葉室麟のレビュー一覧

  • 無双の花

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    立花宗茂が素晴らしい人物であることは疑いようもない。
    が、あえて他のことについて書きたい。
    周囲の人物の、あの魅力はいったい何なのだろう。
    宗茂と接し、心を通わせた人物は、世間ずれし捩れる前の、素直な芯を見せるようになるのだろうか。
    真田信繁といい、伊達政宗といい、徳川家康といい、宗茂に負の部分を洗われていくようだった。
    小説ではあるが、実際も、こうであってくれたなら、救われるのに。

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    2014年12月26日
  • 乾山晩愁

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    絵師と画家が同じものか分からない。
    が、以前、ある画家の絵を見て、それを通して画家の目に映る世界に触れて、確信したことがある。
    画家は、狂気を見ている。
    この話に登場する絵師たちも、同じ世界を見ている気がする。
    特に、永徳は。
    美しいものを描けるのは、汚いもの、地獄を知っているからこそなのか。
    そうだとすると、絵師は修羅になるのではなく、修羅が絵師になるのかもしれない。

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    2014年12月25日
  • 恋しぐれ

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    蕪村は主人公というより、語り手だったのだろうか。
    情熱的な恋であっても、どこか雨の中に佇んでいるような、わびしさや寂しさが滲んでいるようだった。
    いくつもの恋の、人の心の、ままならなさが、最初から最後まで蕪村の恋を表していたような気がする。

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    2014年12月25日
  • いのちなりけり

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    一人の男が、一人の女に応える和歌を見つけるために生きる物語。
    和歌そのものは冒頭に出てくるのだが、そこに至るまでに蔵人がどこに居て、何を考え、何を思い、何をしてきたのかを辿っていくほどに、はじめは何の感慨ももたらさなかった一首が、色彩を帯びてくる。
    交差する思惑、その中に一本通った筋道は、流石、葉室麟。

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    2014年12月17日
  • 無双の花

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    関ヶ原の合戦以後の立花宗成を描いた作品。

    誾千代とのやりとりが、今まで読んだ作品と違っていて面白かった。

    特に「立花の義」はよかった。
    対する「真田の義」「徳川の義」もよかった。

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    2014年12月14日
  • 星火瞬く

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    幕末期の史実の間隙に、作者の想像の翼を大きく羽ばたかせたような作品だ…恐るべき謀略?深く複雑な劇中人物達の思惑の錯綜?少年が大人の男になって行く頃の回想?父を超えようとしていく息子の想い?色々な形容が出来そうな作品だ。読後の“余韻”のようなものも深い作品だ。

    新しい文庫本で、未読の方が多いであろうから、物語の仔細には言及しないようにしたいが…劇中のバクーニンが語る“革命”、“自由”、“世界”、“愛”…どれも何か考えさせられたり、ぐっと来るものがある。

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    2014年08月22日
  • 無双の花

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    あーーーー葉室さんの歴史小説本当にすてき。
    間違いない、というか絶対裏切らない。この主人公の立花宗茂のように。(笑)

    誾千代のかっこよさたるや言い尽くせない。そして宗茂の男気あふれる、でもスマートな生き方にどんどん引き込まれる。そして辛苦を共にしながら決して主君から離れようとしない、家来達の忠義っぷりに涙涙。

    九州の武将ということでなくても、そもそも日本史知識不足の私ですが毎回知らなくてもぐいぐい読まされてしまってます。文章の丁寧さ、一貫した何か太い観念で貫かれた日本人的スピリットが今回もひしひし感じられて、またまたほぼ一気読みしてしまいました。

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    2014年08月11日
  • 無双の花

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    立花家の義。真田家の義、徳川家の義……はて、私の義は何だろう……

    何人かの作家が立花宗茂を描いてるけど、これは良い!

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    2014年07月26日
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い

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    謎めいた平安朝の闇を背景に、艶めいた“ファンタジー”のように展開し、後年への因縁が説き起こされる「伝奇」という趣の前半に対し、後半はこれまでの“時代モノ”で余り描かれたことがない平安時代の戦い、国内の作法が通じない、或いは無用な敵との遭遇が描かれる、何か「男っぽい」物語である…一騎当千の武者達を鼓舞し、彼らの上に立ちながら、先頭に出て自ら弓や太刀を手に戦う場面も在る藤原隆家が凛々しいのだが、或る意味で「卓越した指導者?」を問うような風も在る…

    「学校の授業」で漫然と名前を聞いているような人達が、喜怒哀楽の表情を持つ「時代モノの劇中人物」として、「伝奇」的な劇中世界で活き活きと動き回っているこ

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    2014年05月11日
  • 橘花抄(新潮文庫)

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    素敵すぎる。香や和歌、そして武家の生き方。。。重根と峯均の兄弟がほんとに武士らしくしたたかで誠実で、かっこいい。キャラがたっていて、実在したと言われる人物とそうじゃない人物の区別がつかない。
    歴史にファンタジーが溶け合わさって、和風で夢のつまった感動ストーリーになっちゃったかんじ。
    バスの中で涙してしまって困りました。
    蜩の記に続いて、読後の心地よさがくせになる本でした。

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    2014年04月08日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    大河が始まった黒田官兵衛の晩年期の話。

    九州からキリシタンの目線で観ると戦国時代は、この様に読み解く事が出来るのかぁ。

    歴史モノは正直とっつきづらいので、あまり読まないが、読みやすいし「花の慶次」以来に面白い!と思った本と出会った。

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    2014年01月22日
  • 柚子の花咲く

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    ネタバレ

    エエ話です。
    主人公はじめ重要なキャラクターすべてに人間臭さ、つまりどこかしら欠けてるところや弱いところや突っ込みどころがあって、それでも彼らがみんな今を一生懸命生きて生きて、その生き方を積み重ねていくことで信念というものが生まれ育まれ育てられ…

    桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く

    自分を嫌うことは自分を大切に思ってくれる人の心を大事にしないことになる
    例え身についた泥があったとしても、自らの心で洗い流すことはできるはず

    だから一生懸命、丁寧に生きていきましょうよ。とこの作品は訴えてくれている

    命を失う登場人物がやや多いように思えた部分もあるにせよ、そういう時代だったの

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    2013年08月16日
  • 花や散るらん

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    ネタバレ

     前作「いのちなりけり」を読んで、ふたたびこのふたりに会いたくなって買った本。
     いろいろあってやっと本当の夫婦になれた雨宮蔵人と咲弥。ふたりのあいだに娘もいるようで、無骨な蔵人の子煩悩振りも微笑ましい。と思っていたところが、事件に巻き込まれ、この娘に物語の鍵があり……。
     このシリーズの好きなところは、愛情を軸に物語が動いていくところだ。それは男の女への情であり、友情であり、主君への忠誠である。
     雨宮蔵人の咲弥への溺愛っぷり。そして右京(清巌)がいまだ咲弥への想いを秘めながら身を挺して守る姿。悪役であったはずの神尾与右衛門や吉良上野介でさえ、その最後の散りざまに泣けてくる。自らの信念を貫け

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    2014年02月07日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    歴史小説として読むと、従来のイメージとあまりに違いすぎてえ?!となる部分が多いです。
    けれど「キリシタン」というものを筋の一本通った人として見たらこういうストーリーも全然ありだなぁ、と。
    官兵衛がかっこよすぎるんじゃないか、と微笑ましく思うところもありましたが、面白い作品です。
    表題に黒田官兵衛と書いてありますが、数多のキリシタンたちが主人公である、と捉えた方がいいかもしれません。

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    2013年06月23日
  • いのちなりけり

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    ネタバレ

    「光圀伝」と同様、水戸光圀が藤井紋太夫を刺殺したところから始まる小説と知り、読み始めた。やはりこの事件から物語がすぐに繋がるわけではなく、ひとりの男の婿入り話から始まる。
     小城藩の重臣天源寺家の娘婿になった雨宮蔵人。一見愚鈍な大男に見えるこの男を、父刑部(ぎょうぶ)がなぜ自分の夫にしようとしたのか、咲弥にはわからない。和歌に精通した夫に先立たれた咲弥は、自身にも和歌の素養がある。いかにも教養のない蔵人に、これぞと思う和歌を一首教えてくれるまで寝所はともにしないと言いわたしてしまう。言われた蔵人は、誰かに簡単に教えを請うこともせず、真面目に咲弥に伝える和歌を考えているうち、陰謀に巻き込まれる。

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    2013年05月06日
  • 風の軍師 黒田官兵衛

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    大胆な構想を胸に策謀を巡らせる黒田官兵衛が本作の主人公ではあるが…彼と行動を共にしている修道士、そしてその修道士とぶつかって最終的に棄教する別な修道士、黒田官兵衛の家臣で武辺者の後藤又兵衛、細川ガラシャとマリアこといとの主従、彼らと関った織田秀信…更に“敵役”的な石田三成と嶋左近主従や、彼らに近い小西行長…或いは黒田官兵衛とは別箇に己の大胆な構想を胸に動こうとする毛利輝元…こう言った面々の“群像劇”という趣も在る…
    こういう「本当はこういうことだったかもしれない?」的に纏めた時代モノ…凄く面白い!!

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    2013年02月24日
  • 柚子の花咲く

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    ネタバレ

    初読、葉室麟。『桃栗三年柿八年、柚子は九年で花が咲く』郷学教授梶与五郎が一太刀で斬られ発見される処から、物語は始まる。かって青葉堂村塾の教え子達が、死んだ恩師の悪評・噂に驚き、謎の死と汚名を晴らすため捜索するが、同じ切り口で友人が果てる。領地争い・同時の身分の違いによる婚姻・親子関係を絡めたミステリー時代推理小説を、教え子の主人公恭平視線で描かれる。頼りなく他人を頼る恭平だが、優しくまっすぐに生きる恭平に対する幼馴染おようの本心に気づき、恭平は成長しながら解決する。師を慕う子ども達に感動した。

    『わたしたちは先生が丹精込めて育ててくださった柚子の花でございます。』
    桃栗3年柿8年、梅はすい

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    2013年02月19日
  • いのちなりけり

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    重臣を手討ちにしたところから始まり、水戸黄門てこんな人だった? という興味で惹きつけられた。 一つの和歌を求め続ける佐賀鍋島家のはぐれ剣士の純愛を 綱吉の時世にうまく取り込んで小気味よく展開していく。
    ラストは 一本勝ちですっきりという感じで納得。読後感は 非常に晴れ晴れしたもの。恐れ入りましたと脱帽のストーリーです。

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    2013年02月01日
  • 風渡る

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    盛り上がりの場面さえ、淡々と描写してあり、却ってリアリティーを感じる文体だと感じた。
    他の作品も読んでみたい。

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    2012年10月01日
  • 風渡る

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    九州の地名や、地元の歴史がちらちら見えたりして、
    遠い昔の出来事を自分の知っていることと関連付けながら読むことができました。

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    2012年07月13日