葉室麟のレビュー一覧

  • 草雲雀

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    小さくとも、おのれもひとも裏切らぬ誠を尽くして生きている人たちを励ます本。読み終えると、瀬戸内海の透明度の高い海水が浜辺に打ち寄せるように、静かなそして純粋な感動が胸に去来する。

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    2024年12月21日
  • 無双の花

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    今村翔吾の「塞王の楯」に,立花宗茂は割と重要な役どころで登場するのだが,正直言って,立花宗茂のことは全く知らなかったので,彼が主人公の小説を探し出して読んでみた.
    秀吉に「東の本多忠勝、西の立花宗茂、東西無双」と褒め称えられる猛将で,関ヶ原の戦いで西軍に参加し,改易されたのち,唯一旧領を回復された武将,ということらしい.
    なんだ,無敵じゃないか! あと10年早く生まれていれば,そして,もっと上手く立ち回れば大大名になっていたことも想像できるのだが,どうやら彼の強さの秘密は本人の高い能力に加え,決して裏切らない「義」にあり,そのため家来に信服され,立花軍は無類の強さを発揮したと思われる.正夫人の

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    2024年11月19日
  • 実朝の首

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    余りこの時代の事を知らなかったので興味深かったです。陰謀が渦巻く時代に忠義や人との繋がりを大事にする人達に感動しました。

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    2024年11月03日
  • 潮鳴り

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    「人」という字を書く時、人は支えあって生きるものだと知る。

    羽根藩シリーズの2冊目。

    「蜩の記」より、私はこの作品を推す。

    かつては俊英とうたわれた伊吹櫂蔵は人生をこぎそこね、「ぼろぞう」と言われるまでに落ちこぼれる。

    しかし、芳の愛情によって目覚め、罠によって切腹させられた弟の志を果たす為に生きる。

    人生の修羅場をくぐり抜けた人は強い。
    恥を乗り越えた人も強い。

    人の強さは、視野の広さにあると思う。

    動物も自分の子供や集団で子供を守ろうとするが、視座の高さや視野の広さは人間特有のものだと思う。目先のことだけに囚われず、大義に生きることができるのが人なのだ。

    心が黄泉の国に吸い

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    2024年10月06日
  • この君なくば

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    この作者の作品はハズレがないので安心して読めます。幕末期の物語は血なまぐさいものになりがちだが、そうなっていないところも良かったです。

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    2024年10月03日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    熊本藩の人斬り彦斎と恐れされた河上彦斎の歴史小説である。あまり詳しく知らなかった人物であったが、葉室氏が真っ直ぐな生き方を貫き通した彦斎を丁寧に描いている。
    前半の彦斎の思想の変遷が理解出来なかったが、徐々に歴史の表舞台に登場し、縦横無尽に活躍する姿は読んでいて爽快である。
    明治維新後の反乱の先駆けとなった熊本の敬神党の乱に繋がる彦斎の生き様は、時代の変化に変わらぬ気骨を感じた。

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    2024年09月15日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    日本史Bで平安時代を習った記憶を頼りに読みました。所々に史実解説が加えられ、時代背景や和歌に込められた心情などがよく分かり興味深かったです。
    鬼や呪詛、陰陽師、祈祷などなど半ばSF小説を読んでいるような気分でした。

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    2024年09月13日
  • 峠しぐれ

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    「ひとは強くもあり、弱くもある。しかし一方で、弱くはあるが、やはり強い」
    峠の茶店を切り盛りする中年夫婦。かつてやむを得ない事情により藩を追われ、茶店に落ち着いた二人は、困っている人を見捨てない。夫婦がそれぞれ対処する事件が、最後の事件につながる。過去をを抱える中年夫婦のしなやかな生き方、伏線の回収の見事さ、謎解きの楽しさなどいろんな味わい方ができる大人の時代小説。

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    2024年08月11日
  • 無双の花

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    豊臣秀吉に「東国にては本多忠勝、西国にては立花宗茂、共に無双の者である」と称えられたたほどのの武将 立花宗茂の物語。恥ずかしながら立花宗茂のことはこの本を読むまでは知らなかったけれども、その波瀾万丈なストーリーに引き込まれた。

    「立花の義は、裏切らぬこと」。それを頑なに守り生きようとする姿は見事。
    秀吉によって大名に取り立てられ、関ヶ原の戦いでは西軍についた宗茂はその後浪人となるが、10数年後領地に戻れた唯一の武将となったという。彼の生き方を見れば納得。

    歴史上の人物なので、徳川家康や真田信繁(幸村)、そして伊達政宗も登場する。その描写もとても面白い。

    そして、宗茂の正室 誾千代(ぎんち

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    2024年08月03日
  • 草笛物語

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    最高。素晴らしすぎる。全てが収束していくラストの展開は見事の一言。良くあるお殿様の勧善懲悪の物語のフレームワークを踏襲しつつも完全に換骨奪胎して全く油断ならない完璧な物語に仕上げてるこの手腕よ。悪役も潔いまでに悪役で素晴らしい。葉室麟の物語は凄まじい。蜩ノ記の続編として読者も嬉しい仕立てになってるしもう一度言うけど最高。羽根藩にやっと名君が現れる予感に満ちたラストも最高。

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    2024年06月22日
  • 秋霜

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    春雷の正当な続編。新たな人物も前作からの人物も哀しいまでに不器用に愛おしく描かれてて相変わらず最高。情緒がぶっ壊れて何度も泣きながら読んだ。中でも臥雲のシーンがどれも最高でめちゃくちゃに胸を打たれた。前作の三人の中で唯一生き残った臥雲の生き様の最後には感情を揺さぶられた。全体的に最高なんだけど、小平太と楓が惹かれ合うあたりはよくわからん。小平太が懸想するのはわかるけど楓の気持ちは何が決めてなのかよくわからなかったな。そこを含めても最高の一冊だった。

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    2024年06月22日
  • 春雷

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    最高に良かった。主君と家臣、武士と農民、親と子、男と女、様々な関係が描かれる中で、悲しい生き方しかできない男の姿が活写されてた。それぞれの人物がとても良く描かれてて大変感情移入をしてしまった。最後の行を読み終わったところでいろんな感情が溢れて大泣きしてしまった。誰もがみんな言葉足らずに思えて、なのにその少ない言葉の中、いやむしろ言葉にされない中に沢山のことが語られてたのかな。それが物語全体に静謐な雰囲気を与えてもいる。面白かった。

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    2024年06月21日
  • 潮鳴り

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    めちゃくちゃ良かった。葉室麟は人の心のふれあう様をどうしてこんなに鮮やかに描けるのかな。時代小説って舞台設定が無駄を削ぎ落として心情や情念を浮かび上がらせるのかな。そんな気もする。言ってしまえば再生の物語なんだけど、読んでて何度も心を揺さぶられて泣かされた。後半の悲劇は避けて欲しかったんだけど、それが殺されるための人物として登場させられたように全く思わないのは人物がくっきりと描かれているからだろう。見事。

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    2024年06月18日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    史実との隙間に当時の剣豪たちと遭遇し刀を交える描写があり、実に興味深く緊張感がひしひしと伝わって来ました。

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    2024年05月25日
  • 蒼天見ゆ

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    ネタバレ

    実話だと知らずに読んだ!「最後の仇討ち」の話。
    最後まで苦しかった・・・
    復讐の為ではない人生を歩めていたらなと思った。
    最後に故郷で蒼天を見ることができたのが救いだった。
    秋月記も読もうと思う!

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    2024年05月18日
  • 月神

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    明治新政府で遅れを取った福岡藩の尊皇攘夷派の巨魁、月形洗蔵とその従兄弟である樺戸集治監館長の月形潔の生き様を月の章、神の章で描いた傑作である。月形半平太のモデルが、福岡藩の月形洗蔵、土佐藩の武市半平太の名前から取ったとは驚いた。

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    2024年04月08日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    葉室麟にはずれなし。今回も本当に面白かった。史実とフィクションが入り混じり、昔の人が活き活きと生活している気配が強い。この本では最後の闘いがいつもよりも長く劇画調だったが迫力満点。大満足だった。相変わらず主人公の女性がとても魅力的で、読み終えると爽やかな気分になる。はずれなし。

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    2024年03月22日
  • 潮鳴り

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    ネタバレ

    落ちた花は二度と咲かないとひとは言う。だが、もう一度、花を咲かせようと櫂蔵は思う。そして、咲いたとすれば、わが胸の奥深くに咲くお芳の花でございます。わたしが生きてる限りは、お芳の花は枯れずに咲き続けることでありましょう。
    そのために生きるのです。ひとはおのれの思いのみ生きるのではなく、ひとの思いも生きるのだと。それゆえ、落ちた花はおのれをいとおしんでくれたひとの胸の中に咲くのだと存じます。
    お芳と弟の新五郎を想い、仇を取るために紛争する櫂蔵。最後は、潮鳴りが、いとおしい者の囁きがきこえる。
    人を想い生きる事は、どんな事があらうが、生き抜かねばならない。そんなふうに感じた小説でした。

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    2024年03月13日
  • 決戦!新選組

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    新撰組のアンソロジー。
    剣で斬り合うのは決して好きではない。
    なのに惹かれる新撰組。
    時代が移ろう中で、自分の信念を生きる姿に惹かれる。
    馴染みの隊士のイメージがちょっと違ったりして、
    そんなところも面白かった。

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    2024年01月26日
  • 散り椿

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    瓜生新兵衛は、かつて上役の不正を訴えたが認められずに、藩を追われた。
    妻の死に際に、新兵衛に対して故郷に戻ってして欲しい事があるとお願いする。正反対の願いであったが、新兵衛に生きて欲しいとの気持ちからの願いであった。
    散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ。
    まさに名作である。

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    2023年12月27日