葉室麟のレビュー一覧

  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    北九州に現れた異国の襲撃を撃退した藤原隆家の英雄譚。前半は兄の伊周、叔父の道長、花山法皇などとのエピソードが実際の話に基づいて描かれている。後半は刀伊が攻めてきて迎え討つ。今年の大河ドラマは紫式部を中心とした平安時代中期なので、人間関係が割とスッと入ってきた。それにしても刀伊の入寇は大事件だ。隆家はもっとヒーロー扱いされていい。もっとも隆家はそんなこと望んでいないだろうが。

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    2024年05月14日
  • いのちなりけり

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    ネタバレ

    初めは説明においつけなくてあんまり楽しめてなかったけど、桜狩りの辺りからすごく没入できた
    蔵人がどんな気持ちで走って人を斬ったのか想像するだけでぎゅってなるし、さくやが蔵人のことを想い続けた時間とか鍔の真実に気がついた時とか、ここで待つって言った時のこととか考えるとまたぎゅってなる
    きっと幸せになって欲しい

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    2024年05月09日
  • 随筆集 柚子は九年で

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      大河ドラマ「龍馬伝」では薩長同盟は龍馬の功績のように書かれているが葉室は龍馬一個人で果たせるものではないとしてます。
     郷里の武将 立花宗茂を描いた「無双の花」について。若いときは豊臣秀吉に讃えられていたのが関ヶ原で西軍につき領地家禄も失い浪人になったのが、のち徳川に仕官がかない大名に返り咲いたことをだいざいにしている。葉室は勝者より敗者などに寄り添う視線が読者を惹き付けるのだろう。
     直木賞を受賞してからのこころの構えを書いてますが、まだまだ伝えたいことがあったと思うと急逝して残念でならない。

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    2024年04月14日
  • 曙光を旅する

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    Ⅳ部からなる、著者晩年の歴史紀行。
    Ⅰ部の「西国を歩く」は、司馬遼太郎の『街道をゆく』を意識していたそうだ。それぞれの地に関係ある人物の足跡を訪ね、単元ごとに人物あるいは出来事の解説が編集者によって記されており、著者の関連する小説も紹介されている。
    Ⅱ部以降では、石牟礼道子氏や松下竜一氏に触れ、筑豊や水俣など九州人ならではの思いが語られる。
    葉室涼子氏による「父と旅」というエッセイも掲載され、巻末には著作一覧が年代別に掲げられて参考になるし、ファンにとっては見逃せない一冊といえよう。

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    2024年04月08日
  • 紫匂う

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    黒島藩シリーズ 2

    心極流の達人ではあるが、寡黙、朴念仁、凡庸を絵に描いたような、郡方勤めの夫、蔵太と、二人の子供と、理解のある、舅姑と、穏やかに暮らしていた澪の前に、結婚前に、一度だけ契りを交わした笙平が現れた。
    笙平は、藩内抗争に巻き込まれ、国許に送られる途中、逃亡したという。
    澪は、笙平を匿う決心をするが・・。

    惻隠の情。 「本当に、それだけなら良いけど」

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    2024年03月24日
  • 蝶のゆくへ

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    明治から大正にかけて、女学生時代から島崎藤村、北村透谷、国木田独歩、勝海舟、樋口一葉、その他多くの文人、芸術家たちと関わり、交流した主人公・星りょう。
    こんなに才能ある人たちと関わってきた星りょうっていったい何者?
    架空の人物?
    と思っていたら最後の方でどんな方かわかり、おおっ!となりました。

    この時代いろいろな格差や慣習がある中で、自由に、自分らしさを求めて、世間の目を気にせず意思を貫いて強く生きた女性たちはすごいなと思いました。

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    2024年03月12日
  • 風のかたみ

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    この時代の武士やその家族の生き方を背景に女性の強さや想いの強さに圧倒されそうでした。ミステリーを時代小説の中に取り込んだ内容で今までの葉室麟の小説とは大きく違うような印象を持った。また、本の表紙に描かれている白鷺がとても哀しく感じた。

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    2024年02月24日
  • 不疑 葉室麟短編傑作選

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    葉室麟さんの作品は、北国の厳しい環境の中で耐えて生きる武士の姿をイメージするけれど、それだけじゃない、凄く広大な世界があるのだと思う。

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    2024年02月19日
  • 孤篷のひと

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    江戸時代初期の大名茶人、作庭家小堀遠州が、晩年に巡りあってきた千利休、古田織部、石田三成、後水之尾天皇、沢庵、藤堂高虎、伊達政宗らとのエピソードを回想した、葉室麟の心暖まる筆致での時代小説。

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    2024年01月11日
  • 春雷

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    豊後の羽根藩では、財政窮乏、藩の借銀が膨大な額となり返済に苦しんでいた。名君との聞こえもある藩主兼清のもとに、備後浪人の多聞隼人が召し抱えられ、鬼隼人と称されて、苛烈な改革を断行していった。
    悪とは何か。正義とは。
    おのれの正しさを言い立て、他人を謗り、正すのが正義なのか。それは何も作ろうとはしない。何かをなそうとする者の足を引っ張って快とするものだ。この世に何も作りだそうとはしない。
    今の政治家に聞かせてあげたい。

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    2024年01月02日
  • 蒼天見ゆ

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    幕末、秋月藩執政の臼井亘理は、尊攘派により、理不尽に、妻とともに寝込みを襲われて、斬殺されてしまう。息子の臼井六郎は、山岡鉄舟のもとへ弟子入りし、明治の御代に、ついに仇撃ちを果たす。
    最後の武士として。

    いかなる苦労があろうとも、いつか頭の上には、青い空が広がるから、それを忘れるな。
    蒼天を見よ。よい言葉である。

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    2023年12月27日
  • 春風伝

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    外国と渡り合う為には、国力を上げる事が急務であると、誰もが思っていたみたいですが、同じ志を持ちながら何故戦わなければならないのか?
    明治維新の話は、読めば読むほど分からなくなります。

    攘夷を掲げて戦う人たちも、それぞれ目指しているものが違っていたりしたんだなと、混沌とした時代を感じました。

    それぞれが、それぞれの正義や考え方で、動き回っているという印象でした。
    高杉晋作もその中の一人。

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    2023年12月17日
  • 陽炎の門

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    この作品は、江戸時代を舞台にしているけど、本当の人としての「義」を貫いた武士を描いていて、清々しい。江戸時代は、徳川幕府の政策のために、「愚かな主にでも忠節を尽くすのが武士道」などという馬鹿げた思想が、蔓延っていたので、この作品のような「義」を通す話は、気持ち良い。

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    2023年10月05日
  • 銀漢の賦

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    えらく渋く、小藩の武士として生きる男の友愛に恋慕に忠臣を質し、描いてくれる。若い純粋で熱き志も、その実現に向かううちに妨害あり挫折あり。事をなすには地位がいるし、悪役をも厭わぬ心持ちがいる。本懐を遂げるには綺麗ごとでは済まぬと己に言い聞かせているうち、昔日に忌み嫌っていた姿を自分の中に見る。かつても今もこの先も、永遠に繰り返されるであろうジレンマ。進む道を違えるうちに齟齬が生じて疎遠となった竹馬の友だが、人生の締めくくりと一念発起したならばしっかりと支えてくれた。やはり幸せな終わりが有り難く、ほっとした。

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    2023年08月31日
  • 潮騒はるか

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    『風かおる』の続編だったとは知らずに手に取ってしまった作品。

    時代小説にして身重の佐奈の逃避行に隠された真実を追う、ミステリーさながらのストーリー。

    菜摘とその弟である誠之助、また彼を慕う千沙を中心に様々な人物とのやりとりは、ハラハラドキドキさせられる展開です。

    順番は逆になってしまいますが『風かおる』も読んでみたい作品です。

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    2023年08月27日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    歴史小説の題材としてど真ん中の戦国時代を舞台としているが、キリシタンがキーワードの短編小説。
    合戦の描写はなく、それぞれの立場の心の動きや思いを描き、なんとも物悲しい余韻に包まれる。

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    2023年08月24日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    彦斎に対して、本文中で「肥後もっこす」という言い方がされていた。本人は、「そんな立派なものではない」と謙遜していたけれど、まさに、「肥後もっこす」だろう。信念を貫き通すところが良いな。

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    2023年08月06日
  • 緋の天空

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    天皇の娘以外、臣下の娘でありながら、初めて皇后となった光明子の話。
    元明、聖武の時代を光明子の視点から描いたもの。
    永井路子さんの美貌の女帝が元明天皇(氷高皇女)視点なので、そのちょうど反対側といったところ。

    この本の長屋王は野心が強すぎる印象だけど、それぞれの歴史の点と点の間が小説として繋がって面白く読めた。
    この時代は、蘇我の血を受け継ぐ娘達、持統天皇からの元正、元明と藤原一族との皇位をめぐる駆け引きの執念を描いた永井路子さんの本の方がしっくりくる。

    弓削清人、光明子が子供の頃からお互い知っていたという設定も面白い。

    聖武天皇と光明皇后はある意味では、長屋王の祟りに苦しめられてその半

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    2023年07月15日
  • 春雷

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    前作までと違い今作の主人公は最初どのような考えを持って生きているのかよく分からなかった。
    しかし最後になぜそうなったのかが分かり、その苛烈な生き様の目的を知ることが出来る。
    悪人とは何か、善人とはどういう人物なのか。

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    2023年07月05日
  • 蒼天見ゆ

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    うーん、自分が読んできた葉室麟のなかでは、今一つの感がある作品。幕末の秋月藩の執政臼井亘理は、小藩が生き残るために西洋式兵術の導入を進める。そして、大政奉還後の京において、大久保利蔵や公家らと渡り合って、秋月藩への圧力を跳ね返す。しかし、藩主の不興をかい、任を解かれ国許に帰されたところを、不満分子により寝込みを襲われ妻と共に惨殺される。ここまでは、葉室麟らしい展開なのだが、これ以降は、息子の六郎が敵討ちを決意し、政府の役人になっていた首謀者を付け狙う。その過程で山岡鉄舟や勝海舟、星亨などと知己を得るのだが、敵役も卑怯なやつで罠を仕掛けてきたりする。どうも作り話しめいていて、武士の時代の最後の敵

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    2023年06月30日