【感想・ネタバレ】天翔けるのレビュー

あらすじ

幕末、福井藩は激動の時代のなか藩の舵取りを定めきれず大きく揺れていた。決断を迫られた藩主・松平春嶽の前に現れたのは坂本龍馬を名乗る一人の若者。明治維新の影の英雄、雄飛の物語がいまはじまる。

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Posted by ブクログ

今まで読んできた本と違った視点から幕末をとらえられていてどんどん吸い込まれるように読んでしまった
松平春嶽って名前だけは知っていたがよくよく国を思っていた方とあらためて知りました。勉強になりました

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2025年03月25日

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これまでに幕末から明治維新のあたりを描いた小説を何作か読んでいましたが、本作ではまた違った面から見えるものがあり、とても面白く興味深く読み進めました。
物語の主人公によって、同じ時代のお話でも印象が変わってくるものです。
時代の流れやいろいろな登場人物に振り回されたり、かき回されたり、、、春嶽さん、どうするんだろうとドキドキハラハラする場面もたくさんありました。
西郷さんの方も読んでみたくなりました。

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2022年02月09日

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松平春嶽が主人公。
幕末の登場人物が沢山出てきて
わくわくする。

ちょうど今の大河とリンクする。

葉室麟さんらしい
丁寧なものがたり。

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2021年05月13日

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幕末から維新という、明治維新の隠れた英雄・松平春嶽の生涯を描く感動の歴史長篇。旧幕府にあって政権を担当し、新政府にあっても中枢の要職に就いたのは春嶽だけである。

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2021年03月19日

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『天翔ける』の主要視点人物は松平春嶽(まつだいらしゅんがく)である。
「松平春嶽」?御本人は徳川御三卿の一つである田安家で生まれ育ったが、御一門と呼ばれた親藩の一つであった福井城を本拠地とする越前松平家に養子に入り、11歳で当主の座を受け継いでいる。越前松平家の当主としては、12代将軍徳川家慶の偏諱を賜って松平慶永と名乗った。が、<安政の大獄>で隠居ということになる等した経過から春嶽の号を名乗った時期が長く、その「松平春嶽」という名で知られている。幕末期に識見や人物に関して評価が高く声望が在った大名達が「賢侯」と呼ばれたが、松平春嶽はその「賢侯」に数えられる人物だ。
本作の冒頭は1863年のある日、福井を訪ねて来て「勝海舟の使い」と称した人物と松平春嶽とが初めて対面して話したというような場面から起こる。やがて、松平春嶽の辿った人生、<安政の大獄>やその他の様々な経過、更に明治維新への道程と、その中での活動や果たした役目というような物語が展開する。
島津斉彬が西郷吉之助を見出したのに対し、松平春嶽は橋本佐内を見出している。各々の主君の意を受けて活動した西郷吉之助と橋本佐内とは、より好い国を目指そうという同志であったが、互いに深い友情を共有していた。そして橋本佐内は刑死してしまい、西郷吉之助は奄美大島で暮らすというようなことの後に様々な経過を辿って行く。
島津斉彬と松平春嶽とは互いを認め合う、高く評価しているという間柄でもあった。島津斉彬は志半ばで急逝してしまう。松平春嶽は生き残った。揺れる時代を見詰め続け、様々な構想を抱きながら活動を続けた松平春嶽は何を思い、何を目指したのか?それが本作の物語であろう。更に、明治維新の経過の末に彼が何を観たのかという物語でもある。
作中で松平春嶽が目指したこととは?恐らく「私」を排して「公」を創るというようなことだったのかもしれない。そういう理想を追う様を「天翔ける」とする訳だ。
松平春嶽は幕末期を背景とする時代モノの作中人物として色々と登場はしていると思う。が、主人公に据えられている作品はやや珍しいかもしれない。が、「私」を排して「公」を創るというような、松平春嶽の思索と活動が追体験出来るような本作は、なかなかに好い…
「明治維新とは如何いうモノ?」という大きな問いに少しでも関心が在るなら、本作は有益であることは間違いないと思う。広く御薦めしたい。

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2021年03月05日

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幕末の四賢侯として大政奉還あたりまではたびたび名前を見るのに、なぜかそのあと存在感がなくなる松平春嶽の話。この人がしっかり語られる小説は初めて。
葉室さんの慶喜に対する評価が厳しいのが面白い。西郷については別著でなんとなくの評価は分かっていたので、ほぼその流れ。
橋本左内、横井小楠といった優秀な側近とともに、非現実的な尊皇攘夷に立ち向かっていったリアリストであり、日本国の未来を真剣に考えていた人であったと分かる。このあたりの話はほかの人の著作でも読みたいな。

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2023年10月01日

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尊王攘夷を唱えながら、倒幕すると、いち早く欧米列強に近づく新政府の矛盾。
今の世にいるのは、主君への忠義心を忘れ、その後ろめたさを隠すために、ことさらに尊王を唱える化け物ばかりだという春嶽の言葉。
一時は新政府の中枢にいながら、士族らと西南の役を起こし、降伏することなく命果てた西郷の生き方。
中庸な春嶽の目を通す形で、対比して示してくれた作者の視点に、歴史の流れを見る鋭さを感じた。

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2021年11月04日

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「四賢候」の一人として、幕末小説などにたびたび登場するが、主役としては取り上げられてはいない松平春嶽が主人公。
幕末にあって、最も偏りのない人物として評価する著者が、彼を中心に動乱の時代を描いた歴史長編。
『大獄 西郷青嵐賦』が、倒幕側から書かれたのに対し、本作は幕府側から描いた幕末史といえよう。
攘夷鎖国で揺れる時代。橋本佐内と横井小楠を重用し、「大政奉還」を持論に、日本の国の行く末の舵取りを図ろうと懸命に模索する春嶽。
大老に推されながらも固辞する彼を、側近は、人物識見とも大老にふさわしいが、野心と我執が足りないと。
春嶽は、将軍継嗣問題で慶喜を推したが、彼に「小才子」の資質を見抜いており、その変質漢振りに翻弄される。
春嶽と慶喜との違いを、坂本龍馬は論断する。
「春嶽候は雄藩連合での<公>の政事をめざしちょる」に、「一橋候が行おうとしちょるのは、徳川家のためだけの<私>の政事だ」と。
この慶喜が、龍馬暗殺の黒幕!?
春嶽と龍馬により大政奉還を余儀なくされたと思い込む慶喜が、若年寄の永井玄蕃頭に「坂本なる浪人は邪魔だな」と、つぶやく場面がある。
その意を忖度して龍馬を殺せ、とほのめかしているとの著述。
龍馬暗殺の黒幕を巡っては、その直後から様々な説が入り乱れているが、著者が示唆するこの解釈は如何。
維新後、役職を退いた春嶽と妻の勇姫が、「西南の役」を起こした西郷について交わす場面がある。春嶽を通じて著者の思いを語って印象深い。

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2021年06月20日

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物語はペリー来航の10年後より始まり、途中から主役である松平春嶽の半生を描き出す。

淡々とした抑揚のない文章に心惹かれる部分もある。歴史証言を山積した文脈!!!

松平春嶽は劉備でいう伏龍と鳳雛に、横井小楠と橋本左内を挙げる。横井と橋本の描き方が葉室麟さんらしく、とても丁寧に描かれている。

解説にもあったがこの『天翔ける』の初版発行日の3日前に葉室麟さんは亡くなられている。なんとも感慨深い作品である。

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2023年02月23日

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幕末から明治の時代を生きた、松平春嶽の生き様が語られた物語。
福井藩の松平春嶽という人物は、本書で初めて知りました。

本書を通して感じられる春嶽は中庸の人物。
さまざまな困難がありながらも、国益のため尽力を尽くす人物。
とは言いながらも、「俺が俺が」というタイプの人ではなく、様々な人の意見を聞き、参謀を育て、あるべき姿を求めるリーダ像を感じさせる人物でした。

その対比となるのが慶喜。
「私」を捨てられず、坂本龍馬暗殺の黒幕のような描かれ方でした。それはそれで面白い。

そして、明治維新後に西南戦争で戦死した西郷。その志と生き様も熱いです。

そんなこんなで、幕末、明治維新を生きた男たちの物語でした。

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2023年02月18日

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