葉室麟のレビュー一覧

  • 神剣 人斬り彦斎

    購入済み

    面白い歴史時代小説

    本書の表題からは娯楽的な所謂斬った斬られたのチャンバラ小説と思われがちですが本書は著書の深い歴史観に基づいた歴史時代小説と思います。特に尊皇攘夷を自らの大義とし、例え刃に落命しても捕らえられ処刑されても悔いは無いと尊皇攘夷に反する者は時代を代表する学者であっても居合い抜刀術により斬殺を繰り返す一人の武士の物語で緊迫した薩長連合、熊本、徳川に天皇が絡む政争にエンターテイメントを交え面白い歴史時代小説になっていると思います。私は一気に引き込まれました。

    #感動する

    0
    2023年10月21日
  • 散り椿

    Posted by ブクログ

    瓜生新兵衛が、かつての上司の不正を訴えたが認められずに、藩を追われる。そして妻の篠とともに故郷を離れることとなる。それから18年後、亡き妻の願いを叶えるために新兵衛は故郷へ戻ってきた。

    新兵衛と藤吾との育まれていく絆、平山道場の四天王と呼ばれた仲間たちとの友情、采女と篠との複雑な想い、新兵衛と篠との夫婦愛、様々な人間模様が誠実さを含めて描かれている。

    『散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ』切ないながらも、武士として生きた天晴れな物語である。

    0
    2023年10月19日
  • 銀漢の賦

    Posted by ブクログ

    身分は違えど子供の頃の友情を復活させ、民衆の生活を顧みない藩主と側近の野心を命を賭けて打ち砕く男たちの物語。
    悪役の器が小さいのでイマイチ迫力に欠けるところがありましたが、最後の蕗さんの行動で温かい余韻を残して締めくくられました。
    どなたかがレビューで書かれていましたが、解説が明文です。格調高く、かつ分かりやすく葉室作品の本質が表現されており、これまで読んだ文庫の解説の中でもトップクラスに素晴らしいものでした。

    0
    2023年10月04日
  • 天翔ける

    Posted by ブクログ

    幕末の四賢侯として大政奉還あたりまではたびたび名前を見るのに、なぜかそのあと存在感がなくなる松平春嶽の話。この人がしっかり語られる小説は初めて。
    葉室さんの慶喜に対する評価が厳しいのが面白い。西郷については別著でなんとなくの評価は分かっていたので、ほぼその流れ。
    橋本左内、横井小楠といった優秀な側近とともに、非現実的な尊皇攘夷に立ち向かっていったリアリストであり、日本国の未来を真剣に考えていた人であったと分かる。このあたりの話はほかの人の著作でも読みたいな。

    0
    2023年10月01日
  • 河のほとりで

    Posted by ブクログ

    葉室麟さんの随筆第二弾。

    葉室ファンの私からするといい本だが、あまり葉室作品に馴染みのない人からすると、書評や雑感が一緒になっていて、内容に統一感がないと思うかもしれない。

    ただ、葉室作品に馴染みがない人も、読んでいると葉室さんに優しく諭されているようで癒されるので、騙されたと思って読んでいただきたい。

    「河のほとりで」という書名には、歴史を省みることが少なく、内向きになり国際社会から積極的に学ぶ進取の精神を忘れつつある現代日本への、編集者の警告が込められている気がする。気になった方には、本書に収録されている「禅僧」と「『美しくない』歴史に寄り添う」という随筆を一読していただきたい。

    0
    2023年10月01日
  • 青嵐の坂

    Posted by ブクログ

    これはよかった!
    扇野藩シリーズに外れなし!

    破綻寸前の扇野藩。その藩政改革を命じられた檜弥八郎は、改革半ばで卑劣な家老たちの策に嵌められ切腹。
    結果、娘の那美は、親戚の矢吹主馬のもとへ。
    息子の慶之助は、世子のお気に入りだったことから、お咎めなし。
    そして、世子の仲家が家督を継ぐときに側近として戻ってきます。
    慶之助は家老たちに復讐を果たすことができるのか?

    一方、藩政改革には失敗する可能性もあり、そのときの責任を取らせるために主馬を指名。
    慶之助と主馬の関係が深い。

    主馬は藩政改革はなすことができるのか?
    商人対主馬の戦い。
    家老たちの策略。
    主馬と慶之助との関係はどうなる。
    家老た

    0
    2023年09月23日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この雅な平安文学サロンの時代を舞台にして、戦の物語が書けるとはやはり葉室麟さんは素晴らしい作家ですね。

    中宮定子から始まったともいえる煌びやかな王朝文化。彼女の弟であった伊周と隆家はそれに奢り、没落へ。

    そして道長が政の頂点に立ったと思われたのだが、密かに日本は契丹国の民に狙われていた。

    ひたすら己の地位を考えて動く道長と、安倍晴明にあなたが動かなくては国が亡ぶと言われ生きてきた隆家。

    日本は島国で海外からの侵略は第二次世界大戦の時だけ。ですが、この前の白村江の戦いや元寇との戦いも経験しています。

    侵略されなかったのは運がよかっただけ、そう考えると、狭い国の中の事だけを考えるのはなん

    0
    2023年08月07日
  • 冬姫

    Posted by ブクログ

    戦国の世で繰り広げられる女たちの戦い。その中で信長の娘であることで、清く姿勢を正して、相手の心を理解しながら難を逃れていく冬姫を応援しながら、あっという間に読み終わった。

    0
    2023年08月02日
  • 津軽双花

    Posted by ブクログ

     表題の「津軽双花」は男性作家とは思えない女性らしさが満ち溢れていた。三成の遺児が津軽家に嫁いでいた事実は初めて知ったが、2人の対立する姫たちの心の邂逅をうまく描いたなと感じた。
     5つの短編から成る作品だが、章が進む毎に時代が遡っていくのが非常に面白い。短編ごとに登場人物が変わり、時代が新しくなるパターンは多いが、その過去へと下っていくのは新しい。
     石田三成が最近のお気に入りなのもあり、最初の3編はどれも豊家側で読んで感情移入して読んだ。最後の斎藤利三の話も新しい解釈、本能寺の変の動機の新説、「斎藤利三黒幕説」。斎藤家を葬った道三・信長への積年の恨みで明智をけしかけた利三が黒幕という考え方

    0
    2023年08月01日
  • 無双の花

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    歴史マニアへのアンケートとして、一番好きな武将ランキングはよく行われるが、多くのアンケートで1位となっているのが、筑後柳川の立花宗茂。
    大河ドラマでの誘致活動を含め、今最も熱い武将とのようだが、正直なぜそこまで人気かということを確認する機会がこれまでなかった。
    史実を含め、書物はたくさん出ているが、やはりここは虚々実々の歴史小説からということで、安定の面白さの葉室さんの作品から読んだ。
    内容は、後半生を中心に、関ヶ原敗戦から改易、牢人からの登用、豊臣氏滅亡での関与を中心に、朝鮮出兵や島原の乱まで巧く語られ、わかりやすくまとまった物語になっている。
    もちろん小説なので、真田幸村や伊達政宗などとの

    0
    2023年07月31日
  • さわらびの譜

    Posted by ブクログ

    女性ながら父から才能を認められ弓術の後継者として研鑽する伊也は、真っ直ぐな武士道精神と共にまさに才色兼備に成長しているものの、時代ものの定番である藩の権力争いに巻き込まれ、愛する人への想いより武士道を優先しようとする。
    伊也の真っ直ぐさと妹 初音の健気さとは対照的に、藩の重鎮達の人に対するリスペクトのかけらもない醜さが際立ちます。清四郎の完全無欠なスーパーヒーローぶりはもう少し欠点があってもいいのになと思った反面、前半ひ敵味方の区別がつきにくい磯貝八十郎の描き方が絶妙な塩梅でした。
    まさに葉室作品という読後感です。

    0
    2023年07月25日
  • 秋霜

    Posted by ブクログ

    前作「春雷」の続編。
    鬼隼人が亡くなった三年後の欅屋敷の話。
    あの時集まった三悪党の生き残り臥雲の想いに涙したし、子供たちの成長や欅屋敷に集まったもの達の心の変化に熱いものがあった。

    0
    2023年07月06日
  • 潮鳴り

    Posted by ブクログ

    一旦は落ちるところまで落ちた主人公が弟のために決意する。
    藩で奔走する主人公らの傍ら、家で一生懸命働く女性たち。
    弟の無念や村娘の行く末など、哀しく悔しい話もありながら周囲に認められ支えられて目的を成していく。
    絶望しながらも生き抜く覚悟をもってあがく泥臭い主人公が格好いい。

    0
    2023年07月05日
  • 橘花抄(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    現代にも通じる権力者交代に伴う粛清の嵐。藩のために憎まれ役であっても献身した結果が、あまりに酷い。
    父が自害した後、藩の重役である立花重根に引き取られた卯乃は、重根に慈しみながら育てらる一方で、藩主家の騒動と藩政の変換に巻き込まれていく。立花一族に襲いかかる数々の苦難。卯乃は周りの人々に助けられながら立ち向かっていく。
    重根の生き様は武士としてかくあるべきなのだろうが、やけに切ない。

    0
    2023年07月02日
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    男の男に対する情愛の深さを突き詰めたら、ここまでいくのかという作品。主人公の三浦圭吾は、道場一の遣い手である樋口六郎兵衛の稽古の相手をさせられる一方で、危急の時も彼に救われる。そんななか、六郎兵衛は拐われた豪商の娘を助けるのだが、その手柄を圭吾に譲り、やがて圭吾はその娘を娶ることに。時は流れ圭吾は出世していくが、六郎兵衛とは疎遠になり、再びまみえたときには、、、
    葉室麟らしいちょっとした救いのあるエンディングではあるが、六郎兵衛の生き様はやるせなく切ない。

    0
    2023年07月02日
  • 星と龍

    Posted by ブクログ

    あー面白いと思ったら、未完、、、。
    確かに葉室さん亡くなる年に書かれたから仕方ないが、、、。続きが読みたい!!

    0
    2023年07月01日
  • あおなり道場始末

    Posted by ブクログ

    主人公たち三兄弟がとっても仲良しで読んでいて微笑ましい。
    昼行灯な長男にしっかり者の下2人が支えて…と思ってたら、ちゃんと長男も2人を守ってて関係性がすてきだった。
    後半色々な事実が分かってくるけど殺伐とした雰囲気にならずに読めたのは彼らの性格のおかげ。

    0
    2023年06月25日
  • おもかげ橋

    Posted by ブクログ

    いかにも葉室作品という、真っ直ぐ潔く生きる無名の男たちの物語。
    小藩の権力争いに巻き込まれて致仕せざるを得なくなり、江戸に出てきた幼なじみの2人は方や浪人、方や武士を捨てて商家に婿入りして暮らしていた。
    ところがそんな2人はまたしてもぶり返した旧藩の権力争いに巻き込まれる。。
    弥市と喜平次ほ最後までブレることがなかったけれど、ヒロインともいうべき荻乃の思わせぶりな態度は目に余る。それだけに弥生との対比が際立つんだけど、一貫して彼女を信用していなかった椎原亨は小物だけど一番人を見る目があったりして。

    0
    2023年06月14日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

    Posted by ブクログ

    この世をば 我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば
    藤原道長と藤原隆家の関係をもとに刀伊が太宰府に攻め入る話

    0
    2023年06月10日
  • 決戦!忠臣蔵

    Posted by ブクログ

    結局、真相は、藪の中。なぜ浅野内匠頭は、吉良上野介に斬りかかったのか。ここまで資料が何も出てこない事件も珍しい。

    諸田玲子の「与五郎の妻」が特に良かった。泣けた。

    0
    2023年06月04日