葉室麟のレビュー一覧

  • 秋月記

    Posted by ブクログ

    自分のふるさとの歴史が小説になっているというのは不思議な感じですが、とても楽しんで読むことができました。
    地理はわかっていますし、歴史もある程度勉強しているので、それと物語が結び付いていくのが面白かったです。
    小説としてももちろん面白かったのですが、数倍楽しめたかも。
    地元の人はよんだらいいなぁ、と思いました。

    0
    2012年07月06日
  • いのちなりけり

    Posted by ブクログ

    骨太の時代小説で清冽な恋愛小説。余韻。
    蔵人は「天地に仕え、いのちに仕えるのが武士である。いのちに仕えるとは死すべき時に死に、生きるべき時に生きる命を受け止める。」 という武骨な武士。妻咲弥は「これこそ自分の心だと思う歌を教えろ」と迫る。
    読者は、物語の展開よりも登場人物の心理をもっと掘り下げて欲しいのに、そこは淡々と描写し読者が想像し考えるようにしていて、多少いらいらする。わざとだとすると汚いな~。
    ラストシーンは、途中から分かっているが再会では泣いてしまう。しかも、またまたあっさり描き過ぎ。北方謙三なら5ページのクライマックスにもっていくぞ!また、これが葉室麟。
    最後に、武士道を描いた『葉

    0
    2013年05月12日
  • 柚子の花咲く

    Posted by ブクログ

    あざとさを感じさせず、清々しさすら感じさせる展開。師の不慮の死の汚名を晴らすべく奮闘する過程で成長していく主人公。ブレのない筆致で、必ずや悪い結末にはならないと安心して読み進められた。よかったなぁ。

    0
    2011年08月06日
  • 柚子の花咲く

    Posted by ブクログ

    子供時代に教わった”まっすぐに生きる事”。
    いつか大人になった時、その事がうまくいかない事がある。
    それをひとは”現実”と呼び、幼き日に習ったことは”夢”でしかないと語る。

    しかし、それは単に”まっすぐに生きる事”を放棄しただけなのかもしれない。
    ”夢”に向かって努力することを捨てただけなのかもしれない。

    ”まっすぐに生きる”事の強さと同時に、そのつらさや悲しみを伝えてくれる、この本はそういう本です。

    0
    2010年07月16日
  • 銀漢の賦

    Posted by ブクログ

    評判どおり大当たりでした。
    話の流れは、本当に漠とした記憶だけど、童門冬二の「小説・上杉鷹山」を思い起こしました。善政を引いていた家老が年老いるに連れ・・・という所だけかもしれませんが。
    雰囲気的には藤沢周平の武家ものに似ている様に思います。少し枯れた文体で、登場人物の精神的な姿が美しく、凛としています。
    三人の友情物語と言う見方もあります。通常その場合、三人の位置関係は知能派、武闘派、癒し系を採ることが多いのですが、この作品では癒し系の代わりに「好漢」を持ってきています。その辺りも、この物語の清冽な感じを高めているようにも思えます。
    今後が楽しみです。どんどん文庫化してほしいですね。

    0
    2016年07月31日
  • 乾山晩愁

    Posted by ブクログ

    尾形乾山(光琳)・狩野永徳・長谷川等伯・狩野雪信・英一蝶…絵師たちを主役に歴史の動乱を書いた短編集。切り口が面白い。

    0
    2009年10月04日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     .
    話題となった時代小説を次々と発表していた小説家、葉室麟。
    残念ながら60代の若さで、2017年に亡くなってしまいました。

    いくつかの作品は読んだことがあったのですが、他にも未読の小説があるだろうと探したところ、この長編小説に出会いました。
    「黒田家に関係する話だろう」という程度の、わずかな事前知識で、読み始めました。

    舞台は徳川第三代将軍、家光の時代。
    杖術の修行を積んでいた深草卓馬と舞の兄妹は、豊後府内藩主の竹中采女正に召し出され、密命を言い渡されます。

    その密命とは、筑前黒田家の重臣、栗山大膳のもとに間者として入り、黒田家の内情を探れというもの。
    あわせて、黒田家には二つの問題

    0
    2025年12月09日
  • 潮鳴り

    Posted by ブクログ

    蛇足のような出来事もしっかり繋がって上手く回収されるのが流石です。後半畳み掛けるのも気持ちがいいですが、もう少し細かく描いてくれてもよかった。
    一喜一憂、読んで気持ちが晴れました

    0
    2025年12月09日
  • 闇中問答

    Posted by ブクログ

    初めて見るタイプの織田信長像。デビュー前だからこそ書けた感もある、ある意味ゲテモノだが物語としては面白い。過去に信長と関わった者たちの証言を繋ぎ合わせると浮かび上がるその衝撃の正体。そして、この話を語っている聞いたこともない武士はいったい誰なのか?徐々に時期、人物ともに絞られていくが、果たして結末は……2つの可能性が示唆されている余韻のある終わり方だったが、どっちなんだろうねえ……???
    同時収録のエッセイでは、作者の明智光秀感を伺い知れてこれもなかなか面白い考え方だった。なるほど、光秀はそういう立ち位置もあるのか……

    0
    2025年11月06日
  • 陽炎の門

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下士から執政になった桐谷主水は、親友の綱四郎を藩主に対する不平落書の罪で告発する。死罪となった、綱四郎は、介錯人に主水を指名する。
    罪人になった綱四郎のために、娘由布は嫁ぎ先もなかった。主水は、17も年若い由布と結婚する。
    一方、綱四郎の息子、喬四郎は、仇討ちをするため師匠と兄弟子と共に、主水に迫りくる。
    しかし、その落書の件には、まだ若かりし頃に、主水と綱四郎が喧嘩仲裁に入った、後世河原事件が関わっていた。
    現藩主興与が、世子の頃、後世河原で打ちのめされた者たちを、押さえつけ木刀で嬲る残忍な事件を起こしていた。死者まで出るほどの事件であった。
    周りの者たちは、藩主世子のため、誰も諫言できなか

    0
    2025年11月01日
  • 峠しぐれ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久し振りの感動作です。
    活字を追いながら映像が浮かんでくるストーリー展開は、まさに映画にピッタリ。逆に言えば、話が出来過ぎというキライが無きにしもあらず。そのくらい《次の展開はこうあって欲しい》読者願望を実現してくれる気持ちいい内容でした。
    最近、野菜不足や感動不足の人にはおすすめな1冊です、しらんけど。

    0
    2025年10月30日
  • 天の光

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    仏師の清三郎が、京に修業に行っている間に、賊に地元の師匠が殺され、若い美しい妻おゆきも辱めを受けてしまう。
    3年後京から戻り、その事件を知った清三郎だったが、妻は、行方不明であったが、その行方を追ったが、実は豪商の妾になっていた。
    しかし、清三郎は妻との再出発をあきらめきれずにいる。しかし、この豪商小左衛門は、実は海身投げしたおゆきを助け、さらには庇護してくれていた。さらには、おゆきを襲った賊を皆殺しにしていた。その賊には、清三郎を嫌っていた兄弟子がいた。
    小左衛門に、おゆきを預かってもらっていれば安心だと思っていたが、藩が抜け荷で小左衛門から受けていた恩恵があるにも関わらず、幕府から目をつけ

    0
    2025年10月05日
  • 銀漢の賦

    Posted by ブクログ

    武士の友情とはかくあるべし。
    武士の友情が描かれているが、実際にはあまりこのような清々しいものはなかったのかもしれない。でもこんな武士がいればよかったなぁと思う。


    玲瓏にして、清冽なる時代小説 見参!

    寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。
    幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。
    二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。
    第十四回松本清張賞受賞作。
    解説・島内景二(国文学者・文芸評論家)

    「葉室麟の時代小説は、現代日本の暗雲を吹き飛ばす一陣の涼風であ

    0
    2025年09月30日
  • 影ぞ恋しき 下

    Posted by ブクログ

    綱吉時代に敷かれた悪政を、徳川家宣と弟越智右近は儒教を中心とした教えによる、貨幣改鋳の改善、長崎貿易の制限などを目指す正徳の治を行おうとしていた。表舞台は、家宣。裏舞台を右近が担うことになっている。右近は、隠密を使い意に反する勢力や秘密を知り過ぎた者たちを粛清していこうとしていた。その対象に、雨宮蔵人や冬木清四郎も入っている。
    結局、綱吉時代の側用人柳沢吉保と家宣側の新井白石や間部詮房などの政争に巻き込まれる形である。さらには、勘定奉行の荻原重秀までが登場してくる。
    最終決戦の地として選ばれたのが、楠木正成が落命した湊川であった。
    越智右近は、雨宮蔵人と一騎打ちをするが、互角の戦いの中、隠密磯

    0
    2025年09月20日
  • 秋霜

    Posted by ブクログ

    春雷に続けて読んだ
    多聞隼人が秋霜でも大きな影響を及ぼすとは
    人の心は周りの愛情で変わっていく
    この作品であらためて気付かされた

    0
    2025年09月04日
  • 潮騒はるか

    Posted by ブクログ

    解説を読んでこの作品は「風かおる」の続編であることを知った
    最後まで読んで「潮騒はるか」の意味がわかったような気がした
    正しいかはわからないが

    0
    2025年08月16日
  • 鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    歴史小説を描く多くの作家が重複して歴史的事実を角度を変えて描いている
    この作品の黒田藩の騒動も森鴎外が描いていると解説を読んで知った
    人生どのように生きるべきか
    蒼天見ゆでも考えさせられたが、この作品でも作者に課題を出されたような気がする

    0
    2025年08月14日
  • 星火瞬く

    Posted by ブクログ

    葉室さんによる長崎関連作品の1つかな。
    あのシーボルトの息子を語り手にして、父の再来日に同行し、横浜や東京での様子を描いている。
    実在の人物や出来事を多用しているところは珍しいですが、作品中で彼らが交わす言葉や行動の細部は完全に葉室さんの創作と思われ、個性的な人物像を創り上げている点が非常に興味深く読む事ができました。

    0
    2025年08月10日
  • 春雷

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    鬼隼人の生き様。人になんと言われようが己の信念を貫く。相手にわかってもらおうとも思わない。非常に潔くて悲しい。後々百姓が隼人に感謝してる描写は出てくるけど生きている間に正当に評価されて欲しかったのが正直なところ。
    批判するだけで何も動こうとしないことへの怒りには耳が痛かった。嘆くだけでは現状はよくならず、具体的に行動してこそ意味がある。
    最後、名君ではなく暗君にはもっとすかっとしたかった。失脚だけでは生ぬるい

    0
    2025年08月09日
  • おもかげ橋

    Posted by ブクログ

    藤沢周平の後継者。と言うよりも、もはや、葉室麟らしい作品。
    映像化(もうなっているのでしょうか?)しても楽しそうな作品になると感じまする。

    0
    2025年08月09日