葉室麟のレビュー一覧

  • さわらびの譜

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    著者には、『散り椿』『はだれ雪』『青嵐の坂』等、扇野藩を舞台とした小説が何作かあり(それぞれに直接的な関連性はないが)、この小説もその一遍。
    藩重臣の有川家の長女伊也が主人公。
    弓を介し、藩随一の弓の名手樋口清四郎に思いを寄せるが、彼は妹の初音の婚約者となる。有川家に寄寓する謎の武士も介在し、恋愛小説の様相もある。
    しかし、著者は扇野藩の派閥抗争も絡め、武の心の有り様を問う時代小説となっている。
    「武の心とは、ひとを想い、相手のために危うい目にあおうとも悔いぬ心持ちをいう」と。
    題名に絡めた和歌「石ばしる垂水の上のさわらびの萌えいづる春になりにけるかも」が、要所で謳いあげられる。和歌に合った小

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    2022年01月02日
  • 風渡る

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    一般的に知れ渡っている歴史上のストーリーに対し、武人であることとは別にキリシタンとしての官兵衛の野望、竹中半兵衛との画策を歴史の裏として加えたことなど、この作品のオリジナリティが強く感じられ、司馬遼太郎の播磨灘物語などとも比較しながら興味深く読めた。

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    2021年12月27日
  • 影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録

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    幕末:沢山の若者が命をかけて思想を貫いていった時代、新撰組への見方も変わった。登場人物に中村半次郎が出て来たのには驚いた。時代も変わった最後のシ―ンで泰之進が萩野と松之助と出合って交わす言葉がとても切なく感じた。

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    2021年12月16日
  • 花や散るらん

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    忠臣蔵を表舞台にした構成の物語、雨宮蔵人と咲弥と娘の香也の親子の情景が浮かぶようだった。宿敵である神尾与左衛門も憎めない人柄だった。スピード感も読み応えも十分だったがどこまでが史実でどこがフィクションか分からくなった。12月14日が討ち入りの日、この時期に読んで良かった。

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    2021年12月02日
  • 風花帖

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    小倉藩で享和から文化年間にかけて実際に起こった「白黒騒動」を題材にした時代小説。
    であるとともに、感動の恋愛小説ともいえる。
    かつて、彼女の危機を救った時、「わたしが吉乃様をお守りいたしますから、このことは生涯かけて変わりませんぞ」と、印南新六は誓う。
    吉乃は、いまでは他人の妻となっているが、その言葉通り、新六は命をかけて彼女を守り通す。その行動について彼は「ひととしての思いでござる」と言い切る。
    現代小説なら噴飯物に思えるこれらの言動も、時代小説の世界を借りると、登場人物の凜とした佇まいに清冽さが胸に迫る。
    新六の最期の場面を小説の冒頭に据えた手法は?
    彼の一貫性を強調する意味合いであろうか

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    2021年11月22日
  • 山月庵茶会記

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    面白かった
    時代小説ながらもミステリー
    この中に犯人がいる!のようなクライマックスがまさにベタなミステリ展開ですが、それに加えて、チャンバラあり、夫婦の想いありと極上なエンターテイメントとなっています。

    ストーリとしては、
    政争に敗れた柏木靫負(ゆきえ)は、高名な茶人となり、16年ぶりに国に戻ってきます。
    その理由は、妻の藤尾の死の真相を知るため。
    山裾の庵で「山月庵」として茶室を設え、客を招きます。そこで、当時の関係者から、様々な話を聞き、死の真相、さらには、当時起きていたことを明らかにしていきます。
    当時、藤尾に不義密通の噂の真相は?
    それを問い詰めたときに、何も釈明しなかった理由は?

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    2021年11月13日
  • 風のかたみ

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    面白かった
    時代小説ながらもミステリー
    最後に明かされる真実と本当の想いに切なさがこみ上げます。

    ストーリとしては、
    上意討ちにあった筆頭の佐野了禅。男たちはそこで果てるも、女たちは白鷺屋敷に逃れ、暮らすことに。
    そこには了禅の妻のきぬを筆頭に、長男の妻の芳江と娘の結、次男の妻の初、女中の春、その、ゆりの7人が暮らしています。
    そこに目付方の密命をもって送り込まれた女医師の伊都子。
    そんな中、この屋敷で、相次ぐ不審な死。
    誰が犯人なのか?
    疑われるある人物。しかし、その女は本当に犯人なのか?
    といった展開です。

    この時代の中の女としての生き様が心打ちます。

    そして、明らかになる真相
    そこ

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    2021年11月13日
  • 天翔ける

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    尊王攘夷を唱えながら、倒幕すると、いち早く欧米列強に近づく新政府の矛盾。
    今の世にいるのは、主君への忠義心を忘れ、その後ろめたさを隠すために、ことさらに尊王を唱える化け物ばかりだという春嶽の言葉。
    一時は新政府の中枢にいながら、士族らと西南の役を起こし、降伏することなく命果てた西郷の生き方。
    中庸な春嶽の目を通す形で、対比して示してくれた作者の視点に、歴史の流れを見る鋭さを感じた。

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    2021年11月04日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    武士としての生き方とそれを支える女性たちの強さに加え、茶道や和歌の精神を織り交ぜた充実した作品でした。決して有名ではない人達を主人公にして、時代小説の定番である江戸の下町人情や捕物帳とは一線を画した葉室氏の作品はどれを読んでも心に響きます。
    黒田藩に関する小説は始めてでしたが、葉室氏は他にも書いているようなのでそちらも読んでみよう。

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    2021年10月19日
  • 蝶のゆくへ

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    自分らしい生き方を求める。激動の明治を駆け抜けた女性たちの夢と挫折、喜びと苦悩を描いた感動の歴史長篇。葉室麟が遺した今を生きる我々へのラストメッセージ!

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    2021年10月05日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    テンポよく史実に基づいて話が進むので、とても読みやすく頭に入りました。しかし、考えていることは現代とさほど変わらないのに、やることは人斬りというのが付いていけません。現代でよかった

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    2021年09月26日
  • 青嵐の坂

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    凶作が続き破綻寸前となっている藩の藩政改革を巡る時代小説。架空の扇野藩を舞台にしたシリーズ4冊目。
    藩の立て直しを命じられた中老檜弥八郎は、あらぬ疑いを賭けられて切腹してしまう。
    その娘那美は、親戚の矢吹主馬のもとへ。主馬は、弥八郎から託された使命を果たそうとする。
    彼の前に、自分こそが父の存念を果たすのだと、弥八郎の息子慶之助が立ちはだかる。
    弥八郎が死の直前に思い浮かべた後継者「あの者」とは誰なのか、という謎とともに、藩政改革はどうなるのか、さらに御用商人も加わり、予断を許さぬ展開となる。
    本書でも、著者の理想を託した「武家は利では動かぬ。義で動くものだ」という主人公の活躍に、時代小説の醍

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    2021年09月24日
  • 冬姫

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    織田信長の次女冬姫様の物語を読みました。蒲生氏郷公に嫁がれたんですね。

    この本は戦国時代の有名人物のエピソードを「これでもか」って言う位盛り込んでくれています。主役がちょっと霞んでしまうほど...

    でも、それだけ個性的な人物がいっぱいいた時代ってことですよね!

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    2021年09月07日
  • 潮鳴り

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    前作同様、藤沢周平の再来かと思わせるようなストーリー展開、雰囲気で楽しめる。最後は何か、清々しい気持ちになった。

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    2021年08月21日
  • 山桜記

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    ネタバレ

    夫婦となると、もともと他人ゆえ心が通わねば共に暮らすのは無理でございましょう。いずれかが力を失うたからと見捨てるのは夫婦とは申しません。ひたすら心の結びつきに頼って世の荒波を渡ればならないのですから、夫婦ほど強いつながりは無いのです

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    2021年08月16日
  • 散り椿

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    扇野藩に、昔、一刀流道場の四天王と謳われた男達がいた。

    瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え、藩を追われ、愛妻・篠と二人で、故郷を後にした。

    榊原采女は、側用人で、「いずれ家老にまで昇り詰めるのは、間違いがない 」とみられている。
    父、平蔵は、不正が見つかり、何者かに、惨殺されていた。

    坂下源之進は、使途不明金を糾問され、無実を訴えながら、自害。
    息子の藤吾は、減石されたお家を元に戻す為、出世だけを目指し、日夜、励んでいる。

    篠原三右衛門は、馬廻役で、娘の美鈴と、新兵衛の甥藤吾とは、許嫁の間柄。

    瓜生新兵衛は、妻を亡くし、18年後に、ぶらりと、故郷に戻ってきた。
    妻が、死際に、「故郷の椿を

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    2021年08月15日
  • 秋月記

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    いつの時代にも、どんな事象にも、どんな政策にも裏と面がある。
    とかく若さは明るみに出ている正義の面だけを見て動きがちなのだけれど、老獪な大人に操られている危険がある事に気が付きにくい。

    学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)。

    むずかしい。

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    2021年08月08日
  • 草笛物語

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    蜩ノ記の続編
    蜩ノ記の16年後を描く羽根藩の物語

    戸田秋谷の息子順右衛門は藩の要職についています。
    そこに、新藩主となった吉通、しかし、それを良しとしない御一門衆の三浦左近達は、お家騒動の陰謀を目論みます。
    吉通の幼馴染である主人公の颯太と、その陰謀に立ち向かっていきます。
    しかし、颯太って頼りない(笑)
    いつもの勧善懲悪なストーリ展開なわけですが、そこに至るまでのそれぞれの想いが凛として清々しい

    登場人物の中で一之進が印象的!
    敵方とおもいきや、最後の最後でよい味出しました。

    戸田秋谷が残したもの
    薫の言葉
    「父が自らの死によってひとびとの過ちや罪業を背負ったのは、ひとを生かす道だった

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    2021年07月23日
  • あおなり道場始末

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    面白かった
    重厚骨太の物語ではなく、漫画ライクなエンターテイメントストーリ(笑)!
    しかし、その奥底には、家族の絆が描かれています。

    父親の死によって、青鳴道場をついだ長男の権平は昼行燈。その性格から、門人は一人もいなくなり、結果、明日食べる米もなくなってしまいます。
    妹の千草や弟の勘六の尻に敷かれる生活の中、お金を得るために始めたのが、道場破り。

    父親の不審死の真相を明らかにして、仇討ちを果たすため、道場破りを続けていくことで、徐々に明らかになる真相。
    といった展開です。
    チャンバラ、勧善懲悪と鉄板ストーリに加え、家族の絆のメッセージが伝わってきます。

    スッキリしたストーリ展開で、ライ

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    2021年07月03日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    面白かった!
    第二十回司馬遼太郎賞受賞作品
    途中、ぐっと来ました

    三大お家騒動と呼ばれる黒田騒動をベースとした物語。
    主君である藩主を謀反の疑いありとして幕府に訴えた栗山大膳。幕府の大名家取り潰しの標的となっていることを知りながらも、主君を訴えます。
    その目的は?
    細田家や将軍家光の目論見が錯綜する中、藩主に疎まれながらも、藩の行く末を思い、鬼となり幕府と戦っていきます。

    そして、その大膳を支える卓馬と舞、権之助

    ぐっと来たシーンは翌日を出陣の日として、決起・別れの場面。
    卓馬と舞の想い、大膳とは二度と会えない可能性のある別れ。
    大膳の戦いの結末は?

    「もののふ」としての矜持を感じられ

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    2021年07月03日