【感想・ネタバレ】孤篷のひとのレビュー

あらすじ

千利休、古田織部、徳川家康、伊達政宗――。当代一の傑物たちと渡り合い、天下泰平の茶を目指した茶人・小堀遠州の静かなる情熱、そして到達した"ひとの生きる道"とは。あたたかな感動を呼ぶ歴史小説!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

作事奉行としての造園家・小堀遠州は知っていたが、利休~織部と続く茶道を受け継ぎ、「天下一」の茶人として名を成したというのは、恥ずかしながら知らなかった。
主人公が晩年に、茶席で過去を振り返りながら、何らかの影響や強烈な印象を受けた人物を語る形で描かれる。

それぞれの人物を語る各章の小見出しは、「茶道具」で名付けられている。
(例)「肩衝」では、肩を張った茶入れの壺「肩衝」に、石田三成の孤独な姿を重ね合わせている等。

各章毎に語られた人物とは、千利休、古田織部、沢庵、石田三成、徳川家康、伊達政宗、後水尾天皇、本阿弥光悦、金地院崇伝・・・
ただそれらの人々は戦乱の世を生き抜き、個性の強い人物ばかりで「天下を狙う茶」であったが、遠州の茶は太平の世を「生き延びる茶」を求めて行く。

(追記)驚いたのは小堀遠州の岳父である藤堂高虎。
戦国の世にあって、浅井長政、羽柴秀長、豊臣秀吉、徳川家康など8度も主君を変えていることから、歴史上風見鶏のような批判が多いが、文中で「おれは使えた主君には尽くし切り、一度も裏切ったことはない」という言葉が強烈であった。高虎は使えた主人が死んでやむなく、次の主人へと移ったのが事実である。
そうでなければ、晩年の家康が高虎に対して絶大な信頼を置く訳がない。

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2019年09月13日

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