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『いのちなりけり』『花や散るらん』に続く三部作、遂に完結。 香也の婚約者となった清四郎は、吉良の仇を討つべく江戸に向かうが、 将軍綱吉・柳沢吉保と次期将軍家宣との権力闘争に巻き込まれてしまう。 清四郎の危機を救うため、蔵人も江戸に向かう。 夫婦、親子、友との清冽な絆を描いた葉室麟最後の長編小説にして、 蔵人と咲弥夫婦の三部作が十年の歳月をかけ遂に完結。 解説・島内景二 ※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
蔵人と咲弥の口から語られる武士として、夫婦として、人としての生き方は、あまりに気高いだけに聞いた人に最初は戸惑いや嘲りを与えるものの、彼らが本当にその言葉通りの生き方をしている姿を見て改心とまではいかないが微妙に影響されていく様子が良い。 人は皆このように生きるべきだと葉室氏からの最後のメッセージを...続きを読むいただいたように感じました。
綱吉時代に敷かれた悪政を、徳川家宣と弟越智右近は儒教を中心とした教えによる、貨幣改鋳の改善、長崎貿易の制限などを目指す正徳の治を行おうとしていた。表舞台は、家宣。裏舞台を右近が担うことになっている。右近は、隠密を使い意に反する勢力や秘密を知り過ぎた者たちを粛清していこうとしていた。その対象に、雨宮蔵...続きを読む人や冬木清四郎も入っている。 結局、綱吉時代の側用人柳沢吉保と家宣側の新井白石や間部詮房などの政争に巻き込まれる形である。さらには、勘定奉行の荻原重秀までが登場してくる。 最終決戦の地として選ばれたのが、楠木正成が落命した湊川であった。 越智右近は、雨宮蔵人と一騎打ちをするが、互角の戦いの中、隠密磯貝藤左衛門の銃撃により雨宮蔵人は瀕死の状態になる。 右近は、留めを刺すに及ばずと言い渡し。蔵人側の仲間にも危害を加えずに、撤退する。 蔵人は鍋島藩から駆けつけた、咲弥の介抱により回復する。 そして、以前蔵人にもらった和歌の返歌をする。 実に美しい話だと思いました。歴史背景が勉強不足でまだまだ追いついて行けなかったですが、家宣と右近が目指した正徳の治の話なども詳しくはしらなかったので、勉強になりました。 右近が蔵人の留めを刺さなかったこと、磯貝藤左衛門を放逐したことで忍の望月千代と暮らせるようにしたこと、都で蔵人ですれ違った時に付き人に、懐かしき友であると答えたところなどカッチョ良かったです。 なお、家宣は3年、家継は4年しか在位はなく 家継の母、天英院に右近(松平清武)に将軍職を継ぐよう勧めていたのも知らなかったです。8代将軍になっていたらどんな世になっていたかなと興味がわきました。
雨宮蔵人シリーズ三部作下巻でもあり、葉室作品最後の作品でもあるとのこと。 武士道とは?夫婦とは?親子とは?を考えさせられる作品である。最後の切れ味の良さも葉室作品の特徴である。 葉室さんは何故こんなにも早く亡くなったのか?寂しい限りである。
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