葉室麟のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初九州への旅行を控え、九州のことを知ろうとこの小説を読んでみました。不勉強のため歴史に疎く、登場人物をメモしながら読みました。宮本武蔵や柳生の名前を見て、お!知ってる名前がなんて思ってちょっと楽しくなりました。
時代の流れを見据え忠義を尽くす栗山大膳の姿に、人々が惹きつけられ導かれていく様がとても壮大でロマンがあるなと感じました。しかし現実は美しいものでなく、時代背景として死がすぐそばにあり、過酷で残酷な時代であったことも事実で、政治と平和について考えさせられました。
時代物に不慣れな私は読むのに時間がかかってしまいましたが、人物や闘いの描写が面白く、とても読みやすい小説でした。 -
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ネタバレ勘解由の父母の自刃と切腹とが浅野内匠頭の切腹と幕府の都合で処理された境遇が似ていることで他人事ではないことを感じていた。そうした中、打ち入りを決断した大石内蔵助と遭い「大石殿とお会いして、自分が侍であることを誇らしく思えました。ありがたく存じずる」と、幕閣の都合で処理されたことへの怨念を貫くことが侍としての信念だと感じたのではないだろうか。
大石内蔵助の言葉「なぜ、討ち入りをしなければならなかったのか。どのような思いで吉良上野介の首級をあげたのか、そのことを世の人々に知って貰えば、遺された家族たちに救いの手を差し伸べてくれる人もいるだろう」(遺すものたちのためにできることは、我らの想いを少しでも広く世に伝えることだけだ)と勘解由への手紙で残した。勘解由は「人は皆、さしたることでもなく、思わぬところで悲運に出会ったりする。嘆きに沈むのはやむを得ないが、何より大切なことは悲運に負けて立ち止まらぬこと。歩き続ける事ではないかと思う」「人は自らの心願だけで生きられるものではない。生きている事を願ってくれる人の想いに支えられて生かされているのだ」、勘解由の妻紗英は「諦めず、迷わず、これからも信じた道をただ一筋に歩んでいくよう励まなば」。浅野内匠頭の最後の言葉は妻への労りだった。 -
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ネタバレ人を見て、その人柄と心を目と感で読み取る。「人の情を察するのも武士の心得の一つかもしれぬ」と武士の初見の立居姿勢は鋭い感覚を持っていた。浅野内匠頭を最期に立会い、遺言も聞いたのではないかと元幕府の目付役に絡まる周りの人々の心理を読み取った記述が面白い。将軍の怒りを買った目付役に対する、流人を預かる藩内の思惑、幕府の思惑、赤穂浪士たちの心理など「遺言」と言われた言葉に翻弄される。大石は祇園で遊楽していたが、内匠頭弟大学の処分を機に決断する。同志に「大学様の処分が決まり、ご再興が望めなくなったからには、我らの取るべき道はただ一つである」と宣言。一方永井勘解由は接待役で会った後家の紗英を「苦難を共に乗り越える」覚悟で妻に迎える。仇討ちが起これば永井はそれを風潮した罪で惨殺される覚悟を持った。(下)に続く。
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災害、火災、飢饉に苦しむ地方の藩、商人と組んで私服を肥やす大老、既得権益を打ち破って藩政改革を目指す中老、一筋縄ではいかない大阪商人。時代ものには定番の役者と舞台が揃う物語に目新しさはないが、まさに今の時代だからこその悪に屈せず信念を貫いて権力に立ち向かう武士の清廉な姿が神々しくさえ思える。どっかの大統領には全く通じないだろう、彼の国には爪の垢を煎じて飲むなんて話も理解されまい。
命懸けで立て直しを計ろうとする扇野藩は架空のものだが、このシリーズは4作目、他にもいくつもの藩シリーズがあるようなので、人気があるということだろう。それだけ義で動く武士道というものに惹かれる人は少なくない。
勧善懲悪の物語は決着を見せてホッとしたところで物語は終わる。そしてページをめくって驚いた。作者の葉室麟氏は6年前に急逝されたという。彼が世の中を正していくわけではないが、そうした清廉な、義理と人情味のある武士道を描き続けることを期待していたファンは多いはず。このシリーズも続編はないのだろうが、著者の思いが込められた作品をまたかみしめたいとおもうばかり。 -
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鎌倉幕府の滅亡から建武の新政に暗雲が立ち出す辺りの話を、楠木正成の視点から描かれた話。
予備知識無しで読み進めて、最後の「未完」の文字に「はぁ⁉︎」となりましたが、この作品が遺作だったんですね。残念です。
さて、読んでて思ったのは、高校の社会で日本史選択してて良かった!の一言です。
日本史で、この辺りの勉強してた時に覚えた人物が、出てくること、出てくること。
メインキャラは当然ですが、夢窓疎石とか、高師直とか、「あぁ、覚えた!覚えた!」って感じで読んでました。教科書では一二行で流されてた人物が、話の中でかのように立ち回っているのは実に面白いと言うか感慨深いものですね。
日本史勉強して良かったなぁ…と改めて思わされた一冊でした。
でも、楠木一族が農耕武士ではなく、水銀売って財をなしていた商業武士ってのは知らなんだです。勉強になりました。
あと、作品とは別の話になりますが、
巻末の追悼解説文の中に出てきた、司馬遼太郎に関する見解で、私も文章書かれた安倍龍太郎さんに近い思いを抱いていたのですが、それに対する筆者のコメントで、「司馬さんは気合いで断定する」
って記載があったのですが、なんか笑って納得しちゃいました。
そんなん言われたら、返す言葉ないやん(笑)
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Posted by ブクログ
2026年、9冊目です。
葉室麟の短篇集です。
本のタイトルにある「不義」は、中国間時代の物語でした。
残念ながら、私の読む力が低く没入感を得られませんでした。他の5つの短編については、登場人物や時代背景などの知識もあったので、読み進めることが容易でした。
歴史の流れの中で、「あったであろう」物語をリアルに描き史実に繋いでいる作品ばかりで、ステレオタイプの人物像に異なる一面を色づけしている感覚でした。
短編ということもあり、物語の中にしっかり入れた作品でした。
表題作以外の短編が、5つ納められています。
・鬼火
・鬼の影
・ダミアン長政
・魔王の星
・女人入眼