葉室麟のレビュー一覧
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海北友松の若年時代をメインに描いた作品。彼の名前と代表作の「山水図屏風」は知っていたが、彼が大器晩成型の画家だったこと、表紙の「雲龍図」は知らなかった。
澤田瞳子さんの解説にもある通り、本作は武士に戻りたくてたまらない友松が人生の目標に悩み続けた結果、絵に全てをかける思いに至る過程を描いていく叙情的な作品。数々との戦国武将との邂逅もあるが、明智光秀での出会いと別れには読む手に熱がこもった。裏切者として歴史から姿を消した明智だが、友松曰く「雲龍」となり、民を救うために立ちあがったとして出来上がった「雲龍図」を見て空でどう感じているのだろうか。斎藤利三の首を奪取した後は、細かい描写をスキップし -
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本当に良いお話でした。絶対、一度は出会ったほうが良い作品です。
読んでいる途中はハラハラしたり、涙がでたりと、すこし忙しい感情の変化もありましたが、読み終わった後は、なんともいえないすがすがしい気持ちでいっぱいになりました。
登場人物3人の身分の違いを超えた友情が時がたっても崩れず友情は友情のまま硬い結びつきだったことに感動しまくりでした。友というのはこういう関係をいうのだと思い知らされました。作品の時代背景もあるかもしれませんが、3人の友情とそれぞれの人生が絡み合い、それぞれが思い描く人生の中で生き抜いていく様が、映像として頭の中に現れ、心に響いてくる感じを受けました。この時代の男同士の友情 -
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戦国の世を生き抜いた武将大名夫婦を主人公にした短編集。巻末解説で澤田瞳子も書いている通り、短編小説としての面白さも去ることながら、葉室小説の核心はその美しさにある。
その美しさも絢爛豪華というものではなく、キレのある素とした美しさ。読んで心が洗われる清涼感のある美しさである。
きちんと生きる、筋を通して生きる、真心を行動に表す…そういった少し古いかもしれないがきっと普遍的で道徳的な大切なことを、葉室小説に教えられることは多いが、この短編集もその例に漏れない。
ここ1年以上世界は窮屈で生きづらく我々の心は荒み切っているけれど、そんな中でもきちんと生きていこうと、改めて思えた貴重な読書時間を -
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司馬遼太郎の「街道をゆく」は、私の愛読書のひとつなのだが、残念なことに、京都の洛中に関しての街道(テーマ)が入っていない。
「街道をゆく」に取り上げられた京都付近の街道は、「洛北諸道」「叡山の諸道」「「嵯峨散歩」「大徳寺散歩」等があるが、いずれも「洛外」で、「洛中」に関して書かれたものがない。理由はわからない。(ご存じの方が居れば教えて下さい)
その空白を埋めてくれたのが本書である。
ただ冒頭から「人生の幕が下りる。近頃そんなことをよく思う。(中略)今年(2015年)二月から京都で暮らしている。これまで生きてきて、見るべきものを見ただろうか、という思いに駆られたからだ。(中略)幕が下りるその -
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『天翔ける』の主要視点人物は松平春嶽(まつだいらしゅんがく)である。
「松平春嶽」?御本人は徳川御三卿の一つである田安家で生まれ育ったが、御一門と呼ばれた親藩の一つであった福井城を本拠地とする越前松平家に養子に入り、11歳で当主の座を受け継いでいる。越前松平家の当主としては、12代将軍徳川家慶の偏諱を賜って松平慶永と名乗った。が、<安政の大獄>で隠居ということになる等した経過から春嶽の号を名乗った時期が長く、その「松平春嶽」という名で知られている。幕末期に識見や人物に関して評価が高く声望が在った大名達が「賢侯」と呼ばれたが、松平春嶽はその「賢侯」に数えられる人物だ。
本作の冒頭は1863年のあ -
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『決戦!関ヶ原』
誰もが知る関ヶ原の戦い。
4時間で決着がつき、そして最後の西軍 島津が退陣するまでが8時間。
●読みどころ
1.関ヶ原
家康と三成。
戦い前に密談あり。
互いの狙いは何か?
2.戦終えての三成
「勝者はいない。
徳川も豊臣もそして毛利も、さらに私三成も全員
敗者なり。」
その意図とは?
3.織田信長弟 長益。兄に囚われた人生
武勲無しの武将。
最初で最後に近い戦いは家康方で。
千利休の弟子であった長益。
戦場で何を思えたか?
4.島津義弘
66歳。西軍の敗北が決まり、1500の兵で家康の
本陣3万人に向かう。
「己の魂と引きかえに敵をうつ