葉室麟のレビュー一覧
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葉室麟さんの随筆第二弾。
葉室ファンの私からするといい本だが、あまり葉室作品に馴染みのない人からすると、書評や雑感が一緒になっていて、内容に統一感がないと思うかもしれない。
ただ、葉室作品に馴染みがない人も、読んでいると葉室さんに優しく諭されているようで癒されるので、騙されたと思って読んでいただきたい。
「河のほとりで」という書名には、歴史を省みることが少なく、内向きになり国際社会から積極的に学ぶ進取の精神を忘れつつある現代日本への、編集者の警告が込められている気がする。気になった方には、本書に収録されている「禅僧」と「『美しくない』歴史に寄り添う」という随筆を一読していただきたい。 -
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これはよかった!
扇野藩シリーズに外れなし!
破綻寸前の扇野藩。その藩政改革を命じられた檜弥八郎は、改革半ばで卑劣な家老たちの策に嵌められ切腹。
結果、娘の那美は、親戚の矢吹主馬のもとへ。
息子の慶之助は、世子のお気に入りだったことから、お咎めなし。
そして、世子の仲家が家督を継ぐときに側近として戻ってきます。
慶之助は家老たちに復讐を果たすことができるのか?
一方、藩政改革には失敗する可能性もあり、そのときの責任を取らせるために主馬を指名。
慶之助と主馬の関係が深い。
主馬は藩政改革はなすことができるのか?
商人対主馬の戦い。
家老たちの策略。
主馬と慶之助との関係はどうなる。
家老た -
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ネタバレこの雅な平安文学サロンの時代を舞台にして、戦の物語が書けるとはやはり葉室麟さんは素晴らしい作家ですね。
中宮定子から始まったともいえる煌びやかな王朝文化。彼女の弟であった伊周と隆家はそれに奢り、没落へ。
そして道長が政の頂点に立ったと思われたのだが、密かに日本は契丹国の民に狙われていた。
ひたすら己の地位を考えて動く道長と、安倍晴明にあなたが動かなくては国が亡ぶと言われ生きてきた隆家。
日本は島国で海外からの侵略は第二次世界大戦の時だけ。ですが、この前の白村江の戦いや元寇との戦いも経験しています。
侵略されなかったのは運がよかっただけ、そう考えると、狭い国の中の事だけを考えるのはなん -
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表題の「津軽双花」は男性作家とは思えない女性らしさが満ち溢れていた。三成の遺児が津軽家に嫁いでいた事実は初めて知ったが、2人の対立する姫たちの心の邂逅をうまく描いたなと感じた。
5つの短編から成る作品だが、章が進む毎に時代が遡っていくのが非常に面白い。短編ごとに登場人物が変わり、時代が新しくなるパターンは多いが、その過去へと下っていくのは新しい。
石田三成が最近のお気に入りなのもあり、最初の3編はどれも豊家側で読んで感情移入して読んだ。最後の斎藤利三の話も新しい解釈、本能寺の変の動機の新説、「斎藤利三黒幕説」。斎藤家を葬った道三・信長への積年の恨みで明智をけしかけた利三が黒幕という考え方 -
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ネタバレ歴史マニアへのアンケートとして、一番好きな武将ランキングはよく行われるが、多くのアンケートで1位となっているのが、筑後柳川の立花宗茂。
大河ドラマでの誘致活動を含め、今最も熱い武将とのようだが、正直なぜそこまで人気かということを確認する機会がこれまでなかった。
史実を含め、書物はたくさん出ているが、やはりここは虚々実々の歴史小説からということで、安定の面白さの葉室さんの作品から読んだ。
内容は、後半生を中心に、関ヶ原敗戦から改易、牢人からの登用、豊臣氏滅亡での関与を中心に、朝鮮出兵や島原の乱まで巧く語られ、わかりやすくまとまった物語になっている。
もちろん小説なので、真田幸村や伊達政宗などとの