葉室麟のレビュー一覧
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その昔、神功皇后が征韓の船を出されたおりの先導神は月神であったという。夜明け前の月はあたかも日を先導しているように見える。つまるところ日神を先導するのが月神だ。月形家の者は夜明けとともに昇る陽を先導する月でなければならんと月形洗蔵は思った。そんなことから、本書の題名は月神だ。
暗殺では藩論をまとめることはできない、なにより、暗い手段をとれば、人心が尊王攘夷派から離れていくと、過激な尊攘派とは、違った立ち位置であった。いつの間にか尊攘派の潤には目的のためなら手段を選ばないという風潮が蔓延している。意見を異にする相手を殺して快哉を叫ぶようになっていた。洗蔵は尊攘派の熱狂の中で孤独を深めていた。
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武士とはなんだろう。志とはなんだろう。
胸に秘めた譲れないものを最期まで貫き主人公は壮絶な死を選ぶ。
読み終わった後、寂しさが吹き抜けていく。
人は皆、グレーだ。善と悪の融合物だと思う。
ただ視点を何処に置くかで生き方は変わる。
どんなに取り繕うことが上手だったとしても、全ては己の心が知っている。隼人が仕えた主君はお粗末だった。
その場所でなさねばならねことを全力で果たしたのが隼人という武士なのだろう。
仁もある、知もある、武もある。なのに何故か大きな運命に翻弄される。
それが憂いとなり、ダンディズムを感じる。そんな主人公を描くのが、葉室麟さんは得意だと思う。
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Posted by ブクログ
著者がが急逝したため、いくつかの未完の作品があり、本作もその一つ。
楠木正成が主人公であるが、安部龍太郎氏によれば、司馬遼太郎を師事する著者は、司馬の『竜馬がゆく』を意識して本書を著したらしい。
司馬が、幕末志士のなかの一人であった坂本竜龍馬を一大ヒーローに仕立てたように、戦前戦中の皇国史観で崇められたゆえに戦後はほぼ見向きもされなかった楠木正成に焦点を当てようとしたようだ。
もちろん、皇国史観としての楠木正成ではなく、史実と実証に基づき、その当時あちこちに跋扈していた「悪党」として。
題名の「星」は後醍醐天皇で、「龍」が楠木正成だとか。
足利尊氏の伸長や後醍醐天皇の策謀など風雲急を告げて、「