葉室麟のレビュー一覧

  • 陽炎の門

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    解説に人生の積み残しとあった
    人生において後悔がない人はいるだろうか
    この物語はそれを考えさせてもらえた

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    2025年08月05日
  • 山月庵茶会記

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    主人公 柏木靱負
    フリガナが振ってある
    かしわぎゆきえ
    何故「ゆきえ」なのだろう
    最初は実話に基づき作者が物語を描いたのかと思ったが
    茶の湯を通じて人の心を含め多くのことを学ばせてもらった

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    2025年07月27日
  • 蒼天見ゆ

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    この小説の表題「蒼天を見ゆ」
    読後の方が心に沁みた
    私は蒼天を見ようとしているのだろうか
    足元ばかりを見てきた人生のような気がする
    蒼天を見ることを、あらためて考えてみたい

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    2025年07月25日
  • 潮鳴り

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    「蜩ノ記」に続く羽根藩シリーズだが話が繋がっている訳ではなかった…たぶん。かつて酒席での失敗で海辺の小屋暮らしにまで落ちぶれた伊吹櫂蔵が弟、新五郎の無念を晴らしていく。新五郎が借銀の責を負い切腹した裏には明礬商いを独占する豪商播磨屋の思惑を守らんが為の闇が潜んでいた。櫂蔵は新五郎と同じく新田開発奉行並としてこの闇を晴らしていく。しかし全てがハッピーエンドという事ではない。新五郎の死を知り、一度は命を絶とうとした櫂蔵を助け、彼を支え続けたお芳は櫂蔵と櫂蔵の継母の染子の名誉を守る為に自ら死んでしまう。お芳を死に追いつめ新五郎を切腹に追いやった黒幕、井形清左衛門は、切腹ではなく蟄居となる。こういうと

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    2025年07月20日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    推理サスペンスのようでとても読みやすく、政治、恋愛、友情、義理人情と色んな要素が詰め込まれていました。読み進めるにつれて過去と現在が繋がりました。

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    2025年06月30日
  • 秋霜

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     他人に惑わされず、互いを思いあいながら己の生き方を大事にしている欅屋敷の人々の優しさと強さを感じる。

     登場する人々が、違和感を感じるほど素直であったり信念を貫き通す強い人であったりして戸惑う場面もあったが、著者が描きたかった日本人の慈悲深さ、美しさの表れであると思うと納得できる。


     ところどころ、学問の話も出てきて、臥雲の孟子に関する講義が良かった。

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    2025年06月12日
  • 春雷

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    体裁や人目を気にして生きるのではなく
    自分の信念・生き方を変えることなく突き進んでいく
    人は変えられずとも、自ら変わることはできるし、その種を蒔くことはできる。

    鬼隼人らに、良くも悪くも違和感が拭えぬまま読み進めていた自分も、世で言う善悪、その人の言動のみに目を向けて判断する善悪に惑わされていることを自覚した。

    自分はどう生きたいのか
    羽根藩シリーズを読むたび、様々な角度から問いかけられている気がする。

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    2025年05月17日
  • 潮鳴り

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     蜩の記に続き、羽根藩シリーズ第2弾であるが、全くの別物。しかし、蜩の記の後に読むと、気持ちが高揚する箇所も多かった。

    蜩の記よりエンターテイメント色が強く、小説として楽しんだ。

    底まで堕ちた人々が、もう一度花を咲かせようと、人を想いながら信念を貫き、生きる姿が美しかった。

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    2025年05月17日
  • 蝶のゆくへ

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    ネタバレ

    本書は、葉室麟最晩年の作品であり、「新宿中村屋」創業の星りょうの目を通して描かれる幕末明治の文芸家たちの群像劇となっている。
    北村透谷、島崎藤村、国木田独歩、若松賤子、佐々城信子、三宅花圃、樋口一葉、斎藤緑雨、勝海舟、クララ・ホイットニー、瀬沼夏葉、萩原碌山、中村彝、高村光太郎、ラス・ビハリ・ボースなどとの関わりが描かれている。
    それにしても、星りょう(相馬黒光)の交友関係がすごすぎる。作者もその点に注目し、執筆したに違いない。
    当時の女性は、男にかしずき男を立てるのが女性の理想とされていた時代。そんな中、自分に正直に蝶のように舞うことがいかに困難だったか、その規範に外れた女性たちがどういう扱

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    2025年05月04日
  • 散り椿

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    ネタバレ

    葉室麟、本当に惜しい作家を亡くしました。
    「蜩ノ記」「川あかり」「山月庵茶日記」「草雲雀」などの傑作や「潮騒はるか」「鬼神の如く」「銀漢の賦」「橘花抄」「冬姫」などの秀作に連なり、私の傑作葉室コレクションがまたひとつ増えました。
    この小説を読み進めながら、作者がどうやって登場人物たちのもつれた糸をほぐし、破綻なく物語に収束をつけるのか、試しに想像してみるも私の頭では不可能でした。
    それを難なくやってしまう筆者の構想力と文章力に脱帽です。見方を変えれば、本書は上質謎解きミステリーとしても十分楽しめます。
    これから読む人のために、謎解きの鍵となるヒントを。
    “くもり日の影としなれる我なれば
    目にこ

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    2025年04月08日
  • 山月庵茶会記

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    黒島藩シリーズの3作目とのことだが、既刊の『陽炎の門』『紫匂う』の2作品とは人物・時代とも関連性はない。
    著者には他にも扇野藩シリーズや羽根藩シリーズもあるが、何れも同様な構成になっている。
    藩の政争に敗れ黒島藩を去った元勘定奉行が、妻の死の真相を知るために、茶人となって帰ってくる。様々な波紋が沸き起こり虚々実々の戦いが繰り広げられる。
    最後、容疑者を集め「犯人はお前だ」とのクライマックスがあり、本格ミステリーを彷彿させる。
    様々な作品で、漢詩や和歌の深く豊かな素養を開陳する著者が、本書では茶席の描写や茶の心をストーリーに融合させ、物語の世界を豊饒にしている。

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    2025年03月07日
  • 蒼天見ゆ

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    最後の敵討ちとして有名な秋月藩の臼井家のものがたりどある。父の亘理の生き様から息子の六郎の敵討ちとその後を描いている。
    同じモチーフである吉村昭の『敵討』も十年以上前に読んだが、葉室氏のストーリーは、幕末から明治草創期の偉人が登場して、小説として面白くしている。
    武士のメンタリティーを考える上で、貴重な作品である。
    また、題名の意味がこの小説の潮流として大きく流れている。

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    2025年02月07日
  • 秋月記

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    福岡藩と支藩である秋月藩の興亡がものがたりのベースとなっている。本社と支社、親会社と子会社など、現在の会社組織に見事に当てはまる。
    サラリーマンである自分自身の立場をオーバーラップさせながら読むことができた。
    主人公の幼少期のトラウマと生き方が常に表裏一体でものがたりを一本の線で通している。
    葉室作品らしいあっという間に読んでしまうストーリーである。

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    2025年02月02日
  • 影ぞ恋しき 下

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    雨宮蔵人シリーズ三部作下巻でもあり、葉室作品最後の作品でもあるとのこと。
    武士道とは?夫婦とは?親子とは?を考えさせられる作品である。最後の切れ味の良さも葉室作品の特徴である。
    葉室さんは何故こんなにも早く亡くなったのか?寂しい限りである。

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    2025年01月24日
  • 影ぞ恋しき 上

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    小城鍋島藩浪人である雨宮蔵人シリーズの三部作の最終作である。葉室麟さんが生きていれば更に続くのか?わかりませんが、話の流れは第一作である『いのちなりにけり』、第二作である『花や散るらん』を読んだ方がわかりやすいと思うが、そうでなくても良いかも知れない。これから読む下巻が楽しみである。

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    2025年01月13日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』を見たおかげで、平安時代最盛期の人物像は理解できた。
    その上で刀伊入寇を読んだので、馴染みの無い時代にもかかわらず、スムーズに読むことができた。
    現在、福岡市に住んでいるが大陸との最重要地帯であり、地政学的にも異文化交流地点である。
    刀伊入寇と藤原隆家の存在が、歴史上大きなポイントであった事と九州武士の危機意識の高さを感じた。

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    2025年01月01日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

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    忠義とは、誠とは何かが描かれている。
    「わが主君に謀反の疑いあり」と、黒田藩家老の栗山大膳は主君の黒田忠之を幕府に訴える。それは幕府が黒田家の大名家取り潰しを画策していることを悟った栗山大膳が敢えて訴え出たもの。黒田家を守るために。
    逆臣と思われ、命さえ狙われることになっても、見た目には裏切りに見えても、その忠義を貫き通す。
    栗山大膳の生き方が本当に天晴れ。

    天草四郎が出てくるのも面白い。イエス・キリストへの言及もあり、イエスの生き方と、栗山大膳の生き方を共に「宿命と戦って」生きている、と登場人物に語らせているのもまた印象的だった。

    やはり葉室麟さんはいいです!

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    2024年12月31日
  • 花や散るらん

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    佐賀小城藩出身の雨宮蔵人シリーズの二作目である。無骨で腕は一流の雨宮蔵人と凛として清廉で美しい咲弥夫妻の愛と生き様が存分に描かれている。
    ストーリーに忠臣蔵が複雑に絡み合い、朝廷と幕府のポリティカルな様相を呈しながら、徳川綱吉、柳沢吉保、吉良上野介、大石内蔵助など、歴史上の人物がかなり身近に入り込んで来て、ものがたりを面白くさせる。

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    2024年12月09日
  • 決戦!大坂城

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    舞台は、冬の陣、夏の陣の大坂城。7人の作家が7人の武将を描くシリーズ。同じ人物でも書き手によって、まるで異なる人物のように感じるのも小説の面白さだ。太閤さんこと秀吉贔屓の関西人だからか冲方丁氏の「黄金児」は、家康をも翻弄させ対等に渡り合った秀頼が魅力的に描かれていてよかった。伊藤潤氏の「男が立たぬ」も、男が立たぬと筋を通した男たち、特に福島正則の弟・正守のカッコ良さが際立った作品だった。

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    2024年12月08日
  • いのちなりけり

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    佐賀小城藩の雨宮蔵人が主人公の小説の一作目である。葉室作品は、九州に関わる作品が多い。
    佐賀小城藩と水戸藩の関係、葉隠の精神を散りばめながら、作品を構成されている。
    登場人物、物語りの構成があちこち飛ぶのでしっかり読まないと途中置いてけぼりになる可能性がある。

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    2024年11月30日