【感想・ネタバレ】銀漢の賦のレビュー

あらすじ

二十年を経て、身分を遥かにへだてた男たちの友情は復活するのか? 江戸の寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部(くさかべ)源五と、名家老と謳われ、南画の名手としても幕閣にまで名声が届いている松浦将監(しょうげん)。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、ながく絶縁状態となっていた。ともに五十歳をこえて二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。松本清張賞受賞の傑作時代小説。

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Posted by ブクログ

初めての作家の作品
三人の友人の絡み合う生き方が爽やかに描かれている
二人は武家の出身一人は農民
三人はそれぞれの立場で
向き合うことになる
一人は出世した武士
一人は武術はたつが人の良い下級武士
一人は農民ながら勉学に励み一揆の首謀者として処刑される
その断を下したのは友だった出世した男
米を増産するために水路の工事を指示され不成功なら庄屋を桀にするとの話を聞いた下級武士はその工事に懸命に
努力する
武士らしくないと冷笑されながら
それを命じたのも出世した武士
そんなこんなで絶好していた二人が
再び相まみえることになり
藩の危機を救う

とても爽やかな作品
少年の頃に知り合った三人の
瑞々しい感性が文章に感じられて
こっちの頭も爽やかになる
銀漢が天の川のこととは
そして三人が見上げた天の川が
この作品に流れている
他の作品も読みたくなった

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

再読。もう10年近く前になります。その時の感激が私のニックネームの元になりました。当時はまだ葉室作品をあまり知りませんでしたが、改めて読むと詩歌も入ってて葉室さんらしいですね。今回の再読では、将監より源五が主人公に思えて感情移入してしまいました。素敵な漢です。「頭に霜を置き、年齢を重ねた銀漢」、、、痺れます。

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2023年08月08日

Posted by ブクログ

表題の「銀漢」という単語を知らず、それってなに?と思いながら読み始めたけれど、意味を知ると室生さんの粋なネーミングに感服! 厳しい身分の垣根がある江戸時代にありながら、幼き時の友との結びつきを根底に、各々が藩や民のためにと命をも賭して信念を突き通す様に心の琴線を激しく揺さぶられた。もちろん、この本も再読本に入れる。(o^^o)v

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2023年04月29日

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「作家読みしたい」と思う出会いとなった。予定調和でない、実際に生きている人々の人生をそのまま見ているかのような物語の展開に、引き込まれた。

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2022年09月22日

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大満足。とても良い話だった。心が洗われるというのは、こういう読書体験を言うのだろう。子供の頃からの親友が成長する過程で、それぞれの苦難に遭い、絶交状態になるが、最後は友情の力で乗り切ると言うサクセスストーリー。こんなに読後に満足感を覚えるのは久しぶり。時代小説を避けている人にも超オススメ。

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2022年04月14日

Posted by ブクログ

本当に良いお話でした。絶対、一度は出会ったほうが良い作品です。
読んでいる途中はハラハラしたり、涙がでたりと、すこし忙しい感情の変化もありましたが、読み終わった後は、なんともいえないすがすがしい気持ちでいっぱいになりました。
登場人物3人の身分の違いを超えた友情が時がたっても崩れず友情は友情のまま硬い結びつきだったことに感動しまくりでした。友というのはこういう関係をいうのだと思い知らされました。作品の時代背景もあるかもしれませんが、3人の友情とそれぞれの人生が絡み合い、それぞれが思い描く人生の中で生き抜いていく様が、映像として頭の中に現れ、心に響いてくる感じを受けました。この時代の男同士の友情に熱くなりました。
藤沢周平さんに似ていると感じる型もいるかと思いますが、読んで見ると、また違う読後を味わえます。

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2021年08月22日

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すっきりと終わって面白かった。藩の家老まで出世した幼なじみと一侍の年を経た男の友情をすっきりと爽やかに描いている。
現在→子供時代→現在→要所要所の重要なシーンと時系列が行ったり来たりするが、直前の気になる部分の説明となっており、とても読みやすい。
主人公二人に加え幼なじみの農民十蔵も加わって、人間関係に深みを与えている。また、悪役の行動もわかりやすく、最後はきちんと罰せられるのですっきりする。
何年経っても分かり合える男どうしの友情。いいなあと素直に思えた。
時代物の名手である葉室麟の小説。安心しておすすめできる良書だった。

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2020年05月31日

Posted by ブクログ

最初の方は時代がいったりきたりするし、読みにくかったけど、最後の方は結末が気になって一気読み!読後感爽快!私のためではなく公のために命を使う潔さ。男3人の友情に胸が熱くなる。

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2020年04月06日

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面白いっ!!

時代劇で武士が出てくる物語だと、忠義がテーマとなって
暗い話になったり、読後感がいまいちだったりと
あまりいい印象はないのだが、この本はとってもいい。

暗めの話題だが湿っぽくなく、難しい話もなく、
読みやすい文でドンドン読める。
話の展開もいい。

そしてラスト。思わずニヤリとしてしまう爽やかな終わり方は見事。
おすすめの本ですね。

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2020年02月25日

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江戸時代後期、徳川吉宗の時代。町道場で知り合った身分の異なる3人の若者は、「銀漢」と呼ばれる天の川の下で友情を誓い合う。なんとなく三国志の桃園の誓いを思い出すが、3人の生き様は劉備・関羽・張飛とは全く異なる。

時は流れ、3人は成人し、藩の不正問題に巻き込まれる。その後、1人は農民一揆の首謀者として死刑に処され、それをきっかけに藩の役人である2人は意見の対立から絶交。さらに年月が経ち、再び藩に不正問題が持ち上がる。

2人の死をかけて藩を救おうとする武士道が美しい。その決意を買い物でも行くかのように、あっさりと受け入れるのは、友と話し合えたからだろう。長い絶交時代があっても、幼い頃の友情はすぐにもとに戻るし、亡くなった友を笑いながら思い出せるのも友情があるから。

老いてからの友のありがたみを痛感し、清々しい読後感。

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2019年11月28日

Posted by ブクログ

評判どおり大当たりでした。
話の流れは、本当に漠とした記憶だけど、童門冬二の「小説・上杉鷹山」を思い起こしました。善政を引いていた家老が年老いるに連れ・・・という所だけかもしれませんが。
雰囲気的には藤沢周平の武家ものに似ている様に思います。少し枯れた文体で、登場人物の精神的な姿が美しく、凛としています。
三人の友情物語と言う見方もあります。通常その場合、三人の位置関係は知能派、武闘派、癒し系を採ることが多いのですが、この作品では癒し系の代わりに「好漢」を持ってきています。その辺りも、この物語の清冽な感じを高めているようにも思えます。
今後が楽しみです。どんどん文庫化してほしいですね。

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2016年07月31日

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武士の友情とはかくあるべし。
武士の友情が描かれているが、実際にはあまりこのような清々しいものはなかったのかもしれない。でもこんな武士がいればよかったなぁと思う。


玲瓏にして、清冽なる時代小説 見参!

寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。
幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。
二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。
第十四回松本清張賞受賞作。
解説・島内景二(国文学者・文芸評論家)

「葉室麟の時代小説は、現代日本の暗雲を吹き飛ばす一陣の涼風である。作者のメッセージを心の音で聞き取り、魂全体で感じ取った読者は、現代社会と現代文明に対する葉室麟の辛辣な批評精神が、熾烈に、しかも美しく燃えさかっていることに気づくだろう。ここから、新しい日本文学の領域が切り拓かれる。」(解説より)

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2025年09月30日

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源五は中村雅俊が良かった。

暮雲収め尽くして清寒溢れ
銀漢声無く玉盤を転ず
此の生、此の夜、長くは好からず
明月、明年、何れの処にて看ん

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

若き時代の男の友情、そして壮年期の境遇の変化な中で、変わらない軸がまた男の友情を結び付ける。
自分にはこんな友情があるのか、考えさせられた。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

身分は違えど子供の頃の友情を復活させ、民衆の生活を顧みない藩主と側近の野心を命を賭けて打ち砕く男たちの物語。
悪役の器が小さいのでイマイチ迫力に欠けるところがありましたが、最後の蕗さんの行動で温かい余韻を残して締めくくられました。
どなたかがレビューで書かれていましたが、解説が明文です。格調高く、かつ分かりやすく葉室作品の本質が表現されており、これまで読んだ文庫の解説の中でもトップクラスに素晴らしいものでした。

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2023年10月04日

Posted by ブクログ

山本周五郎の「土佐の国柱」という小説がものすごく心に残っているのです。名誉のために命をかけるのではなく、忠を成すためには自分がいかに不名誉なことになっても構わないという話。この本もそういう話かなと思って読んでいました。少し違いましたが、この男になら託すことができる、自分の命や大切なものを捨ててもいいという思い。そして、それを相手に知ってもらう必要すらないという。後で気づいたのですが、松本清張小説受賞作。納得の名作でしたが、最後の方は少しポップな感じになって、エンディングもクスッと明るい気持ちになりました。

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2022年06月04日

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解説に「文体が比類なきまでに清冽」とあったが、葉室麟の書く物語そのものが清冽だと思う。有名な「蜩の記」はさらに凄烈で救いがない感じがして、葉室麟を敬遠してかたが、他の方の書評に触発されて本書を手に取った。
月ヶ瀬藩という小藩に生まれた3人の幼少期の友情が環境や立場の変化と共に移ろいその残渣だけが残っているかにみえたが、再び心が通じ合っていく。
清冽なれど温かさが残る名作だった。銀漢という言葉と漢詩に込められたそれぞれの思いがやるせない。

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2022年02月28日

Posted by ブクログ

葉室麟さんの代表作の1つ。
立場や性格は違えど少年時代から友人だった3人の男達。
やがて成長しそれぞれの立場の中で交差するそれぞれの想いと生き様。
ページ数も多くなく読みやすいが内容はしっかりしていて楽しめた。

2021/5

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2021年06月15日

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如何にも時代劇らしい物語でした。全てがハッピーエンドですっきりしましたが、それでも友人の娘とできちゃうってどうなの?

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2021年02月13日

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ストーリー序盤にあるような幼少の頃からの身分差は今はないけれど、大人になってからの流れは現代に繋がるところ多々あり。
通信手段がない中、お互いの思いを信じてそれを最後まで貫くところは、胸を打たれる。
なにより文章全体の日本語が美しい。それから、女性が強いのも本作品の好きなところ。

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2020年03月09日

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拙者不覚にも通勤電車にて落涙す


樅の木.....原田甲斐を思い出す

信念の為には、清濁あわせ飲む。

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2019年11月11日

Posted by ブクログ

三人の男の友情を清冽に描いた良作です。

源五、将監、十蔵。それぞれ身分や立場も異なり、年を重ねるにつれて疎遠になってしまったり、結果的に友を死に追いやってしまう事になったりしつつも、根底に流れるお互いへの思いが清々しく爽やかな気持ちにさせてくれます。

銀漢とは天の川の事であると、本書に出てきます。そして主人公の源五は“頭に霜を置き、年齢を重ねた漢(おとこ)も銀漢なのかもしれない”という思いを抱くのですが、そういう解釈がなんとも素敵だな、と感じました。

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2019年03月13日

Posted by ブクログ

清々しい気持ちになれる物語。
第十四回松本清張受賞作。

身分の違う三人の友情の物語です。
月ヶ瀬半の郡方の日下部源五、名家老と謳われ幕閣まで名声が届いている松浦将監、数十年前に処刑された農民の十蔵。
この三人の幼少のころからの付き合い、思い、志が熱く感じられる物語でした。

そして、本書のタイトル「銀漢」は三人の男たちの友情のシンボルとして扱われています。
ちなみに「銀漢」は天の川のことで、本書の表表紙に3人と一緒に描かれていますが、本書の中では、さらに別なメッセージとしても語られています。

ストーリとしては、幼いころから仲良く、支えあっていた3人。
大人になると、十蔵は農民一揆を指導する立場に。
一方、その一揆を鎮圧し、その勢いで、父親の仇を追い落とした将監。その功績が認められ、藩の実権を握るようになりますが、十蔵は処刑されることに。
十蔵の犠牲の上で築き上げられた「名家老」の名声。
十蔵を踏み台にしたことから、源五は将監と絶縁状態になります。しかし、源五は余命1年と言われた将監に再び力を貸すことになります。
その余命を藩の安泰を実現するために使おうとする将監は脱藩して、江戸に向かう事へ。その脱藩に手を貸す源五。
将監は無事脱藩して、江戸にたどり着き、藩を救う事ができるのか?
藩からの刺客に対峙する源五の剣の技が光ります。
将監の藩を思う志を十蔵の友情と源五の友情が支えます。
脱藩を計画している時に源五が語った言葉
「十蔵は、お主の友だったのだ」
そして、脱藩時の刺客との戦いの中で、将監が語った言葉。
「夕斎は失脚した時、ただ一人だけだった。しかし、わしには友がいた」

三人の熱き友情の物語でした。
お勧め!

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2018年12月22日

Posted by ブクログ

心に染入る良い物語だった。
藤沢周平原作の時代劇映画をを見ている様な清々しさを感じた。
(藤沢周平さんの時代小説を読んでいないもので・・・)
三人の男たちの友情にまつわる物語。
名家老と呼ばれるまでの地位に上り詰めた小弥太こと松浦将監。
郡方の日下部源五、そして数十年前に処刑された農民の十蔵。
50才を過ぎ人生の終盤に差し掛かった彼らが、藩内で密かに進行している大きな事件に命を懸けて立ち向かう。
人物の描写が秀逸で登場人物たちのそれぞれぞれ想いが切ないくらいに伝わってくる。
幼少時代から語られるエピソードは詩情豊かで、人間というものの根本のところは幼少期に体験したことにより形作られると感じさせる。
ただ美しいだけでなく、時代小説と呼ばれるにふさわしく手に汗握る激しいチャンバラのシーンもある。
葉室さんは藤沢周平の正統な後継者と呼べるだろう。

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2017年12月20日

Posted by ブクログ

昨年NHKでドラマしていたらしい・・
今から見れないか。ドラマ映えするような魅力的な小説だった。小説は楽しく読めればそれでよい。

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2016年08月04日

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郡方である日下部源五と、名家老である松浦将監と、農民の十蔵の3人の友情の物語。

十蔵の死をきっかけに絶縁状態となる源五と将監。

身分は違えど再び人生が交差し、運命が激しく動きだす。将監の脱藩シーンからものの見事に一気読み。

男の友情は恋愛にも似てると思える作品。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

えらく渋く、小藩の武士として生きる男の友愛に恋慕に忠臣を質し、描いてくれる。若い純粋で熱き志も、その実現に向かううちに妨害あり挫折あり。事をなすには地位がいるし、悪役をも厭わぬ心持ちがいる。本懐を遂げるには綺麗ごとでは済まぬと己に言い聞かせているうち、昔日に忌み嫌っていた姿を自分の中に見る。かつても今もこの先も、永遠に繰り返されるであろうジレンマ。進む道を違えるうちに齟齬が生じて疎遠となった竹馬の友だが、人生の締めくくりと一念発起したならばしっかりと支えてくれた。やはり幸せな終わりが有り難く、ほっとした。

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2023年08月31日

Posted by ブクログ

時代小説。役職が違えた友の少年時代や、今の話を美しい風景と共に繰り広げられる。江戸時代特有の役職の違う身分がまた小説を盛り立てていた。
ぶっきらぼうな二人が最後に協力し合うのは感動した。

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2020年07月12日

Posted by ブクログ

終わり方がとても良かったです。
さわやかで、気持ちがほんわかするような想いでした。

歴史はちょっと苦手なので、敵や味方、その辺の複雑な人間関係が出てくると、ざっくり斜め読みしてしまいました。

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2017年08月26日

Posted by ブクログ

面白かったけど、時系列の演出はこれがベストだったのかなぁ。唐突に出て来る回想シーンに若干戸惑いながら読んだ。
吉四郎の切腹シーンには泣けた。

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2017年05月22日

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