葉室麟のレビュー一覧
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ネタバレ「光圀伝」と同様、水戸光圀が藤井紋太夫を刺殺したところから始まる小説と知り、読み始めた。やはりこの事件から物語がすぐに繋がるわけではなく、ひとりの男の婿入り話から始まる。
小城藩の重臣天源寺家の娘婿になった雨宮蔵人。一見愚鈍な大男に見えるこの男を、父刑部(ぎょうぶ)がなぜ自分の夫にしようとしたのか、咲弥にはわからない。和歌に精通した夫に先立たれた咲弥は、自身にも和歌の素養がある。いかにも教養のない蔵人に、これぞと思う和歌を一首教えてくれるまで寝所はともにしないと言いわたしてしまう。言われた蔵人は、誰かに簡単に教えを請うこともせず、真面目に咲弥に伝える和歌を考えているうち、陰謀に巻き込まれる。 -
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ネタバレ初読、葉室麟。『桃栗三年柿八年、柚子は九年で花が咲く』郷学教授梶与五郎が一太刀で斬られ発見される処から、物語は始まる。かって青葉堂村塾の教え子達が、死んだ恩師の悪評・噂に驚き、謎の死と汚名を晴らすため捜索するが、同じ切り口で友人が果てる。領地争い・同時の身分の違いによる婚姻・親子関係を絡めたミステリー時代推理小説を、教え子の主人公恭平視線で描かれる。頼りなく他人を頼る恭平だが、優しくまっすぐに生きる恭平に対する幼馴染おようの本心に気づき、恭平は成長しながら解決する。師を慕う子ども達に感動した。
『わたしたちは先生が丹精込めて育ててくださった柚子の花でございます。』
桃栗3年柿8年、梅はすい -
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骨太の時代小説で清冽な恋愛小説。余韻。
蔵人は「天地に仕え、いのちに仕えるのが武士である。いのちに仕えるとは死すべき時に死に、生きるべき時に生きる命を受け止める。」 という武骨な武士。妻咲弥は「これこそ自分の心だと思う歌を教えろ」と迫る。
読者は、物語の展開よりも登場人物の心理をもっと掘り下げて欲しいのに、そこは淡々と描写し読者が想像し考えるようにしていて、多少いらいらする。わざとだとすると汚いな~。
ラストシーンは、途中から分かっているが再会では泣いてしまう。しかも、またまたあっさり描き過ぎ。北方謙三なら5ページのクライマックスにもっていくぞ!また、これが葉室麟。
最後に、武士道を描いた『葉 -
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災害、火災、飢饉に苦しむ地方の藩、商人と組んで私服を肥やす大老、既得権益を打ち破って藩政改革を目指す中老、一筋縄ではいかない大阪商人。時代ものには定番の役者と舞台が揃う物語に目新しさはないが、まさに今の時代だからこその悪に屈せず信念を貫いて権力に立ち向かう武士の清廉な姿が神々しくさえ思える。どっかの大統領には全く通じないだろう、彼の国には爪の垢を煎じて飲むなんて話も理解されまい。
命懸けで立て直しを計ろうとする扇野藩は架空のものだが、このシリーズは4作目、他にもいくつもの藩シリーズがあるようなので、人気があるということだろう。それだけ義で動く武士道というものに惹かれる人は少なくない。
勧善懲悪 -
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鎌倉幕府の滅亡から建武の新政に暗雲が立ち出す辺りの話を、楠木正成の視点から描かれた話。
予備知識無しで読み進めて、最後の「未完」の文字に「はぁ⁉︎」となりましたが、この作品が遺作だったんですね。残念です。
さて、読んでて思ったのは、高校の社会で日本史選択してて良かった!の一言です。
日本史で、この辺りの勉強してた時に覚えた人物が、出てくること、出てくること。
メインキャラは当然ですが、夢窓疎石とか、高師直とか、「あぁ、覚えた!覚えた!」って感じで読んでました。教科書では一二行で流されてた人物が、話の中でかのように立ち回っているのは実に面白いと言うか感慨深いものですね。
日本史勉強して良かったな -
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2026年、9冊目です。
葉室麟の短篇集です。
本のタイトルにある「不義」は、中国間時代の物語でした。
残念ながら、私の読む力が低く没入感を得られませんでした。他の5つの短編については、登場人物や時代背景などの知識もあったので、読み進めることが容易でした。
歴史の流れの中で、「あったであろう」物語をリアルに描き史実に繋いでいる作品ばかりで、ステレオタイプの人物像に異なる一面を色づけしている感覚でした。
短編ということもあり、物語の中にしっかり入れた作品でした。
表題作以外の短編が、5つ納められています。
・鬼火
・鬼の影
・ダミアン長政
・魔王の星
・女人入眼