葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・読書の森で寝ころんで
・歴史随想ほか
・小説講座で語る
・芦刈
・我に一片の心あり 西郷回天賦
・葉室麟 最後の言葉
読もう読もうと思いながら、まだその作品を読んだことのない葉室麟のこの作品を買ったのは、もちろんタイトルに惹かれたから。
『読書の森で寝ころんで』
こんな至福はあるまい。
時代小説を書く人だ、という認識しかなかったので、その書評にコナン・ドイルやカートヴォネガット・ジュニアがあるのに驚いた。
もちろん時代小説・歴史小説について書かれたものが多いのだけれど、それは想定内。
まさか彼から、コナン・ドイルが晩年スピリチュアルな世界へ傾倒していった理由を知ることになるとは。
それから、奈良時代を舞台に描いた作品が多いということを知り、これはもうアンテナを高くしないとならんな、と思う。
奈良時代や飛鳥時代はなかなか小説にされにくく、作家が書こうとしても「売れませんよ」と編集に停められてしまうのだとか。
この本のなかにも藤原不比等についての考察があり、ちょっと前にNHKの番組で不比等についてみたばかりだったので、俄然興味が沸くというか沸騰する。
初めて読む葉室麟の作品は、だから『芦刈』ということになる。
能の「芦刈」をモチーフに書かれた作品は、多分愛し合っていたと思われる夫婦であれ、10年別の生活を送ったことによる溝の、小さくても越えられない断絶を、冷徹なまでにくっきりと示す。
10ページの作品だったけど、ずしんと来る面白さだった。
西郷隆盛についても、いくつかふれているのだけど、ずっと私が知りたいと思っている、無血開城の後なぜ執拗に幕府をあおって戊辰戦争に持って行ったのか、は、やっぱりわからなかった。
私の中ではこれだけが、西郷どんらしくない行為に思えてしまうので、絶筆の『我に一片の心あり 西郷回天賦』の完成を読みたかった。
50歳を過ぎてからの作家デビューで、残り時間にどれだけ書けるのかをいつも考えていらした著者の病床での最期の言葉に「西郷のあとは、坂の上の雲。がんばらないと。」とあって、その早すぎる死を残念に思う。
葉室麟の麟は、勝麟太郎から取ったとあって、思わずにやり。
絶対趣味合いそうだなあ。 -
Posted by ブクログ
四編からなる中・短編の物語
表題作「津軽双花」はやはり圧巻。帯にある通り女たちの関ヶ原とありますが、その中身は凛とした女性像が語られています。
■津軽双花
石田三成の娘・辰姫は津軽家に嫁ぎ、藩主信枚と仲睦まじく日々を送りますが、その三年後、家康の養女・満天姫が正室として、信枚のもとへ。正室いるのに、幕府の策略で、満天姫を正室にって、そんなことあるの?ってまずは驚き。
そして、この二人のどろどろっとした戦いかと思いきや、その嫉妬心や競争心も持ちながらも、この時代の凛とした女性像が語られます。
互いを信じる心
二人の戦いは、天下の泰平、さらに、津軽家を守るための戦い
満天姫の台詞に熱いものがこみ上げます
「わたくしたちは友にございます。このことはたとえ命が失われようとも未来永劫、変りはいたしませぬ」
■鳳凰記
大阪の陣は茶々と家康のいのちの戦い
さらに、徳川から帝を守るための捨石の戦い
■孤狼なり
関ヶ原の戦いは毛利と徳川の戦い
そして、そのために小早川秀秋が願えるように北政所を動かしたという逸話
■鷹、翔ける
本能寺の変は明智光秀ではなく斎藤内蔵助利三が黒幕
ほんと?
いろんな物語があるのねって思う短編でした。 -
Posted by ブクログ
葉室麟の遺作
何を守るために刀を振るうのか
男たちの友情・愛情の物語
本作の主人公は六郎兵衛と圭吾
石高も年齢も違う二人は道場で稽古を積み、六郎兵衛は圭吾を「友」と呼びます。
そして、圭吾は富商の娘と結婚し、藩の有力派閥の後継者となり出世をとげていきます。一方、その圭吾を遠島になってまで守った六郎兵衛。
なぜ、そこまで献身的に支えることができるのか?
その後、派閥争いに巻き込まれる圭吾を陰ながら献身的に支える六郎兵衛。
しかし、藩主の策略から二人は敵同士として剣を交えることになります。
二人はどうなるのか?
そして、何を守るために刀を振るうのか?
心に染みる物語でした。
お勧め -
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葉室麟の異色作。
明治時代を生きた個性的な女性たちを熱っぽく描きます。
星りょうは仙台藩士の三女として生まれ、その利発さから「アンビシャスガール」と呼ばれた。
明治28年に、東京の明治女学校へ入学します。
女子教育向上を掲げる校長の巌本善治は「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの役目」と、りょうに語りかけたのでした。
明治女学校の教師・北村透谷と女生徒との間に生まれた恋のいきさつ。
国木田独歩と結婚したが逃げた、りょうの従妹・佐々城信子は…
英語教師のクララ・ホイットニーは義父に当たる勝海舟との間に深い信頼関係を築く。
若松賤子は校長・巌本の妻で、翻訳家・作家として活躍した。その賤子のもとを訪れた樋口一葉……
りょうは次々に個性的な人物に出会い、思わぬ秘密を知ったりもするが、当人はそこまで華麗な才能を見せたり恋愛遍歴をするわけでもない。
だが、後に結婚相手と共に、新宿中村屋を興し、相馬黒光と名乗るようになります。
こういう育ち方をした女性だったのね。
新しい生き方を希求する明治の女性たちの、燃えるような思いと大胆さ。
男性たちもアクが強く、個性的です。
清廉な生き方をする武士を描くことが多かった作者が、もがきあがく女性たちを描きたくなったのですね。
この後どんな風に世界を描いていくのか、その先も知りたかったです。
惜しまれます。