あらすじ
死すとも志は捨て申さぬ――。肥後藩の下級武士に生まれた河上彦斎は、女人と見まがう美貌の持ち主ながら、神速の抜刀術を誇っていた。幕末最大の思想家・吉田松陰との出会いは、彦斎に国事奔走を誓わせる。藩主とともに上洛を果たした彦斎は、いよいよ尊皇攘夷を決行するため、血なまぐさい天誅行為に手を染めていく。“人斬り彦斎”と怖れられた梟雄は、何のために剣をとったのか。圧倒的斬れ味を誇る葉室麟渾身の歴史長篇。
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Posted by ブクログ
熊本藩の人斬り彦斎と恐れされた河上彦斎の歴史小説である。あまり詳しく知らなかった人物であったが、葉室氏が真っ直ぐな生き方を貫き通した彦斎を丁寧に描いている。
前半の彦斎の思想の変遷が理解出来なかったが、徐々に歴史の表舞台に登場し、縦横無尽に活躍する姿は読んでいて爽快である。
明治維新後の反乱の先駆けとなった熊本の敬神党の乱に繋がる彦斎の生き様は、時代の変化に変わらぬ気骨を感じた。
Posted by ブクログ
四大人斬りの中でも、唯一政治思想を持つ人物であったとされる河上彦斎については、幕末維新の表舞台に立つ人物とは別に、史実の大事件と直結しながら暗の部分を浮き上がらせる人物として、また、『るろうに剣心』のモデルと言われていることからも、興味を抱く人物であった。
個人的に史実を忠実にトレースする作品を好むが、本作品は彦斎の動向を史実の出来事と時系列を合わせながら、新撰組の近藤や沖田との対決などのフィクションが絶妙に絡められ、非常に面白く読んだ。