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Posted by ブクログ
本書を読み終えて、時代小説の王道は、巧みな戦略家や諜報そして剣術の達人が多く戦となれば織田信長の時代から、刀剣、槍、鉄砲等が武器の主流となることが多い様に思う。そんな中で、葉室氏が弓術を通して主役となる女人の心を描くのは珍しく、造詣を深め心震える物語を読むことが出来たことは僕自身の心の糧となった。
本来の弓術は、魔を祓い、敵を退けるために射るものと書いており、よって殺傷能力は低い。
さて、扇野藩(架空の藩)当主有川将左衛門は日置流雪荷派の伝承者。子は、伊也と初音の娘二人男子はいない。将左衛門は、伊也に伝承すると決めた。何故なら、他の流派を稽古したものに伝えれば、作法に乱れが生じるというもの。
伊也は気性も男勝りで、弓の稽古の際は髪を若衆髷のように後ろで引き結び、男装をする念の入れようである。
そして世間では、伊也のことを「弓矢小町」と囁かれるほどである。
扇野藩ではー千射祈願と称して、千本を射通そうとする藩士は毎年多くいた。伊也もその中の一人である。候補者を選ぶため、百射の御前試合が行われるようになり、大和流名手の樋口清四郎と伊也との対決が注目されることとなるが、清四郎との間にあらぬ噂が立ってしまい窮地に立たされることとなったとこらから物語は始まるのです。長っ!
本書の読みどころは、何といっても、本番の千射祈願に臨むことが出来た弓士の心根ではなかろうか。
渾身の力を込めて、引き絞った弦を放して矢を射た。『わが想いは一筋の矢の如し、届けー』と叫び頽れ落ちた。
高潔な志が清々しい感動を呼んだ。
実におもしろい。
良いはなしでした
昔に言う女だてらにというのとはニュアンスが違うけれどもこんな感じの女性がいたら素晴らしいと思います。一途になれば周りの人をも惹きつけて魅了するものなんですね。
Posted by ブクログ
著者には、『散り椿』『はだれ雪』『青嵐の坂』等、扇野藩を舞台とした小説が何作かあり(それぞれに直接的な関連性はないが)、この小説もその一遍。
藩重臣の有川家の長女伊也が主人公。
弓を介し、藩随一の弓の名手樋口清四郎に思いを寄せるが、彼は妹の初音の婚約者となる。有川家に寄寓する謎の武士も介在し、恋愛小説の様相もある。
しかし、著者は扇野藩の派閥抗争も絡め、武の心の有り様を問う時代小説となっている。
「武の心とは、ひとを想い、相手のために危うい目にあおうとも悔いぬ心持ちをいう」と。
題名に絡めた和歌「石ばしる垂水の上のさわらびの萌えいづる春になりにけるかも」が、要所で謳いあげられる。和歌に合った小説を紡ぎ出すのか、小説に合った和歌を選び出すのか、どちらにしても著者の和歌に対する造詣の深さを改めて思う。
Posted by ブクログ
面白かった!
漫画ライクな純愛+勧善懲悪ストーリ
鉄板です。後半は熱くなります。こういうの弱いんです(笑)
ストーリとしては、
扇野藩重臣の有川家の長女の伊也は日置流の弓術の名手で、同じ藩の大和流の弓の名手の清四郎との純愛物語です。
伊也と清四郎は競い合ううちに、伊也は清四郎に惹かれていきます。しかし、清四郎には伊也の妹の初音と縁談が。
どうなるこの三角関係っていう感じ。
伊也と清四郎のあらぬ噂で清四郎は藩主から不興を買ってしまいます。
結果、伊也と清四郎が弓で立ち会うことに..
弓で撃ち合うってどういうこと?(笑)
一方で、有川家に居候としてきた左近と伊也の父親の将左衛門は藩政を立て直すために奮闘。
しかし、派閥抗争となり、巻き込まれれていく伊也。
藩主含めて、悪役がこれでもかと伊也と清四郎、左近、将左衛門に圧力をかけてきます。
さまざまな騒動が起きますが、最後、すべては伊也による千射祈願に託されます。一矢も外さず千射祈願が成し遂げられるのか?
介添えの清四郎と二人で挑む千射祈願。
その結果は?
といった展開です。
もちろん、勧善懲悪、予定調和の鉄板ストーリなのですが、千射祈願のシーンは、涙がこぼれます。
もののふとしての矜持、その志が漫画のようなストーリ展開でわかりやすく、心を揺さぶります。
ということで、とってもお勧め
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