葉室麟のレビュー一覧

  • 花や散るらん

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    ネタバレ

    解説島内景二
    葉室に言わせれば、歴史には勝者も敗者もない。善人も悪人もいない。自分らしく切ることができたか、どうか、自分の心に恥じない死に方ができたか、それが問題なのだ。
    人間の心に抱かれた思想も、心に咲いた美しい花も、どちらもが永遠であり、時代を超えて、葉群の影に凛として咲き続ける。それが、葉室麟の信念である。

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    2024年06月02日
  • 不疑 葉室麟短編傑作選

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    著者が早逝して早や7年。
    しかし、いまだに初書籍化作品が読めるというのは、読者冥利に尽きる。
    しかも、短編傑作選という本書は登場人物がバラエティに富んでいて、時代小説の楽しみが味わえる。
    『鬼火』は、新撰組の沖田総司。
    『鬼の影』は、忠臣蔵の大石内蔵助。
    『ダミアン長政』は、黒田如水の息子黒田長政。
    『魔王の星』は、織田信長。
    『女人入眼』は、北条政子。
    表題作の『不疑』は、なんと前漢中国の雋不疑。
    時代も古代中国から戦国時代そして幕末へと、歴史を駆け巡るかのよう。
    著者の未書籍化作品は、まだあるのだろうか。

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    2024年05月14日
  • 潮鳴り

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    自らの性格や生き方で地に落ちた男が、弟の生き様に触れて再生をする男の物語である。勧善懲悪をベースに進むストーリーは、喜怒哀楽を散りばめられ読み応えのある作品である。

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    2024年05月13日
  • 不疑 葉室麟短編傑作選

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    短編それぞれが 力強い作品。ラストの不疑は中国の漢の時代の話。葉室さんが亡くなった後に見つかった話だそう、、、

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    2024年04月27日
  • 秋月記

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    いかにも葉室作品らしい、真っ直ぐな武士を描いた物語。義に殉じるようないわゆる武士道ではなく民衆の幸せを第一に考えて愚直に生きる主人ですが、これに立ちはだかる悪役の権力者達も決して一筋縄ではいかない面を併せ持つ。時代小説にありがちな勧善懲悪ではなく、正しく生きることの難しさを絶妙なバランスで表現されているところにいつも惹かれます。
    石橋建設に関わるエピソードはどうやら史実らしく、福岡県の朝倉に今でも残っているみたいなので、一度見に行きたいな。

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    2024年04月13日
  • 無双の花

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    関ヶ原の戦い後の立花宗茂の生き様を描いている。
    滝口康彦の乱離の風は、若き日の立花宗茂を描いているが、その続編とも言うべきものとも考えられる。
    立花宗茂が何故、柳川藩主に戻って来れたのか?小説に描かれた立花宗茂の真っ直ぐな生き様がそうさせたのか?、わからないが小説としては美化した立花宗茂の生き方は素晴らしい。また、徳川家康も徳川秀忠もいい人物として描かれている。

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    2024年04月04日
  • 嵯峨野花譜

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    ネタバレ

    「清げな」本だった。胤舜に訪れる試練は都合よく上手い具合に行き過ぎだと思われる時もあるけれど、それすら人のいのちであり、人生なのではないかと思わされる素敵な本でした。解説で初めて葉室さんが亡くなっていることを知ったんだけど、その事を知ったのがこの本であることがとても不思議だった。

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    2024年03月30日
  • 不疑 葉室麟短編傑作選

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    葉室麟の未発表作品「不疑」を含む、短編集。全六作品だが、「不疑」が一番良かった。と思うと共に、ここからの作品が読めなかったことを本当に残念に思う。

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    2024年03月30日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    刀伊の入寇。日本への侵略危機といえば元寇が有名ですが、平安中期にも女真属が九州に攻めてくるという日本の有事がありました。
    実際300人以上殺され、1000人以上拉致されるという悲惨な事件。それを追討したのが藤原道長の甥の藤原隆家。この小説は藤原隆家の生涯を書いた本なのですが、刀伊の入寇以外にも、花山天皇や藤原道長との確執の状況も描かれており、平安中期の世界観にどっぷり浸かれました。歴史的に藤原隆家はもっと英雄扱いされても良いと思うんだけどなぁ。

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    2024年03月27日
  • 銀漢の賦

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    源五は中村雅俊が良かった。

    暮雲収め尽くして清寒溢れ
    銀漢声無く玉盤を転ず
    此の生、此の夜、長くは好からず
    明月、明年、何れの処にて看ん

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    2024年03月20日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    有名な福岡藩のお家騒動を、稀代の忠義の人として知られる栗山大膳を中心に描いた作品。
    葉室氏は福岡出身なだけに大膳贔屓のトーンであるが、戦国から江戸初期にかけての生き残りを賭けた騙し合いの延長にあるこの話はあまり共感できない。
    清い生き様を貫く無名の志士の武士道がテーマになっていることが多い葉室作品において、ある意味では特殊な内容という印象。
    とはいうものの、読み応えは充分だったので星4つ。

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    2024年02月27日
  • 銀漢の賦

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    若き時代の男の友情、そして壮年期の境遇の変化な中で、変わらない軸がまた男の友情を結び付ける。
    自分にはこんな友情があるのか、考えさせられた。

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    2024年02月17日
  • 星と龍

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    ネタバレ

    葉室氏最後の作品で、楠木正成の話。残念ながら未完で、鎌倉幕府を滅ぼし、大塔の宮が亡くなる辺りで終わってしまいます。楠木正成、正季兄弟が活躍し、仲の良いのがよくわかりました。一山一寧、夢窓疎石が有力な武将に夢を見せる。正成は、文天祥や岳飛の夢を見て、尽忠報国で王道の正義を貫かせようとする。帝のためにのみ働くことを軸に行動していく。
    後醍醐帝が、大塔の宮護良親王を足利尊氏と争わせようとしたことや、護良親王が征夷大将軍に任命されていたこと、楠木家は水銀を売って生業にしていたことなどは知りませんでした。

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    2024年02月18日
  • 花や散るらん

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    子供の頃、年末年始になると必ず放送されていた時代物でした。少し懐かしさを感じながら読み進めましたが、この目線は新鮮でした。

    武家と貴族、色々な思惑が絡まり合う様子は現在の思考ではややこしい限りですが、各々の四季を愛でる姿は感性の豊かさを感じさせます。

    いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん

    忠臣として描かれた人びとも悪人として描かれてきた人物も、誰かにとっては大切な人。史実を背景にした物語はとても好きだけど、別の視点から考えると常に残酷だと思わされます。

    単行本を読んだけど、検索しても文庫本しか出てこなかったのは何故?

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    2024年01月27日
  • 紫匂う

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    すがすがしい読後感。
    おのれにとって最も大切だと思うものを心は寸分違わず知っている。わからぬこと、迷ったことは、わが心に問えばいい。
    澪の心の中にいたのは蔵太だった。ともに紫草を見ることができて本当によかった。日々の暮らしにある幸せを大事にしたいと思えた。

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    2024年01月23日
  • 天の光

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    ネタバレ

    博多の仏師の清三郎は、自らの仏像に限界を感じ、師やその娘でもある妻をおいて京に3年修行に出る。京でも得心の仏像を彫れないまま帰郷した清三郎が博多に帰ると、師匠宅は盗賊に襲われ、師は死亡、妻は辱めを受けて現在行方不明となっていた。

    清三郎が妻を探しつつ仏師としての道を開眼する話だろうな、と想像し、事実そういう展開なのだが、想像していた感じではなかった。妻自体は早々に清三郎の前に姿を見せるが、妻の心は帰ってこず、妻にはいわれのない試練が次々に襲い掛かるという展開に至る。

    清三郎自体は後半まで執着粘着っぽいヤツだし、妻は境遇上仕方ないとはいえネガティブ思考だし、葉室麟小説の主役格にしては清廉さに

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    2024年01月22日
  • 秋霜

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    ネタバレ

    羽根藩シリーズ第四弾。登場人物(新キャラもいますが)も場所も前作『春雷』と同じだから、日を置かずに読んだ方が吉。人を思う気持ちに溢れている作品。楓様と小平太との仲はどうなったのでしょう。とても気になります(^^)

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    2023年12月27日
  • 散り椿

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    読み進めるうちに関係者の過去が明らかになってきて続きが気になる。一気に読んでしまった。小説を多産している方なので別のものも読みたい。
    お名前を拝見しててっきり女性かと思っていたが男性とのこと。登場人物の心の機微を丁寧に描いており女性目線かと勝手に思い込んでいた。
    面白かった。

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    2023年12月20日
  • 曙光を旅する

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    葉室作品のファンで九州出身の人間からすると、葉室さんが九州各地の埋もれた歴史をわかりやすく耳元で語ってくれる、そんな読後感をもつ本である。
    また、自分に残された時間の中で、文章の力を信じ、「書くことがすべて」と表現することをやめなかった葉室のさんの生き様を感じることができる。

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    2023年12月12日
  • 乾山晩愁

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    大ファンである葉室さんの最初の受賞作品ということで手に取りました。武士の話ではなく、絵師の話。いつものパターンのは違いましたが、後の作品にもこの短編からの逸話が見受けられますよね。和歌も出てくる。芸術が葉室さんの作品を武骨だけでない奥深さの隠し味のような気がします。絵師も"修羅"。歴史ものとしても、絵師を通じた時代感も味わうことができました。

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    2023年11月27日