

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Posted by ブクログ 2022年06月07日

蜩ノ記から読んで感動して、乾山晩秋というデビュー作を含む短編集を読んだ時は、淡々とした抑制の効いた文章で驚きました。その短編集でも、後半に向かって、少しポップな感じ?になって行くのですが、作風にそういう濃淡があるような気がします。そういう意味では、本作はかなりポップよりな、時代小説ではあっても201...続きを読む0年代に書かれただけあるなという感じ。えっ、そんなことになってしまうの?と悲しくて泣けましたし、いい話だったけど、最後にまさかそんな水戸黄門の印籠みたいなまとめになるとは思いませんでした。

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Posted by ブクログ 2016年07月22日

落ちるところまで落ちた羽根藩の武士櫂蔵
再び、人々の信頼をえるまで立ち上がる姿
3.8 蜩の記のシリーズ

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