葉室麟のレビュー一覧

  • 潮鳴り

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    一度失敗を犯した者が再び花開くことが可能なのか、という命題がテーマになった作品。
    無駄なプライドを捨てて、自分に正直に、かつ自分のことをきちんと見てくれる人の想いに報いるべく生きることの価値を一貫して綴られています。
    やもすれば青臭い理想論になってしまうところですが、葉室氏の巧みな人物描写とストーリー構成で、力強い感動的な読後感を味わうことができました。

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    2022年08月04日
  • さわらびの譜

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    冒頭からの「弓矢での立会い」についての疑問から、中盤まで少し引いて読んでいたけれど、段々と引き込まれていくのは著者の力量か。
    終盤は見事だった。
    著者の作品のなかには、主人公の鮮烈な生き様に脇役の悪者が改心していく様が描かれているものも見受けられるが、本作もそのひとつ。

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    2022年07月30日
  • いのちなりけり

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    読み応えのある作品だった。
    人ではなく天地に仕えるという言葉は、この時代の武士としてはすごく斬新なものだと思う。
    蔵人と咲弥の関係も、長く離れているからこその美学を感じました。
    黄門様のイメージと異なる水戸光圀像は、どちらが本来の姿に近かったのだろうか?

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    2022年07月29日
  • 嵯峨野花譜

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    恥ずかしながら葉室麟さんの著作は今作が初めて。
    どこかの書評がよかったので読んでみた。
    史実とフィクションの裂け目が見えないうまさ。
    活け花の奥深さを教えられた感じがした。
    もう少し母子関係と父子関係を踏み込んで描かれていれば親切だったろう。
    葉室さんの他の本も読んでみたくなった。

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    2022年07月27日
  • 決戦!関ヶ原

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    関ヶ原の合戦をさまざまな人物の視点から描いたアンソロジー。それぞれの物語が最後に繋がるのかと思っていたけれど、結局は完全に独立したままだったのが少し残念ですが、短編程度の文章量で立場を変えて見ることができるのは興味深い。

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    2022年07月26日
  • 古都再見(新潮文庫)

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    葉室さんの溢れる知識の波に圧倒された
    私自身の少ない知識の壺から持っているモノと照らし合わせて「その話聞いたことある」「その説は知らなかった」「初耳だ」と揉まれながら読んだ
    彼と共に市内各所を巡りながらそこに纏わる色んなお話を聞いているようで面白かった
    何回でも読みたい
    歴史に関する知識はもちろんのこと、社会に対する目と考えが深く鋭くて尊敬する
    京都での第二の青春を心ゆくまで楽しめていたならいい

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    2022年07月25日
  • 冬姫

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    織田信長の娘として産まれた冬姫の物語
    久しぶりに葉室麟らしい本を読んだ。
    この時代の家や家族を守る女性の強さと怖さが伝わって来た。安土城、蒲生など近くに住んでいた事もあったが初めて知る事ばかりだった。沢山の登場人物が描かれていたが
    それぞれが光輝くように感じた、個人的にはもずに魅力を感じた。

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    2022年06月19日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    キリシタンを前面に出した作品で最後の短編は切ない。
    もしキリスト教が広まっていたらまた違う日本になっていて、神に対する概念も違っていたと思うと徳川が頑張って日本を守ったともいえる。
    キリシタン側にたった小説は初なので面白く読めた。

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    2022年06月15日
  • 銀漢の賦

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    山本周五郎の「土佐の国柱」という小説がものすごく心に残っているのです。名誉のために命をかけるのではなく、忠を成すためには自分がいかに不名誉なことになっても構わないという話。この本もそういう話かなと思って読んでいました。少し違いましたが、この男になら託すことができる、自分の命や大切なものを捨ててもいいという思い。そして、それを相手に知ってもらう必要すらないという。後で気づいたのですが、松本清張小説受賞作。納得の名作でしたが、最後の方は少しポップな感じになって、エンディングもクスッと明るい気持ちになりました。

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    2022年06月04日
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)

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    葉室麟の遺作とのこと。流石に安定の作品。この作者は終わり方が基本的にハッピーエンドなのが良い。時代小説ではこういう爽やかな終わり方は多くないと思う。そこがとても良い。いわゆる愛の話だが、とても自然な展開で、しかも武士の話であることもキチンと確保されている。佳作だと思うが、水準はかなり高い。

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    2022年06月03日
  • 春雷

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    「蛍草」のようなハッピーエンドものもないではないと思うが、葉室麟の時代小説は切ない。
    羽根藩新参の多門隼人は、御勝手方総元締として苛烈な改革を行っている。農民からは鬼隼人として恐れられ嫌われ、藩の同僚、上役からも足を引っ張られても、藩財政を立て直し藩主を名君と成すために突き進んでいる。そんな中、藩として過去に失敗し断念している黒菱沼干拓の命が下る。
    隼人を助け支え、開拓に協力する人物が現れる一方、藩内では隼人追い落としのため百姓一揆まで策謀される。そして佳境へ。隼人の真の思いは、運命は、、、
    欅屋敷の謎の女性や隼人のもの周りの世話をする出入りの商人の女房おりうも隼人を案じ慕う。この二人の女性の

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    2022年05月30日
  • 古都再見(新潮文庫)

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    「あるべきようは」あるがままにあらしめよ
    高い物語性を有する能楽
    「キリスト教を社会の軸とする欧米で発達した近代文学には、宗教的な原罪意識が精神の底にある」

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    2022年05月21日
  • 月神

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    「月形家の者は夜明けとともに昇る陽を扇動する月神でなければならん」と唱える月形洗蔵を主人公とする「月の章」と、従兄弟の潔を主人公とする「神の章」からなる歴史小説。
    司馬遼太郎著『竜馬がゆく』により、薩長同盟は竜馬の手柄と広く流布されている。確かに、最終場面での引き合わせは竜馬によるが、この策は彼以前にも幾多もの人物が画策していた。
    歴史の闇に埋もれた様々な史実を小説に仕立てる著者は、本書では洗蔵ら筑前尊攘派が身を挺して長州斡旋を行ったと記す。
    その筑前尊攘派は薩長和解を成し遂げながら歴史の表舞台に出ることなく、賢君ではあるが志を異にする藩主により壊滅させられる。
    歴史にifは禁物だが、この福岡

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    2022年05月18日
  • はだれ雪 下

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    面白かった
    忠臣蔵サイドストーリ?
    もののふの矜持とそれを支える女子の恋愛小説+生き様の物語

    下巻です。

    勘解由と苦難を共にする覚悟を決めた紗英。二人は祝言を上げることに。
    そして、吉良の討ち入りを準備する大石内蔵助
    結果、勘解由の立場が追い詰められることになります。
    浅野の最後の言葉も明らかになり、いよいよ討ち入りです。
    吉良を討ち、散っていった赤穂四十七士に対して、生きる道を選んだ勘解由は江戸に向かいます。
    しかし、国を超えることができるのか?迫る追手。
    勘解由はどうなる?
    っと、後半はアクションものです。

    生きるということ。そして、生きるための戦い
    そのうちに秘める守るべきもの

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    2022年05月07日
  • はだれ雪 上

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    面白かった
    忠臣蔵サイドストーリ?
    もののふの矜持とそれを支える女子の恋愛小説+生き様の物語

    上巻では
    江戸城内で、浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける刃傷事件が発生し、浅野内匠頭は即日切腹に。
    永井勘解由は浅野の切腹の直前、最後の言葉を聞きます。
    しかし、その行いが将軍綱吉の怒りに触れ、勘解由は扇野藩に流されます。
    その勘解由を接待役兼監視役を命じられた後家の紗英。
    次第に心を交わしていく紗英。
    そして、勘解由のもとに訪れる大石内蔵助や旧赤穂藩士。

    しかし、この関係は非常に危険
    旧赤穂藩士が吉良を討った場合、それに勘解由が協力したとみなされ、監視役の扇野藩は処罰される可能性。
    なので、刺客

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    2022年05月07日
  • 散り椿

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    椿の花が落ちる時は花丸ごと落ちてしまうので武家には嫌われていたが、本編での椿は一片づつ落ちでゆく。
    作中の人物も段々と亡くなっていく、本編の椿になぞられる様だ。
    哀しい結末ながら、若い二人の新しい芽生えが救いか…。

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    2022年05月05日
  • 散り椿

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    良い物語だった。
    新兵衛と采女の篠を介した関係や彼らの矜持だけでなく、中途半端な風見鶏だった藤吾の成長や、里見の優しさなど、人と人が関わることで互いに影響し合う機微の描き方は派手ではないものの静かな余韻を残します。

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    2022年04月26日
  • 辛夷の花

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    こんなひどい家臣がいるのかと思いましたが、最後は人の絆、意地をみせ、この世の中も、捨てたものじゃないなという本でした。

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    2022年04月19日
  • 青嵐の坂

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    文庫本の帯には「武家は利では動かぬ。義で動くものだ。」と書かれてある。
    矢吹主馬と檜慶之助を軸に物語は進んでいくが、結末は哀しい。
    主馬は重荷を背負って藩を救う事が出来るのだろうか、那美には強くなって欲しい。

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    2022年04月17日
  • 乾山晩愁

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    江戸の絵師ー尾形乾山、狩野永徳、長谷川等伯、狩野雪信、英一蝶ーをそれぞれ主人公とした短編5篇。
    著者には、『いのちなりけり』3部作や『はだれ雪』など忠臣蔵異聞ともいえる作品があるが、本書でも赤穂浪士討入りの裏話が綴られる。
    表題作の「乾山晚愁」では、赤穂浪士討入りの装束も尾形光琳好みで、光琳の匂いがすると語られる。光琳絡みで討入りの資金が出ているとの解釈も。
    「一蝶幻景」では、赤穂浪士は大奥の争いの代理だったと。背景にあるのは、大奥を舞台としての幕府と禁裏の争いが。
    絵師たちの生き様とともに忠臣蔵異聞も描かれる、小説家の想像力の豊穣を味わえる短編集で、忠臣蔵ファンにも見逃せない一冊。

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    2022年04月14日