葉室麟のレビュー一覧

  • 峠しぐれ

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    色々な伏線が出ては、時々に、最後に回収されていき、とても面白かった。主要人物の人柄の爽やかさが最後に押並べて現れていき、それらは主要人物の他者の心を慮っていることをよく表してあり、読後の一種の清涼感を感じる事ができ、さすがは葉室麟だと思った。この作品の映画版かドラマ版を試聴したいとさえ思う。

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    2025年08月27日
  • 散り椿

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    主人公である新兵衛だけでなく、まわりの人々も皆後悔ややりきれなさ、孤独を抱えている中でも、それぞれが自らの意志を持って信念を貫き、生き抜く姿に胸を打たれた。

    世の理不尽さや生きづらさがこの作品の一つの要となっており、現代と重ねながら読める。

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    2025年08月22日
  • 冬姫

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    冬の日の朝一番に庭に出て思いっきり深呼吸をした時のような澄み切った気持ちが心の中いっぱいに広がった。父と、その父の理想を継ぐ夫を信じてひたむきに戦国の世を生き抜く冬姫の姿、またそれを支える従者たちの献身に心動かされた。

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    2025年08月04日
  • 決戦!大坂城

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    ネタバレ

    決戦シリーズは、作家ごとのさまざまな解釈を楽しみながら、複数の視点から戦いを立体的に見ることができる良企画。
    大阪城では、「日ノ本一の兵」のラストに情緒を掻き乱された。また、「黄金児」にせよ「男が立たぬ」にせよ、淀殿の陰に隠れて見過ごしがちな秀頼という人間に焦点を当てているのがとても良い。一方、その強烈な母君である淀殿に新しいイメージを与えてくれるのが「鳳凰記」。
    シリーズの他の編も楽しみになる。

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    2025年08月03日
  • 峠しぐれ

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    葉室麟にハズレなし。とても面白かった。この本で思っとのは、女性の活躍なフォーカスしていること。主人公の男性もいるのだが、最後の生き残りをかけた彼の戦いは省略されていると言う潔さ笑。これは新鮮だった。話も面白くて楽しめた。

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    2025年07月26日
  • 銀漢の賦

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    初めての作家の作品
    三人の友人の絡み合う生き方が爽やかに描かれている
    二人は武家の出身一人は農民
    三人はそれぞれの立場で
    向き合うことになる
    一人は出世した武士
    一人は武術はたつが人の良い下級武士
    一人は農民ながら勉学に励み一揆の首謀者として処刑される
    その断を下したのは友だった出世した男
    米を増産するために水路の工事を指示され不成功なら庄屋を桀にするとの話を聞いた下級武士はその工事に懸命に
    努力する
    武士らしくないと冷笑されながら
    それを命じたのも出世した武士
    そんなこんなで絶好していた二人が
    再び相まみえることになり
    藩の危機を救う

    とても爽やかな作品
    少年の頃に知り合った三人の
    瑞々しい感性が文章に感じられて
    こっちの頭も爽やかになる
    銀漢が天の川のこととは
    そして三人が見上げた天の川が
    この作品に流れている
    他の作品も読みたくなった

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    2025年07月14日
  • 恋しぐれ

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    俳句は難しい
    しかし、この恋しぐれは与謝野蕪村を主人公に、色々な恋と俳句を絡み合わせ読者を引き込む
    葉室麟の教養や技術に脱帽だ

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    2025年07月09日
  • 散り椿

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    葉室麟はいつも葉室麟。安定した王道の武家モノ。
    きっと私はちょっと古い日本人に憧れているんだと思います。
    葉室さんの武家モノにはそういった本当にいたのかこんな人?と思えるくらい純な人間が登場してくるので、いわばファンタジーとして読ませてもらってます。
    心の中が浄化されました。今、私はとても良い人だと思います。
    いつまで持つのかは不明ですが……。

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    2025年06月27日
  • 不疑 葉室麟短編傑作選

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    ネタバレ

    沖田総司は、幼少期に浪人に辱めを受け、その辱めを雪ぐために、試衛館に入り武術を身につけたという設定。
    新選組では、隊組織内では敵である芹沢鴨に気に入られる。近藤や土方からは見張りに丁度よいとされるが、芹沢鴨暗殺の時には、一緒にいた妾に嫉妬心を抱く。

    大石内蔵助は、赤穂藩筆頭家老。藩主浅野内匠頭は、勅使饗応役として江戸で任務にあたるが、松の廊下で刃傷におよび即日切腹になる。
    仇討ちをすぐにでもしたい、堀部安兵衛を筆頭にしたグループに、お家再興を願う穏健派内蔵助は襲撃を受ける。
    信頼する家臣小野寺十内に、安兵衛の扱いを相談する内蔵助は、安兵衛暗殺を企てる、腕のたつ安兵衛を剣で勝つことは難しいと、十内は、毒殺用の薬を用意する。しかし、やわらかなる心を忘れないようにと。
    毒入り茶を用意し、安兵衛と対したが、内蔵助の武士らしさを知り、思いとどまるが、実は十内が用意したのは毒ではないと、その茶を飲み干す。
    その後再度安兵衛の名を語り、内蔵助を暗殺しに来たのは、実は吉良の縁者のものだった。内蔵助は、何人もの剣客と対するが、安兵衛や不破数右衛門の助けで難を逃れる。この後、決断を固くし、討ち入りを決行する。

    黒田長政は、父如水から智謀に長けたものは、誰からも信頼を得られないから、猛将になれと言われ育った。
    関ヶ原の戦いの時には、家康が最も警戒する福島正則を味方にいれたり、毛利両川を説き伏せたりと、その智謀を存分に発揮していた。
    それは、実は仲が悪いとされていた石田三成の真意(卒啄同時)を汲み取っての活躍であった。

    蒲生忠三郎は、信長の娘冬姫を嫁としていた。
    忠三郎は、星を見るのが好きで、彗星のことをオルガンティノが連れてきた、天文に詳しいティコ・ブラーエに質問する。また、アモーレというキリスト教の言葉に心酔し、キリシタンに興味を抱くようになる。やがて、謀反で有岡城に立て籠もった、荒木村重と寄騎高山右近を攻撃する信長は、南蛮寺の宣教師を磔にし、キリシタンの右近を屈服させようとする。それに対し、忠三郎も信長に意見をし、怒りをかう。

    北条政子は、実朝に子がおらず、朝廷と仲の良い実朝の跡継ぎを親王宮将軍をたてるべく京にのぼる。対応したのは、卿の局こと藤原兼子。鎌倉への帰り道、政子は昔夫頼朝とともに朝廷への関係を強化させるために、娘大姫を後鳥羽帝の后へと考え、上洛を果たしたことを思い出す。しかし、朝廷側は野蛮な東国武士の娘を嫁になどしたくはなく、大姫に冷たくあたる。大姫は、心も体も病み、鎌倉に帰るが、亡くなってしまう。政子は、その後西方に恨みを抱く。
    その後も、頼朝は落馬が元で亡くなり、息子2人は将軍になるが、自らの父の時政の策で頼家は出家後暗殺され、実朝も頼家の息子公暁に暗殺される。
    親族間の争いの中で、生涯を生き抜き、争いが起こらないためにも、親王(実際は、藤原氏貴族から)を将軍に置きたいという考えを貫く。自分の意思を継ぐ、鞠子(頼家の娘)にその後の鎌倉を託す。

    雋不疑は、中国漢の時代、京兆尹という知事兼警察長官の役割をになう役人であった。
    武帝の死後、昭帝が即位した時に斎王の孫が反乱を起こし、これを鎮圧した功で京兆尹に抜擢された。
    そんな折、9年前に死去したはずの武帝の長子衛太子が現れる。
    不疑は、この衛太子が本物かどうかを解き明かす任務を任される。

    すべて主人公の、ある一部分を切り抜いたに短い文の中に凝縮した内容は、フィクションではあるだろうけど、本当にこうだったんじゃないかと思わせるようで、どんどん読み進められるように仕上がっているのが、さすが葉室氏だと思いました。
    特に、北条政子の話は大河ドラマを思い起こさせてくれました。名作です。

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    2025年06月22日
  • 冬姫

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    ネタバレ

    人を恨まず、憎まず、お互いを思いやって、生きていける国を、この地に築きたいのだ
    冬姫は、天下布武邁進する。信長の間近で、武家の女は、槍や刀ではなく、心の刃を研いでいくさをせねばならならないのです、と言い聞かされて育っていく
    私には人の心はわかりません。でも悲しみはわかるような気がいたします

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    2025年06月20日
  • 天翔ける

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    今まで読んできた本と違った視点から幕末をとらえられていてどんどん吸い込まれるように読んでしまった
    松平春嶽って名前だけは知っていたがよくよく国を思っていた方とあらためて知りました。勉強になりました

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    2025年03月25日
  • いのちなりけり

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    春ごとに花の盛りはありなめど逢ひ見む事はいのちなりけり
    この詩が一気に好きになった。
    やっぱりこの時代は素敵だなと思う。武士とは職業では無く生き方であるとは良く言ったものだ。

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    2026年02月24日
  • 草雲雀

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    小さくとも、おのれもひとも裏切らぬ誠を尽くして生きている人たちを励ます本。読み終えると、瀬戸内海の透明度の高い海水が浜辺に打ち寄せるように、静かなそして純粋な感動が胸に去来する。

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    2024年12月21日
  • 無双の花

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    今村翔吾の「塞王の楯」に,立花宗茂は割と重要な役どころで登場するのだが,正直言って,立花宗茂のことは全く知らなかったので,彼が主人公の小説を探し出して読んでみた.
    秀吉に「東の本多忠勝、西の立花宗茂、東西無双」と褒め称えられる猛将で,関ヶ原の戦いで西軍に参加し,改易されたのち,唯一旧領を回復された武将,ということらしい.
    なんだ,無敵じゃないか! あと10年早く生まれていれば,そして,もっと上手く立ち回れば大大名になっていたことも想像できるのだが,どうやら彼の強さの秘密は本人の高い能力に加え,決して裏切らない「義」にあり,そのため家来に信服され,立花軍は無類の強さを発揮したと思われる.正夫人の誾千代も魅力的.

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    2024年11月19日
  • 実朝の首

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    余りこの時代の事を知らなかったので興味深かったです。陰謀が渦巻く時代に忠義や人との繋がりを大事にする人達に感動しました。

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    2024年11月03日
  • 潮鳴り

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    「人」という字を書く時、人は支えあって生きるものだと知る。

    羽根藩シリーズの2冊目。

    「蜩の記」より、私はこの作品を推す。

    かつては俊英とうたわれた伊吹櫂蔵は人生をこぎそこね、「ぼろぞう」と言われるまでに落ちこぼれる。

    しかし、芳の愛情によって目覚め、罠によって切腹させられた弟の志を果たす為に生きる。

    人生の修羅場をくぐり抜けた人は強い。
    恥を乗り越えた人も強い。

    人の強さは、視野の広さにあると思う。

    動物も自分の子供や集団で子供を守ろうとするが、視座の高さや視野の広さは人間特有のものだと思う。目先のことだけに囚われず、大義に生きることができるのが人なのだ。

    心が黄泉の国に吸い込まれそうになっても、自分を心から信じてくれる人がいれば、踏みとどまることができるのではないか。

    櫂蔵にとってそれが芳だったのだろう。芳にとっても、櫂蔵は命をかけても守りたい人だった。

    ラストの読後感は爽やかだ。

    「落ちた花は咲かない。」というフレーズが何度か出てくる。自分が自分で決めるのだ。落ちた花かどうかを。

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    2024年10月06日
  • この君なくば

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    この作者の作品はハズレがないので安心して読めます。幕末期の物語は血なまぐさいものになりがちだが、そうなっていないところも良かったです。

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    2024年10月03日
  • 神剣 人斬り彦斎

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    熊本藩の人斬り彦斎と恐れされた河上彦斎の歴史小説である。あまり詳しく知らなかった人物であったが、葉室氏が真っ直ぐな生き方を貫き通した彦斎を丁寧に描いている。
    前半の彦斎の思想の変遷が理解出来なかったが、徐々に歴史の表舞台に登場し、縦横無尽に活躍する姿は読んでいて爽快である。
    明治維新後の反乱の先駆けとなった熊本の敬神党の乱に繋がる彦斎の生き様は、時代の変化に変わらぬ気骨を感じた。

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    2024年09月15日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    日本史Bで平安時代を習った記憶を頼りに読みました。所々に史実解説が加えられ、時代背景や和歌に込められた心情などがよく分かり興味深かったです。
    鬼や呪詛、陰陽師、祈祷などなど半ばSF小説を読んでいるような気分でした。

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    2024年09月13日
  • 峠しぐれ

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    「ひとは強くもあり、弱くもある。しかし一方で、弱くはあるが、やはり強い」
    峠の茶店を切り盛りする中年夫婦。かつてやむを得ない事情により藩を追われ、茶店に落ち着いた二人は、困っている人を見捨てない。夫婦がそれぞれ対処する事件が、最後の事件につながる。過去をを抱える中年夫婦のしなやかな生き方、伏線の回収の見事さ、謎解きの楽しさなどいろんな味わい方ができる大人の時代小説。

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    2024年08月11日