あらすじ
諦めず、迷わず、信じた道を一筋に――
謎の刃傷事件を起こした浅野内匠頭。
彼が密かに残した”最期の言葉”とは。
言葉を聞いた勘解由の、秘めたる想いの行方は。
直木賞作家が描く、かつてない「忠臣蔵」!
元禄十四年(1701)十一月。
若くして扇野藩の馬廻り役・中川三郎兵衛の後家となった紗英【さえ】は、江戸からやってくる永井勘解由【ながいかげゆ】という人物の接待役兼監視役を命じられた。
勘解由は旗本であり、幕府の目付役だったが、将軍・徳川綱吉の怒りにふれて扇野藩にお預けの身になったという。
この年、江戸城内で、播州赤穂の大名・浅野内匠頭が、高家筆頭、吉良上野介を斬りつける刃傷事件が起きていた。浅野内匠頭は理由を問われぬまま即日切腹。だが勘解由は、老中に切腹の見合わせを進言し、また切腹の直前、襖越しにひそかに浅野内匠頭の"最後の言葉"を聞いたという。この行いが将軍、徳川綱吉の知るところとなり、機嫌を損じたのだった。
雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが――。
身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪士。
勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。
扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。
これまでにない視点から「忠臣蔵」の世界を描き、新たな感動を呼び起こす歴史時代長編!
≪熱き信念が胸を打つ、扇野藩シリーズ≫
※本書は、2015年12月に小社より刊行された単行本を上下に分冊の上、文庫化したものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かった
忠臣蔵サイドストーリ?
もののふの矜持とそれを支える女子の恋愛小説+生き様の物語
上巻では
江戸城内で、浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける刃傷事件が発生し、浅野内匠頭は即日切腹に。
永井勘解由は浅野の切腹の直前、最後の言葉を聞きます。
しかし、その行いが将軍綱吉の怒りに触れ、勘解由は扇野藩に流されます。
その勘解由を接待役兼監視役を命じられた後家の紗英。
次第に心を交わしていく紗英。
そして、勘解由のもとに訪れる大石内蔵助や旧赤穂藩士。
しかし、この関係は非常に危険
旧赤穂藩士が吉良を討った場合、それに勘解由が協力したとみなされ、監視役の扇野藩は処罰される可能性。
なので、刺客として由比道之助を送り込みます。
当然、吉良を討つのは我々読者は知っているわけで、そうなると
浅野の最後の言葉は何だったのか?
勘解由はどうなるのか?
紗英との関係は?
となって、下巻に続きます。
上巻で語られる旧赤穂藩士や大石内蔵助の動き
勘解由の矜持
そして、紗英の想いと覚悟
しびれます。
Posted by ブクログ
傍流的に忠臣蔵を扱った作品として、著者には『花や散るらん』があるが、本書は忠臣蔵そのものが題材となっている。
浅野内匠頭の切腹直前に最期の言葉を聞いたとされる永井勘解由が扇野藩に配流される。
その接待役に命じられたのが、紗英。
勘解由に赤穂浪士が訪ねてくることを監視する役目を負うが、浅野家旧家臣に賛同し命を捨ててもいいという彼の挙措や武士としての覚悟を見るうちに、いつしか心を寄せるようになる。
そういった意味で、紗英と勘解由との恋愛小説ともいえる。
が、やはり本筋は内匠頭の最期の言葉は何かというミステリー性を縦糸に、勘解由と赤穂浪士とを対照的に、武士として人としての生き方を問う歴史小説ではないか。
Posted by ブクログ
若くして亡くなられた葉室麟先生の作品
氏の創作された架空の扇野藩を舞台に忠臣蔵の
外伝が抒情的にも淡々と描かれている
この作品で武士の有り方や夫婦(恋愛)の生き
方の模範となるやり取りが見られる
※個人的に喧嘩両成敗の原則とか万葉集の素養
を持つ武士とかが違和感があった(´・ω・`)