あらすじ
博多の仏師・清三郎は木に仏性(ぶっしょう)を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎(とが)で小左衛門は磔(はりつけ)となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。
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Posted by ブクログ
仏師の清三郎が、京に修業に行っている間に、賊に地元の師匠が殺され、若い美しい妻おゆきも辱めを受けてしまう。
3年後京から戻り、その事件を知った清三郎だったが、妻は、行方不明であったが、その行方を追ったが、実は豪商の妾になっていた。
しかし、清三郎は妻との再出発をあきらめきれずにいる。しかし、この豪商小左衛門は、実は海身投げしたおゆきを助け、さらには庇護してくれていた。さらには、おゆきを襲った賊を皆殺しにしていた。その賊には、清三郎を嫌っていた兄弟子がいた。
小左衛門に、おゆきを預かってもらっていれば安心だと思っていたが、藩が抜け荷で小左衛門から受けていた恩恵があるにも関わらず、幕府から目をつけられたため、小左衛門一族に抜け荷の罪を着せる。
これにより、おゆきも島流しになってしまう。これを追いかけ、日辰なる僧侶や万四郎などの助けを受け島に渡るが、罪人達により再びおゆきや清三郎は、危険な目に遭うが困難に立ち向かい、おゆきとの生活をやり直すために奮闘する。しかし、、、、。
最初は、仏師の話だから興味が湧くかなと思ったけれど、次から次へ様々な展開があり、読み進みました。
女性はいつの時代も、身の危険が及びやすく大変だと感じさせられました。
Posted by ブクログ
博多の仏師の清三郎は、自らの仏像に限界を感じ、師やその娘でもある妻をおいて京に3年修行に出る。京でも得心の仏像を彫れないまま帰郷した清三郎が博多に帰ると、師匠宅は盗賊に襲われ、師は死亡、妻は辱めを受けて現在行方不明となっていた。
清三郎が妻を探しつつ仏師としての道を開眼する話だろうな、と想像し、事実そういう展開なのだが、想像していた感じではなかった。妻自体は早々に清三郎の前に姿を見せるが、妻の心は帰ってこず、妻にはいわれのない試練が次々に襲い掛かるという展開に至る。
清三郎自体は後半まで執着粘着っぽいヤツだし、妻は境遇上仕方ないとはいえネガティブ思考だし、葉室麟小説の主役格にしては清廉さに欠けるように思えてちょっと想像外。その分脇を固める人々に清々しさや強さしたたかさがあるのだが。
とんでもないネタバレになるので詳細は避けるが、最後の最後は俺は好きじゃない展開だった。タイトルにも絡む大事なことなのだが、そうなるにしても、そうじゃないだろうと。
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理想とする仏像を彫ろうと、京へ修業に行った仏師清三郎。
彼の留守に、賊に襲われ凌辱され行方不明となった妻を探し、離れてしまったと思える彼女の心を取り戻したいと旅に出る。
仏師としての求道小説であるとともに、妻のために命を賭ける恋愛小説とも言える。
和歌や漢詩に造詣の深い著者は、小説に巧みに取り入れ格調高い作品となっている。本作では、仏像や仏教知識を遺憾なく発揮し、作品の肝としている。
妻への思いとともに、清三郎が次々と彫る仏像についての話が淡々と進むのかと思いきや、捕縛された妻を取り戻さんと流刑島へ渡ったあたりから、一気に冒険活劇的となる。
島抜けを図る悪党どもとの手に汗握る攻防は、エンターテイメントの魅力躍如である。
Posted by ブクログ
面白かった。けど、ちょっと物足りない
仏性を見出そうとした仏師の物語。
ストーリとしては
師匠の娘おゆきを妻とした清三郎は、自ら修業のため、妻を博多に残し、京に上がります。
しかし、戻ってみると、師匠は賊に殺され、おゆきは辱められて行方不明に。
自らの3年を悔やむ清三郎
ここから、おゆきを取り戻す旅が始まります
おゆきは豪商の伊藤小左衛門の世話になっているとのこと。
すると小左衛門の屋敷のおかかえ仏師として、小左衛門のもとへ
ここで、小左衛門、息子の甚十郎の真の暖かさをしります。
しかし、おゆきは清三郎のもとには戻らず...
さらに小左衛門たちは抜け荷の咎で磔に、おゆきも姫島に流罪になってしまいます。
すると、今度は清三郎も姫島にわたります。
おゆきの心を清三郎はとりもどすことができるのか?
島抜けしようとする罪人たち
その罪人たちからおゆきを守ることができるのか?
といった展開です。
そして、最後の最後
一途なおゆきへの想い、命がけの想いが最後には叶うことになりますが..
この終わり方はちょっと納得いかない..
しかし、仏性を見出すにあたって、本書で語られる仏道が心打ちます。
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