葉室麟のレビュー一覧

  • 千鳥舞う

    Posted by ブクログ

    春香が描く博多八景の一つひとつが短編小説になっており、ストーリーの深さに加え想像で見る絵に輝きを持たせている。作風が高田郁の作品にも似ており心打たれる内容だった。最後は春香の願いはかなわなかったのが
    辛く感じた。

    0
    2022年01月18日
  • 墨龍賦

    Posted by ブクログ

    海北友松の若年時代をメインに描いた作品。彼の名前と代表作の「山水図屏風」は知っていたが、彼が大器晩成型の画家だったこと、表紙の「雲龍図」は知らなかった。
     
    澤田瞳子さんの解説にもある通り、本作は武士に戻りたくてたまらない友松が人生の目標に悩み続けた結果、絵に全てをかける思いに至る過程を描いていく叙情的な作品。数々との戦国武将との邂逅もあるが、明智光秀での出会いと別れには読む手に熱がこもった。裏切者として歴史から姿を消した明智だが、友松曰く「雲龍」となり、民を救うために立ちあがったとして出来上がった「雲龍図」を見て空でどう感じているのだろうか。斎藤利三の首を奪取した後は、細かい描写をスキップし

    0
    2021年09月25日
  • 影ぞ恋しき 上

    Posted by ブクログ

    やっぱり間違いない面白さですね。新しいキャラクターも登場。千代と藤左衛門。この二人、いいですねぇ! 下巻でも期待しています。 歴史に絡めながら、これだけ多くの人々が絡むストーリーを作っていく葉室先生の手腕に今回も感嘆しています。 次で雨宮蔵人シリーズも最後かと思うと、ちと、いや、かなり悲しいです。

    0
    2021年09月22日
  • 銀漢の賦

    Posted by ブクログ

    本当に良いお話でした。絶対、一度は出会ったほうが良い作品です。
    読んでいる途中はハラハラしたり、涙がでたりと、すこし忙しい感情の変化もありましたが、読み終わった後は、なんともいえないすがすがしい気持ちでいっぱいになりました。
    登場人物3人の身分の違いを超えた友情が時がたっても崩れず友情は友情のまま硬い結びつきだったことに感動しまくりでした。友というのはこういう関係をいうのだと思い知らされました。作品の時代背景もあるかもしれませんが、3人の友情とそれぞれの人生が絡み合い、それぞれが思い描く人生の中で生き抜いていく様が、映像として頭の中に現れ、心に響いてくる感じを受けました。この時代の男同士の友情

    0
    2021年08月22日
  • 紫匂う

    Posted by ブクログ

    ネタバレを嫌うので装丁から時代モノとわかるような本は手に取らなかったのだが、とりあえず読み始めた。身持ち軽そうな澪がむかし結婚に至らなかった男に思いを寄せる出だしなのだが、なんとなく藤沢周平っぽいようないい感じで、さらに夫の萩蔵太というのがなかなかの好男子で、全般的に読みやすい時代小説というところ。他の作品も読んでみたい。

    0
    2021年08月15日
  • 山桜記

    Posted by ブクログ

    戦国の世を生き抜いた武将大名夫婦を主人公にした短編集。巻末解説で澤田瞳子も書いている通り、短編小説としての面白さも去ることながら、葉室小説の核心はその美しさにある。

    その美しさも絢爛豪華というものではなく、キレのある素とした美しさ。読んで心が洗われる清涼感のある美しさである。

    きちんと生きる、筋を通して生きる、真心を行動に表す…そういった少し古いかもしれないがきっと普遍的で道徳的な大切なことを、葉室小説に教えられることは多いが、この短編集もその例に漏れない。

    ここ1年以上世界は窮屈で生きづらく我々の心は荒み切っているけれど、そんな中でもきちんと生きていこうと、改めて思えた貴重な読書時間を

    0
    2021年08月01日
  • 花や散るらん

    Posted by ブクログ

    傑作です。西に東に物凄い勢いで物語が動いていきます。忠臣蔵の物語を背景にしつつ、数多くの登場人物が動きます。有名な史実や歴史上の人物を背景にした葉室作品は初めてでした。解説で島内さんが書かれていましたが、(ある意味で)醜い人々が、蔵人と咲弥(という鏡)に接することによって、自分の本当の姿を見つけていく。後半にどっと物語が動きますので、登場人物を整理しながら読むことをお勧めします。お気に入りの葉室さんにまたしてもやられました。また大好きな葉室作品が増えました。

    0
    2021年07月21日
  • 潮鳴り

    Posted by ブクログ

    再起をはかる人々の物語。
    地べたから始まっていることを考えれば、何事も諦観をもって前を向いて取り組める。

    0
    2021年06月20日
  • 天翔ける

    Posted by ブクログ

    松平春嶽が主人公。
    幕末の登場人物が沢山出てきて
    わくわくする。

    ちょうど今の大河とリンクする。

    葉室麟さんらしい
    丁寧なものがたり。

    0
    2021年05月13日
  • 古都再見(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    司馬遼太郎の「街道をゆく」は、私の愛読書のひとつなのだが、残念なことに、京都の洛中に関しての街道(テーマ)が入っていない。
    「街道をゆく」に取り上げられた京都付近の街道は、「洛北諸道」「叡山の諸道」「「嵯峨散歩」「大徳寺散歩」等があるが、いずれも「洛外」で、「洛中」に関して書かれたものがない。理由はわからない。(ご存じの方が居れば教えて下さい)
    その空白を埋めてくれたのが本書である。

    ただ冒頭から「人生の幕が下りる。近頃そんなことをよく思う。(中略)今年(2015年)二月から京都で暮らしている。これまで生きてきて、見るべきものを見ただろうか、という思いに駆られたからだ。(中略)幕が下りるその

    0
    2021年04月05日
  • 天翔ける

    Posted by ブクログ

    幕末から維新という、明治維新の隠れた英雄・松平春嶽の生涯を描く感動の歴史長篇。旧幕府にあって政権を担当し、新政府にあっても中枢の要職に就いたのは春嶽だけである。

    0
    2021年03月19日
  • 散り椿

    Posted by ブクログ

    本当の思いが、大切な人に伝わらないもどかしさ。正義は貫かれるのに、やるせなく、切ない後味が残る物語。

    0
    2021年03月12日
  • 天翔ける

    Posted by ブクログ

    『天翔ける』の主要視点人物は松平春嶽(まつだいらしゅんがく)である。
    「松平春嶽」?御本人は徳川御三卿の一つである田安家で生まれ育ったが、御一門と呼ばれた親藩の一つであった福井城を本拠地とする越前松平家に養子に入り、11歳で当主の座を受け継いでいる。越前松平家の当主としては、12代将軍徳川家慶の偏諱を賜って松平慶永と名乗った。が、<安政の大獄>で隠居ということになる等した経過から春嶽の号を名乗った時期が長く、その「松平春嶽」という名で知られている。幕末期に識見や人物に関して評価が高く声望が在った大名達が「賢侯」と呼ばれたが、松平春嶽はその「賢侯」に数えられる人物だ。
    本作の冒頭は1863年のあ

    0
    2021年03月05日
  • あおなり道場始末

    Posted by ブクログ

    葉室麟さんの作品は本当に大好き。今回も本当に爽快内容だった。親の仇、兄妹弟の絆。相手を大切に思う気持ちを教えてくれる素敵な作品。

    0
    2021年02月02日
  • 潮鳴り

    Posted by ブクログ

    「ひとはおのれの思いにのみ生きるのではなく、 ひとの思いをも生きる。」
     という最終章の一行が心に強く残ります。なにかを成すには命を捨てる覚悟が
    ないと相手を動かすことはできない、自分も廻りも引き摺り廻して中吊に苦しめて
    しまう。「覚悟」とはなにかを考えさせてくれる本。

    0
    2021年02月02日
  • 恋しぐれ

    Posted by ブクログ

    与謝蕪村の恋のはなし。
    だけではない。
    蕪村に関わるたくさんの人たちの
    想いがある。
    皆、懸命に生きて、
    あるひとは芸術に、
    あるひとは恋に、
    それぞれに生きていく時間の中で
    関わる人を大切に想い
    その姿が美しく、悲しい。

    中でも、ある登場人物の言葉
    「叶うはよし、叶いたがるは悪しき」
    は、ずっと心に残る。

    折々に入る蕪村の歌も
    より一層、ものがたりへの
    感動を深めてくれる。

    しみじみと美しく、
    懐かしく、恋しい作品だった。

    0
    2021年02月01日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

    Posted by ブクログ

    歴史小説苦手なのに、高校生の時、作者の名前の美しさに惹かれて、たまたまこれとって読んだらめちゃ面白かった。もっと葉室麟作品読みたいんだけど、これしかまだ読んでない。何せ日本の歴史小説苦手なんで

    0
    2021年01月28日
  • 暁天の星

    Posted by ブクログ

    葉室麟が見る陸奥宗光の最期を知りたかった。
    日本史では思いのほかさらっと名前が出て時代が流れていく人だけれど、幕末を駆け抜けた一人が明治をどう悩み生き抜いたかというのは、知らない裏側を見ているようで、とても面白い内容です。

    0
    2020年12月03日
  • 草笛物語

    Posted by ブクログ

    とても良かった。

    若い世代の人たちに繋がる
    秋谷の思いに感動。

    後半は
    目が離せなくて
    一気読みしてしまった。

    羽根藩シリーズは
    これが最終話。

    さみしい気持ちもわいてくる
    もっと読みたかったな

    0
    2020年11月25日
  • 決戦!関ヶ原

    Posted by ブクログ

    『決戦!関ヶ原』

    誰もが知る関ヶ原の戦い。
    4時間で決着がつき、そして最後の西軍 島津が退陣するまでが8時間。

    ●読みどころ
    1.関ヶ原
    家康と三成。
    戦い前に密談あり。
    互いの狙いは何か?

    2.戦終えての三成
    「勝者はいない。
     徳川も豊臣もそして毛利も、さらに私三成も全員   
     敗者なり。」
    その意図とは?

    3.織田信長弟 長益。兄に囚われた人生
     武勲無しの武将。
     最初で最後に近い戦いは家康方で。
     千利休の弟子であった長益。
     戦場で何を思えたか?

    4.島津義弘
     66歳。西軍の敗北が決まり、1500の兵で家康の   
     本陣3万人に向かう。
    「己の魂と引きかえに敵をうつ

    0
    2020年11月03日