あらすじ
安見藩の女医である桑山伊都子は、藩主に叛旗を翻した佐野家一族の女たちを“生かす”よう命ぜられる。男たちはことごとく上意討ちとなっていた。どうやらお世継ぎ問題とも関わりがあるようだ。やがて女たちの屋敷に天狗の面を被った曲者が忍びこむが……。
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Posted by ブクログ
なんだか時代劇の映画を観ていたような読後感てす。白鷺屋敷に漂う不穏な空気の裏の真実が何か気になり一気に読みました。掴み所のない初さんの、真実の想いが書かれた最後の手紙に胸が熱くなりました。主人公(?)の女医の伊都子さんの存在感が最後の方、あまりなかったように感じるほど展開が劇的でした。
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武士の妻たちの生き様を女性医師の視点から綴る、葉室さんとしては珍しい本です。
女どおしの確執が描かれていますが、ややあっさりめ。
最後はとんだどんでん返しが。
少し切なくなりました。
Posted by ブクログ
初出 2015〜16年「一冊の本」
葉室麟には珍しいミステリー仕立て
町医者の娘で女医の伊都子は、大坂への遊学願いを認めるという条件で、女たちが監禁されている白鷺屋敷に住み込む。
女たちは、ひと月前に藩主と対立して上意討ちにあった佐野家の妻女たちと女中たちで、自害しないように見張り、身籠っている者がいれば報告せよと伊都子は命じられる。
女たちと暮らしているうち、外から来る男たちが次々に死んでゆき、伊都子は恐怖にかられていく。犯人が誰で、なぜ殺したのかと。
武士の意地を通して命を捨てていった男たちに対して、命を守り、命を繋いでゆくのが武家の女の戦いなのだと覚悟が語られるが、それでも自分の命を捨ててそれを守ろうとするのだった。
Posted by ブクログ
武家社会のなかで己の家だけを守ろうとする男たち
それを実現化するために才知を使い働く女たち
確かに女性の方が視野が広く懐が深い
武家のあり方として読み始めたが
食うか食われるか女の駆け引きはサスペンス要素もあり
面白く拝読した
Posted by ブクログ
上意討ちとなった一族の女性たちの住む、“白鷺屋敷”に送り込まれた、女医師・伊都子が主人公。
最初は女性同士の確執がメインかな。と思ったのですが、男性側の勝手な都合で、不自由を強いられている白鷺屋敷の女性たちを通して、武家の女性の悲しさ、そして強さが描かれている切ない話でした。
Posted by ブクログ
藩主に謀反を起こした武家、男たちは当然上意討ち、残された妻女たち。理由あって軟禁されている屋敷に、送り込まれた女医者の伊都子。女だけの屋敷、対立する女たち、徐々に明らかになる秘密、、、
閉鎖空間で起こるミステリアスな展開は、気になってぐいぐい読めた。これ実写化されたらお初は誰かなあ。田中みな実さんとかどうだろう。蒼井優さんとかも良いな(妄想)それにしても哀しい半生だ。せめて、きぬや伊都子にはほんとうの自分がすこし見せられただろうか。
にしても、まともな男がいなかったな。こういうのも珍しいな。こんな性根の男らに嫁して人生翻弄された時代の女性はほんと苦しかろうなあ。椎野ははなから胡散臭かったが清吾は一見ヒーロー登場かと思っちゃったぞ。伊都子が生き延びたからいいけども。ラストの伊都子母のお竹も少ない登場ながら賢母ぶりを見せて、ぜんたい女の対処力の強さが際立つストーリー。イッキ読み系を探している方にオススメ。
Posted by ブクログ
誰しもが自分の思い通りに、ありのままには生きられない。ただ、もがき続けるだけなのだ あの白鷺が初かもしれない。たとえ苦しみに満ちていたとしても、初はやはり自分らしく生きたのだ