葉室麟のレビュー一覧
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豊臣秀吉に「東国にては本多忠勝、西国にては立花宗茂、共に無双の者である」と称えられたたほどのの武将 立花宗茂の物語。恥ずかしながら立花宗茂のことはこの本を読むまでは知らなかったけれども、その波瀾万丈なストーリーに引き込まれた。
「立花の義は、裏切らぬこと」。それを頑なに守り生きようとする姿は見事。
秀吉によって大名に取り立てられ、関ヶ原の戦いでは西軍についた宗茂はその後浪人となるが、10数年後領地に戻れた唯一の武将となったという。彼の生き方を見れば納得。
歴史上の人物なので、徳川家康や真田信繁(幸村)、そして伊達政宗も登場する。その描写もとても面白い。
そして、宗茂の正室 誾千代(ぎんちよ)もまた心引かれれた人物。
ラスト、柳川城へと辿り着いた下りは目頭が熱くなり、特に宗茂が誾千代に語りかける場面は泣けた;
「20年前京に出ようと意を固めたおり、必ず無双の花をさかせて戻って参ると誓うたが、いまにして思えば、わしにとっての無双の花とは、そなたのことであった」。
同じく誾千代に語りかける場面での宗茂の言葉;
「立花の義だけは守り通してきたつもりじゃ。」
「それだけではないぞ。わしはこの20年の間に、わが立花の義は天下泰平のためにこそあると知った」
生きた時代、国による制約はある。戦国の世に生まれたら戦いとは無縁ではいられなかった。それでも、どの時代にも共通するものはある。正しく生きたい、正しく生きようとすることは美しい。そして、それは一人では無理。寄り添ってくれる人がいてこそなせること。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ落ちた花は二度と咲かないとひとは言う。だが、もう一度、花を咲かせようと櫂蔵は思う。そして、咲いたとすれば、わが胸の奥深くに咲くお芳の花でございます。わたしが生きてる限りは、お芳の花は枯れずに咲き続けることでありましょう。
そのために生きるのです。ひとはおのれの思いのみ生きるのではなく、ひとの思いも生きるのだと。それゆえ、落ちた花はおのれをいとおしんでくれたひとの胸の中に咲くのだと存じます。
お芳と弟の新五郎を想い、仇を取るために紛争する櫂蔵。最後は、潮鳴りが、いとおしい者の囁きがきこえる。
人を想い生きる事は、どんな事があらうが、生き抜かねばならない。そんなふうに感じた小説でした。