【感想・ネタバレ】孤篷のひとのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年04月18日

小堀遠州について、知りたいと思って読んだ。
桂離宮の造園を設計したと言われているので、どんなひとなんだろうかと。
時代は、秀吉から徳川家康にうつり、江戸時代の初期の頃。
小堀遠州は、秀長の小姓として仕えるときから始まる。
秀長が、千利休と話している時に、
小姓の遠州は、その会話の中に入ってしまう。
...続きを読む弟子の山上宗二が 太閤の怒りを買うことで、処遇をどうするか
という話で、千利休は平然と「捨て殺し」と言い茶の道のためですという。
遠州は、その厳しさを、しっかりと刻み込むのだった。
遠州は、古田織部に師事することになり、伏見奉行になる。
千利休、古田織部は、太閤に切腹を命じられる。
茶の道を全うするために、死の覚悟を持って立ち向かう。
遠州は、「利休様は、客のためだけにお茶を点てられたのではない。
世間を相手に点てられた。この世が醜い争いの絶え果てた浄土
になるようにとの祈り子こめられていた。」という。

小堀遠州は、茶の心を大切にするが、千利休や織部とは違って、
ヒューマニズム的なところがある。
遠州は「力強きものに屈する生き方はしたくない」と織部にいう。
織部は、遠州に「茶碗を割って金でつげば新たな風合いが見えるが、所詮よくないものは、割ってもどうにもならぬようだ」という。非常にきつい表現である。
遠州は、伊達政宗にも 「退屈な茶」と言われ、
千利休や織部と違って、「業の深さ」がないと言われる。
遠州は、徳川和子に「われも生き、かれも生き、ともに命をいつくしみ、生きようとする心が、茶の心」という。ともに生きることの大切さを語る。
遠州は、織部の娘 ことに対しても、「ひとがこの世にて何をすべきかと問われれば、まず、生きることだ」と強く訴えた。
全く、ストレートで、外連味がない。戦国から徳川の争いのない平和な時代の中で、
まっすぐに答えながら、お茶をたてている。そして、お茶の心を大切にする。
一つ一つのエピソードが、何と無く聞いたことがあるのだが、奥行きのある話に構成されている。

藤堂高虎が、実に豪快な男で、憎まれ役で立ち回ることができる。
御水尾天皇に対しても、平気で脅しをかけ、自ら切腹するという。豪傑だ。
遠州は、徳川の命を受けて、作業をするのだが、
智仁親王から、桂離宮の造園を頼まれるが、遅々として進まず。
これは表立って、できない。庭師 賢庭は、遠州の仕事を手伝うが、
あくまでも、豊臣の恩義があるところがある。そのため、智仁親王の言われることに
対応しようとする。中沼左京、佐助を賢庭の要望に対して、手伝わせる。
時代の微妙なバランスと人の心を組み上げて対応する。
桂離宮が作られる時の時代的背景の中で、作り上げていく。
面白い物語に作り上げられている。

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Posted by ブクログ 2020年01月28日

茶人であり武人であった小堀遠州を取り巻く人々と関わりを描いた短編集。
淡々と語られる内容に、気持ちが落ち着きます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年09月13日

作事奉行としての造園家・小堀遠州は知っていたが、利休~織部と続く茶道を受け継ぎ、「天下一」の茶人として名を成したというのは、恥ずかしながら知らなかった。
主人公が晩年に、茶席で過去を振り返りながら、何らかの影響や強烈な印象を受けた人物を語る形で描かれる。

それぞれの人物を語る各章の小見出しは、「茶...続きを読む道具」で名付けられている。
(例)「肩衝」では、肩を張った茶入れの壺「肩衝」に、石田三成の孤独な姿を重ね合わせている等。

各章毎に語られた人物とは、千利休、古田織部、沢庵、石田三成、徳川家康、伊達政宗、後水尾天皇、本阿弥光悦、金地院崇伝・・・
ただそれらの人々は戦乱の世を生き抜き、個性の強い人物ばかりで「天下を狙う茶」であったが、遠州の茶は太平の世を「生き延びる茶」を求めて行く。

(追記)驚いたのは小堀遠州の岳父である藤堂高虎。
戦国の世にあって、浅井長政、羽柴秀長、豊臣秀吉、徳川家康など8度も主君を変えていることから、歴史上風見鶏のような批判が多いが、文中で「おれは使えた主君には尽くし切り、一度も裏切ったことはない」という言葉が強烈であった。高虎は使えた主人が死んでやむなく、次の主人へと移ったのが事実である。
そうでなければ、晩年の家康が高虎に対して絶大な信頼を置く訳がない。

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