葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作年12月に亡くなった葉室麟さんの二冊目の随筆集(一冊目は「柚子は九年で」)。
西日本新聞に連載された随筆の数々からは、彼の作品執筆に対する裏側が読み取れていいし、「書物の樹海へ」と題した項目で取り上げられた数々の本に寄せた解説文も素晴らしい。
ただ、「日々雑感」としてまとめられた中にある「健康への出発」は、亡くなる5か月ほど前に書かれたものだけに切ない…。
それだけ自覚していたのなら、もっと早く実行に移していればいいのに、との思いを禁じえない。
※「書物の樹海へ」で取り上げられた作品…
早乙女貢「奇兵隊の叛乱」山本兼一「おれは清麿」「修羅走る関ヶ原」青山文平「伊賀の残光」安部龍太郎「レオン氏 -
Posted by ブクログ
戦国時代から江戸時代初期にかけての女性、特に「妻」の姿・生き方を描いた短編7作。
仙台藩から柳川藩に嫁いだ鍋姫の目を通して伊達騒動を扱った『牡丹咲くころ』が、特に印象深い。
伊達騒動については、従来悪役とされていた原田甲斐を主人公に、深謀遠慮で仙台藩を守った忠義の人とした山本周五郎の『樅の木は残った』が有名である。
葉室麟は、鍋姫と原田甲斐とのほのかな交情を描きながら、姫の婚姻も仙台藩を守るための、甲斐の画策によるものだとしている。
他の作も含めて、どこまでが史実で、どこからが著者の構想によるものかは、判別しがたいが、いずれにしても人の心の美しさ・真情を想起させてくれる物語となっている。